生物の部屋

人生すべて学習の対象だ

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生物の世界

バッタを倒しにアフリカへ バイオエアロゾルとは 藻類とは クジラの進化
海のプランクトン 人の細胞 オルガネラ
光合成とは?
ルイセンコ学説 キツネがペットになる日 ヨーロッパオオカミ
シアノバクテリア ミトコンドリア ネコ科動物の進化
脊椎動物 前口動物と後口動物 多細胞生物 襟鞭毛虫
線虫 浸透圧 色覚
琥珀の中に史上最小の恐竜化石
眼の起源 眼の誕生 両生類 ハプログループ
ベリャーエフ キャメル・ロード 白雪姫と7人の小人達 「カッコウの森」

バッタを倒しにアフリカへ

バッタ博士がバッタの論文を書くため単身アフリカへ。そこでは壮絶な世界が待ち受けていたが、3年後には人間的も大成長を遂げ押しも押されぬ虫博士としての地位を獲得する成功物語。ノンフィクション科学冒険談で著者・前野ウルド浩太郎さん自身の体験談。
まず、先ずは前野博士が単身アフリカに渡るキッカケから。日本では大学院で博士号を取得したのち数年間、自分で職を見つけて働く口を探さねばならない。昔なら大学院を卒業後、大学の助手になる道もあったが、現在では博士の数が多くなり、国の研究機関や大学には収まりきれない。一般の企業では、博士の需要は学問分野にもよるだろうがそんなに多くないので、一般の企業に入ることは学問への道をあきらめることに通じる。このことは「ポスドク」問題として知られているようだ。欧米諸国では、博士たちを有効に活用する社会システムが整っているが、日本は、その面で大幅に遅れているようだ。
前野博士は、子供時代に読んだ「ファーブルの昆虫記」にあこがれ虫一筋に研究してきた人。アフリカ行を決心したのもユニークな論文を書き就職の審査に通ること。ここで論文が書けなければ研究者への道を断念しないといけないと決死の覚悟のアフリカ行き。
サバクトビバッタ ところで博士の研究テーマは、昆虫の中のバッタ、そのバッタの中でも「サバクトビバッタ」。ほとんどこれ一筋。このバッタは古代から「神の罰」と言われるほど恐れられており、数年に一度大発生して農作物から草木の葉までおよそ緑のものをことごとく食い尽くす恐ろしい代物(しろもの)です。蝗害(こうがい)という言葉もあり、中国にもあったのか。このバッタは2つの形態を持ち、常時は孤独相という形で比較的おとなしく棲息しているのに、密生して発生すると群生相言う形態に変化する。はじめはこの二つは全く別の種と思われていたのだが、1921年ロシアの昆虫学者が、棲息密度が混み合うと相変異することを突き止めたという。左の写真では、上が孤独相で保護色の緑色をしているが下は黒っぽい色になっている。本来は同じ種のバッタだ。
因みに、バッタとイナゴは相変異(そうへんい)するか否かで区別するのが国際的ルールらしい。相変異するのがバッタ(Locust)、しないのがイナゴ(Grasshopper)だそうだ。となると、日本のショウリョウバッタ、オンブバッタなどは相変異しないのでイナゴの仲間となる。サバクトビバッタの研究は、日本ではあまり知られていないが、ヨーロッパ諸国では相当な研究がおこなわれている。しかし、ほとんどは室内研究で現地調査はあまり行われていないらしいということが着目点。しかし、それでだけ困難もあるというわけ。
そこで博士が選んだ国、サハラ砂漠の最西端の国モーリタニア。英語の通じない国で、公用語のアラビア語もフランス語も分からないまま入国する。当然失敗の連続、また、期待したバッタの大発生も無い(コンなこと期待してはいけないね)。とうとう準備した資金も枯渇した時に、自分自身を相変異をすることを決める。論文を一時棚上げし、広報活動を始めるのだ。国内のサポーターに広くアピールする。子供たちはもちろん大人でもバッタが大好きな人沢山いるんですね。これが大成功し、なんとか研究を続けることができ、日本での研究者の地位も確保する。でも、ここまで来るまでに本当に沢山の人々の支援があったんですね。特に、最後まで暖かく支援を惜しまなかった、モーリタニア国の研究所ババ所長さんの功績は感動ものです。ウルドの称号はババ所長が前野氏が現地で活動しやすいように与えたものだそうです。バッタの駆除は、日本の外務省もモーリタニア国との外交上の重要テーマと認めてくれたようです。さらなる前進が期待出来ますね。
【バッタを倒しにアフリカへ;前野ウルド浩太郎著、光文社新書】
ショウリョウバッタ オンブバッタオンブバッタ

【追記1】
専門家というものどうしても視野が狭くなりがち、研究者というものだって社会の一員としてやっている以上、自分の研究を社会に役立ててもらわないと存在価値がない。出世競争だけに目がくらむと何処かで行き詰る。前野博士も自らの相変異を見事に成し遂げ、日本を代表する立派な学者に成長したですね。相変異をした後のこれを支えてくれた人たちの活躍も大したもの。でも、研究の目的はトビバッタの大発生の仕組みの研究、なんとか食い止めたい現地の人々の心と裏腹に、大発生を心待ちしているのは頂けない気もしますね。
【追記2】
相変異があるのはバッタだけだろうか。進化の歴史の中の秘密として他の生物、もちろん人間も含めて組込まれているのでは無いか。人の心にも「個人相」と「大衆相」があるぞ。個人相の時の人間は、個性を互いに尊重し、自由を愛し、色々なことを自分の頭で理解しようとするが、大衆相の人間は「一致団結」とか「一億〇〇」等の威勢の良い掛け声や、国やマスコミの強いリーダーシップを求め、自分の頭で考えることを嫌い他人の出来合いの意見を尊重し、社会の他の構成員にもそれを強要する(本当は自分が洗脳されていることに気がつかない)ようになる。経済が停滞し、社会が不安なるとファシズム(集団主義)が台頭してくるのは、こうした理由がありそうだ。人の場合「大衆相」は、往々にして自滅への道を取ることが多いので、気を付けて社会を観察してください。
【追記3】
恐れていたことが現実になってしまいました。砂漠飛びバッタが異常発生したのです。国連も維持う事態宣言。でも、日本のマスコミはコロナウィルス一辺倒で全く取りあげられていません。 (2020.3.8)
砂漠飛びバッタ

地球の歴史・生命の歴史
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藻類とは

藻類(そうるい)
みなさんは「藻(も)」と聞くと何を想像しますか? 川底で揺れる川藻のたぐい、あるいは水槽に入れる小さな水藻かもしれません。しかし、藻の仲間は私たちが想像する以上に多彩です。単細胞のクロレラみたいな小さいものも、昆布やワカメみたいな大きな海藻もも全部藻類です。
生物系統樹 つまり、藻類とは光合成をする生物からコケ植物、シダ植物、種子植物(裸子植物、被子植物)を除いた生物全部。つまり、分類学から言えばその他大勢。だから、藻類という言葉の中には極めて多種多様な生き物が含まれていた訳です。
昔は生物と言えば、動物と植物との2分法。動物は自分で動き回り(動けないものもいるのに)従属栄養で、植物は光合成を行う独立栄養だ。でも、遺伝子解析が進み系統分類法が整理されてくると、全く異なった生物の進化系統が見えてきました。今小学校では、キノコなどの菌類は動物でも植物でもない全く別のグループとされています。そのうち藻類も植物ではないと、仲間外れになりそうです。それじゃーあんたは何なのさ?
最近注目されている、「ミドリムシ(ユーグレナ)」は、緑色の色素を持ち光合成を行うのに、2本の鞭毛をもって泳ぎ回る。「あなたは一体動物なの植物なの。」、実際は、今まで想定されていた動物でも植物で菌類でもない。最近の系統図を見て下さい。
生物系統樹 この図で気がつくのは、動物も陸上植物も菌類も多種多様な生物の中のほんの一部です。残りの大部分がいわゆる「藻類」ということでしょう。大型の海藻や淡水藻を除けば大部分は単細胞生物です。
ここでもう一度、生物の進化を復習して見ましょう。地球上で最初に現れるのが古細菌の仲間。その後真正細菌が登場し、その中で藍藻(シアノバクテリア)が酸素放出する型の光合成を開始します。酸素は当時の他の生命にとっては猛烈に有毒。古細菌の一部は、真正細菌を自分の体の中に取り込むことで共生を図ります。このようにして真核生物が誕生したと言われています。でも、真核生物も単細胞の方が多いんです。この合体の仕方は色々な方法が試行錯誤されたようで、その結果多種多様な生物が存在しているようです。

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バイオエアロゾルとは

エアロゾルとは大気中に漂う微粒子のこと。一般にはこれら微小な砂粒のような鉱物粒子のように考えられてきたが、実際にはこれらの微粒子にはカビや菌類の胞子など生命由来のものも多く含まれているという。地球の生命は地上や海水中だけでなく、大深度の地下や超深海等今までの想定を超えて広がっていることが分かってきている。大気中にも色々な微生物が存在しており、地球環境にも多大な影響を与えている可能性があるというので驚きだ。
地上に降る雨は、上空で微小なエアロゾルを核として水滴や氷の粒を形成して雲を造り、これが雨や雪を降らす基となっていることは分かっている。しかし、雲ができる詳細なメカニズムはまだ解明されていないのだそうだ。以下の話はNHKのサイエンスZEROで紹介された話。こういうまじめな研究にはもっと注目が集まってもいいと思うのですが。
【世界屈指の空飛ぶ微生物ハンター】
冒頭の画面。6月末。梅雨時のジメジメした森の中に、その研究者はいた。落ち葉の中から見つけた小さなキノコをつまむと、茶色い粉が吹き出した。「これや!バイオエアロゾルや!」。お目当ては、きのこそのものではなく、吹き出す粉、胞子。「キノコの胞子が空に浮かび、雨を降らしているかもしれないんです。」
胞子を見ながらうれしそうにそう説明してくれたのは、金沢大学の牧輝弥さん。キノコの胞子のような、微生物の研究を行っている。この研究が将来天気予報にも大いに活躍するかもしれないのだ。バイオエアロゾルとは、空気中を漂う微生物やその死骸、体の一部など、生き物に由来する小さな粒子のこと。特に胞子と呼ばれる微小粒子が大きな役割を持っているようだ。
サンプルテスト 金沢大学の研究室を訪ねると、薄暗い部屋の片隅にあった大量の容器を見せてくれた。中には、黒や白、ピンク色の綿のようなものが。これらはすべて、牧さんが空気中から採取したバイオエアロゾル。カビやキノコの胞子などの真菌や、バクテリアといった、微生物だ。
もともと水中の微生物で、環境や健康への影響を調べていた牧さん。バイオエアロゾルとの出会いは、10年前におこなった黄砂の観測。「栄養が少なく、微生物はほとんどいないとされていた上空でとった黄砂の砂粒に、微生物がいたんです。それが衝撃的で、不思議で、調べてみたいと思いました。」。以来、気球やヘリコプターまで使って、400種類以上ものバイオエアロゾルを集めてきた牧さんは、世界屈指の「空の微生物学者」だ。牧さんがとらえた微生物の中には、なんと納豆菌も。地元の業者と協力して、実際に納豆を作り販売もしているというから驚きだ。上空3000mで取った菌で作ったからか、空のようにさわやかで、クセのない味になり、好評だとか。「さわやか納豆」ですか、売れるかもね。
最近、アフリカのサハラ砂漠から地球を半周して飛んでくる砂塵がアマゾンの熱帯雨林の栄養になっているなんて言う研究もあるようだ。

しかし、空に漂う微生物が、天気とどんな関係があるのだろうか。なぜ雨が降るのか-身近な雲のナゾ解明に一歩前進!?私たちは、牧さんの実験を見せてもらうことにした。牧さんが持ってきたのは、バイオエアロゾルを入れた液体。これを、冷却装置で少しずつ冷やしながら、凍るのを観察するという。「-4℃から始めよう...-5℃、-6℃...-8℃。だめか」。気にしているのは、凍る温度。これこそが、天気との関係を示す手がかりだ。私たちの頭の上に浮かぶ雲。あの雲が、どうやってできるのか。実はその問いには、科学者たちもまだ完全には答えられない。そもそも、白く見えている雲は、水蒸気が集まった「水の粒」と「氷の粒」の集まり。これらに重要なのが、バイオエアロゾルのような空気に浮かぶ微粒子だ。微粒子のまわりに水蒸気が集まり氷になると、蒸発しにくくなり粒として存在できるようになるからだ。つまり、均一な空気で微粒子がなければ雲が生成されず、雨が降らないということだ。
【犯人を絞り込め】
雲のできる高さ しかし、この雲の粒を作る微粒子には、大きなナゾがある。砂の粒など無機物の微粒子は、-15℃という低温で、氷の粒を作ることがわかっている。ところが、空気の温度が-15℃よりも高い場所でも、雲は発生しているのだ。-15℃の気温はかなり上空だけど、実際の雨雲はもっと高温の低いところで発生している。ではいったい、鉱物よりも高い温度で凍り、雨を降らせる雲の粒になっているのはいったい何なのか。その候補となっているのが、バイオエアロゾルだ。地上では、すでにおよそ-5℃で凍る微生物が見つかっている。牧さんは、空にもそうした、-15℃よりも高い温度で凍る微生物がいるはずで、それこそが雲を作り、雨を降らせていると考えている。もしこれが突き止められれば、気象予測をより正確にするために必要な、雲のメカニズムが解き明かせることになる。
今回の実験では、幸運にも、牧さんも驚きの発見に立ち会うことができた。「うわ、もう凍り始めた!こいつ、ホンモノですよ」冷却装置の示す温度は、なんと-7℃。能登半島の上空3000mで採取したものだった。その後、温度や湿度などを、より空の環境に近い状態にして再度実験。それでもやはり、-15℃よりも高い温度が示された。「もしかしたらこれが、上空で雲を作るのに働いていたかもしれないです」。雨を降らすバイオエアロゾルの候補の手がかりをつかんだ牧さん。さらに詳しい正体を、DNAから調べていく予定だ。
【不思議な"糸"が示す バイオエアロゾルの発生源】
牧さんは並行して、バイオエアロゾルがどこから来るのか、明らかにしようとしている。雨を降らせるバイオエアロゾルが、どこから来て、どこにどのくらい飛んでいくのか分かれば、どこに雨が降るのか、どのくらい降るのか、予測が可能になるかもしれないからだ。
茨城県の筑波実験植物園で行われた調査に同行した。今回、バイオエアロゾルの採取を行ったのは、森林内の地上付近と、そこに面した、上空約20mの建物の屋上、そしてヘリで向かった、森の上空500m。3つの高度でとれたバイオエアロゾルに、手がかりがないか探そうというものだ。3日間にわたる調査で採取したサンプルを、顕微鏡で観察した牧さん。ここでも驚きの、新たな発見があった。「なんじゃこりゃ。こんなもんとれてますよ。いままで見たことないやつが」
菌糸 そこに映っていたのは、小さな青白い粒から出た、細長い糸のようなもの。菌の体の一部、菌糸だ。上空500mのサンプルで見つけた菌糸。なんと、上空約20m、そして地上でも、似た形の菌糸が取れていた。「森の中の、菌糸を伸ばした微生物が飛んでいるんです。確実ですよ」。3つの高さで同じ種類と思われる微生物が見つかったということ、それは地上から、少なくとも上空500mまでは、空に向かって微生物が飛んでいる可能性があるということだ。
今回、「雲となり雨を降らせるバイオエアロゾル」、「バイオエアロゾルの発生源」、この二つを明らかにする大きな手がかりを見つけた牧さん。これからおこなわれるという、より詳しい分析で、さらに雨を降らせるバイオエアロゾルの正体に近づけると考えている。 「あまたいる微生物の、ほんの一部分を調べたに過ぎません。きっと世界にもまれに見る成果が上がってくると信じています。」
微生物学者の、気象の謎への挑戦はまだまだ続く。牧さんの研究が、私たちの生活を変える日が来るのが楽しみだ。
なお、森の中の微生物は、森の中の薄暗く湿った環境が大好きだ。菌糸を飛ばせて雨を降らせることで森の環境を向上させ子孫の繁栄を図っているとしたら。生命の環境への適応力は大変なものだ。地球の歴史を見れば分かる通り、生命は環境に適応するだけでなく環境を作り変える役割も果たしているのです。

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クジラの進化

クジラは変わった哺乳類だ。昔は、魚の仲間としていた人たちも多かったようだ。でも、古代ギリシャのアリストテレスはその著書『動物の発生』の中で、クジラ類は鰓呼吸ではなく空気呼吸(潮吹き)をすること、クジラ類は胎生であり授乳をすることなどから、人類や陸上哺乳類とともにクジラ類を胎生動物(現在の哺乳類に相当)という分類群にチャンと収めている。
哺乳類のご先祖は、古生代に一部の魚が陸上に進出して、両生類、爬虫類と進化して、陸上に適応して来たのに、クジラ類は4足歩行する哺乳類を先祖として、淡水の浅瀬から深海へと全く逆の進化をして、海の生態系の頂点に登りついたわけだ。しかし、クジラ類の起源と進化史は哺乳類進化史上の大きな謎とされてきて、最近ようやくその進化の道筋が分かりかけてきたらしい。
菌糸 6500万年前に、恐竜を始め、海の生物たちも大絶滅。インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突する少し前、その間にはテチス海という海があった。1980年代以降、その周辺の地域(パキスタン等)からさまざまな進化段階のクジラ類の化石が見つかり、初期のクジラ類の進化史が解明されたということらしい。その結果、クジラ類の祖先は陸生の原始的な”偶蹄類”であること、クジラ類に最も近縁な陸上哺乳類はカバであること、分岐分類学ではクジラ類は”偶蹄類”の中の一系統に過ぎないことが判明した。だから、現在はかつての偶蹄類とクジラ類のすべてを包括した概念として、鯨偶蹄類という分類名を用いる必要があるらしいが、クジラとラクダではあまりにも外見が異なるので同じ分類に属すると言われても面喰いますね。
クジラの祖先たちの復元図を示します。興味深いのは、最初期の有蹄動物の祖先は少なくとも一部が肉食ないし腐食性であったらしいこと。彼らから分化した"偶蹄類"や奇蹄目はその後の進化の過程の中で完全な植物食動物へと変貌を遂げ、本来の肉食動物的特徴を失う。対照的に、現在でもクジラ類は肉食動物(プランクトン食、魚食性のものも含む)であり、肉食動物としての特徴を多く残している。これは、クジラ類が海中で恒温動物として生きていくためには、栄養価の高い動物質の餌のほうが好都合であるためと考えられている。陸上でのクジラの先祖たちは、それほど目立って巨大な存在ではないのに、現在では史上最大の動物として巨大化の進化をとげ、海生動物として大成功を遂げた種と言えそうだ。その進化の速度は、著しく速い。当然環境への適応の結果であるので、何がこのような進化を生み出したの地球環境との関係を調べることが大切なことだ。
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海のプランクトン

陸上の植物は大きな木や、地表を一面に覆う草たちで、淡水に棲む単細胞の藻などは極めてわき役的な存在でしかない。実際、我々が発生するCO2の半分はこれらの大きな植物に吸収されているようだ。では残りの半分は?こちらの半分は海で吸収されているという。 キートケロス属 海の主役は?海は地表の3/4を占める。しかし、光合成は海の表面でしか行えない。まあ、これは陸地でも同じ。海は平均では、深さ3000m程度あるが、太陽光が届くのはせいぜい200m程度まで。光合成を行う、一次生産者と言われる植物プランクトンは、単細胞のまま進化し、海面を浮遊する道を選択したということだ。光の届かない深海では、背の高い昆布もワカメも育たない。海面を漂う小さなプランクトン(たいていは単細胞)だけが生存可能だ。海での生物の進化を解明していくためには、どうも単細胞の藻類たちを研究していくことが大事なようだ。ところが、藻類に関する我々に知識は異常に乏しい。
キートケロス属 藻類とは、
藻類とはで示したように。藻類とは何かについてもまだ解明が済んだわけではない。進化の系統図を見てもらえば分かるように、藻類の分類は陸上の植物や動物達とは全く異なった進化を歩んで来たらしい。  海と陸をつなぐ進化論(講談社Blue Back;著者=須藤斎)は面白い視点を提供してくれている。著者は、珪藻の研究をしているかた。そもそも珪藻とは何か。珪藻とはいわゆる単細胞の植物プランクトンで、海の光合成を担っている3大生物(珪藻、円柱藻、渦鞭毛藻)の一つ。海底の堆積物をボーリングしてサンプルを取り出し、顕微鏡でその種類や数、変遷を調べるのが彼の日課のようだ。彼の専門の珪藻も小さな生物だ。0.01~0.03mmぐらい。それでも珪酸(シリカ)でできた硬い殻を有していて、殻の形も実に複雑。珪藻は、上にあげた藻類の分類ではストラメノパイル (Stramenopiles)と言うところに位置している。と言っても良く分からない。この珪藻の一種で、キートケロス属と言う仲間がいる。この珪藻とクジラが共進化してきたというのが須藤氏のスケールの大きな仮説だ。 生物の進化は地球環境の変化に応じて変化する。特にプレートの移動による大陸の移動は地球環境に大きな影響を与える。新生代に入って地球は寒冷化する。南極北極が氷に覆われる。海流の循環が変化する。キートケロス属という珪藻は、休眠胞子と言うものを作って、深海底の底で数か月~数年眠っていることが可能な種だ。こんなことが可能な藻類は他にない。だからこの時代、時折生じる湧昇流にのって、表層に上がって来て爆発的に発生する。この時深層の養分も同時に巻き上げられる。するとこれを餌にするオキアミ等の動物プランクトンも大発生。結果としてクジラ類も急に進化した。珪藻(キートケロス属)の繁栄がクジラ類を繁栄させた可能性がある。
オキアミ 一方、陸に目を移すと大森林がなくなり草地が増える。草地で特に進化したのがイネ科の植物。イネ科の植物は体に珪酸(シリカ)を蓄える。もともとシリカは地中に沢山ある。この硬くて食べにくい草を食べることで進化したのが、牛と馬とか。これらの植物の遺体や動物の糞などが大量に海に流れ込む。珪藻は自分の殻をシリカから作らねばならない。結果として珪藻類が繁栄したのかも。人類だってイネ科の植物(小麦、稲、トウモロコシ)のおかげで発展したのだから、そのもとは大陸の移動だったという壮大な話。でも、この話かなり真実味があるでしょう。そういう仮説が無いと何故、クジラがかくも急激に形を変えて繁栄したのかが説明がつかないでしょう。風が吹けば桶屋が儲かるという例えに似てなくもないが、今後裏付けとなる証拠が揃って来れば定説となるかもしれませんね。

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人の細胞

オキアミ ヒトの成体は約37兆2000億個(37.2×1012)の細胞から出来ている。ということは細胞の数から1を引いた数の細胞分裂が行われてきたことになる。最初の受精した卵子は1つの細胞。それが2つ、4つ、8つと分割し、最終的にこの驚異的な数に到達する。 人生を60年として単純な割り算を試みてみよう。
  37.2×1012個÷60年÷365日/年÷24時間/日÷60分/時÷60秒/分=19,660個/秒
つまり、平均すると毎秒約2万個の細胞が休みなく分裂を続けていることになる。でも、この仮定はあり得ない。細胞は、分裂した直後は重さは半分になるはずであるが、すぐに栄養を取り入れて元との大きさに戻るだろう。細胞が幾何級数的な増えていくなら、60歳の人は59歳の人よりも2倍ぐらい大きくならないとつじつまが合わないから。
だから、細胞分裂は人が若い時、特に幼児の段階で、イッキに進み、人生の後半での細胞の数はほぼ一定なのでしょう。また、細胞は分裂する度に数が増えるとすると、それに見合った細胞の死も考えないといけないでしょう。
では、次の細胞が倍々ゲームのように一回の分裂ごとに2倍に増えると考えるとどうなるでしょうか。初めの受精卵の時は、1個(20=1)の細胞です。何回分裂すれば成体の細胞数になるのでしょうか。
  2n=37.2×1012を満たすnを求めるといいですね。こういう時は対数を使うといいんですね。関数電卓が必要ですが、対数には底が10の常用対数と、底e(オイラー数)の自然対数があるので間違えないで下さい。
   n log102= log10(37.2)+12、   ここで、log102=0.30103、 log1037.2=1.571
これからnを求めると、細胞分裂の回数は45回となる。受精してから、45回分裂すれば、成人の細胞の数になる。実際、245=35兆個。つまり、1日1回の速度で分裂を続ければたった45日程度で成体の大きさまで成長できる。そう考えると、そんなに難しいことでもあなさそうだ。そう考えると細胞の数が約40兆個存在することは脅威でもなんでもないことだ。
この大きな数に関しては、有名な笑い話がある。曽呂利新左エ門という豊臣秀吉のお傍衆が、何かの理由で秀吉に褒められて褒美をもらうことになった。「そちに褒美を取らせよう。何なりと申して見よ。」「はい、米粒を頂きたく。最初の日は一粒、次の日は二粒、三日目には四粒、…」、「ほう、米粒か。そちは、欲が無いのう。」、結果はもうお分かりの通り、45日目には約40兆粒の量。米粒は細胞と比べるとかなり大きいので、大変な量になるんでしょうね。
しかし、細胞はいくら分裂しても単なる細胞の集まり。どこかで役割分担をして組織を作らなければ何の意味もありません。発生の初期の細胞はES細胞などと言って、何にでも成れる能力がある代り、役割も決まっていない。どこかで心臓になったり、目になったりしないと役に立たない。更に、最初の生物は皆、単細胞生物であったことは分かっている。それも地球の歴史の中ではほとんどの時間生物は単細胞の生き物として進化してきている。単細胞の生き物はそれ自体で完結した生き物で、摂食、排泄、呼吸と言った、働きを独立して行うことが可能だ。それを何故、単細胞生物が集まって多細胞生物が生じたのか。多細胞の各々細胞は大抵単機能で他の細胞の助けが無いと生きていけないリスキーな存在だ。多細胞生物の細胞がどのような仕組みで分業をなすようになったのか、まだまだ生物の世界は謎が多い。

生物の世界

オルガネラ

核、ミトコンドリアや葉緑体のようにそれ自身でゲノムDNAを持つものや、ゴルジ体、小胞体、リゾソーム、ペルオキシゾーム、液胞のように膜構造を持つもの。これらは細胞小器官(organelle、オルガネラ)と総称されている。細胞内で別の生体膜で囲まれた構造体なので、いわば細胞内の独立王国みたいな感じか。
特にミトコンドリアは、独自の遺伝構造を持ち、生物進化の過程や種の拡散・分岐において注目されている。例えばヒトではミトコンドリア・イブのような共通祖先も想定された。ミトコンドリアと葉緑体に関しては、元来別の細胞が細胞内共生し一つの細胞になったとする細胞内共生説が有力視されている。
ミトコンドリアも葉緑体もそれぞれ2重膜で取り囲まれ独自の遺伝子を持っており、あたかも普通の細胞のように細胞の中で分裂を繰り返す。ただ、この分裂は完全に細胞核の指令に従っているらしい。ミトコンドリアや葉緑体の本来の遺伝子の多くは既に細胞本体の核の遺伝子に取りこまれてしまっており、元は別の微生物であったかもしれないが現在は細胞の外に出ては生きて行けなように進化した。
細胞小器官
上の図の説明→①核小体(仁)、②細胞核、③リボソーム、④小胞、⑤粗面小胞体、⑥ ゴルジ体、⑦微小管、⑧滑面小胞体、⑨ミトコンドリア、⑩液胞、⑪細胞質基質、⑫リソソーム、⑬中心体
これは動物の細胞の典型例らしい。植物細胞はこれに葉緑体と丈夫な細胞膜が加わる。細胞の仕組みは、多細胞生物の本体よりもかなり複雑な構造をしていることが分かる。多細胞化というものも、細胞間の役割を分担して少しでも個々の細胞の仕事を軽減する方向の進化だったのかもしれない。単純な生物→複雑で高等な生物、この考えも見直した方が良さそうだ。
*核小体(仁)① 細胞核の中で更に中心的な部分みたいだ。真核生物の細胞核の中に存在する、分子密度の高い領域で、rRNAの転写やリボソームの構築が行われる場所。一般に光学顕微鏡で観察できる。直径1〜3μm程度。仁、核仁とも言われる。生体膜によって明確に区分される構造ではない。成長期の細胞や活発に機能する細胞でよく発達する。細胞周期の進行する中で前期には消失して核分裂に備え、rDNAからの転写とともに再形成される。
*ゴルジ体⑥
ゴルジ体( Golgi body)は、真核生物の細胞にみられる細胞小器官の1つ。発見者のカミッロ・ゴルジ(Camillo Golgi)の名前をとってつけられた。へん平な袋状の膜構造が重なっており、細胞外へ分泌されるタンパク質の糖鎖修飾や、リボソームを構成するタンパク質のプロセシングに機能するとされる。大事な役割を果たしているようだがよく分からないね。
細胞小器官
バクテリアが真核細胞の先祖に取りこまれる際、そのバクテリアの膜と真核細胞の窪んだ際の膜の2つの膜でバクテリアは囲まれる。つまり2重膜構造になる。実際にミトコンドリアや葉緑体が2重膜構造となっているのはこのように取りこまれたことを示唆していると考えられている。

【プロテオバクテリア】
このバクテリアが注目されているのは、これがミトコンドリアの先祖ではないかと疑われているためだ。プロテオバクテリア門(Proteobacteria)は細菌の門の一つ。光栄養、化学栄養、独立栄養、従属栄養、好気呼吸、嫌気呼吸、発酵など様々な代謝様式をもつ菌種が含まれ、炭素・窒素固定に関わるものや、自然界の物質循環に関わる多くの自由生活性のものが含まれる。また、大腸菌、サルモネラ、ビブリオ、ヘリコバクターなど多種多様な病原体が含まれている。また、この分類群は、他の細菌の分類群と同様に基本的にはrRNA配列によって定義されている。その多様性から、ギリシャ神話で姿を変幻自在に変える神プロテウスにちなんで名付けられたという。
一方、葉緑体の起源はご存知、シアノバクテリア。どちらにしても原核生物から真核生物が生まれた道のりの解析はまだまだ大変だ。多細胞生物の進化と比べてこちらの進化の方が遥かに長い年月を要していることを忘れてはならない。

生物の世界

光合成とは?

色々なサイトの質問箱には、時々、「光合成とは何ですか?」という質問が寄せられるらしい。これは、答えるのが簡単そうで、実は、非常に難しい質問のようだ。なぜ難しいかというと、はっきり言ってまだよく分かってないからだ。

小中学校レベル
今の子どもが最初に光合成に出会うのは、もしかしたらゲームの世界でのことかも知れません。ポケモンの世界では、草タイプのポケモンは「こうごうせい」という技を使って体力を回復することが出来る。小学校の理科では、必ずしも光合成という言葉を習うとは限らないようですが、植物の葉が太陽の光を受けてデンプンなどの養分を作ることは習う。そして、その働きを光合成というのだということは中学の理科ではっきりと習います。ですから、小中学校のレベルでの答えであれば、光合成とは「植物が光によってデンプンなどを作る働き」であることになります。でも、どうやって? これが分かれば人工的に光合成を行うことも可能だ。将来人類が宇宙で暮らすなら不可欠な技術となる。

高校レベル
中学の教科書では、なぜなのかという理由は述べられていないのですが、水と二酸化炭素が光合成に必要で、酸素が発生することがさらっと触れられます。そして、高校になると、光合成により水が分解されて酸素が発生し、二酸化炭素が固定されてデンプンなどの有機物になる、というメカニズムが説明されます。つまり、高校のレベルになると、光合成とは「植物が光によって水を分解して酸素を発生し、二酸化炭素を有機物に固定する反応」ということになります。メカニズムの説明はあったかな。水に光を当てても分解はしない。電気分解というのはあるかも知れないが。

大学レベル
ところが、大学になると、光合成細菌というものが出てきます。光合成細菌は、小学校のレベルの光合成の定義である「光によってデンプンなどを作る働き」は持っているので、名前にも「光合成」がついているのですが、実は、水を分解して酸素を出す、という部分を行ないません。つまり、高校のレベルの光合成はしないのです。草や木が水H2Oを分解して酸素O2を発生する代わりに、光合成細菌は、例えば硫化水素H2Sを分解して硫黄Sを作ります。この場合、酸素や硫黄は光合成をする生物にとっては不要なものなので、細胞の外に捨てます。重要なのは残った水素H(物質を還元する力)なので、それを得ることができれば、残りが酸素であろうと硫黄であろうと構わないのです。つまり、大学のレベルでは、光合成とは「光によって環境中の物質から還元力を取り出し、その還元力によって二酸化炭素を有機物に固定する反応」ということになります。出来た有機物を燃やして(酸化して)エネルギーを得るのか呼吸だね。

大学院(?)レベル
大学院で何を教えるかは大学によってバラバラですから、大学院レベルという言い方がよいかどうかは別として、さらに専門的になると光合成とは何かもまた変わります。世の中には独立栄養化学合成細菌という生物がいます。この生物は、無機物の酸化還元のエネルギーを利用して生育することができ、有機物もなければ光もない条件で生きていけるという生物です。光を使わないわけですから、もちろん光合成はしないのですが、有機物を作る反応には光合成と同じように二酸化炭素を使います。さらに言えば、カルビン回路という光合成の二酸化炭素固定経路と全く同じ回路を二酸化炭素の固定に使っている種類もあるのです。つまり、先ほどの光合成の定義のうち「二酸化炭素を有機物に固定する反応」という部分は、別に光合成にだけあるものではなく、化学合成にも共通の反応なのです。
では、なぜ、有機物の固定反応が光合成の一部とされてきたのでしょうか。それは、光合成生物が光のエネルギーを利用して作り出す還元力とエネルギーが二酸化炭素の固定に使われるからです。ところが、生物の体の中で、光合成によって得た還元力とエネルギーを使うのは、二酸化炭素固定だけではありません。例えば、窒素同化、硫黄同化といった代謝系も、みな光合成の還元力とエネルギーを使っているのです。とすれば、二酸化炭素固定だけを光合成として、残りの代謝系を光合成からはずす理由はないことになります。つまり、光合成の最後の定義は、「光合成とは、光のエネルギーによって環境中から還元力を取り出し、その還元力とエネルギーを用いて行なう代謝系を全て含む反応」ということになります。このように定義した場合、事実上、光合成生物の細胞の中のほとんどの反応は、窒素代謝であれ、硫黄代謝であれ、すべて光合成と考えるべきであるということになります。光合成というのは、光合成生物にとって、いわば「生き方」なのだと思います。光合成生物が「光のエネルギーを使って生きる」という選択をした時に、細胞内のほとんどの反応は、光合成として位置づけられることになったのでしょう。光合成とは「植物の生き方」なのです。でも、こういう説明されてもますます分からなくなってしまいます。

光合成とは本当は大変難しい反応のようです。未だに大量の海水と太陽光で人工光合成を行うことは実現していません。でも、生物の生きる力は総て化学反応で説明できるはずなんです。
まず、水が分解されて水素(H2)と酸素(O2)が出来ます。水が分解するにはエネルギーがいりますが、太陽光を利用するのが光合成。初期の生命は他の化学エネルギーを使っていたようです。また、初期の生命は水の代りに硫化水素(H2S)も使っていたようです。酸素も硫黄も周期律表では同じ族で最外核電子は伴に6個で似たような化学的性質があります。
 エネルギーを貰って水素を還元して、出来た水素を酸化(硫黄と化合することも酸化)してエネルギーを得る。これが基本の反応なのか。

水素原子の還元力(エネルギー)は、二酸化炭素の固定に使われということらしいです。炭素は生命体を構成する主要な元素。二酸化炭素から有機物が合成されるようですが、光合成では副産物として酸素が発生するということで、これが原始の生命達にとっては大変有毒だったらしい。原始の生命は酸素を発生しない水素原子の還元力を利用していたらしいことも分かっており、今でも地球環境の片隅でしっかり生存しています。

光合成として、水と二酸化炭素からブドウ糖が造られると仮定すれば、
   6CO2+6H2O→C6H12O6+6O2   (1)
のように書くことが出来、水素に変わって炭素(C)が還元されたことに。ブドウ糖をエネルギーとして燃やせば(酸化すれば)、
   C6H12O6+6O2→6CO2+6H2O    (2)
(1)と(2)は反応の向きが反対なだけなので、(1)ではエネルギーを外界からもらい、(2)ではエネルギーを放出することに。(1)と(2)を見れば分かる通り、水素の酸化数は変化しておらず、(1)では炭素が還元(C:6×(+4)→6×0)されており、(2)では炭素が酸化されています。

生物の世界

ルイセンコ学説

ルイセンコ学説は、ソビエト連邦の時代に社会主義国家を支配した重要な生命観。本来は生物の進化に関する仮説だったのが、いつの間にか政治思想に転嫁し、社会主義国家の経済破綻に大きな寄与をしたようだ。
事の始まりである。ルイセンコ論争とは、環境因子が生物の形質の変化を引き起こし、その獲得形質が遺伝するという考え。生物が進化していくことは認めているのでダーウィンの進化論を否定している訳ではない。その点はキリスト教原理主義のような進化論を否定する論とは一線を画す。メンデルのよって証明された遺伝の法則。親の形質を子が受け継ぐ。でも、せっかく新しい性質を親が獲得しても子に伝わらなければ進化という現象は起こりえない。ダーウィンの先輩にラマルクという偉人がいた。彼の基本命題は、「獲得形質は遺伝する。」というもの。このことは、遺伝の研究をしていた学者たちに猛反撃を受ける。要は、あなたがジムで筋トレすれば、あなたの孫はマッチョマンになるか。今では、「獲得形質は遺伝しない。」と言うのが科学界の常識だろう。 しかし、あなたが猛勉強して音楽家として有名になれば、自分の子供にもピアノを習わせたり、いい先生に着けたり努力するので、その結果音楽一家といったものが形成されることもあるという事実もある。だから、全く否定される考えでもなさそうだ。
ルイセンコ スターリン 毛沢東
ルイセンコの学説はヨシフ・スターリンによって支持されたため、政治運動に転化してしまう。当時のソ連の生物学会ではルイセンコの学説に反対する生物学者は処刑され、強制収容所に送られるなど粛清された。更には他の学問に飛び火して、その結果、多くの学者が、反革命的ブルジョワ思想の持ち主をして公職から追放され、シベリアなどに流刑となったりしたと言われる。スターリン失脚後もフルシチョフもこの考えを支持していたので、ルイセンコ主義は1920年代末に始まり、1964年に公式に終焉した。ルイセンコはレーニン全ソ連農業科学アカデミーの長として活動した。ルイセンコ主義は1920年代末に始まり、1964年に公式に終焉したとされている。
ルイセンコ主義の疑似科学的発想は獲得形質の遺伝性を仮定していた。ルイセンコの理論はメンデル遺伝と「遺伝子」の概念を否定し、自然選択を否定することでダーウィン進化論から逸脱した。ルイセンコ主義は育種や農業において並外れた進歩を約束したが、それらが実際に起こることはなかった。後天的に獲得した性質が遺伝されるというルイセンコの学説は努力すれば必ず報われるという全体主義国家には都合のよい理論でもあるが、マルクス主義のマルクス自身がダーウィンの進化論(ラマルク的な)の影響を強く受けていた(彼の友人のエンゲルスが証明している)とも言われており、マルクス主義とは相性が良かったのかもしれない。
スターリンの思想は、中国に飛び火して、毛沢東による文化大革命を引き起こす。北朝鮮の「主体思想」とやらもその影響らしい。その結果、これらの思想に汚染された国では、著しい農業生産の低下と経済の停滞を引き起こすことになったという事実は忘れてはならない。

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白雪姫と7人の小人達

物語の舞台はかなり大昔のこと。一人の少女が森の中へ逃走する。理由は分からないが何か命の危険があったのでしょう。一人で逃げても当時の森は、野生動物もいて大変危険。でも、更に危険な存在は一人暮らししている人間がいる場合だ。彼らは魑魅魍魎(ちみもうりょう)、鬼、悪魔、魔女だのと呼ばれて人々から恐れられているが、実は彼ら自身が逃亡者、見知らぬ人と出会うとつい本能的に敵意をむき出しにして攻撃してしまう。
幸い、森には優しい先住者がいた。7人の少年の兄弟達だ。彼等も何らかの理由で森の中に逃げ込んで来たのだろう。しかし、兄弟が力を合わせることで森の中に生活の場を確保したようだ。 何故、彼らは小人といわれるのか。背丈は当時の人類の標準から言えば、やや低いかも知れない。それよりも、手足が細く、全体に華奢な体つき。生格も温和で人懐っこい、また非常に好奇心が強い。おしゃべりが大好き。いわば子供っぽい性格であった。 だから、7人の兄弟たちは少女を大歓迎で受け入れて、仲間の一人に加える。グループは8人になり、少女は母親役、姉、妹、友人とすべての役割を一人で引き受ける。以後、少女の名をエバと呼ぶことにしよう。
彼等の住む世界は8人だけが総てで、それ以外は異次元空間の野蛮人の住家だ。だから、彼らは世界を存続させるため、自分達の子孫を作ることを考えたであろう。ある日、エバは兄弟たちの一人の愛を受け入れる。また、同時に他の兄弟たちの愛も公平に受け入れる。子供が無事生まれる。エバは、また同じように次の子も身ごもる。世界の平和のためなら父親が誰かは不明の方がいいに決まっている。子育てだってみんなで協力してやればうまく行く。
こうして、彼らの子供たちが更に次の子供たちを造る。子供は世界の財産だ。誰が親かは関係なく公平に育てられる。例え拾ってきた外の世界の捨て子でも、珍しい客人として大事に育てられた。こうして一族は見る見る間に大家族に発展した。
最終的に7人の兄弟達と1人の少女の純粋な愛と勇気、集団への帰属意識、知的好奇心等が結局、周囲の類人猿たちを駆逐して新しい種族をの世界を造り出したのでしょう。最後に愛は勝つということですか。
エバの家族は、その後大発展して、生まれ故郷を後にして、地球のあらゆるところに住むようになりました。でも、彼らの「世界は一つ、人類は皆兄弟」という理念が失われ、互いに相争うようになって来たという問題も発生しています。
エバが生きていた時代、まだ衣服は発明されなかったようだ。エバは、その成熟した美しい体を、7人の兄弟たちに四六時中晒していたと思われます。寒い冬には当然肌を寄せ合い、他の兄弟達がしているように互いに性器にも触り合うぐらいのことはしていたでしょう。性交はエバがOKならいつでもOK。人は当時絶滅の危機にあったのですから、子孫を効率良く残すことは遺伝子にとっては最大の課題。セックスを繁殖以外の目的、娯楽やコミュニケーションの手段として使うのは、類人猿としては人だけかと思いきや、ボノボにもそのような行動がみられるらしい。しかし、これも間接的に繁殖を増やす手段にもなっているので遺伝子の技としては辻褄が会っているかも。

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キツネがペットになる日

キツネは哺乳綱(食肉目=ネコ目)イヌ科イヌ亜科と分類されており、犬とキツネはもともと系統的に近い動物だ。でも、今では犬の先祖は狼であったことは確実視されている。オオカミは集団で狩りをする。人と同じ社会生活の動物。一方のキツネは単独で行動する。でも、人懐こいキツネを代々掛け合わせる品種改良を続けていると、抱き上げても喜ぶような人懐こいキツネを造り出すことに成功したのだ。一方、凶暴な性格のキツネを代々掛け合わせて行けば、凶暴な性格のキツネを造ることも出来ることも分かった。この研究は以前NHKでも紹介されていたが、シベリアにある遺伝研究所の動物の家畜化の研究プロジェクトの一環として今でも研究が続けられている。
ルイセンコ fox1 fox2 fox3
もともと、この研究所はドミトリー・べリアエフという高名な遺伝学者によって創設されたもので、動物の家畜化に関する研究では世界のトップランナーなのだ。ソビエト連邦の時代は、非常に特殊な事態がいくつも絡まり、生物学の世界では正当な考えとされていた遺伝の考え方が、ブルジョワ反動的世界観と結びつけられ、多くの学者が追放され、処刑されたり強制収容所の入れられたりと大変な時代となったらしい。
この責任は、当時台頭してきたトロフィム・ルイセンコという新参の農学者にあったとされている。しかし、真の原因は当時のソ連の指導者ヨシア・スターリンが直面した深刻な食糧不足にあったようだ。急激な農業の集団化を強制的に実施したことが大飢饉の原因だった。スターリンには何としても食料不足を解消する手段が欲しかったようだ。鉄のカーテンの向こうからの援助も期待したくない。標準的なメンデル遺伝学では改良小麦など、到底ありそうもない突然変異を期待しないと不可能だ。遺伝学者たちが、首を縦に振らない中、この新参の農学者が、適切に環境要因を操作すれば遺伝的性質が望ましい形質を持つような方向付けが可能だと主張し、スターリンがぞっこん惚れて飛びついたの実態のようだ。後継者となるフルシチョフにも多少の影響を与えたようだ。
しかし、ルイセンコの考えが間違っていたのか、それを元に実施された方策が不適切だったのが、更にもっと別な経済的な要因があったかは分からないが、ソ連邦の農業生産は結局向上せずに、ソ連邦は崩壊してしまう。遺伝の考え方が、ブルジョワ反動的世界観と結びつけられ、多くの学者が追放されたのは、中国の毛沢東思想も同じルーツみたいだ。
ところで、ベリアエフ氏はシベリアに左遷される。しかし、彼は中央の監視が届かないことを逆手に取り、正統な遺伝研究の基地をシベリアに作り上げることに成功する。キツネの研究は、犬の家畜化の過程を解明しようという意図がある。
犬の先祖のオオカミは、人と同じく集団で狩りを行うライバル同士だった。人もオオカミも互いに近くで生活するようになると、狼の中には人間が近づいても平気な個体が出現するようになる。自分が敵意を示さなければ、相手も敵意を示さない。人を見たら唸る狼より餌貰って尻尾振っている個体の方が生き残る率が高い。でも、その結果家畜化された犬はずいぶん体の形も変わったね。この進化は人類が犬を家畜化してからだから、せいぜい1万年以内に起こった変化だ。化石になった骨だけ見たら同じ種とは思えない。と言うより、人が動物を家畜化するまでは、起こりえない変化だ。
動物の家畜化を研究することは、何故生物か進化したかを解明するための重要なヒントを与えてくれる。犬の家畜化は、遺伝子自体はそんなに変化しなくても、その表現形態は大きく変えられる。しかし、いくら人間が努力しても犬は猫には代えられない。遺伝子と言うのは非常に保守的なものだ。犬とキツネが分岐してもその共通先祖の遺伝子はキチンと引き継がれている。つまり、キツネも犬と同様に品種改良してペットに出来る。メンデルの遺伝学では、進化の原動力を突然変異だけで説明しようとしていた。突然変異自体は基本的に遺伝子にとっては迷惑なことだ。いわゆるコピーミス、こんなものが進化の原動力か。でも、いま研究されている遺伝アルゴリズム。適当にコピーミスが発生するのを期待している面もない訳ではない。ダーウィンの進化論。未だに答えの出ていない面白い話題なのです。

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ヨーロッパオオカミ

ヨーロッパオオカミはユーラシア大陸に広く分布している。NHKの地球ドラマチックで取りあげられた。日本オオカミは既に絶滅してしまったようだが、ヨーロッパの国々は野生のオオカミを何とか保存し、ヒトとの共生の道を探ろうという努力がなされているようだ。 タイトルは「孤高のオオカミ 3000キロの旅路」。

ヨーロッパオオカミ ルーマニアの森に暮らす雄のオオカミ・スラヴァ。ある日、群れから離れ、旅に出る決心をする。わざと群れの掟破り群れから追い出さる。孤高のオオカミの旅がすさまじい。ルーマニアの森からスペインまで。こんなことが可能なんですね。しかし、この撮影の旅も大変だったのでは。旅の途中のエピソードも面白い。

(1).旅の途中、狩りのパートナーとなるカラスと出会う。カラスは餌となりそうな獲物の位置を空から探知して教える。カラスは餌を一緒に食べることが出来る。カラスも知能の高い鳥、オオカミも相当知能が高い。互いのメッセージを交換し合えることが以外だ。
(2). 生涯の伴侶と出会い二人で旅を続ける。なかなか安住の地が見つからない。多くの森では既に先住者達が群れをつくっている。二人は群れに参加したいと希望するが、群れのリーダーに拒否される。
(3). そして新たな仲間となる若い雄のオオカミと出会い、仲間に入れる。若い雄オオカミは、メスを巡ってのライバルにはならないということ。
(4). 群れをつくるメリット。飢えたスラヴァが一人の時はヒグマの獲物を横取りしようとして失敗する。ヒグマの方が体も大きく当然相手にならない。でも二人で協力するとヒグマを撃退し見事餌を横取りする。前と後ろで挟み撃ちして常に後ろ側から攻撃を仕掛ける。前側のパートナーは威嚇するだけが役割。群れをつくれば1+1が2以上になる。
(5). せっかく仲間に入れた若い雄オオカミ旅の途中で車道を横断中車にはねられて死亡。毎年世界中で大型の野生生物が心無いドライバーによってひき殺されているという。でも、最後はスペインの地で子供をもうけ、話は終わる。
(6). オオカミはフランスでは絶滅したと思われていた。でも、オオカミはかなりの長距離の旅をするので、今ではフランスにも復活して来たとのこと。

野生生物の観察記としては、「シートンの動物記」が有名だ。かっては、西欧キリスト教社会では、ヒトと動物は異なるので感情とか心のようなものは存在するはずがないと信じられていたようだ。だからシートンの動物記はあまりにも動物を擬人化しているとの批判もあった。しかし、最近は人は動物の一部である、遺伝子の構造もほとんど変わらないことが分かって来た。共感する心、分ちあいの精神が大事だ。生物の多様性を確保するためには、ヒトと野生生物がどのようにうまく棲み分けをするかにかかっている。

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キャメル・ロード

シルクロード。古代からユーラシア大陸の東と西を結ぶ重要な通路だ。ただし「シルクロード」の概念は一義的ではなく、広義にはユーラシア大陸を通る東西の交通路の総称。具体的には北方の草原地帯のルートである草原の道(1)、中央の乾燥地帯のルートであるオアシスの道(2)、インド南端を通る海の道(3)の3つのルートをいう。しかし、狭義にはもっとも古くから利用されたオアシスの道を指してシルクロードといいこの方が一般化しているだろう。オアシスの道は中国からローマへは絹、アルタイ山脈から中国へは金が重要な交易品となっていたことから、このルートは「絹の道」あるいは「黄金の道」と呼ばれており、のちに草原の道や海の道が開けるまでは最も合理的な東西の交易路であった。その一部は2014年に初めて「シルクロード:長安-天山回廊の交易路網」としてユネスコの世界遺産に登録されているとのこと。
camel1   camel2
シルクロードを移動する交通手段は何だろうか。今なら四輪駆動の車だろうが、当時はそんなものは利用できない。馬車を使おうにも砂漠やぬかるみにはまって動けなくなるのが落ちだ。最初は徒歩が主流だったかも知れないが、そのうちに馬の背中に荷物を載せたとも考えられる。でも、実はもっと有効な手段がある。それがラクダの利用だ。
ラクダは人が家畜化した動物の中では最大のもの。例外は東南アジアでの象ぐらい。ラクダは野生の物から余り形が変わっていない。でも、ヒトコブラクダとフタコブラクダの区別はある。フタコブラクダの方が若干寒冷な気候に強いこと、どちらが優れているという訳でもなさそうだ。 なぜ、シルクロードを移動する交通手段として優れているか。まず、ラクダは馬と比べて体が一回り大きい。だから大量な荷物を運べる。生格は我慢強く従順。水や食料の乏しい乾燥地帯でも何日も我慢できる。だからシルクロードはラクダの隊商たちが往復する道だったということだ。ヒトコブラクダは西側に多く、フタコブラクダは東側に多いとされる。中央アジアに行けば、両方のラクダが仲良く草を食んでいる風景を見ることが出来る。
東の中国側からフタコブラクダに積まれた商品は、中央アジアのオアシス都市で、ヒトコブラクダの背中の商品と交換し、また東に帰っていき、西から来たヒトコブラクダの背中に積まれた商品は、同じように東から来た商品に詰め帰られてまた、西に帰っていく。
ヒトコブラクダとフタコブラクダをかけ合わせれば、その子供はどうなる。メンデルの法則が成り立つんでしょうか。ミツコブのラクダが出来る心配は無いようだ。ラクダの隊商達にとってはコブの数はどうでもいい問題なんでしょう。しかし、ラクダの最大の役割は輸送手段なので、車社会になって来て、その役割がドンドン小さくなった行っているようだ。
ラクダは、イスラム圏では戦争にも使われていたようだ。騎兵ならぬ駱駝兵なんて言うのがあって、西欧の十字軍騎兵達は散々苦しめられたらしい。ラクダは馬よりも体が一回り大きい。相手方の馬は恐れをなして逃げ出してしまうらしい。だから、アラビアのベドウィン族などにとっては、ラクダはいまでも大変貴重な財産らしい。
世界の物流が、陸路から海路に転換していったことで、シルクロードの価値は低下してしまった。オアシス都市が衰退し、駱駝が無用の存在になりつつある。

一帯一路(いったいいちろ、拼音: Yídài yílù、英語: The Belt and Road Initiative)は、習近平総書記が提唱した経済圏構想で、史上最大規模のインフラ投資計画と言われている。どうもこの道は、鉄道が主体のようだ。しかし、シルクロードの復活という意味では注目できそうだ。それで、現代版のシルクロードは何を運ぶというのか。情報化時代。東西の人間の交流という面が最も大きな側面でしょう。

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シアノバクテリア

藍藻 藍藻、シアノバクテリア (藍色細菌、cyanobacteria) とよばれることも多いが、地球上に初めて現れた酸素発生型光合成生物(およそ25〜30億年前)のようだ。これによって地球は太陽系でただ一つの大気に酸素を有する惑星になる。
おそらく藍藻の光合成によって、地球上に初めて酸素と有機物が安定的に供給されるようになったはずだ。これによって最初に大量の鉄鉱石が生成され、いま人類がそれを利用している。

ストロマトライト それに続いて大気中に大量に酸素が供給され多くの微生物が絶滅し、代わりに酸素呼吸を行う生物が増加する。また、酸素の大量増加でオゾン層が形成され、地上に届く紫外線の減少から陸上でも生物が住めるようになる。このように地球環境は激変し (大酸化事変とよばれる)、現在へとつながる生態系の基礎が築かれたといえる。

酸素発生型光合成というシステムは、生命の歴史の中で唯1回、藍藻の祖先において誕生した。この酸素発生型光合成能は、細胞内共生 (一次共生) を経て葉緑体の形で真核生物に取りこまれ、多様な真核藻類 や陸上植物 のもととなる。おかげで海や陸の動物達も進化できるようなった。
光合成色素として、緑色のクロロフィルの他に、青いフィコシアニンを多くもつため、青緑色 (藍色) をしていることが多い。細菌の中には、他にも光合成を行うグループが存在するが (光合成細菌と総称される)、酸素発生型光合成を行う細菌は藍藻のみ。

アオコ 藍藻(blue-green algae)とは、酸素発生を伴う光合成 (酸素発生型光合成) を行う細菌の一群、またはそれに属する生物のことをいう。系統的には細菌ドメイン (真正細菌) に属する原核生物であり、他の藻類よりも大腸菌や乳酸菌などに近縁である。
藍藻は単細胞、群体、または糸状体であり、原核生物としては結構複雑な形に見えるものもある。細胞は直径 1 µm 以下のこともあるが、原核生物としては大型のものが多く、直径 100 µm に達するものもいる。藍藻は原核生物であり、DNAは核膜に包まれず、また葉緑体やミトコンドリア、ゴルジ体などの細胞小器官をもたない。細胞内で生体膜に包まれた構造としては、光合成における光化学反応の場であるチラコイドのみが存在する。
藍藻は今でも海から淡水、陸上に広く生育し、藍藻がいない環境を探すのは難しい。量的にも多く、その生物量は10億トンに達するとの試算もある。またアオコや健康食品などの形で人間生活とも密接に関わっている。

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ミトコンドリア

ミトコンドリアは不思議な生き物??だ。細胞の中にある別の細胞のように見えるからだ。二重膜に包まれ、自分自身のDNAを持っている。自由生活する酸素を利用できる細菌が別の最近に取りこまれ共生生活を始めたのが起源とする説が出てきて、今ではそれが概ね認められた説のようだ。

ミトコンドリア ミトコンドリア
総ての動物、植物等の真核生物の細胞内のミトコンドリアの起源は単一であることが分かって来た。ミトコンドリアは真核生物の細胞から出たら活きて行けない点では、それ自身単独の生物とは言えないかもしれないが、元をたどれば好気性細菌でリケッチアに近いαプロテオバクテリアというものが候補に挙がっているらしい。 ミトコンドリアはソーセージのような形をした細胞内器官で、酸素と糖などから真核生物のためのエネルギーをせっせと作っている。更に、鉄硫黄タンパク質に必要な、鉄硫黄クラスター(複合体)を造ることも重要な役目らしい。

ミトコンドリアのDNAは、動物の遺伝子にも、真核生物の遺伝子にも似ていない。一番似ているのは細菌の遺伝子らしい。ということでミトコンドリアがどのような細菌から進化したのかが問題になる。最近の研究では、SAR11というありふれた海洋細菌のクレード(分類群)が候補に挙がっている。海洋性細菌の25%がこのクレードに含まれる。これらの細菌は海水に溶けた炭素や酸素を利用している。

** SAR11
リケッチア目は、αプロテオバクテリアに属する細菌からなる分類群であり、その多くは他の細胞の内部でのみ生存可能である。 ヒトに各種疾病を引き起こすリケッチアのような病原体が含まれているが、細胞内共生説においてミトコンドリアの起源となった細菌もここに由来すると考えられている。ウイルスがリケッチアやそれに類似の生物から生じたと考える者もいる。培養が困難であることもあり、プロテオバクテリアの中でも最も謎につつまれたグループといえる。 リケッチア目には、主として海洋から見出されるSAR11という難培養系統を含んでいる。ここには自由生活性で浮遊性の種が多数存在しており、例えば世界中の海洋に遍在する細菌が所属している。この系統はリケッチア目の中でも最も祖先的な位置から派生しており、ミトコンドリアの起源は自由生活性のSAR11とその他の細胞内寄生性のリケッチアとの間に由来すると考えられている。

**クレード:系統群(Clade)とは、共通の祖先から進化した生物群のこと。側系統群、単系統群、多系統群などがある。

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ネコ科動物の進化

ネコ科系統

ミアキスは、約6,500万前~4,800万年前(暁新世から始新世中期)に生息した小型捕食者です。現代のイヌやネコ、アシカなどを含む食肉目の祖先、あるいは祖先に近縁な生物と考えられています。
フォッサ  体長は約30cmで、胴は長くほっそりしており、長い尾、短い脚などから、イタチあるいは、現在マダガスカルのみに生息するフォッサなどに似た姿であったと推定されています。後肢は前肢より長く、骨盤はイヌに近かったようです。四肢の先端には、引っ込める事の出来る鉤爪を備えた、五本の趾がありました。頭骨については、身体に対する脳頭蓋の比率からいうと、同時期の肉歯類などよりも大きめです。
**フォッサ
フォッサは、哺乳綱食肉目マダガスカルマングース科フォッサ属に分類される食肉類。本種のみでフォッサ属を構成する。マダガスカル島の唯一の食肉類で貴重な動物だ。

ヒアエノドン 当時の地上はヒアエノドンなど肉歯類が捕食者の地位を占めていたため、新参の彼らは樹上にとどまっていた。その生態は現生のテンのようであったとされ、おそらくは鳥類や爬虫類、同じ樹上生活者である小動物などを捕食していたと思われます。でも、肉歯類は間もなく絶滅し、食肉目の動物達にニッチが埋められる。

**肉歯目:
肉歯目は、約5500万年前から約800万年前(新生代古第三紀暁新世後期から新第三紀中新世後期)にかけて生息していた、原始的な肉食性哺乳類の一分類群である。
当時のアフリカおよびローラシア、すなわち、現在のアフリカおよびユーラシアと北アメリカにあたる地域(これらは当時、一つの大陸であった)に広く分布していた。
かつて肉歯目は食肉目の祖先と考えられていた。しかし現在では、さらに古い祖先を共有する関係だと見なされている。

プロアイルルス プロアイルルス(Ploailurus)はおよそ2,500万年前(漸新世後期~中新世)に、ヨーロッパからアジアにかけて生息していた肉食獣です。プロアイルルスは小柄で、体重はおよそ9キロほどだったと考えられていますので、今の猫よりもほんの少しだけ大きいくらいです。長い尾、大きな目、鋭利なかぎ爪と歯をもち、今で言うジャコウネコに近かったと考えられています。かぎ爪はある程度出し入れが可能で、ジャコウネコ同様、樹上で生活することもあったようです。いまだ決定的な証拠は無いものの、後述するプセウダエルルスの祖先であると考えられています。

プロアイルルス プセウダエルルス(Pseudaelurus)は、プセウダエルルスおよそ800万~2,000万年前(中新世)にヨーロッパ、アジア、北アメリカに生息していた先史時代の動物です。現代のネコ科動物の祖先と目されており、また絶滅したマカイロドゥス亜科(サーベルタイガーなど)にも枝分かれしていました。細身の体やジャコウネコのような足の形から、動きが敏捷で木登りもうまかったと推測されています。<> Pseudaelurus is a prehistoric cat that lived in Europe, Asia and North America in the Miocene between approximately twenty and eight million years ago. It is an ancestor of today's felines and pantherines as well as the extinct machairodonts (saber-tooths), and is a successor to Proailurus. It originated from Eurasia and was the first cat to reach North America, when it entered the continent at about 18.5 Ma ending a 'cat-gap' of 7 million years. The slender proportions of the animal, together with its short, viverrid-like legs, suggest that it may have been an agile climber of trees.
Pseudaelurusは、約2,000〜800万年前に中新世のヨーロッパ、アジア、北米に住んでいた先史時代の猫です。 それは、今日のネコ科動物とパンテリン類、および絶滅したマカイロドン(セイバーの歯)の祖先であり、プロアイウルスの後継者です。 ユーラシア大陸を起源とし、北米に到達した最初の猫であり、約1850万年前に大陸に入り、700万年の「キャットギャップ」を終えました。 動物の細長い部分は、その短くて活気に満ちた足と一緒に、木々の機敏な登山者であったかもしれないことを示唆しています。

サーベルタイガー マカイロドゥス(マカイロドゥス亜科)は、肉食哺乳動物であるネコ科の亜科として位置づけられます。中新世から更新世にかけて、アジア、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、そしてヨーロッパに限定的に生息していました。サーベルタイガー(saber-toothed cat)の名称で有名な、絶滅した「スミロドン」や、スミロドンと似た動物を含み、長く伸びた犬歯を特徴としています。
 サーベル状の牙(犬歯)の見た目は頑丈そうですが、実は平べったくて意外にもろいものでした。このことから、獲物の「うなじ」にグサリと牙を突き刺すのではなく、首の前面にある気管や頚動脈を切断するために使われていたのだろうと推測されています。

ネコ科動物の系統樹
ネコ科系統  2007年、アメリカの遺伝学者スティーヴン・J・オブライエン氏らが行った遺伝子調査によると、現在生息しているすべてのネコ科動物の祖先は、今からおよそ2000万年前、ヨーロッパあたりに生息していたプセウダエルルスである公算が高いとのこと。中でも1100万年前頃、アジアに生息していたヒョウのような捕食動物の一種が、ネコ科動物の共通祖先であろうとしています。
 この「アダムとイブ」からおよそ1000万年かけて枝分かれしたネコ科動物は、私たちがよく目にする猫(イエネコ)を含めて、現在37種とするのが一般的です。オブライエン氏らによると、遺伝的に見てこれら37種を8つの系統に分割するのが妥当で、この見解は形態学的、生物学的、生理学的に見ても矛盾しないとのこと。以下では、同氏らが推定していいるネコ科動物の系統樹、およびネコ科に属する8系統37種をご紹介します。

ヒョウ系
 ヒョウ系(Panthera)は大型肉食動物で、大きいものでは体重が350kgに達することもあります。分類学上は「Panthera属」と「Neofelis属」を含みます。ウンピョウに属する2種以外では吠えることができるのが特徴です。祖先種から分岐したのは、全てのネコ科動物の中で最も早い1080万年前頃と推定されています。
ライオン/ヒョウ/ジャガー/トラ/ユキヒョウ/ウンピョウ

ボルネオヤマネコ系
 ボルネオヤマネコ系(Bay Cat)は、主に東南アジアの熱帯地帯に生息する小型の動物で、体重は2~16kg程度です。DNA解析をする前まで分類が困難だったマーブルキャットもここに含まれます。祖先種から分岐したのは今から940万年前頃とかなり初期ですが、わずか100万年の差しかないヒョウ系とは20倍近くの体格差があります。
ボルネオヤマネコ/テミンクネコ/マーブルキャット

カラカル系
 カラカル系(Caracal)はアフリカにだけ生息している動物で、体重は5~25kg程度です。長くほっそりした四肢が特徴で、跳躍力は2~3mに達します。祖先種から分岐したのは、今から850万年前頃と推定されています。
カラカル/アフリカゴールデンキャット/サーバル

オセロット系
 オセロット系(Ocelot)は中央アメリカから南アメリカにかけて広く生息している動物で、体重は1.5~16kg程度です。祖先種から分岐したのは、今から800万年前頃と推定されています。
オセロット/ジェフロイネコ/コドコド/ティグリナ/アンデスネコ/コロコロ/マーゲイ

リンクス系
 リンクス系(Lynx)は北アメリカやユーラシアなど温暖な気候に暮らす動物で、体重は6~20kg程度です。分類学上は「Lynx属」を含みます。短いしっぽとピンと立った耳を特徴としており、かつては毛皮の供給源となったという悲しい歴史があります。祖先種から分岐したのは、今から720万年前頃と推定されています。
スペインオオヤマネコ/ヨーロッパオオヤマネコ/カナダオオヤマネコ/ボブキャット

ピューマ系
 ピューマ系(Puma)は北アメリカで生まれた後、各大陸へ散らばっていった動物で、体重は3~65kgと幅があります。祖先種から分岐したのは、今から670万年前頃と推定されています。
ピューマ/ジャガランディ/チーター

ベンガルヤマネコ系
 ベンガルヤマネコ系(Leopard Cat)はアジアの広い範囲にわたって生息している動物で、体重は2~12kg程度です。不思議な風貌で人気のマヌルネコだけは、590万年前というかなり早い段階で他の種から枝分かれしたようです。祖先種から分岐したのは、今から620万年前頃と推定されています。
ベンガルヤマネコ/スナドリネコ/マレーヤマネコ/サビイロネコ/マヌルネコ

ネコ系
 ネコ系(Domestic Cat)は、現在世界中で最も繁栄しているイエネコを含む系統で、体重は1~10kgとネコ科動物の中では最も小柄な部類に属します。祖先種から分岐したのは、今から340万年前頃と最も直近です。
イエネコ/ヤマネコ/スナネコ/クロアシネコ/ジャングルキャット

生物の世界

ハプログループ

ハプログループ(haplogroup)とは、単一の一塩基多型 (SNP) 変異をもつ共通祖先をもつような、よく似たハプロタイプの集団のことで、単倍群とも訳されている。
最近日本人のルーツとか、他の人類集団がどのように世界に拡散していったかをしらべるのに大変有効な手段として使われているらしい。
通常は、ミトコンドリア(女系)やY染色体(男系)を用いる。ミトコンドリアのハプログループを調べる話は「ミトコンドリア・イブ」という言葉とともに有名になった。この研究が発展して、人類がアフリカから各地へ移動していく経路も推定できるようになった。Y染色体ハプログループを人類全体について調べることで、世界各地の民族の由来を調べることもできるらしい。
生命の重要な遺伝情報は、細胞核の普通の染色体に乗っかっている。だから、遺伝子の突然変異は個体の生存に係わるため、生存に不利な遺伝子は淘汰されて消えてなくなる。
ところがミトコンドリアは核とは別の独自の遺伝子を持っており、生命維持にさほど影響を与えないため子孫に良く伝わる。従って、逆に遡って先祖をたどることが出来るという理屈のようだ。また、Y染色体も性を決めるだけの短い染色体(将来失われるかも知れないらしい)なので、あまり重要な突然変異(生存に影響する)が起こりにくく、確率的の生じる変異を上手くたどって先祖まで行きつくことが出来るらしい。Y染色体上の遺伝子数は78、X染色体上の遺伝子数は1,098とする報告もあり、解析も容易なのかな。
父系で遺伝するY染色体のハプログループ(=ハプロタイプの集団)をY染色体ハプログループという。Y染色体ハプログループを人類全体について調べることで、世界各地の民族の由来を調べることができる。
ミトコンドリアDNAハプログループとは、母系で遺伝するミトコンドリアDNA(mtDNA)のハプログループのこと。これも同様に人類全体について調べることで、世界各地の民族の由来を調べることができるらしい。

生物の世界

脊椎動物

脊椎動物とは何でしょう。四足動物(両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)の他、魚類も含まれます。魚類には硬骨魚類といわれる普通の魚(サバやマグロ、メダカ)に加えて、軟骨魚類といわれるサメやエイに仲間も脊椎動物と呼ばれるようです。脊椎動物の先祖に当たるのが脊索動物、ホヤとかピカイア等。Wikipediaでは以下のような説明が。

Vertebrates comprise all species of animals within the subphylum Vertebrata (chordates with backbones). Vertebrates represent the overwhelming majority of the phylum Chordata, with currently about 69,963 species described. Vertebrates include such groups as the following:
jawless fish, jawed vertebrates, which include the cartilaginous fishes (sharks, rays, and ratfish), tetrapods, which include amphibians, reptiles, birds and mammals, bony fishes.

** vertebrate=脊椎動物、subphylum=亜門、phylum =門、chordate=脊索動物 tetrapod=四足動物

脊椎動物は、脊索に加えて背骨を持ったもの。脊索動物の中の亜門と位置付けられているようだ。脊椎動物は昔からよく研究されて来たので、ほとんどの動物が含まれているみたいですが、実はほとんどの動物は脊椎動物でもないし、脊索動物でもないのです。例えば、昆虫は?。タコやイカは?。エビカニミミズは?。

Extant vertebrates range in size from the frog species Paedophryne amauensis, at as little as 7.7 mm (0.30 in), to the blue whale, at up to 33 m (108 ft). Vertebrates make up less than five percent of all described animal species; the rest are invertebrates, which lack vertebral columns.

extant=現存の、invertebrate=無脊椎動物
現存の脊椎動物は8mm程度のカエルの仲間から30mのクジラまでいます。しかし、分かっている種としては全動物のせいぜい5%以下で、他は総て無脊椎動物と位置付けられるのです。

hagfish The vertebrates traditionally include the hagfish, which do not have proper vertebrae due to their loss in evolution, though their closest living relatives, the lampreys, do. Hagfish do, however, possess a cranium. For this reason, the vertebrate subphylum is sometimes referred to as "Craniata" when discussing morphology. Molecular analysis since 1992 has suggested that hagfish are most closely related to lampreys, and so also are vertebrates in a monophyletic sense. Others consider them a sister group of vertebrates in the common taxon of craniata.

**hagfish=フグ??、lamprey=ヤツメウナギ、cranium=頭蓋骨skull、形態学=morphology、 in a monophyletic sense=単系統の意味で、

hagfishは、どうもフグとは異なります。ヤツメウナギと良く似た生き物。脊椎動物という代わり頭蓋骨を持った生き物という考えもあるようです。異論もあるようですが。

Etymology語源
The word vertebrate derives from the Latin word vertebratus (Pliny), meaning joint of the spine. Vertebrate is derived from the word vertebra, which refers to any of the bones or segments of the spinal column.

vertebrateの語源は、ラテン語からでセグメントが繋がったような背骨を表すらしい。

Anatomy and morphology解剖学と形態学
All vertebrates are built along the basic chordate body plan: a stiff rod running through the length of the animal (vertebral column and/or notochord), with a hollow tube of nervous tissue (the spinal cord) above it and the gastrointestinal tract below.

**gastrointestinal tract=消化管
脊椎は脊索に沿って形成されるようだ。その周りに神経管、消化管が形づくられる。

In all vertebrates, the mouth is found at, or right below, the anterior end of the animal, while the anus opens to the exterior before the end of the body. The remaining part of the body continuing after the anus forms a tail with vertebrae and spinal cord, but no gut.
**anterior end of=前端front end、exterior=外部、gut=腸、Vertebral column脊柱

体の前に口が、体の後ろの肛門が出来る。



coelacanth The defining characteristic of a vertebrate is the vertebral column, in which the notochord (a stiff rod of uniform composition) found in all chordates has been replaced by a segmented series of stiffer elements (vertebrae) separated by mobile joints (intervertebral discs, derived embryonically and evolutionarily from the notochord).
** notochord=脊索、
脊索が成長に伴って、脊椎に置き換えられていくようだ。

However, a few vertebrates have secondarily lost this anatomy, retaining the notochord into adulthood, such as the sturgeon and coelacanth. Jawed vertebrates are typified by paired appendages (fins or legs, which may be secondarily lost), but this trait is not required in order for an animal to be a vertebrate.
** sturgeon=チョウザメ、coelacanth=シーラカンス
coelacanth
最近は遺伝子に基づく、現生生物の解析からずいぶん色々分かって来たみたいだ。

生物の世界

前口動物と後口動物

基本的にすべてに動物は、前口動物と後口動物に二分される。
前口動物(Protostome)は、初期胚に形成された原口がそのまま口となって発生する動物。原口動物・先口動物・旧口動物ともいう。
一方、後口動物(Deuterostomia)とは、原口が口にならず、肛門となり(あるいは、原口の付近に肛門が形成され)、口は別に形成される動物。新口動物(しんこうどうぶつ)ともいう。 前口動物には、扁形動物・輪形動物・腹毛動物・環形動物・軟体動物・節足動物など、多くの動物門が含まれる。
後口動物には、棘皮動物・半索動物・脊索動物を含まれる。
刺胞動物などの2胚葉性動物はどちらにも含まれない。真体腔性の動物についてのみ言われることもある。
左右相称動物の進化の初期に、前口動物と後口動物が分岐したと考えられている。陸上動物は、羊膜類になってから本格化。両生類は子供時代は水の中(オタマジャクシ等)で育つ。
初期胚に形成された原口というものが、入り口になるか出口になるかで、その後の分岐が大きく分かれることになる。

**扁形動物とは、扁形動物門 Platyhelminthes に属する動物の総称。プラナリア、ヒラムシ、コウガイビル、サナダムシなどが扁形動物門に属する。
「扁形」と呼ばれるようにこの門の動物は平らな形をしている。循環器官や特別な呼吸器官を持ってはいない。血管やえらがなく、体に栄養や酸素を運ぶには拡散に頼っている。

**輪形動物は、いわゆるワムシ類と総称される動物の分類群である。

**腹毛動物とは、淡水および海産の微小な多細胞動物。

**環形動物(とは、環形動物門に属する動物の総称である。多くが原則として体節制をもち、体は環状の柔らかい体節に分かれている蠕虫状の動物である。環帯類(ミミズとヒルなど)、多毛類(ゴカイなど)を含むほか、体節構造を二次的に失い、かつては独立した門だと思われていたシボグリヌム科(有髭動物)、ユムシ類(ユムシ動物)、ホシムシ類(星口動物)を含む事が分子系統解析から分かり、多毛類が非単系統群である事もわかっている。

**棘皮動物とは、棘皮動物門に属する動物の総称である。ウニ、ヒトデ、クモヒトデ、ナマコ、ウミユリなどが棘皮動物に属する。

**半索動物は、後生動物の1グループである。ヒトなどの脊索動物や棘皮動物とともに新口動物に属する。おそらく棘皮動物に近縁だが、新口動物の基底的な側系統とする説もある。腸鰓類(ギボシムシ類)と翼鰓類(フサカツギ類)の2つの主要な現生グループを含む。ギボシムシ類は柔軟性に富む肉質の体を持ち、浅海の砂泥中に生息している。フサカツギ類は深海底などで群体を形成し、固着性の生活をしている。また、筆石とよばれる化石は、フデイシ類という絶滅した第3のグループに分類される。

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多細胞生物

多細胞生物(multicellular organism)とは、複数の細胞で体が構成されている生物のこと。一つの細胞のみで体が構成されている生物は単細胞生物。動物界や植物界に所属するものは、みな多細胞生物。菌界のものには多細胞生物と若干の単細胞生物が含まれる。肉眼で確認できる大部分の生物は多細胞生物。

単細胞生物は一細胞が一個体であり、細胞分裂がそのまま個体の増加につながるのに対し、多細胞生物の有性生殖では生殖細胞のみが次世代に引き継がれる。個体の増殖速度は単細胞生物の方が早く、短時間での繁殖には有利であるが、多細胞生物は細胞を専門化させ複雑な機能を獲得することにより生存を有利にする戦略をとってきた。

生物は進化の過程において複数回にわたって多細胞体制を獲得してきたようだ。動物、菌類、植物はそれぞれ独立に多細胞化したと考えられている。比較的最近になって多細胞化した生物としては群体ボルボックスが知られている。化石の記録によると最初の多細胞生物は約10億年前に誕生したとされており、生物の誕生が35億年前であるから、多細胞化には25億年近くも必要としたことになる。多細胞化においては細胞同士の接着や、周りの細胞との協調が必要とされることから細胞間での情報伝達(シグナル伝達)が発達する必要があり、単細胞真核生物にこれらの機能が備わるまでに時間がかかったと考えられている。
多細胞生物というのは、細胞がたくさん集まっているだけでなく、細胞間に役割分担ができ、全体として一つの生物となっていることが必要だ。

よく発達した多細胞生物は様々な種類の細胞からなっているが、有性生殖においては、受精卵と呼ばれる一つの細胞に始まる。受精卵から成熟した個体になる過程を個体発生と呼び、元の細胞から異なる細胞が生じることを分化と呼ぶ。ただし種々に分化した細胞においても基本的にゲノムは同一であり、すべての細胞は同一の遺伝情報をもっている。これは遺伝子発現やクロマチン状態の違いに依存しているとされる。

** クロマチン(chromatin):
真核細胞内に存在するDNAとタンパク質の複合体のことを表す。クロマチンとは、元来『細胞核内の染色されやすい物質』を指す語として、ヴァルター・フレミングによって初めて導入された語。日本語では染色質と訳される。クロマチンと共によく使われる語に染色体(chromosome)があるが、染色体とは元来、有糸分裂期の細胞においてクロマチンが構造変換して作り出される棒状の構造体を指す。このように原義をたどると、chromatinが不可算名詞であるのに対してchromosomeが可算名詞であることは理解しやすい。
その後の研究の発展と共にクロマチンという語のもつ意味合いは変わってくる。クロマチンに含まれるDNAが遺伝情報の担体であると認識されてからは、その貯蔵形態としての役割が強調されてきたが、最近では、遺伝子の発現・複製・分離・修復等、DNAが関わるあらゆる機能の制御に積極的な役割を果たしていると考えられるようになってきた。
ヒト二倍体細胞に納められているDNAの総延長はおよそ2 mに達する。これを直径約10 μmの核に収納するための構造がクロマチンである。クロマチンを構築するうえで最も基本となる構造が、ヌクレオソーム(nucleosome)である。

**ヌクレオソーム
ヌクレオソーム(nucleosome)は、すべての真核生物に共通するクロマチンの基本的構成単位。 ヌクレオソームは、4種のコアヒストン(H2A、H2B、H3、H4)から構成されるヒストン8量体に146 bpの2重鎖DNAが巻き付いた構造をとる。2つのヌクレオソームをつなぐ部分のDNAはリンカーDNAと呼ばれる。この構造を電子顕微鏡で観察すると、DNA鎖上にビーズが並んでいるように見える。 アダ・オリンズ、ドナルド・オリンズ夫妻、ロジャー・コーンバーグらによって1974年に提唱されたヌクレオソーム説は、その後の遺伝子発現研究の基盤をつくった。古細菌もヒストン様のタンパク質をもち、ヌクレオソーム様の構造が観察されているが、その解析は進んでいない。

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襟鞭毛虫

襟鞭毛虫 襟鞭毛虫(えりべんもうちゅう、Choanoflagellate)は、小さな単鞭毛の鞭毛虫で、単細胞生物の中では我々動物(後生動物)に最も近いとされる。動物門と並び、コアノゾアを構成するクレードのひとつである。 およそ50属150種ほどが記載されているという。
何故、この生物をここで注目したかというと、これが多細胞生物の共通祖先である可能性があるかららしい。襟鞭毛虫のような生物が集合して群体を造り、そのうちに個々の細胞が役割分担をするようになり、多細胞生物が生まれたというのだ。

襟鞭毛虫は小さな鞭毛虫で、体長が10μmを超える事は稀。1本の鞭毛を持っており、その基部を微絨毛が環状に取り囲んで襟 (collar) と呼ばれる構造を形成。鞭毛は水流を起こしてバクテリアなどの餌粒子を集め、これを襟が捕捉する事で摂食を行う。固着性の種は鞭毛の反対側に柄を持ち、基物に付着したまま摂食を行い生活する。
餌粒子の捕食だけでなく、自由遊泳性の種では鞭毛は細胞の遊泳にも用いられる。この時鞭毛はヒトの精子と同様に細胞の後方に向けられる。これは、他の大部分の鞭毛虫が鞭毛を進行方向に伸ばすのとは対照的であり、襟鞭毛虫が後生動物に近縁である根拠の一つになっている。襟鞭毛虫も古くは二本鞭毛であったと考えられているが、二本目の鞭毛は現在では退化しており、基底小体の痕跡が残るのみである。非常に奇妙奇天烈な生き物だね。動物門でないので動物ではないみたいだ。もちろん植物でもない。

多くの襟鞭毛虫はロリカ (lorica)といわれる籠状の殻を形成する。ロリカは淡水種では有機質のみ、海産種では有機質に加えてケイ酸質。ロリカは複雑な籠のような形態をしており、針状の珪酸パーツが縦横に組み合わされて形成されている。パーツの接合点はセメント質により接着されている。ロリカの構造は襟鞭毛虫の分類上重要な形質であるが、光学顕微鏡で形態を識別するのは難しく、同定に際しては電子顕微鏡が用いられる。
葉緑体を持つ襟鞭毛虫は発見されておらず、その痕跡器官や葉緑体DNA なども見つかっていない。だから、総ての襟鞭毛虫は、餌粒子を捕食して生活する従属栄養性。
多細胞生物である海綿動物に存在する襟細胞(choanocytes)は、襟鞭毛虫に似た構造の細胞。襟細胞は扁形動物など他の動物にもしばしば見られる事から、群体性の襟鞭毛虫が多細胞動物の起源であると考える説もある。襟細胞の他にも、珪酸の代謝経路や収縮胞の使われ方などにも後生動物との共通点が見出されている。
Proterospongia 属や Sphaeroeca volvox の巨大なコロニー(300-500μmに達する)では、コロニー内の細胞形態に分化が見られる。表層付近の細胞が鞭毛や明瞭な襟を持つのに対し、群体の中央付近の細胞は球形で襟や鞭毛、ロリカが発達しない。このような細胞形態の変化が、多細胞生物における細胞の分業体制の起源となったとする意見もある。
淡水域、海水域共に広く分布するが、細胞のサイズが小さい、色素体を持っていない、ブルームを形成しない、などの理由から人目に触れる機会は少ない。また、毒素を産生する種や、寄生性・病原性の種などは知られていない。また、襟鞭毛虫は全て従属栄養性である為、海洋においては有光層以深にも分布する。特に脆弱なロリカを持つ種は、物理的撹乱の激しい表層付近よりも、環境の安定した深海を好む傾向にある。
**後生動物
後生動物 (Metazoa)は、生物の分類群の1つで、真核生物のオピストコンタに属する。海綿動物、中生動物、節足動物、脊索動物などを含む。後生動物全体の単系統性はある程度信じられているらしい。どうも後生動物とは多細胞の動物達のようだ。植物はまた別なんでしょう。現在の後生動物は、4つのグループ(タクサ)に分類されるとの考えがある。
① 海綿動物 (Poriferia)/②センモウヒラムシ (Trichoplax) = 平板動物 (Placozoa)/③ 中生動物 (Mesozoa)/④動物 (Animalia) = 真正後生動物 (Eumetazoa)

海綿 平板動物 中生動物
海綿動物は、襟鞭毛虫が群体を作って幾分組織化したような生物。外側は固い骨格で覆われている。海水が外側の骨格の小穴から流入し、上から煙突のように吐き出す。水の流れを鞭毛を使っておこしている。
センモウヒラムシ(平板動物)は極めて単純な形。体には一応表と裏があるらしい。
中生動物も後生動物への進化の過程のような単純なつくり。
真正後生動物というのは我々が動物と認識している種のほとんど総てだ。平板動物も中生動物も単細胞生物から多細胞生物への進化の共通の先祖の兄弟達か。なんだかエディアカラの動物達とも似ている。

**タクソン(taxon、複:タクサ=taxa)とは、生物の分類において、ある分類階級に位置づけられる生物の集合のこと。訳語としては分類群(ぶんるいぐん)という用語が一般的である。taxonomic unit、taxonomical groupと同義。英語では単数と複数で形が異なることがある。カタカナで書くと紛らわしい。

***中生動物
中生動物(Mesozoa)とは、後生動物としての体組織や器官を完全には備えていない動物である。かつては、中生動物門(Phylum Mesozoa)として1つの門にまとめていた。かつては後生動物に含めることのできない所属不明の小型多細胞動物が無差別に入れられ、動物分類の屑籠(Wastebasket taxon)のようであったが、のちにそれらは除かれ、二胚動物(菱形動物)と直泳動物の2群が置かれるようになる。しかしこれらは互いに系統関係がないと考えられ、現在ではそれぞれ独立した動物門に置かれるのが普通。原生動物と後生動物の間の進化段階を示す単語として用いられる。
**オピストコンタ
オピストコンタまたは後方鞭毛生物(Opisthokonta)は真核生物の主要な系統の1つで、動物(後生動物)と真菌に加えて数グループの原生生物を含む。語源は、ギリシャ語の opistho-(後方)+ kontos(鞭毛)。
これらの生物が単系統群であることは、遺伝学および微細構造の双方の研究から強く支持されている。共有形質は、動物の精子やツボカビの胞子のような鞭毛を持った細胞が、後ろ側にある1本の鞭毛で進むことであり、これが語源になっている。対照的に、これ以外の真核生物では鞭毛を持った細胞は1本ないし複数の前方の鞭毛で進むということらしい。それじゃー、ヒトの先祖の先祖の…共通先祖は、精子のように1本の鞭毛をもっただけの単細胞生物だったのか。
**コアノゾア
コアノゾア類 (コアノゾア類、Choanozoa)は、襟鞭毛虫類と後生動物から構成される、真核生物のオピストコンタの系統群のひとつ。襟鞭毛虫類と動物による姉妹群という関係性は、動物の起源を探る上で重要な意味を持つ。

**アーケプラスチダ
アーケプラスチダ(Archaeplastida)は、真核生物の主要な系統の1つであり、陸上植物、緑藻、紅藻と、さらに灰色植物と呼ばれる藻類の小さなグループからなる。これらの生物はみな、2枚の膜に囲まれた、したがって細胞内共生したシアノバクテリアから直接派生したと考えられるプラスチドを持っている。 共生が一回だけの植物群という意味で一次植物 (Primoplantae) という語もある。アーケプラスチダ以外のグループでは、プラスチドは3ないし4枚の膜に囲まれており、緑藻あるいは紅藻から二次的に獲得したものと考えられている(二次植物)。
細胞には通常は中心体がなく、クリステが平板状のミトコンドリアがある。たいていセルロースを含む細胞壁があり、養分はデンプンの形で貯蔵される。ただしこうした形質は他の真核生物にも見られる。アーケプラスチダが単系統群である証拠は、分子系統学的研究によってプラスチドがおそらく単一起源であることが示される、ということから来ている。 アーケプラスチダ類は大きく2つの進化系統に分かれる。紅藻はたいていのシアノバクテリアと同様に色素としてクロロフィルaとフィコビリンを持っている。一方、緑色植物(緑藻と陸上植物)はクロロフィルaとbを持っておりフィコビリンは持たない。ただ灰色植物の位置付けはよくわからない。灰色植物はシアノバクテリアの標準的な色素を持っているのみならず、妙なことにプラスチドに細胞壁が残っている。

生物の分類は、昔とは今では全く違ってしまっている。動物か植物かの二分法は全く過去の話。動物と菌類はオピストコンタで共通。植物と一部の藻類はアーケプラスチダ。どれにも属さない生物が沢山いる(たいていは単細胞)らしい。多細胞生物にたどり着くまでに、何億年もの進化の試行錯誤の歴史があったんだ。

生物の世界

線形動物門

線虫 カエノラブディティス・エレガンス (Caenorhabditis elegans) は、線形動物門双腺綱桿線虫亜綱カンセンチュウ目カンセンチュウ科に属する線虫の1種。実験材料として非常に優れた性質をもつことから、モデル生物として広く利用されている。多細胞生物として最初に全ゲノム配列が解読された生物でもある。通常は C. elegans (シー・エレガンス)と呼ばれる。 体長約 1mm で透明な体をもつ。多くの線虫が他生物に寄生することが知られるが、線形動物門に占める割合としては大半の種は寄生生活ではなく、本種も自由生活性。土壌に生息し細菌類を食べる。実験室では寒天培地上に生やした大腸菌を餌として飼育される。
ただし、その生息地には謎がある。本種を記載したフランスの動物学者、Emile Maupas は本種を2度採集しており、それはいずれもアルジェ空港近辺の腐植土からと記している。ところが、Félix & Braendle 2010によると、彼らが世界中の野外の土壌サンプルを相手にした範囲では、本種が採集されたことは1度もないという。その代わり、人為的に作られた堆肥からは比較的よく採集される。
雌雄同体成虫の体細胞は 959 個、雄では 1031 個。神経、筋肉、消化管、表皮、生殖巣といった組織、器官をもつ。胚は約14時間で孵化し、幼虫(L1-4)はクチクラ層の脱皮を4回繰り返し成虫になる。体の半分以上の体積を占める生殖系列細胞は 1000 個を越えることもある。 神経細胞はわずか 302 個で、頭部の神経環と呼ばれる部位に多数集まり脳に相当する領域を形作っている。これだけの細胞で物理刺激に対する回避運動や、化学物質(塩化ナトリウムなど)や温度と餌を関連付けた学習やベンズアルデヒドなどの誘引性揮発性物質に対する順応などの行動を示す。また、個々の神経がどの細胞とシナプスもしくはギャップジャンクションを形成しているかが透過型電子顕微鏡の連続切片像から完全に再構築されていることや、レーザーを照射して特定の神経細胞を破壊する実験などから、どの神経細胞がどのような行動に関わるかもある程度わかっている。
性染色体による性決定は XO 型である。XX の個体は雌雄同体になり、XO の個体は雄になる。雌雄同体は幼虫期に 300 個弱の精子を作り、成虫期になると卵形成し、貯めておいた精子を使って自家受精を行う。一個体が産卵する子孫は 300 匹弱。このことは実験上、遺伝的な背景を均一にすることに役立つ。一方、雄は約 0.1% の割合で現れる。これと雌雄同体とを交配させることも可能。

モデル生物としての C. elegans
モデル生物としての歴史は1960年代に始まる。当時シドニー・ブレナーは発生過程と神経系の問題が今後の生物学で重要な分野になると考えた。分子生物学の成功には、大腸菌などのモデル生物(取り扱いやすく、大量に培養可能で、遺伝学や生化学的手法が使えるという性質をもっている)を使ったことが大きく関与していると考えた彼は、同様の特徴を持つ多細胞生物として C. elegans をモデル生物とすることを提案した。
それ以前の発生生物学上のモデル生物としては古典的な発生学以来のウニやイモリ、分化の過程に関しては細胞性粘菌(キイロタマホコリカビ)がよく使われたが、前者はその体が大きく複雑に過ぎ、後者では体の構造がないに等しく、多細胞動物とは比較できない。そのため、後生動物でありながら体が小さく細胞数が少なく、しかも培養がたやすいものが必要であり、C. elegans はこれらの条件に良く合っている。
C. elegans をモデル生物として確立し、器官発生とアポトーシスの遺伝制御に関する発見をした成果に対し、ブレナーおよびロバート・ホロビッツ、ジョン・サルストンは2002年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
1990年にヒトゲノム計画のモデル系として、全ゲノム配列の決定が3年間のパイロットプロジェクトとして開始された。これはアメリカ国立衛生研究所とMRC分子生物学研究所の資金提供によるものである。1994年の資金追加を経て、1998年に多細胞生物として初めて 97Mb の塩基配列読み取りが完了した。その結果、6本の染色体上に約 19,000 個の遺伝子の存在が予測された。
また、2本鎖の RNA を導入すると、それと相同の配列を持つ遺伝子の発現が抑制されるという、RNAi と呼ばれる遺伝子抑制手法が初めて確立された生物でもある。1998年にアンドリュー・ファイアーらにより報告されたこの現象は siRNA の発見へとつながり、現在遺伝子治療でもっとも期待される手法の一つとなっている。RNAi という現象を発見した成果に対し、ファイアーとクレイグ・メローは2006年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
2015年に九州大学の研究グループは、 C. elegans を使って、被験者の尿の臭いを利用して早期かつ高精度のがん検診に成功したことを発表した。

**線形動物は、線形動物門に属する動物の総称である。線虫ともいう。回虫・鞭虫などが含まれる。大半の種は土壌や海洋中で非寄生性の生活を営んでいるが、同時に多くの寄生性線虫の存在が知られる。植物寄生線虫学 (nematology) では農作物に被害をもたらす線虫の、寄生虫学 (parasitology) ではヒトや脊椎動物に寄生する物の研究が行われている。

生物の世界

浸透圧

生き物の体は細胞から出来ており、細胞は総て膜で覆われている。この膜は完全な不透水の膜では、細胞は外との物質のやり取りは出来ないし、自由に水が出入りできるようでは細胞としての一体感は保てない。選択的な物質の出入りが必要なのだ。基本的な物理特性としては、浸透圧の利用がある。

浸透圧 図に示すように、U字管の中央が、膜で仕切られているとしよう。左側には水にある物質を溶かした溶液がある。右側を純粋な水としよう。中央の膜は浸透膜と言って、水分子(溶媒)は通すことが出来るが、溶けている物質(ようしつ)の分子は通ることが出来ない。ずいぶん都合の良い膜だけど、自然界にはこのような膜が多いらしい。特に生物の細胞膜なんかもこれだという。○を水分子、●を溶質の分子としよう。

この時、膜を通して水の出入りがあり、右側のほうが△H高い状態で釣り合う。この△Hに相当する圧力を浸透圧と称している。
浸透圧に関しては、ファントホッフの法則がある。何故こうなるのかは結構説明が難しいらしい。高校生に暗記しろということらしい。
浸透圧Πは、溶液のモル濃度Cと絶対温度に比例し、以下の関係となる。
    Π=CRT
ここで、Πは浸透圧。Rは気体定数だ。溶液の体積をV、溶質の物質量をn(モル数)とすると、モル濃度はC=n/Vになる。気体定数Rは R=8.3 J/mol-K  、Tは絶対温度(K)、摂氏の温度の273を足せば良い。
    Π=(n/V) RT、 ΠV=nRT
これは理想気体の状態方程式(pV=nRT)と同じ形になっている。
さらに、溶質の質量w、モル質量Mを使って表すと、ΠV=(w/M) RT
チョット分かりにくいので、例題を元に考えて見よう。
【問題1】
0.05 molのショ糖を水に溶かして0.83リットルのショ糖水溶液をつくる。27℃での浸透圧は何Paでしょうか。ただし、気体定数 8.3×103 Pa・ℓ/(K・mol)とする。
【解答1】
浸透圧 ショ糖は2炭糖で、分子式はC12H22O11で、分子量は342g、つまり1 mol が342g だ。実際は炭素も酸素も同位体があるのでもう少し大きくなる。
気体定数も単位を変えると数値が変わる。
J/mol-K=N/m2×m3/mol-K=Pa×ℓ×103/mol-Kだから→ R=8.3×103 Pa・ℓ/(K・mol)で良いようだ。また、27℃=300(K)
これを上の式に代入する。
Π×0.83=0.05×8.3×103×300、Π=1.5×105 Pa
0.05 molのショ糖は、342×0.05=17.1 g の砂糖が830g の水に溶けていることに。この場合の砂糖水の密度は、(830+17.1)/830=1.02 g/cm3、もちろん右側は1.0 g/cm3です。膜を挟んでの両側の水圧を考える。浸透圧によって、左側から右側へ圧力Πで押される。だから膜を通して水分子だけが右側に移動し、△H の高さで釣り合う。
ΠA=ρg△HA、(Aは膜の面積)、だから△H=Π/ρg
単位を良く考えないといけない。パスカルという単位は年配者には分かりにくい。1 Pa=1 N/m2=1 kgms-2/m2、ρ=1000 kg/m3
g=9.8m/s2、だから △H=(1.5×105)/(1000×9.8)=15.3 m
でも、この図可笑しくない?ショ糖の代りに塩だったら、当然真水の方が塩水の方に移動するのでは?? どこか考えが可笑しい。
実は上の図が間違いで、下の図の方が正解なのです。浸透圧は高校でも習うらしく(化学?物理?生物?)、溶質を希薄気体の圧力の状態方程式に例えて説明している。体積Vの溶液(水+ショ糖)で、ショ糖だけが理想気体のように存在するとして、状態方程式と同じと説明している。つまり、ショ糖溶液の方が浸透圧分だけ圧力が高いので、左から右への圧力がかかる。しかし、溶質(ショ糖分子)は膜を通れないので、水分子だけが左から右へと押し上げられる。こう説明されれば上の図は理屈があっている。しかもショ糖溶液は水だけの場合よりも密度が高い。だから力のバランスから言っても上の図の方があっているような気もする。
下の図の場合、浸透圧とは右から左の作用する圧力だ。とすると右側の状態から計算される浸透圧とは負の圧力なのでしょうか??
【問題2】あるタンパク質4.0gを水に溶かして0.83Lにした溶液の浸透圧が27℃で3.0×102Paのとき、タンパク質の分子量はいくつか(気体定数を8.3×103Pa・L/(K・mol)とする)。
【解答1】
水に溶けているタンパク質のモル数は、n=m/M、mが溶けているタンパク質の質量で、Mが分子量とします。これもファントホッフの式ΠV=nRTを使うのでしょう。
   n=(3.0×102×0.83)/(8.3×103×300)=10-4 、M=m/n=4.0/10-4
タンパク質の分子量なので4万gというのはそう大きくないのかな。

生物の世界

琥珀の中に史上最小の恐竜化石、異例ずくめ

最小の恐竜化石 成体でハチドリ大、大きな目や多数の歯をもち「すべてがあまりに奇妙」と研究者
何時何処で見つかったのか。化石はミャンマーの琥珀の中に含まれていたそうだ。オクルデンタビス“目と歯の鳥”と命名された。琥珀は樹木の樹脂が固まったもので昆虫等がとらえられて化石になっている。

大きな目はトカゲに似ていた。オクルデンタビスの目は、頭の横から飛び出すほど大きかったとようだ。オコナー氏は、古生物の「目の専門家」である米クレアモント・マッケナ大学W.M.ケック科学部のラース・シュミッツ氏に相談した。
 爬虫類や鳥類の目には、視覚器を支える小さなリング状の骨(強膜輪)がある。強膜輪を構成する板状の骨は通常、細い長方形のような形だが、オクルデンタビスのものは、アイスクリームをすくう「スクープ」のようだった。「他の鳥類や恐竜には見られないものです」と同氏は話す。
 現生の動物で同様のスクープ状の強膜輪を持つものは、昼行性のトカゲだけだ。同氏らの考えでは、オクルデンタビスは異常に大きな目を使って日中に餌を探し回り、歯の生えた口で昆虫を捕まえていたという。
最小の恐竜化石  現生鳥類で最も似ているのは、カリブ海に生息し昆虫を捕食する小型の鳥、コビトドリかもしれないと、鳥の頭骨の専門家である英ハル大学のジェン・ブライト氏は言う。しかし、コビトドリの頭骨は、オクルデンタビスの化石の2倍の大きさだ。「これほど小さな脊椎動物の化石が見つかるとは、度肝を抜かれました」と同氏は話す。「それほど奇妙なものなのです。私は大好きですが!」
 オクルデンタビスの奇妙な特徴は、先史時代の特異な環境で進化したものではないかと、オコナー氏は考えている。資源が限られた島などの生態系では、進化の過程で動物の小型化が進む場合があるからだ。このミャンマーの琥珀層からは海洋生物のアンモナイトの化石が見つかることから、この琥珀は島あるいは少なくとも海岸線で形成されたことが示唆される。
「現生の脊椎動物で最小のものは、マダガスカルに生息する小さな小さなカエルで、肉食性です。同じようにオクルデンタビスも肉食だったと考えています」と同氏は語る。かつて、多種多様な恐竜が、地球を闊歩していた。最大の恐竜や最小の恐竜、恐竜の食べ物や行動について紹介するとともに、絶滅に関する驚きの事実を説明する。

 オクルデンタビスに初めて光が当てられたのは2016年、ミャンマーの琥珀収集家カウン・ラ氏がある鉱山から出土した2個の標本(今回の極小の謎の頭骨を含む)を手に入れた時のことだ。同氏は、義理の息子であるグアン・チェン氏が館長を務める中国騰衝の琥珀博物館に、この化石を寄贈した。恐竜の種名の「カウングラアエ」は、寄贈したラ氏にちなんで名付けられた。  オクルデンタビスの頭骨が閉じ込められていた琥珀は、元々もっと大きな塊であり、羽毛が含まれていたという噂がある。だが、シン氏が化石を見た時には、琥珀は2つのかけらに切断・研磨されており、元が同じ物だと確認できなくなっていた。  シュミッツ氏は個人的に、同じ物である可能性に期待している。「この頭骨は、あまりに奇妙です。これまで記載したこと以外にも何かわかることがあるかもしれません」

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眼の起源

たいていの動物は眼を持っている。不思議なことに植物で目を持っているものはほとんどいない?? 眼の起源はとても古い。古生代カンブリア時代には、かなり多くの動物が眼を有して海の中を動き回っている。このような眼の仕組みは単一起源なのか、或いは色々な動物で別々に発生したのだろうか。
眼の進化 カンブリア時代の前のエディアカラ紀の動物達、見た目には海の底にじっとしており植物と区別がつかないのですか、眼も口も手足の何もないのに。
カンブリア爆発と言われるように、今我々が知っているような動物たちの先祖が一斉に出現します。特にある程度活発に動き回る動物達は、大抵眼を持っているのが特徴です。海の中に有機物が減って、食うか食われるかの弱肉強食に時代になって、やはり眼を有していた種の方が自然選択で生き残る確率が高かったと言え訳でしょう。
眼というのは、光を感知するセンサーです。ということはカンブリア時代の海も透き通っていて太陽に光がある程度の深さまで届いたのでしょう。また、多くの動物達が陸に近い垂心の比較的浅い海で暮らしていたことでしょう。光の届かない深海では眼は発達しようもありません。
眼の進化 眼の進化は、簡単には図のようになります。最初は体の表面に光を感じる部分、眼点というものが出来ます(1)。眼点の位置を少し深くすると、方向が分かるように(2)。もう少し深くすると針孔写真機みたいにぼんやりした像が得られるかも(3)。ここにレンズ状の透明な物質をつければ、カメラ型に眼(4)が出来上がりです。像が移る部分を網膜と言います。網膜に移った像を処理して、情報を認知して判断して行動を起こさねばなりません。だから眼という器官はそう簡単な仕組みではないのですが。しかし、我々四足動物の先祖の魚達も、節足動物のエビの仲間も、軟体動物のイカやタコもカメラ型の眼を獲得しました。

右図の説明。a).光感受性細胞の領域:神経線維、視細胞
b).押し下げられた/折り畳まれた領域では、方向感度が制限される
c).ピンホール」アイにより、より優れた指向性感度と限られたイメージングが可能になる; 水で満たされた部屋、視細胞/網膜の領域
d).視細胞/網膜の領域.........: 網膜,
e).明確なレンズが発達する: 角膜、レンズ
f).虹彩

眼の進化は、さまざまな分類群で現れた特徴的な相似器官の例として、重要な研究対象であった。視物質のような眼を構成する個々の要素は共通の祖先に由来するようだ。すなわち動物が分岐してゆく前に一度だけ進化したようである。しかし複雑な構造を持つ、像を結ぶことができる光学装置としての眼は、同じタンパク質とツールキット遺伝子を多数利用することによって、およそ50回~100回は個別に進化したと考えられる。
最初の複雑な眼はカンブリア爆発として知られる急速な進化的爆発の数百万年で登場したようだ。カンブリア紀以前の眼の証拠はないが、中期カンブリア紀のバージェス頁岩の中でさまざまな眼が存在したことが明らかになっている。
眼はその持ち主の生息環境において必要を満たす多様な適応を含んでいる。たとえば敏感さ、知覚できる波長の範囲、暗い場所での感度、動きを感知したり対象を見分ける能力(解像度)、色を見分けられるかどうかなどの点でさまざまに異なる。

**虹彩(こうさい、英: Iris)は、脊椎動物及び軟体動物頭足類の目において、角膜と水晶体の間にある薄い膜。瞳孔の大きさを調節して網膜に入る光の量を調節する役割を持つ。瞳孔がカメラの絞りの開口部に相当する。

**網膜(もうまく、英: retina)は、眼の構成要素の一つである。視覚細胞が面状に並んだ部分があればこう呼び、視覚的な映像(光情報)を神経信号(電気信号)に変換する働きを持ち、視神経を通して脳中枢へと信号を伝達する。その働きからカメラのフィルムに例えられる。

**角膜(かくまく、英: cornea)は、目を構成する層状の組織の一つであり透明である。最も外界に近い部分に位置する。視覚器官はさまざまな種に見られるが、角膜を備えるのは節足動物や軟体動物、環形動物、脊椎動物に限られる。ヒトの場合は、直径約12mm、厚さは中央部が約0.5mm、周辺部が約0.7mm。角膜には目に光を取り入れる窓の役割があるほか、光を屈折させて水晶体とともに目のピントを合わせる働きがある。また角膜表面は常に涙で覆われ、乾燥と眼球内部への細菌感染を防いでいる。発生学的には、角膜内層は前眼房の中皮由来であり、中胚葉由来である。角膜外層は体表外胚葉に由来する。

生物の世界

眼の誕生

これは、本の題名で、著者は、アンドリュー・パーカーという生物学者。現題は、「In the Blink of an Eye ---The Cause of the Most Dramatic Event in the History of Life」。カンブリア爆発の切っ掛けは、最初に眼を発明した生き物が生じたことだというのがメインテーマ。 このために動物界には食うもの食われるものの競争が強まり、自然淘汰の進化が急速に拡大したというもの。太陽光という刺激は地球上でもっとも普遍的なもので、いかなる生き物もこれから逃れることは出来ない。著者は、光の性質から、現生生物、カンブリア爆発時の化石生物の眼の構造や機能を詳細に検討した結果、結論を出している。生物の進化理論に一石を投じる書だ。
三葉虫 これによると、最初に本格的な眼を獲得した動物は、三葉虫の先祖のようだ。なるほど、三葉虫がカンブリア紀に大繁殖した理由は分かる。これらは複眼として現在でも昆虫を始め、多くの節足動物にづっと受け継がれてきている。眼を獲得した動物は、同時に体に硬い殻を持つように進化。節足動物の天下だ。脊椎動物が眼を持つのはかなり遅れたようだ。こちら、カメラ眼という単眼。
単眼と複眼の優劣は、専門でないので分かりかねるが、トンボ等の昆虫が我々より視力が良いという可能性は無いのかね。今の工学機器は単眼を前提にしているようだが、複眼を使ったカメラなんかできないのだろうか。

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色覚

人は物を見て色を感じることが出来る。しかし、色を識別できるということはある意味不思議な事なのだ。太陽の光をプリズムに通すと、光は7色の虹の色に分かれる。これをスペクトラムなんて言っている。でも、ニュートンによると光にはそもそも色なんてついていない。光は色々な波長(振動数)の成分が混ざったもので、振動数は連続的に変化している。これを人の脳が勝手に分類して7色に分けて、感じる。これは人の脳の中で勝手に造られる幻覚というものともいえる。でも、色のない世界は何かと殺風景で不便であろうが。
確かに人以外の眼のある動物がどのように色の世界を感じているかは、正確なところはよく分かっていないらしい。少なくとも鳥類や魚類や昆虫達は、人間よりももっと多彩な色彩感覚を有しているだろうと推測されている。
哺乳類 でも、哺乳類はダメなのだ。何故かというと、恐竜たちが跋扈(ばっこ)していた時代、小さな夜行性の動物として生き延びてきたため、色を感知する能力を失ってしまったらしい。 ところが霊長類は何故か、色彩感覚を一部取り戻すことに成功した。色彩感覚を一部取り戻すことが何故自然淘汰の世界で有利に働いたのかは、まだ妥当な説明がついていない。 曰く、赤や黄の黄の実の色を見分けるため。仲間の顔色を見るため何て言う説もあるが意外とこれが正解の可能性も。というのは多くの霊長類では何故か顔の部分の毛を失うように進化している。更にヒトはご丁寧に体の毛まで退化させた。
草原を四足歩行する多くの動物達は、地面に顔をすりつけで臭覚という能力を大いに発達させた。一方二足歩行する人は、臭覚を簡単に利用は出来ない。だから色覚を発達させた。これは嘘。何故なら、色彩感覚を獲得したの我々人のずっと先輩の初期の霊長類だったから。でも、樹上生活していれば臭覚は利用できないかも。色覚の問題は脳の中での情報処理の一環なので脳科学の出番で、まだ研究途上だ。でも、何故霊長類が色覚を取得したのかは重要な課題だ。因みに犬や象やライオンは人間のような豊かな色彩感覚は持っていないらしい。

色相 その前に色とは何か。色には①色相、②彩度、③明度と三つの要素があるらしい。その中でも色相は色とは何かを決める最も基本だろう。色相とは確かに不思議だ。波長が長い赤のすぐ隣が波長が短い紫が繋がっている。青と黄色、赤と緑は互いに補色関係という。しかし、青と黄色の絵の具を混ぜると緑みたいな色になるけど、赤と緑を混ぜたらどうだ。灰色みたいな汚い色になるんだろう。これは脳の情報処理の問題で物理の問題ではない。脳科学としては面白いテーマらしい。
網膜の赤、緑、青錐体の分布はでたらめ

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両生類

清竟動物の進化
両生類(りょうせいるい)とは、脊椎動物亜門両生綱 (Amphibia) に属する動物の総称である。両生類は、古生代の石炭紀頃以降、多くの化石種が知られている。つまり古生代の始めには陸上(といっても水に近くだが)では大いに繁栄していた。
しかしながら、現生の(現在でも生息している)ものは、長い尾を持ち、短い四肢のある有尾目(サンショウウオなど)、尾がなく体幹が短くまとまって四肢の発達した無尾目(カエル類)、それに四肢を失い、細長い体の無足目(アシナシイモリ類)の3群のみである。
両生類は、約3億6000年前に陸上においての生活も始めたと考えられており、これが脊椎動物の中では初めて陸上生活が可能となった事例だと考えられている。ただ陸上生活が可能とは言っても、その身体の構造、生活史、生理、生殖などにおいて、陸上生活への適応を示しながらも不充分であり、水辺への依存度が強いという特徴を持っている。特に幼生は、一般に水中生活をしているなど、基本的に水中環境が欠かせない。

現生の種は、ほぼ全てが淡水域を生活の場としている。海生の種は無いようだ。原始的な形では卵を水中で産卵し、幼生は四肢を持たない形で生まれ、鰓呼吸で水中生活を行う。その後変態を経て肺呼吸で陸上生活の出来る成体になる。ただし、多くの例外があり、その生活は多様である。基本的に皮膚呼吸に頼る面が多いことから乾燥に弱いため、水辺などの湿った環境が生息域の中心であり、陸上で活動可能な体を持ちながら、生活や繁殖を水に依存した生涯を送ることからこの名がある。「両生」類の名は、水中生活と陸上生活の両方が可能という意味ではなく、両方の環境が必要な動物であるという意味である。

20世紀後半から、世界的に両生類の減少が著しく、多くの両生類が絶滅しつつある。カエルツボカビ症をはじめとする感染症や吸虫の被害のほか、粘膜に覆われた脆弱な皮膚が、環境変化への対応を困難にし、個体数の減少をもたらす原因になっていると考えられている。一説に因ればこのままのペースで減少が続くと、100年以内に全ての両生類が絶滅するとも言われている。 両生類の皮膚は分泌腺や毒腺が多くなめらか。爬虫類のように、体表を覆うような鱗は持っておらず、また、体表のほとんどは角質化していない。これは皮膚が呼吸器としての役割を占めているから。それゆえ乾燥に弱い。

アミノ酸の代謝などによって生ずるアンモニアは、両生類にとっても有害な物質だ。 幼生(オタマジャクシ)の時は鰓からアンモニアのまま大半を排出するが、変態後はアンモニアを尿素に変えて腎臓から排出する方が主流となる。生涯を水中ですごす種類の場合は幼生・成体共にアンモニア排出のまま。水を潤沢に利用できるのか、そうではないのかが関係する。

系統関係
四肢動物はデボン紀後期の約3億6000万年前に肉鰭綱から進化した。ハイギョ類とシーラカンス類のどちらに近いかは未だ決着がついていない。デボン紀後期になり、両生類が初めて陸上に適応した脊椎動物として現れた。
カコプス デプロディクス エオラエ
上図3種は化石種。
最初期の四肢動物であるアカントステガやイクチオステガは曲がりくねった大河川に住んでいたと思われるが、やや時代が下ったチュレルペトンのように海生と思われる種もいた。この時期の四肢動物は、まだ少なくとも一部は鱗に覆われた魚類のような皮膚と、6本以上の指を持つ水を掻くのに適した四肢を持つ、ほとんどを水中ですごす動物であったらしい。

石炭紀になるとペデルペスのように陸上生活に適応した四肢を獲得し、二次的に水中に戻った種も含め多様な種が生まれた。石炭紀後期にはすでに有羊膜類が枝分かれして行き、これら迷歯亜綱に分類される動物たちは徐々に水中生活にウエイトを戻していく。これら古いタイプの両生類は、中生代になっても三畳紀には世界中の淡水系に数mにも及ぶ巨大な種が繁栄していたが、三畳紀末の大絶滅以降急激に衰えていき、白亜紀前期に絶滅した。

現生両生類である平滑両生亜綱に属する無尾目・有尾目・無足目の起源と関係は未だはっきりとわからないが、すでに約2億9000万年前のペルム紀前期に無尾目・有尾目・迷歯亜綱分椎目の特徴をモザイク状に有するゲロバトラクスが存在した。
オオサンショウウオ ムカシガエル インド
三畳紀のマダガスカルには現生のカエルにある程度近い姿のトリアドバトラクスが生息し、ジュラ紀になると今と外見上は変わらないカエルが世界中に分布を広げていた。
有尾目はジュラ紀中期にはキルギスタンから Kokartus、イギリスからネオテニー的な水生種 Marmorerpeton の化石が発見されている。これらはもっと後の種の解剖学的特徴のいくつかを持たなかったが、ジュラ紀後期には現在のトラフサンショウウオに似たカラウルスやオオサンショウウオ科のチュネルペトンが生息していた。
無足目はジュラ紀初期のまだ四肢が残っているエオカエキリアの化石が見つかっている。また三畳紀の分椎目キンレステゴピスはエオカエキリアといくつかの特徴を共有しており、類縁関係があるのではないかという説がある。現在の両生類は基本的に淡水域を生活の場としているのにもかかわらず地球上の陸地に広く分布していることなどから、遅くともパンゲア大陸が完全に分裂したとされている白亜紀までに、現生の目は全て誕生していたはずだが、詳しいことはわかっていない。

プリオノスクス **プリオノスクス
プリオノスクス(Prionosuchus)は、約2億7,000万年前(古生代ペルム紀後期)に生息していた原始的両生類。絶滅した迷歯亜綱中の分椎目-アルケゴサウルス科に分類される。現在知られる限りで史上最大の両生類。化石はブラジル北東部のパルナイーバ盆地(Parnaiba Basin)から断片的なものが発見されている。 この動物はワニの仲間でも爬虫類でもなく、両生類。細長い吻部はワニを連想させるが、これは収斂進化による相似。発生順から言えば、プリオノスクスと同様のニッチ(生態的地位)を得た後代の水生爬虫類がプリオノスクスに類似の進化した。
正基準標本とされる断片的な頭骨は頭長50センチメートルと推定されているが、より断片的な標本にはこの3倍ほどの大きさのものがあり、頭長160センチメートル、全長はおそらく9メートルに達するであろうと見積もられている。 形態は、現生ワニ類のガビアルとの間で非常に高い相似性が見られる。多数の小さな歯が並ぶ細長い顎と、吻端にある瘤(りゅう)状の盛り上がり、細長い体と、陸を歩き回るのには不向きな小さく細い貧弱な四肢、そして、遊泳に適した縦に扁平した尾を具えていて、どれをとってもガビアル様である。生態的にもガビアルと同様、ほとんど陸に上がることなく水中で過ごす、水際の待ち伏せ型捕食者であったと思われる。

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ベリャーエフ

銀キツネ ドミトリー·コンスタンチノヴィッチ·ベリャーエフ (ロシア語:Дмитрий Константинович Беляев; 1917年7月17日~1985年11月14日)はロシアの遺伝学者。
ベリャーエフは、田舎の牧師コンスタンチン·ベリャーエフと彼の妻イェヴストリア·アレクサンドロヴナの4人の子供の末子として生まれる。彼の兄弟(遺伝学者、のちにスターリンによって投獄され死亡)の仕事と環境がりベリャーエフに影響を与えたる。1934年、彼はイヴァノヴォ農業大学に入学、1939年に卒業した。そののち、かれは毛皮動物の繁殖の方法と遺伝学に取組む。
1941年から1945年まで、彼は第二次世界大戦に将校としてソ連軍に従軍し、2回負傷。 戦後、彼は再びモスクワの毛皮を作る動物の飼育のための研究室で彼の仕事を再開。1950年代のはじめ、かれは野生動物の家畜化で最も重要な因子は“おとなしさ”の選択的繁殖であるという仮説をたてた。1953年と1954年の間に、彼はロシア科学アカデミーシベリア分院のノヴォシビルスクの細胞学遺伝学研究所で、キツネの飼育実験を始め、1958年に彼はモスクワからノヴォシビルスクへ移る。 スターリンの迫害を逃れてシベリアに行ったのか、シベリアに左遷されたのか。
ベリャーエフ この間、彼は研究所の評判を高め、ソ連での科学としての遺伝学の発展に尽くす。彼は多くの国の大学の名誉学位を受け、1978~1983国際遺伝学連合の総裁を務めるまでに。

【キツネの選択交配と家畜化】
1950年代に、ドミトリ・ベリャーエフと共同研究者は銀キツネ(Vulpes vulpes)のうち人を恐れず噛み付かない個体を何代も選択交配した。 その結果、彼らの振る舞いだけでなく、その外観が野生のキツネと異なるキツネの群をつくりだした。約10から20世代そのような選択交配したキツネは、人を恐れず、尻尾を振りなついた。 見かけも著しく変わった。毛皮の色が変わり、耳が垂れるようになり、しっぽが巻きあがるようになる。2019年では50世代を超え犬の様に芸をするものも現れた。

当時、生物学者は、なぜ犬の毛色がオオカミと違うか調べていた。 ベリャーエフは彼のキツネの研究がこの疑問に関わりがあるのに気がついた。彼と彼の共同研究者は生化学的な測定をし、選択交配した狐のアドレナリンの水準が野生のキツネに比べて大幅に低いことを発見した。 それによって、飼いならされたキツネの振る舞いだけではなく、毛皮の色も説明できることになる。

科学者たちは、アドレナリンがメラニン色素の生産を変え、野生の動物ではアドレナリンの高い濃度のために抑えられていた遺伝的変異の発現のカスケードが、ホルモンレベルの低下のために起こるという理論を出した。 したがって、ストレス(高いアドレナリン)の役割は、遺伝子発現の調節もあると認識された。

その他、ベリヤーイェフの他の研究のテーマは多岐に渡っている。致死的な変異の抑制、 光周性の豚の不妊治療への役割、 ミンクの毛皮の色 、放射線による作物の突然変異、シベリアに適した穀物の亜種、抗ウイルス剤の製造等。
ベリャーエフは科学教育も重んじたらしい。 1961年以後、彼はノヴォシビルスク大学細胞遺伝学の講座だけでなく、学校の生物学のクラスでも教えた。 彼は教師のためのガイドを発行し、1985年、中等教育のための生物学の教科書の編集を指導したということです。生きていればノーベル賞ももらえたかも。残念ながらお亡くなりなっているようだ。

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