Mechanics

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力学も面白い

力学と言えば、物理学のもっとも基本。だから、色々な現実の諸現象を理解しようと思えば、やはりある程度の知識は必要。実はゴルフの力学なんて立ち上げて、やっぱり大変なことを実感している。今までScienceの部屋で取り上げた話題も含めて少しずつ充実させていきたいと思っています。

目次    
円運動 回転する剛体 斜面を転がるビール樽 回転する座標系
静水圧とは マグデブルクの半球 ロケットは何故飛ぶのか

水理学再入門
複素数と流体力学
ゴルフの力学

円運動

学校の物理では、直線運動が多くて回転系に関してはやや手薄だったような気がします。ゴルフのスィングから人工衛星の運動まで、回転系を理解することは重要でしょう。また、ボールと茶筒が斜面を転がる時、どちらが先に落ちるか、すぐに答えられますか。台風の進路が曲がるコリオリの力、色々と面白い話題がありそうです。
    直線運動の次に簡単なのが円運動でしょう。「円(縁)は偉なもの味な物」何て言うが、そう一筋縄ではいかないようだ。一番簡単に出来る実験は紐の先に重りをぶら下げてぐるぐる回せばいいのだが。
     円運動 まず、直線運動と違って、変数が(x,y)と2つになる。実は、円運動は、これを円盤として横から見ると、単振動なのだ。x方向もy方向も単振動、そしてその位相が90°ずれている。

円の中心Oから、円周上へのベクトルを考える。円の半径は r とする。→r=(x,y)=(r cosθ, r sinθ)、   ここで x2+y2=r2
重(おも)りをぐるぐる回すと、重りは紐と反対の方向に飛んでいこうとする力が働く。遠心力だ。飛んでいかないようにするために紐にも力を加えないといけない。これを向心力と言う。遠心力と向心力が釣り合っていることで円運動が持続する。
円の中心Oから、円周上へのベクトルを動径ともいう。考えている質点m は円周上にあるので、その位置は最初の位置からの回った角度だけで決る。角度はθ=ω t+θ0 と表わされる。ここで等速円運動を考えると、dθ/dt=ω(一定)で、このωを角速度という。直線運動の速度に対応するものともいえる。円周方向の速度は、v=rωとして表される。
動径ベクトルを2回、時間で微分したもの加速度、これに質量 m をかけたものが質量に作用する力に等しいのはニュートンの法則(F=m a)だ。回転する質量 m は、常に動径の向きと反対方向の力を受けている訳でこの力を向心力という。向心力と良く誤解されるのが遠心力。向心力と遠心力は大きさが同じで方向が反対の作用と反作用みたいな関係ですが、少なくとも左の図を見ていても質点 m にはそのような力は働いていない。でも、あなたが質点 m にいて一緒に動いていれば外向きにそのような力を感じるはずだ。つまり回転する座標系に対して生じる見かけの力と言われるもの。一般相対性理論まで学べば力には本当の力と見かけの力の区別はないと言われている。

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円運動の一例として円錐振り子と言うものがある。天井から重りをぶら下げただけのものだが。普通の振り子と同じなので、黙って重りを放すと振り子時計と同じ普通の振り子だ。円運動にするにはチョット工夫がいりそうだ。また楕円や他の図形になることはないのでしょうか。頭の中で考えるなら簡単ですが。
     円錐振子 点P(m)に働く力は鉛直下向きの重力(mg)と上向きの糸の張力S。上向きにはScosθ=mg…①、向心力としてはSsinθ=mrω2…②、  また、r=lsinθ、
②→Ssinθ=lsinθ・mω2→S=lmω2→lmω2cosθ=mg 、  ω2=g/lcosθ

     円錐振子 ω=√ (g/lcosθ)→T=2π/ω=√ (lcosθ/g)
最初にv=rωとなるような速度で回転させればこのような振子になりそうだ。

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回転する剛体

質点の回転の次には剛体の回転を考えねばならないでしょう。
    剛体回転
回転の速さを表すには、角速度を使います。単位時間にどれだけの角度を回ったかということ。角度の単位にはラジアンを使います。円周を1回転して2π  radian、これに半径をかけると円周の長さになります。ラジアンの単位は表記されません。つまり無次元なのです。円周上の実際の速さは、角速度に半径を掛ければ求められます。
次の微小変化の関係が活躍します。点Pが角度△θだけ回転して点Qまで動いた時の、x-y座標の変化です。
    △x=-PQ sinθ=-r△θ (y/r)=-y△θ
    △y=PQ cosθ=r△θ (x/r)=x△θ


    剛体回転 回転の場合は、回す力、すなわち力のモーメントを考えないといけません。考えなければいけない力は、円周に接する方向です。力のモーメントのことをトルクと呼んでいます。
トルクに回転角をかけるとこれが仕事になります。力に動いた距離を掛けたのが仕事になるのと同じ理屈です。この時力の向きと回転の動径の向きが一般には一致してないので一工夫必要です。
△W=F△s(=|F|d)=Fr△θ=T△θ
左の図を見れば分かるようにFrはトルクです。故にこの時の仕事はトルクに回転角をかけたものであることが分かります。一方、仕事は力に動いた距離をかけたものでありました。→△W=Fs=Fx△x+Fy△y=(xFy-yFx)△θ
ここで最後の式には上で求めた、(△x , △y)=(-y△θ , x△θ)の関係を用いています。
従って、トルクはT=xFy-yFx
Fx=m d2y/dt2   及び   Fy=m d2x/dt2の関係を利用すると、 これからトルクと力の関係が求まります。
T=x m d2y/dt2-y m d2x/dt2

     剛体回転
一方、L=x m dy/dt-y m dx/dtとおいて、このLを微分するとT(トルク)になることが求められます。このLを角運動量と言います。
すなわち、T=dL/dt、トルクは角運動量の時間変化で示されます。ちょうど、力は運動量の時間変化F=dp/dtで表わされることに対応している。
また、L=x m dy/dt-y m dx/dt=x py-y px  となることから、
L=r × p   という表示が出来ますが、これはベクトルの外積を用いたもの。角運動量がベクトルになるというのも、チョット分かりにくい気がしますが、回転面に対して垂直で右ねじの進む方向を正とするベクトルと考えることもできます。このようンベクトルを軸性ベクトルというそうです。
次の、直線運動と回転運動の次の対応はしっかり把握しましょう。
速度~角速度、力~トルク、運動量~角運動量、質量~慣性モーメント
一方、角運動量はL=m v rと表わすこと出来ます。運動量に腕の長さをかけたもので、この形の方が良く使われるかも。証明は極座標に変換して左に示したようにできます。 
剛体回転
剛体の中の質点は角運動量L=m r v=m r ω2  の角運動量を持っている。剛体内の各部分はどこでも角速度が一定でだけれどもその速度は軸から遠くなるほど大きくなる。だから全体の角運動量は、L=Σ(miri2  と表わされる。
ここで、I=Σmiri2  を慣性モーメントと称する。連続体を考えた場合は、積分表示で I=∫vρr2dv  となる。慣性モーメントは質量と違い軸の取り方で異なり、物体の変形によっても変わってしまう。 【回転する剛体のまとめ】
1.回転の速さは、角速度を用いる。角速度は進んだ角度を要した時間で割ったもの。
2.角速度をω、回転した角度をθとすると、ω=dθ/dt
3.円周上の速度=回転半径×角速度
4.トルクとは力のモーメントのことで、トルク=力×腕の長さ。ただし、力の向き、腕の長さの計り方には要注意。T=F∥×r=F×d。
5.力は運動量の変化として表せるのと同様に、トルクは角運動量の変化として表せる。
すなわち、F=dp/dt、T=dL/dt
剛体回転
6.角運動量は、L=mrvともできる。つまり、L=pr
7.剛体の慣性モーメントはI=∑(miri2)ω、角運動量=Iω
8.角運動量=慣性モーメント×角速度 (運動量=質量×速度)
9.固定軸を持った剛体の回転運動の方程式
 T=Idω/dt=Id2θ/dt2

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斜面を転がるビール樽

斜面でビー玉を転がす、空き缶(かん)を転がす。小さな子供の大好きなあそび。だけど空き缶(かん)と、ジュースの詰まった缶どちらが先に落ちるか。ビー玉とおもちゃの自動車では。大抵は同時でない。でも正解は大人が考えても結構難しい。
斜面 ビー玉は転がる。サイコロは滑(すべ)る。でも斜面の傾斜を急勾配にすればビー玉も滑るのではないかな。斜面が垂直までたつと今度は自由落下。
ところが、昔ガリレオ・ガリレイは自由落下の研究をするのに斜面を使って行ったと言われる。だって当時に時計の能力では、自由落下は速すぎて計測できない。因みに光速の測定も試みたが、もちろん速すぎて計れなかった。でも、自由落下は回転しないでストンと落ちるのに斜面ではコロコロと転がって落ちる。果たして同じ物理法則に従っているんでしょうか。

まず、図に示すように斜面に物体を置いて見ます。初等物理学の最初の方にある絵ですね。座標軸は、斜面に沿って下向きにxと取りましょう。傾斜角をαとします。
物体がサイコロなら転がらずに傾斜が急になると下向きに滑り出すでしょう。この時物体に働く力は重力だけです。斜面に垂直方向の力は、mg cosα、この力の成分は斜面から物体への抗力Rと釣り合っているので運動には関係しません。斜面に沿ったx方向の力だけを考えればいいですね。下向きの力はS=mg sinα、これに抵抗するのが摩擦力       F=μR=μmg cosα
結局S>Fとなれば、物体は滑り出します。だから滑らずに安定する条件は、
μmg cosα>mg sinαだから、μ>tanαとなれば良いことになります。μは静止摩擦係数と呼ばれる係数で物体の面の粗さなどで決まるため理論的に算出することは出来ません。動き始めると動摩擦係数μ´に変わるため少し小さくなって動きやすくなります。動き始めると急に軽くなったように感じることからこれは理解できます。摩擦係数が0の場合は、斜面に沿って下向きの力がmg sinαだけとなり、自由落下の条件でゆっくりと落下しそうですね。ガリレオが求めていた実験用の斜面はこれですね。ドライアイスや氷で斜面を作れば摩擦を0には出来ないものの無視できる程度に小さくできるでしょう。しかし、ガリレオの時代ではまず不可能。そこで斜面を転がしたらどうかと考えるのは当然でしょう。
斜面を転がる物体は、球か円筒か。ただ気をつけないといけないのは本当にいつも転がってくれるのか、転がりながら同時に滑ることはないのか。そして、本当に斜面の実験結果から自由落下の場合が極限(α=90°)として計算できるのか。自由落下については、我々は既に学校で習っているけれど、これは後知恵で、ガリレオ自身はは斜面実験から自由落下を推定したのですよね。また、球や円筒でも中空の場合はどうか、中に水などの流体を詰めた場合は等々色々な疑問が出て来ます。
斜面と円筒 まず、斜面が緩い場合は、滑ることなく転がるものと考えられます。まず、2次元的に考えて円筒を考えます。半径aの円筒が転がって距離xだけ進むとします。左に示した式①~③を参照して下さい。この時円筒の回転した角度θとすると、aθ=xの関係が成立します。
上の式で少し分かりにくいのは②の式です。  Id2θ/dt2=F a
これが回転する剛体の運動方程式です。右辺のF a は力のモーメント、すなわち回す力=トルクです。Iは慣性モーメントいうもので I=∫V(ρr2)dVとして積分を用いて計算されます。
球や円筒のような回転体では、I=Cma2とすると(Cを形態因子、a半径、mは質量)とすると、Cの値は、リングでC=1、円筒(円柱)でC=1/2、球でC=2/5、球殻でC=2/3となるようです。Iは、直線運動の際の動きにくさ、つまり質量に相当するもので、Cが小さいほど回転しやすいことを表します。つまり、球(C=0.4)は円筒(C=0.5)より若干速く転がることが分かります。

斜面と回転体
上の円筒の計算を一般化して、Cを使って計算すると下記のようになります。xの二回微分から加速度が求まるので、これを自由落下のgと見做すと斜面での運動は分かります。ただし自由落下と異なり形(円筒とか球)で微妙に加速度が異なります。左の最後に求めた不等式の条件は物体が滑らず転がる条件。さて、今度は滑りがある場合、つまり摩擦が小さいか斜面が急な場合を考えないといけませんね。

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回転する座標系

回転する座標系にのった観測者から見ると、見かけの力が働きます。有名なものとして遠心力とコリオリの力。特にコリオリの力は教養の力学ではあまり触れられていないので分かりにくい所があります。気象の研究をする方には必須かもしれませんが(台風の進路や渦巻き等と関係)。もう一度基本から学び直してみましょう。
     回転する座標系
まずは、座標軸の回転です。座標(x,y)を角度θ回転して座標(x',y')に変換します。この準備ができたら、これを2回時間で微分します。丁寧にやらないと結構面倒ですね。
一回目の微分はいいとして、2回目はかなりゴチャゴチャして計算が大変です。後でマトリックス表示のまま微分して計算した結果も載せました。関数の積の微分ですね。
     回転する座標系 まず1回目の微分。sinθ、cosθを微分したら、cosθ、-sinθに加えて、dθ/dtが出てくることに気をつけて下さい。2回微分したらd2θ/dt2が出てきますが等速円運動ではこれは零です。最終的に右辺もx'とy'を使って表せればいいのですが。

     回転する座標系
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ここで計算結果を整理して式を簡単にしていきます。回転している効果は速度、加速度の計算で出てきます。ここであなたが回転している座標系の上にいて、回転していることを知らなかったとしてみましょう。速度、加速度は単純に位置の座標変換と同じ形で変換されます。その結果あなたには見かけの力(余分な加速度)が生じることになります。
     回転する座標系
これが遠心力とコリオリの力です。以下同じ計算をマトリックス表示のままで行ってみました。この方が明らかに計算ミスは防げそうでしょう。

     回転する座標系
     回転する座標系
     回転する座標系
     更に一歩進めて、行列の形のまま計算できないものでしょうか。
回転する座標系

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ロケットは何故飛ぶのか

ロケットは、宇宙開発には欠かせない道具です。翼もプロペラも無いのにどうして空を飛ぶのでしょう。この原理を最初に考えたのは、ロシアのツォルコフスキーという人です。原理は、ニュートン力学だけで説明できます。以下のようにモデルを作りましょう。 ロケット
ロケットは、空気のない宇宙空間を飛ぶことが出来ます。ロケットは、燃料(酸化剤を含む)を積んでそれ使いながら飛んで行くので、その総重量はだんだん軽くなって行きます。
ロケットの総質量を、M(t)=M、使用した燃料の質量をm(t)=mとします。また、ロケットの速度をv(t)=v、ガスの噴出速度をu0とします。
M(0)=M0:  出発時のロケットの質量(kg)、      m0:出発時の燃料の質量(kg)、m(0)=0とは異なります。こちらは使用した燃料です。
t 秒後のロケットの質量は、M=M0-m(t)、また、       時刻t~t+dtの運動量の変化は、t秒後のMvから、
(M-dm)(v+dv)+dm(v-u0)=Mv+Mdv-vdm-dvdm+vdm-u0dm=Mv+Mdv-u0dm、(dvdmは微小のため省略)
この増加分が外力による力積と釣りあうのが運動量保存の式。
従って、Mdv-u0dm=Fdt
ここで、外力というのは、空気の摩擦抵抗ぐらいですから、宇宙空間では外力は全く働きません。つまり、Fdt=0です。
ロケット
従って、(M0-m)dv-u0dm=0…(1)
変数分離型の微分方程式なので (1)は、→   dv/u0-dm/(M0-m)=0
v/u0=-log| M0-m |+const
v=0のときm=0なので、const=log M0→   従って、v=u0 log(M0/M)…(2)
これが、ツォルコフスキーによって初めて見出されたツォルコフスキーの公式です。
燃料をすべて使い切ったロケットの最終質量をMKとして、ロケットの最終速度vKを求めることができます。
MK=M0-m0だから、vK=u0 log(M0/MK)…(3)
この式から、所定の速度を得るために積まねばならない燃料の量が求められます。
(3)から、log(M0/MK)=vK/u0、     ∴M0=MK+m0=MK exp(vK/u0)     ∴m0=MK{exp(vK/u0)-1}…(4)
宇宙空間では、最終速度が得られれば後は等速直線運動で宇宙の果てまで飛んで行ってしまいます。
ツォルコフスキー(1857~1935年)は、「宇宙旅行の父」とも言われるほど、宇宙旅行に情熱を注いだ人。下記は有名な言葉。
Планеста есть колыбель разума, но нельзя вечно жить в колыбели.
「地球は、人類のゆりかごである。しかし人類はゆりかごにいつまでもとどまっていないだろう。」
**планеста=惑星、衛星、колыбель=ゆりかご、 разум=理性、分別、 вечный=永久の、 жить=住む
Planest is the cradle of the mind, but you can't live in a cradle forever. →Земля - колыбель человечества, но человечество не будет оставаться в колыбели вечно.
“地球是人类的摇篮,但人类不会永远留在摇篮里。”Dìqiú shì rénlèi de yáolán, dàn rénlèi bù huì yǒngyuǎn liú zài yáolán lǐ.”

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静水圧とは

 アリストテレスは、力が物体に作用すると物体は動き(運動し)、力が働かなければ物は動かないと考えていた。コップに水を入れておいておけば、水は力が働いていないので動かない。しかし、コップは水が入ったため明らかに重くなっており、それが置いてある机により多くの圧力を与えるだろう。あなたが机を下向きに押せば、力が必要ですが机は動きません。また、あなたがいかに力持ちでもあなたの体重よりも大きな力で下向きに押すことは不可能です。ここで、作用反作用の法則を思い出してください。机が動かないということは、机から上向きの力が働いているのでしたね。動かないということは、力が働いていないのではなく、働いている力が釣り合っているためと分かることは大きな進歩です。
 では、圧力とは何でしょう。簡単に言えば単位面積当たりの力です。あなたが面積Sの板の上に乗り、あなたの体重がM(kg)とすると、その時の圧力P(N/m2)は、
P=M g/S 【N/m2】、    gは重力加速度で地上では、9.8m/s2、体重も正確には質量と言わねばなりません。ところがあなたが乗った板には本当に均等な圧力がかかっていたとは言えません。上のPは、平均の圧力です。実際には板の端と真ん中では異なる圧力でしょう。
 ちょっと話がそれますが、土木や建築の分野では、出来上がったコンクリートの強度を確認するために、現物と同じ条件で試験練(ねり)として拵(こしら)えた円柱の供試体を何本も造り、これを機械的に潰してどこまで耐えられるか試験します。この試験体をつくる円柱の大きさ等の仕様はキチンと決まっていて、これ以外は認められません。所要のコンクリート強度を確保するためには結構色々な条件を考慮する必要があるのです。強度というのはコンクリートの内部に発生する圧力に対する耐久力です。コンクリートの年齢(打設してからの時間経過)、配合(水、砂、砂利、セメントの量と割合)、温度等色々考慮する必要がありますが、円柱の大きさが決まっている最大の理由は、コンクリートの場合、内部の圧力の分布は均一にはならないためです。供試体が大きい方が耐久力があるようです。
 この点、水(流体)を対象にすると圧力はずっと簡単になります。水圧は、流体の中に仮想の面を考えると面がどちらに向いていても面に垂直な成分しかありません。上で述べたコンクリートのように面の向きで圧力の値が異なったり、面に平行な成分が発生するものを応力と称しています。詳しくは、材料力学等の分野を学ぶ必要があります。
【水中の一点に作用する水圧は、その方向にかかわらず強さが等しい】
静水圧の説明 左図に示すように、一辺が鉛直な三角形△ABCの単位幅のの仮想三角柱が水中にあるとする。ちょうどプリズムのような形。作用する力は下向きの重力だけです。二次元で考えて紙の厚さ方向は単位幅としています。
水平方向のに働く力は辺ABに働く圧力の合計と辺BCに働く圧力の合計の水平法の分力が釣り合います。鉛直方向は、辺ACに働く圧力の合計とプリズムの重さWを加えたものが辺BCに働く圧力の合計の鉛直上向きの力と釣りあっていないといけません。
ところが仮想のプリズムは大きさも任意なのでこれをうんと小さくして極限として0とすると、結局プリズムのどの面に働く圧力は同じ、つまりp1=p2=p3となることが分かります。圧力は小文字で表わしています。
でも、チョット騙された気がする人いませんか。仮想三角柱をどんどん小さくすればその重さも小さくなるけど、各辺に作用する力だって小さくなってしまうんじゃない。どうしてWだけ省略できるんだ。良く絵を見て下さい。各辺に働く力は辺の長さに比例するでしょう。でも重さはプリズムの面積(長さの2乗)に否定するので、小さくなる速さがずっと速いから無視できるのです。
鉛直筒体
結局水中の圧力は、深さが一定ならどの方向でも一定になります。金魚の水槽などに水を張って静かにおいておくと水は全く動かなくなるでしょう。インクを静かにスポイトで入れてもほとんど動かないですね。圧力に差があれば水は圧力の高い方から低い方に必ず動きます。材料が固体(剛体ではない)ではこうならず、応力テンソルという物理量が必要になります。物理の世界では水は理論化しやすい優等生なのです。




油圧機械の原理 結局静水圧とは深さだけの問題ですね。次に示すのはパスカルの原理とも言われているもので、「密閉容器中の流体は、その容器の形に関係なく、ある一点に受けた単位面積当りの圧力をそのままの強さで、流体の他のすべての部分に伝える。」 というもの。左側の小さな面積A1に思い切り大きな圧力をかけるとその圧力がそのまま大面積A2に伝えられる仕組みです。建設機械等に使われる油圧の原理もこれです。

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マグデブルクの半球

大気圧の力を示す歴史上有名な実験。17世紀のドイツでオットー・フォン・ゲーリケという人が行なった。
半球は、中が中空の2つの金属製の半球で、縦に2つに割ったメロンをイメージ。すきまなく接合するように作られ、この2つを合わせ、ゲーリケ自らが発明した真空ポンプで中の空気を抜く。間には濡らした動物の皮をパッキンとして使用。こうすると半球はぴったりくっつき、どんなに引っ張っても外れない。外側の大気圧によるものである。
ゲーリケはこの実験を公開実験で行った。最初のものは1654年5月8日、レーゲンスブルクの帝国議事堂前において、神聖ローマ皇帝フェルディナント3世の御前で行われた。このとき、16頭の馬(両側から2頭立ての馬が各4対)が双方から引っ張り、やっと半球は外れた。この実験により、デカルトが否定した真空の存在を証明した。「マクデブルクの半球」の呼び名は、当時ゲーリケがマクデブルク市長であったことに由来するそうです。1970年代にNHKの『ハテナゲーム』で再現されたそうです。

マグデブルグの半球マグデブルグの半球
   この実験を思考実験で確かめてみましょう。半球に作用する大気圧pは一様均等に作用しています。この合力を求めましょう。ところがpは、半球の上で方向が各々異なります。そこで、水の中に仮想の半球を考えます。この仮想に半球は静止した水の中にあるので当然動きません。だから右側の圧力の合計は、左側の半円の上に作用する圧力の合計です。また、圧力pを鉛直方向と水平方向に分けて、鉛直方向は上下方向が互いにキャンセルされて、水平方向だけ残り、上と同じことが言えます。本当は紙面を突き抜けるx方向も考える必要がありますが。上の説明ならどんな形でも適用可能です。
大気の圧力は、水に置き換えると、およそ10mの水柱に相当します。だから、
       p=1000kgf/m3×10m=10000kgf/m2
半球の半径rを30cmとすると、面積はa=πr2=0.2827m2
従って、馬が引張らなければならない力Tは、
      T=p×a=2827kgf=2.83ton、やはり相当大きな力だ。1kgf=9.8N(ニュートン)ですからT=27700Nの方が正式か。
大気圧は、p=98000N/m2=980hPaとなるが、実際にはだいたい1013.25 hPaとされている。だから10m水柱という大雑把な見積は3%程度少な目のようだ。
ところで、この検討では、半球(鉄製らしい)の肉厚は考慮されていない。中が中空でなくて本当に密実な半球でも接着面を平滑にして水でも入れて空気が入らないようにして密着すると半球は離れなくなる。接着面の水が乾かないと簡単には取れないはずだ。

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水理学再入門

 水理学とは、流体力学の中でも水だけを対象にする。気体には圧縮膨張や熱的変化等力学においても色々と考慮すべき事項が多い。その点水は非圧縮で、密度が一定。取りあえずモデル化しやすい。水理という呼び方は、どちらかと言うと土木や地球物理の分野で、川の流れや海の波、上下水道などの開渠や暗渠などでの実用的な流れの解析を中心に発達してきた。私自身、若いころ研究所で色々勉強したのですが、最近は使うことがなくてすっかり忘れていました。再度学び直して見ようとの趣旨から勉強を始めたので宜しくお付き合いの程を。

目次   
静水圧とは マグデブルクの半球 一次元流れ Eulerの運動方程式 流れ関数 速度ポテンシャル
時間に関する微分

静水圧とは

 アリストテレスは、力が物体に作用すると物体は動き(運動し)、力が働かなければ物は動かないと考えていた。コップに水を入れておいておけば、水は力が働いていないので動かない。しかし、コップは水が入ったため明らかに重くなっており、それが置いてある机により多くの圧力を与えるだろう。あなたが机を下向きに押せば、力が必要ですが机は動きません。また、あなたがいかに力持ちでもあなたの体重よりも大きな力で下向きに押すことは不可能です。ここで、作用反作用の法則を思い出してください。机が動かないということは、机から上向きの力が働いているのでしたね。動かないということは、力が働いていないのではなく、働いている力が釣り合っているためと分かることは大きな進歩です。
 では、圧力とは何でしょう。簡単に言えば単位面積当たりの力です。あなたが面積Sの板の上に乗り、あなたの体重がM(kg)とすると、その時の圧力P(N/m2)は、
P=Mg/S 【N/m2】、
gは重力加速度で地上では、9.8m/s2、体重は正確には質量と言わねばなりません。ところがあなたが乗った板には本当に均等な圧力がかかっていたとは言えません。上のPは、平均の圧力です。実際には板の端と真ん中では異なる圧力でしょう。
 ちょっと話がそれますが、土木や建築の分野では、出来上がったコンクリートの強度を確認するために、現物と同じ条件で試験練(ねり)として拵(こしら)えた円柱の供試体を何本も造り、これを機械的に潰してどこまで耐えられるか試験します。この試験体をつくる円柱の大きさ等の仕様はキチンと決まっていて、これ以外は認められません。所要のコンクリート強度を確保するためには結構色々な条件を考慮する必要があるのです。強度というのはコンクリートの内部に発生する圧力に対する耐久力です。コンクリートの年齢(打設してからの時間経過)、配合(水、砂、砂利、セメントの量と割合)、温度等色々考慮する必要がありますが、円柱の大きさが決まっている最大の理由は、コンクリートの場合、内部の圧力の分布は均一にはならないためです。供試体が大きい方が耐久力があるようです。
 この点、水(流体)を対象にすると圧力はずっと簡単になります。水圧は、流体の中に仮想の面を考えると面がどちらに向いていても面に垂直な成分しかありません。上で述べたコンクリートのように面の向きで圧力の値が異なったり、面に平行な成分が発生するものを応力と称しています。詳しくは、材料力学等の分野を学ぶ必要があります。
【水中の一点に作用する水圧は、その方向にかかわらず強さが等しい】
静水圧の説明図-1 鉛直筒体図-2
図1に示すように、一辺が鉛直な三角形の単位長さの仮想三角柱が水中にあるとする。鉛直としたのは、この三角柱に作用する力は下向きの重力だけとしているから。
結局水中の圧力は、深さが一定ならどの方向でも一定になります。材料が固体(剛体ではない)ではこうならず、応力テンソルという物理量が必要になります。
鉛直筒体図-2
結局静水圧とは深さだけの問題ですね。次に示すのはパスカルの原理とも言われているもので、「密閉容器中の流体は、その容器の形に関係なく、ある一点に受けた単位面積当りの圧力をそのままの強さで、流体の他のすべての部分に伝える。」 というもの。建設機械等に使われる油圧の原理もこれですね。
油圧機械の原理図-3

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マグデブルクの半球

大気圧の力を示す歴史上有名な実験です。17世紀のドイツでオットー・フォン・ゲーリケが行ないました。
半球は、中が中空の2つの金属製の半球で、縦に2つに割ったメロンをイメージ。すきまなく接合するように作られ、この2つを合わせ、ゲーリケ自らが発明した真空ポンプで中の空気を抜く。間には濡らした動物の皮をパッキンとして使用。こうすると半球はぴったりくっつき、どんなに引っ張っても外れない。外側の大気圧によるものである。
ゲーリケはこの実験を公開実験で行った。最初のものは1654年5月8日、レーゲンスブルクの帝国議事堂前において、神聖ローマ皇帝フェルディナント3世の御前で行われた。このとき、16頭の馬(両側から2頭立ての馬が各4対)が双方から引っ張り、やっと半球は外れた。この実験により、デカルトが否定した真空の存在を証明した。「マクデブルクの半球」の呼び名は、当時ゲーリケがマクデブルク市長であったことに由来するそうです。1970年代にNHKの『ハテナゲーム』で再現されたそうです。

マグデブルグの半球マグデブルグの半球
   この実験を思考実験で確かめてみましょう。半球に作用する大気圧pは一様均等に作用しています。この合力を求めましょう。ところがpは、半球の上で方向が各々異なります。そこで、水の中に仮想の半球を考えます。この仮想に半球は静止した水の中にあるので当然動きません。だから右側の圧力の合計は、左側の半円の上に作用する圧力の合計です。また、圧力pを鉛直方向と水平方向に分けて、鉛直方向は上下方向が互いにキャンセルされて、水平方向だけ残り、上と同じことが言えます。本当は紙面を突き抜けるx方向も考える必要がありますが。上の説明ならどんな形でも適用可能です。
大気の圧力は、水に置き換えると、およそ10mの水柱に相当します。だから、
       p=1000kgf/m3×10m=10000kgf/m2
半球の半径rを30cmとすると、面積はa=πr2=0.2827m2
従って、馬が引張らなければならない力Tは、
      T=p×a=2827kgf=2.83ton、やはり相当大きな力だ。1kgf=9.8N(ニュートン)ですからT=27700Nの方が正式か。
大気圧は、p=98000N/m2=980hPaとなるが、実際にはだいたい1013.25 hPaとされている。だから10m水柱という大雑把な見積は3%程度少な目のようだ。
ところで、この検討では、半球(鉄製らしい)の肉厚は考慮されていない。中が中空でなくて本当に密実な半球でも接着面を平滑にして水でも入れて空気が入らないようにして密着すると半球は離れなくなる。接着面の水が乾かないと簡単には取れないはずだ。

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一次元流れ

一次元流れ

流体というものは形が決まってないことが非常に扱いづらい原因ですね。まず、一番簡単なモデルとして、非圧縮流体の定常流一次元モデルを考えます。ここで流線というものを導入します。流れの中で流線は常に一定で流体要素(微小な水の塊)は常にこの上を通ります。流れは流線を横切らないので、流線で囲まれた流管も考えることが出来ます。イメージとしては流し素麺みたいな感じ。実際に管路を考えてもいいのですが取りあえず摩擦は無しとしています。
流体で非圧縮とするとその代表は水です。空気は基本的には圧縮性ですが、特殊な条件では非圧縮として簡単化できることもあります。水も本当は圧力を加えると本の少しは縮むのですが、実用上は非圧縮として扱われることがほとんどです。非圧縮の水を主に扱う分野は水理学とも呼ばれ、河川や海の流れ、管路の設計などに応用され、土木や機械の分野では必修事項となっています。
【質量保存の法則→連続の式】
上の管路の中では、流体は湧き出したり、吸い込まれたりしないとしましょう。当然、管路の入り口から入った水は同じ量だけ出口から出て行きます。もし、そうならないとすると途中で増えたり減ったりした水はどこへ行ったのでしょうか。つまり、
  (流量)=(単位時間に管路に入った流量)=(単位時間に管路から出た流量)
流量は、流速×断面積です。つまり、単位時間にある断面を通過する水の質量を意味します。従って、
    u1A1=u2A2=uA(任意の断面)…(1)
流れの速さは、断面積に反比例です。このことは野外活動で川を対象とする場合は必要な知識ですね。川幅が狭い所は流れが速い。渡るときには気をつけて下さい。
【運動量の保存則】
一次元流れ 運動量とは、その物体の質量に速度をかけたものでした。運動の勢い見たいなものです。定常な流れでは、運動量も保存されます。
上の流管で、左から入って来る運動量を考えましょう。短時間に入って来る流量は、u1A1です。質量はこれに密度を掛けます。水の場合は非圧縮としてρとします。また、またこの時の流速はu1です。
従って、上に管で単位時間に流入(流出)してくる運動量は、
運動量in=ρA1u12
同様に流出する運動量は、
運動量in=ρA2u22
次に、この流管に作用する力を求めないといけませんが、下側の絵に示すように、 流管に作用する力は、p1A1-p2A2+F
と簡単に求めることが出来ます。 ただし、座標軸は流れの方向を正としています。
従って、運動量の保存式は、
ρ(A2u22-A1u12)=p1A1-p2A2+F…(2)
一般の力学では、(運動量の変化)=(力積F△t)となりますが、単位時間を考えているので力そのものとなります。ある意味では剛体の力学よりも楽かも知れません。

以下には、この運動量の保存則(2)式の応用例を図に示す。 水ジェット
消防用のホースから水が噴出しています。今、人が板を持って支えていますがどの位の力がかかっているのでしょう。まず、水の密度SI単位系では、1000kg/m3。ノズルからの流速はu=30m/sです。
ノズルの径は20mmなので0.02m、断面積はA=(0.02)×π/4=10-4πm2
運動量方程式は、出口の速度はu、板に当たった時は0です。
0-ρAu2=-F、Fは板からジェットの出口に向かう力、ジェットは右向きのFの力を加えている訳です。
F=ρAu2=1,000×(10-4π)×302=90π=283【N】
この力は28.9kg重で、小さな子供の体重程度なので、なんとか人一人で支えられる力のようです。

【エネルギーの保存則】
 ここでは、単位質量当たりのエネルギーで考えます。水の微小要素については、単位質量当たりの運動エネルギーは、(1/2)u2となります。次に圧力のする仕事は、
(仕事)=(力)×(変位)=(pAu; 断面における単位時間当たりの仕事)であり、この断面には単位時間当たりρAuの質量が流れ込んでいる。従って、単位質量当たりの仕事は、
(単位質量当たりの仕事)=pAu/ρAu=p/ρ
あと一つは、位置エネルギー。これは重力加速度を用いてgzとすれば良い。以上をまとめると、
(1/2)u2+(p/ρ)+gz=一定…(1)
この式が流管内のどの断面でも成り立つわけです。
位置エネルギーが変化しないとすると、
(1/2)ρu2+p=p0=一定…(2)
ここで、左辺第一項を動圧、第二項を静圧、右辺p0を総圧(全圧)と呼んでいる。
また、p/w=p/ρg=Hを圧力水頭(m)と称し、(1)式を
(1/2g)u2+Hp+z=一定
として、各項を水頭として長さの単位で表すことが土木の世界では一般です。速度水頭、圧力水頭、位置水頭と呼んでいます。農業用の取水堰のことを頭首工(Head Work)というのもこれと関係しているかも。水位をせきあげして水頭を大きくするのですね。

水理学再入門

Eulerの運動方程式…三次元

普通、水理学や流体力学の教科書では、直方体の微小なサイコロdx,dy,dzモデルを使って、出入りする質量、運動量を勘定し微分方程式を導くのが筋でしょうが、それは、どの本を見ても書いてあると思います。ここではやや難解であることを覚悟して、ベクトル解析的な方法をトライします。というのは、この後電磁気学を学ぶ際に、最終的の目標とするマクスウェルの方程式がベクトル形式で表現されているからです。
ガウスの定理
ちょっと、電気磁気学に寄り道すると、この理論が出来る時点では電子の存在は知られていませんでした。電荷の流れが電流、ちょうど流体力学と同じ考えが用いられるのです。電流がプラスからマイナスに流れる。ちょうど電子の流れと逆向きなのはそのためです。体系が確立してしまったので電子が発見されても電流の向きは逆には出来なかったのでしょう。

検査面とは空間内の適当な仮想の閉局面。仮想の立体だ。そこに出入りする質量を考えれば良い。閉局面内での質量の増加は、密度の変化を合計すれば良く、その合計は面か出入りする流体の合計だ。きわめて当然のことを言っているだけです。
まず、図の最初に出てくる▽とdiv(発散)という記号。これは微小な要素から湧き出す何かの量と考えれば良いのです。検査体積はたくさんの微小サイコロから出来ていると考えると、隣り合うサイコロから出てくる矢印は次のサイコロでは入ってくる矢印となって、互いに打消し合って、最終的には表面の部分しか残らないということを一般的の表したのガウスの定理です。この積分定理を用いると、適当な検査体積における体積分→面積分、面積分→体積分の変換が自由に行えることになります。

連続の式 ガウスの定理を使えば(1)式の右辺も体積分に直せます。この時検査体積が任意のものであることがポイント。任意の計上で成り立つを言うことは積分記号を外した状態で等号が成り立つことになります。このようにして連続の式は簡単に導くことが出来ました。同じようにしてEulerの公式も誘導できるはずです。

水理学で頻繁に出現する (D/Dt)=u(∂/∂x)+v(∂/∂y)+w(∂/∂z) は、とても大事。流体の微小要素が時々刻々動いていることに起因しているのです。x,y,zの各成分に分解して記すると下記のとおりです。
Eulerの公式3

水理学再入門


流れ関数

完全流体(粘性を無視)の2次元流れでは、流れ関数Ψが定義できます。渦度が0のとき、ラプラスの方程式を満たします。
流れ関数 まずは、2次元の流れを考えて、そこに流線を考えてみます。定常な流れを考えると流れの中に沢山の流れにそった線を考えることが出来ると思います。
次の渦度ベクトルωいうものを導入します。微分演算子∇と流速uの外積なのですが、形式的ですが行列式の形表わしておくと分かりやすと思います。今は2次元で考えているのでこのベクトルはk成分だけが残ります。方向は平面から鉛直上向きのベクトルですが、2次元流れなので大きさだけを考えればOKです。
ここで、流れ関数を左のように決めます。これを上の流線の式(1)に入れれば、dΨ=(∂Ψ/∂x)dx+(∂Ψ/∂y)dy=0が求まります。dΨは全微分の形になっています。


流れ関数 渦度が0ということは流れ関数は△Ψ=0、すなわちラプラスの偏微分方程式を満足します。

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速度ポテンシャル

速度ポテンシャル 渦がない完全流体では、速度ポテンシャルΦを定義することが出来ます。速度ポテンシャルの勾配(∇Φ)が流速を表します。ポテンシャルは、電気磁気学や重力の話でも出て来る重要な考えで。渦がない非圧縮流体とすれば、境界条件さえ決まれば、流れの状況が分かるようになります。つまり、流速が速度ポテンシアルで表されることと渦度がゼロということは同値です。

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時間に関する微分

時間微分

水理学再入門

力学も面白い

複素数と流体力学

流体の運動を解析するにあったては、まずは2次元の簡単な場合から取り掛かるのが自然であろう。二次元の場合の、速度ポテンシャルφと流れ関数ψの組合せ、これを組み合わせて作られた複素ポテンシャルw。結果は、実に美しい複素数の世界が構築されることになる。
目次
複素速度ポテンシャル 一様な流れ 湧き出しと吸い込み 二重湧き出し

複素速度ポテンシャル

流体の運動を解析するにあったては、まずは2次元の簡単な場合から取り掛かるのが自然であろう。二次元の場合の、速度ポテンシャルφと流れ関数ψの組合せ、これを組み合わせて作られた複素ポテンシャルw。結果は、実に美しい複素数の世界が構築されることになる。
複素ポテンシャルをwとしよう。  w=φ+iψ…(1)
ここで、φ; 速度ポテンシャル、  ψ; 流れ関数である。φやψは、座標x、yで微分すればその成分として、速度の成分(u、v)が現れて来ます。
だから、2次元座標で、x方向を実軸、y方向を虚軸として、φとψを結合した一つの複素ポテンシャルwを使って、複素平面上で統一的で美しい理論展開が可能になるのです。
複素ポテンシャル (1)を微分してみよう。
   dw/dz=lim△w/△z=lim{w(z+△z)-w(z)}/△z     (△z→0)
となるのだが、この微分dw/dzは△z→0の時、一定の値を取るという保証はない。ただそのような関数も存在しており、このような関数を正則関数と呼ぶ。微分可能な関数ということです。実は二次元の複素速度ポテンシャルを用いた華麗な理論は正則関数の場合だけにしか成り立たないのですが、結構実際の流体にも近似的うまく適応できる場合が多いようです。
先の(1)の微分は、dw/dz=dφ/dz+idψ/dz…(2)
で、zの近づき方によらないので、△z=△x+i△yで、△xか△yのどちらかを0に固定して、
△x→0としても、△y→0としても同じ値を取らないといけません。
   dw/dz=∂w/∂x=∂φ/∂x+i∂ψ/∂x
   dw/dz=∂w/i∂y=∂φ/i∂y+i∂ψ/i∂y=-i∂φ/∂y+∂ψ/∂y
正則関数では、この2つの微分は一致しなけらばならないので、複素数の実部と虚部を各々比較して、
      ∂φ/∂x=∂ψ/∂y,    ∂ψ/∂x=-∂φ/∂y …(3)
この式は、とても重要な公式でコーシー・リーマンの関係式と呼ばれるものです。

一方、速度ポテンシャルと流れ関数と速度の成分には次の関係があります。
∂φ/∂x=u,    ∂φ/∂y=v,    ∂ψ/∂x=-v,    ∂ψ/∂y=u   
以上のことをまとめると、
     dw/dz=∂φ/∂x+i∂ψ/∂x=-i∂φ/∂y+∂ψ/∂y=u-iv
u+ivを複素速度、u-ivを共役複素速度と呼ぶことになっています。


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複素数と流体力学

一様な流れ

具体例の最初は、最も簡単ない「一様な流れ(uniform flow)」から。
一様な流れ
複素速度ポテンシャルは、w=Az…(1)です。 Aは複素定数で、A=a+ib、   z=x+iy
従って、w=(a+ib) (x+iy)=ax-by+i(ay+bx)
wをzで微分すれば共役複素速度が得られる(dw/dz=u-iv)。
正則関数だから、dw/dz=∂w/∂x=∂w/i∂y
dw/dz=∂w/∂x=a+ib、すなわちu=a、v=-b、
同様にして、dw/dz=∂w/i∂y=-i∂w/∂y=a+ibで上と同じ結果になる。つまり(1)が正則関数という仮定は正しかったわけ。
つまり、(1)式はx方向の速さがu=a、y方向の速さがv=-bの一様な流れを示しています。
合成した速度は、U=√(x2+y2)とすると、
    u=Ucosα=a
    v=Usinα=-b
複素数では有名なEulerの公式がある。e=cosα+isinα
この式を使うと、w=Ue-iα z…(2) これが、一様な流れを表す複素ポテンシャルの極形式による表示です。

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複素数と流体力学

湧き出しと吸い込み

原点を中心に湧き出してくる水、吸い込まれていく水を想定すればいいでしょう。
湧き出しの場合の複素速度ポテンシャルはチョット天下り的ですが、
    w=m・log z (mは正の実定数)…(1)
これを微分すると、dw/dz=m/z=m/(x+iy)、実は正則な複素関数は実数の関数と同じように微分できる性質があるんです。
     dw/dz=m x/(x2+y2)-i m y/(x2+y2)
さらに、(x,y)=(rcosθ, rsinθ)とおいて極座標に変換すると、
     dw/dz=m r cosθ /r2-m r sinθ/ r2         =m cosθ/r-m sinθ/r
従って、u=(m/r) cosθ、 v=(m/r) sinθ
合成した流速は、U=√ (u2+v2))=m/r、つまり角度θにかかわらず一定です。速度は半径に反比例しています。
湧き出し
次に半径r1、 r2の円を考えて、その円から出ていく流出量を考えると、
    2πr1 (m/r1)=2π m
    2πr2 (m/r2)=2π m
湧き出しが原点に一つしかなく、円周の長さは半径に比例、流速は半径に反比例、つまり円周から出ていく流量は半径にかかわらず一定になる。勿論そうならないのは、どこかの半径の円に流体がたまってしまうという不合理なことが生じるからだ。
吸い込みの場合は、全く同じ理屈が成り立ち、mを-mに置き換えればよい。
また、原点に湧き出しがないときは、w=m log(z-z0)、  z0は、湧き出しの位置として、z'=z-z0という変数変換を行えば、同じ式が成り立つ。

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二重湧き出し

この二重湧き出しというのは、原点の近傍に湧き出しと吸い込みが同時に存在するというとても変わった場合です。こんなものを考えて何の役に立つのでしょうか。そもそも同じ場所から湧き出しと吸い込みがあれば結局は何もないのと同じではないのか。まずは原点の近傍のx軸上(-δ, 0)に湧き出しがあり,原点(0,0)に吸い込みがある場合を考えます。
湧き出し
先の湧き出しと吸い込みの式を利用すれば、
     wーmlog(z+δ)-mlogz…(1)
     w=limδ→0(mδ){log(z+δ)-logz}/δ…(2)
ここで、チョット変な仮定ですが、δ→0の時、m→∞なって、μ=mδは一定値を取るとします。
すると、 w=μd/dz log z=μ/z …(3)
     w=μ/(x+iy)=μ(x-iy)/(x2+y2)
     w=μx/(x2+y2)-iμy/(x2+y2)、従って、w=φ+iψとすると、
     φ=μx/(x2+y2)、ψ=-μy/(x2+y2)となります。
ψ=C(定数)とすると、-μy/(x2+y2)=Cから
x2+y2+(μ/C)y=0となり、ψが一定の曲線はCをパラメータとする円群となりますが、これは流線を表します。

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