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ゴルフの力学

目次
ミート率について 飛距離の力学(1) ロフトと飛距離
スイングロボットを造ろう ゴルフのルール ゴルフスィング動画

ミート率について

ゴルフのプロはヘッドスピードを上げることよりも、ミート率を上げることをより重要視しているそうだ。この率と言う言葉、通常の打率、防御率、事故率などの使い方と少し違って、分かりにくい。定義は以下の通りだそうです。
         ミート率=ボールの初速/インパクト時のヘッドスピード ……(1)
なんだ、それなら初めから速度比とでも言ってくれればいいのに。まあ、そういうのが習慣となっているので今さら仕方がない。 アマチュアゴルファー、ヘッドスピードを上げるため練習に余念がないが、確かにいくらヘッドスピードを上げてもボールに伝わらなければ意味がない。ならば、きちんと芯を食ったあたりをすればいいのか。あるいはもう少しコツがあるのか。ちょっと、力学の知識を使って考察して見ましょう。
その前に、理想的なミート率は、ドライバーを含め長いクラブでは、1.5がベスト。上級者をめざすなら、1.4以上は欲しいと言われています。逆にバンカーでのサンドウェッジでは、0.9位になることもあるとのこと。わざとミート率を落とすこともテクニックということか。
     まず、質量(力学では重さとは言わない)Mのヘッドが、速度Vでボールにぶつかります。 その結果、質量のボールは初速で飛び出します。 この時、クラブが理想的な振り子運動をしていれば、水平方向の成分だけを考えた場合、余計な力などは無視できます。
ここで適用するのは、運動量の保存則、高校の物理の領域です。
        MV=MV´+mv       …(2)
        ミート率の定義は、ミート率;μ=v/V        …(3)
あるいは、これを書き換えて、v=μV        …(4)
おなじボールの初速なら、(3)からμはゆっくり振ってVを小さくした方が、μは上がります。確かにゆっくり振った方がボールの芯に当て易いので一理ありますね。また、(4)から、同じヘッドスピードなら、μが大きい方が球は飛ぶでしょう。プロがμに拘る理由も分かります。ところで、(2)から、
        v=(M/m)(V-V´)=(M/m)△V      …(5)
ただし、△V=V-V´
は、インパクト直後のヘッドスピードです。良く、一般にはクラブはインパクト後も加速するように振れと言われますが、現実には絶対不可能です。しかも、減速の割合△Vが大きいほどが増える。つまり、よく飛ぶということになります。
更に、高校の物理では、エネルギーの保存法則も習っていました。
        (1/2)MV2=(1/2)MV´2+(1/2)mv2
(1/2)MV2=(1/2)M(V-△V)2+(1/2)mv2
ところで、(V-△V)2=V2-2V△V+(△V)2≒V2-2V△V
(△V)2は、微小量なので省略します。
すると、エネルギー式から、
    (1/2)MV2(1/2)MV2-MV△V+(1/2)mv2
         (1/2)mv2=MV△V       …(6)
ここから、ボールにエネルギーを与えるには、ヘッドスピードVと速度減△Vの積を最大にすればよいことになります。どうやらナイスショットのコツは、インパクトの瞬間にはシャフトからボールへの一切の力が加わらない完全な振り子の状態がベストのようです。つまり、ボールからの反作用がすべてヘッドの減速に使われる状態を目指せば良いことになりそうです。

【ミート率に関する追記】
実は、ミート率の理論的な最大値は次のように求められます。
質量Mのクラブヘッドが、速度Vで質量mのボールに衝突して、ボールが速度vでとびだします。その時、クラブヘッドはボールにエネルギーと運動量を渡して、自身の速度は△Vだけ遅くなるはずです。
運動量保存則とエネルギー保存則が成立します。
        MV=mv+M(V-△V)……①
        (1/2)MV2=(1/2)mv2+(1/2)M(V-△V)2……②
    ①は両辺にMVがあるので、M△V=mv……③
    ②は、次のように書き換えられます。
        MV2=mv2+M(V2-2V△V+△V2)
        2MV△V=mv2……④
ここで、△Vは、Vと比べて相当に小さい(クラブが減速したことは感じないでしょう)ので。△V2は、無視できるとします。すると、③を④を代入して
        2mvV=mv2、つまり2V=v
となりますから、ミート率μ=v/Vは、μ=v/V=2
つまり、エネルギーのロスが全くなくヘッドの持つすべてのエネルギーがヘッドの進行方向に伝えられれば、ミート率を最大2まで上げることは可能ということです。
でも、実際にはヘッドにはロフトがついていて上向きに力がロスするし、ボールの反発係数も1.0よりは小さく、それにボールを打つ時に出る音もエネルギーロスの原因です。プロでも1.5位がナイスショットとしているみたいです。

ゴルフの力学

飛距離の力学(1)

 まず、一番単純なモデルから。地面からボールを打ち上げます。下の図を参照下さい。ボールは止まっていて、原点(0,0)に静止しています。これをゴルフクラブでぶっ叩きます。ここからボールの飛距離を計算することにします。まず、ティーグラウンドでティーアップします。この時ボールの作用する力を運動方程式で表すと下記の通りです。座標軸yは、鉛直上向きに正、z軸はボールの飛ぶ方向を正とします。
        d2x/dt2=0……(1)
        d2y/dt2=-g……(2)
さて、クラブヘッドで速度Vでボールを叩き、ボールは速度v、仰角θで飛び出します。ボールの質量mは、ここでは関係なし。バレーボールでもピンポン玉でもパチンコ玉でも同じですが、パチンコ玉では、軽量のドライバーのヘッドは、破損してしまうでしょう。さて、ここでショットを行います。初期条件は以下の通りとなります。

ボールの弾道

t=0で、          (x,y)=(0,0),
         (dx/dt, dy/dt)=(v cosθ, v sinθ)
(1)から、
         dx/dt=C1=vcosθ……(3)
         dy/dt=-gt+C2=-gt+v sinθ……(4)
もう一度、積分して、
         x=v cos・t+C3=v cosθ・t ……(5)
         y=v sinθ・t-(1/2)gt2+C4=v sinθ・t-(1/2)gt2……(6)
これは、有名な放物線です。(4)から、ボールが一番高く上がった時点で、dy/dt=0
だから、この時刻がt=v sinθ/g、ボールが落下するのは、この2倍の時間で、
その時の飛距離xcは、t=2 v sinθ/gを(5)に代入して求まります。
すなわち、xc=v cosθ・2 v sinθ/g=(v2/g)sin 2θ……(7)
(2 sinθcosθ=sin 2θ、2倍角の公式)
(7)を再度、書き直します。
          xc=(v2/g)sin 2θ…… (7)
sin 2θの最大値は1で、θ=45°の時、飛距離は、最大でxc=v2/g となります。
この時、ボールの初速は、v=√(g xc) ですが、ドライバーの飛距離で200m(222yd)とすると、v=44.3m、ミート率を1.4として、ヘッドのスピードは31.6m/s。少し遅すぎる気がしますが。ボールの初速を50m/sとして試算が上の図です。
 ところで、この結果は現実問題として受け入れ難いでしょう。中高の理科で教わる通り、放物線の軌道は、打出し角が45°の時、飛距離が最大になります。角度が10°では、キャリーの飛距離は著しく落ちてしまいます。でも、ゴルフのボールは地面に置いてあります。ティーアップしたドライバーでも、地面から精々2cm位浮いているだけ。ヘッドは、ボールにほとんど水平に当たるはずです。上向きの45°に打つことなど絶対に不可能です。ということは、水平に当たってもボールが浮くのは、クラブのロフトのせい?

ゴルフの力学

ロフトと飛距離

塗り壁クラブ

 ロフトの影響を考えるため、超大型のクラブヘッドを考えて見ます。ロフト角θの塗り壁がボールに速度Vで衝突します。この時、塗り壁に固定した座標では、ボールが速度マイナスV、入射角θでぶつかることになります。反射の法則から、入射角=反射角ですから、図に示すように水平に対しての角で上向きにボールは反射されます。ロフトの角度は2倍で利くのですね。反射したボールの速度は、エネルギーのロスがなければVですが、実際には、ボールや壁のわずかな変形でエネルギーが消費され、v=eVとなります。eを反発係数と称します。本当はボールの方が止まっていて、ヘッドが動いているので、ボールはヘッド速度Vとボールの速度vのベクトル和(方向が一致してないから)で表されます。従って、ベクトル和V+vの成分を計算すると、
         水平x方向; v cos2θ+V=eVcos2θ+V=V(1+ecos2θ)
         鉛直y方向; v sin2θ=eVsin2θ
         合力=V√((1+ecos2θ)2+(esin2θ)2)=V√(1+2e cos2θ+e2)
ここで、最初に求めたミート率を求めて見ると、
          ミート率μ=ボールの初速/インパクト時のヘッドスピード
              =√(1+2e cos2θ+e2)……(1)
ここで、完全弾性衝突を仮定すると、e=1で、
         μ=√(2+2 cos2θ)……(2)
また、ロフト角度0の場合は、
          μ=√(1+2e+e2)=√(1+e)2=1+e
なんと、ロフト角0で、完全弾性衝突(e=1)すれば、ミート率は2.0とすることが出来るんです。しかし、ロフト角0では、ボールはゴロしか出ませんし、eは1以下、プロでもミート率は1.5位が最大と言われています。eの値はボールの硬さ、ヘッドの材質、ヘッドスピード等色々な要素が絡むので理論的には求められませんが、ドライバーの反発係数は、0.83以下とルールで決められています。取りあえず0.8位と考えておきます。
(1)式でe=0.8、θ=10°なら、cos2θ=0.94、μは何とμ=1.77。プロ以上です。e=0.7でも、μ=1.67となります。
 今回の検討で、塗り壁君流のショットなら、ミート率、ボール初速ともかなりのプロレベルを越えてしまいます。。しかし、ボールの打出し角度はもう少し大っきくしたいですね。また、実際のショットは生身の柔な人間様が行うもの。もう少し、現実に近いモデルを造る必要があります。この際使える物理法則は、運動量の保存則だけ。エネルギーは、反発の際に生じるボールやクラブの変形で熱として逸散してしまいます。また、ボールの打出し角度も考える必要があります。これにはボールの回転を考えなければなりません。ボールの回転は周囲の空気との相互作用で初めて効果を現します。そのためには、若干の流体力学の知識も必要になります。
 まず、空気による抵抗はボールにボールの進行方向の逆向きに働く抗力とボールの回転により進行方向と直角に作用する揚力に分けられます。
抗力については、ほぼボールの速度に2乗に比例する力となります。すなわち、
F=CDv2
ただし、抗力はボールの飛距離を減らす方に作用します。アゲインストの風の中で打ったボールが飛ばないのと同じ理屈です。空気の薄い高山でゴルフをすると飛距離が増すのでしょうか。多分そうでしょうね。ボールのディンプルは、この抵抗を大幅に減らす工夫ということ。ボールは、放物線と比べかなり直線的に飛んだあと、急激に落下する形で飛ぶことになると思われます。
一方の揚力の方はどうなのでしょうか。ボールが曲がるのは、マグヌス効果と知られています。空気が無い所ではこの効果は出ないので本当に直線運動なのでしょうか。フックボールやスライスボールに悩むゴルファーも多いと思いますが本当に空気がない所ではボールは曲がらないのでしょうか。多分そうでしょう。ただ上向きの揚力は飛距離アップに寄与するでしょう。ただ低いボールでもカート道を転がって行けば相当距離を稼げることも事実。そうです、もう一つ飛距離に関係する大きな要素を忘れていました。ボールが着地してから受ける地面からの摩擦力です。摩擦力を無視したモデル。落ちたボールは等速直線運動で何か障害物に衝突しない限り永久に進み続ける。そう、カーリングのように小さな力でも結構な距離を進むでしょう。もちろん摩擦力は現実には0にはなりませんが、実際のドライバーショットでも低くて強い球は飛距離も大きいことはみなさんも経験から感じておられると思います。つまり、最大の飛距離は放物線の理論値より遥かに低い打出し角度なんだろうと推定されます。

ゴルフの力学

スイングロボットを造ろう

どんな球を打てば良いかが分かれば、次はどのように打てば良いか。つまり、どんなスィングをすれば良いかが課題です。これば分かればだれも苦労しません。ここでは、スィングとは力学的見てどのような動作かの原理的な部分だけを見て見ましょう。
まず、思考実験としてゴルフロボットを考えて見ます。まず、スタンスを取った人から骨組みだけを取り出し、さらにスィングプレーンだけを取り出した平面を作ります。基本的には単なる振り子の運動と同じです。このスウィングプレーに沿って単純にクラブを回すだけ。実際にはこれに重力の作用も考える必要があるでしょうが、パターやアプローチでなければこの影響はとても小さい(微調整で調整が利く)ものとして無視します。するとこのスウィングの平面の向きは鉛直だろうが水平だろうが関係なくなります。そこで水平面内で重力の作用を考えないでモデルを作れます。
ゴルフスィング
さて、体を捩じってクラブをあげていくプロセス、機械ならゼンマイというのか渦巻き状のバネを使えますが、人体を想定すると人の筋肉の動きをまねないといけません。ゼンマイなら巻く時に大きな力が必要でしょうが、ゴルフのテイクバックにはほとんど力は必要としません。人の筋肉は伸ばしたものが縮むだけ、縮んだ筋肉は自然と伸びるだけで力になりません。まして回転等不可能。
軸の回転
回転する力はトルクで表します。トルクは2つの同じ大きさの力で反対向きに引張れば得ることができます。この2つの力は互いに偶力と言って大きさは同じで、合力は0ですが、回転する力を生じます。体の軸に沿って筋肉を適切に使うことで最大の偶力を生み出すことが理想的なスウィングを作るコツなりそうです。軸を回転させることができる筋肉、足、腰、肩をどのように動かせば良いかですね。
この偶力を利用すれば、ゴルフのスィングはテイクバックで体の右サイドの筋肉で左サイドの筋肉を引張り(右利きの場合)、回転角を作り力を貯めます。ここで力を解放すると、今度は左サイドの筋肉が縮み、右サイドは自然と延ばされます(筋肉は自分からは伸びません)。簡単に言えばゴルフスィングとはこれだけのことです。インパクト時点で回転角はほぼゼロ(アドレスの時点)の戻り、それ以降は惰性で右サイドの筋肉が縮んで行くことになります。
回転バネ
図は、これを簡略化して示したもの。回転するバネです。普通のバネは縮んだ長さに比例して力が作用しますが、回転バネは回した分だけ力が発生します。微分方程式の形は全く同じ。変位x(長さ)が変位θ(回転角)に変わり、質量mが慣性モーメントIに変わります。慣性モーメントは、回りにくさを表す量。回転する各々のパーツの質量に腕の長さの二乗を掛け合わせて加えたもの。ここではまず一次近似としてクラブヘッドの質量Mだけを問題にします。本当はクラブのシャフトやクラブを振る人自身の慣性質量も考慮したいのですが、腕の長さの2乗の利きが大きいのでまずはこのようにしましょう。実は、この式バネの単振動の式です。スィングでは振動しませんが、練習には取り入れる価値はあるかもね。
バネの振動は、初等物理に現れる定番ですね。kをバネ定数(復元力)とすると、
     m(d2/dt2)=-kx、ω=√(k/m)とすると、d2x/dt2=-ω2x
これは、解が分かっており、x=Asin(ωt+δ)となります。Aとδは初期条件などから求めねばなりません。
全く同様にして、このモデルでは、
     I(d2θ/dt2)=-Kθ、I=ma2
     ω=√(K/I)=√(K/ma2)とすると
     θ=Asin(ωt+δ)…①
これは、まさにバネで往復運動する振り子の方程式です。一般の振り子は重力だけ(ただし振幅は微小)が復元力ですが、この場合はバネが復元力となります。A=θ0(テイクバック時の捩じり角)とするのは問題ないでしょう。
初期条件としては、t=0で、dθ/dt=0(切り替えし時はクラブは静止)です。
     θ=-θ0だから、δ=-π/2
①をtで微分すると、dθ/dt=θ0ωcos(ωt+δ)…②
δ=-π/2なら確かにdθ/dt=0となります。
     つまり、①の解は、θ=θ0sin(ωt-π/2)…③と求まります。
また、dθ/dt=θ0ωcos(ωt-π/2)…④
角度をテイクバックでθ=-θ0まで捩じり、インパクト時にはθ=0、それ以降にはプラスになるように角度を取りました。

インパクト時には、θ=0だから、③よりsin(ωt-π/2)=0
これよりスィング開始からインパクトまでの所要時間が求められます。
ωt=π/2、つまり、t=π/(2ω)、ω=√(K/ma2)
この時、④から、dθ/dt=θ0ω (∵cos0=1)
この時のヘッドスピードv0は、回転角速度×半径ですから、
v0=a θ0ω= a θ0√(K/ma2)
これから、ヘッドスピードが求まれば、回転バネの大きさを求めることができます。

V0の大きさはプロで50m/s、一般のアマチュアで45m/s位とされています。ヘッドの重さ(質量)は、200g程度。aの値はシャフトの長さ+腕の長さで1.5m位としますか。
K=mv20,、これからヘッドスピードを決めると対応するバネの強さを求められることになります。
バネの強さは、トルクTとして表され、回転の角度θ0に比例します。つまり、T=Kθ0、T=f×?となり、K=f?/θ0となります。?は対になったバネの間隔(例えば肩幅とか腰の幅)。とりあえずスィングロボットは設計できそうです。

スィングロボットのスウィング軌道は普通のゴルファーのスィング軌道に合わせます。スィング軌道がずれないためにはガイドレールのような拘束をつければ良いでしょう。重力の影響は。ヘッドを高さを2mまで持ち上げて、地面までおろすと、エネルギーの保存則から、mgh=(1/2)mv2から,v=√2ghからv=6.26m/s、これはヘッドスピード45m/sと比べるとあまり大きくないのでとりあえず無視してます。

こんな簡単なモデルですが、上の検討から結構色々と教えられることがあります。まずは、ゴルフスィングは軸の回転だけで行けそうです。目標に向けた力は一切不要です。きちんと体を捩じれば、シャフトは自然にバネの力でインパクトの位置に戻ります。トップから捩じれをリリースすれば、自然と筋肉のバネで巻き戻るので余計な力は一切不要です。また、回転運動に伴う反作用を考えると体重の移動の必要性も多分理解できそうです(今後検討したい)。
【次の問題】
飛距離を稼ぐためには、捩じりの回転角をできるだけ大きくすること。しかし、人間の体の構造から、おそらくθ0をπ/2以上にすることはほとんど無理でしょう。でも、こんな方法で結構飛ばす人もいますね。でも、普通は手首を折りコックしてヘッドの回転を増やす方法を取ります。次はこの点を考えます。
ゴルフスィング
上の図を見て下さい。外側の円がシャフトと腕を足した長さ。コックをするとヘッドは
D→C→B→Aと上がって行って、切り返した後は、A→B→C→Dとしてインパクトを迎えます。ヘッドは遠心力でどんどん外側へ向かいます。回転の半径が小さいときは同じバネの力でも回転の速度を速くすることができます。結果としてインパクト時のD点での速度を速くすることができそうです。数式で表すのは少し難しそうですが。グリップの部分は平面内でのピン結合でよさそうですが、実際のスィングではクラブをあげる時には体の構造上、ヘッドを開かざるを得ず、クラブのローテーションが加わります。
このモデルを力学的の解析するのは意外と大変みたいです。しかし、ゴルフスィングのコツは、結局、中心軸を固定したコンパスの動きのようにうまくいくようだ。
【複数バネの共同作業】
人の筋肉系というものは、筋繊維の収縮という引張りの力だけで構成されている。だからゴルフクラブを回転させるという比較的単純な動きも複数の筋肉群の共同作業で行われる。たとえば、下の図のようにクラブのグリップに近い方から、手首、肩、腰上部、腰(ヒップ)、足とあり、これらの部分を構成する筋肉が調和して働かないとスムーズな回転は不可能だ。 まず、手始めとして最も単純な2つのバネの連成を考えよう。しかも、回転バネではない直線のバネだ。
合成バネ
2つのバネは、それぞれ力Fが加えられると、
      F=-k1x1、F=-k2x2
ここでk1、k2はバネ定数というもの。バネ定数はバネの硬さで、人の運動を考えると、作用点から遠いほど、硬くなり(k1<k2)結果として大きな力を分担する。また、全体の変位は、
         x=x1+x2
なので、x1=F/ k1、x2=F/ k2
から、x=-(F/ k1+F/ k2)=-F(1/ k1+1/ k2)
これは、形を変えると、
        x=-kxとなり、k=1/(1/ k1+1/ k2)=k1k2/(k1+k2)
これが合成したバネのバネ定数だ。バネを直列に並べると上のようになる。バネが並列なら、簡単にk=k1+k2
ちょうど乾電池の直列、並列と逆の関係になる。電気のコンデンサの直列、並列と同じだ。バネがたくさんあっても、
         x=∑xi、xi=-F/kiだから、x=-F∑(1/ki)
すなわち、F=-kxとしたときのバネ定数は、k=1/∑(1/ki)
しかし、上の図で、
        x=x1+x2……①
かつ、F=-(k1x1+k2x2)
とすると、先端の重りの運動は、
         md2x/dt2=-(k1x1+k2x2)……②
ここでωi=√ki/m (i=1,2)とすると
         d2x/dt2=-(ω12x1+ω22x2)……③
となって、各々のバネは互いに別の固有周期を持った振動をしそうだ。しかし、取りあえず、ゆっくり引張って離して、その後の振動を考えなければ、合成バネ(1つのバネ)として取り扱っても大丈夫そうだ。
【頭が悪いとボールは飛ばない】
ゴルフのスィングは、正確さが第一。ところが人の頭の重さは、体重の1/10程度もあるそうです。体重60kgなら6kg、1リットルのペットボトルが6本。なまじ顔に目がついているため、かえって調節しようとして余計な動きをするようです。よく頭を動かすなと言われますが、動かすつもりがないのに動いてしまうのでしょう。でも、これだけ重たい頭が動けば再現性のある軌道を確保出来ないので、頭を動かさない練習はとても大切ですね。

ゴルフの力学

ゴルフのルール

【ぺリア方式とは】

ぺリア方式を簡単に説明すると、その日1日だけのハンディキャップ算出方式ということです。基本的に日本ではアンダーハンディ戦は一般的でなく、公式なハンディキャップを所有しているゴルファーはほとんどいません。そのため、ハンディキャップを所有していないゴルファーがプレイするゴルフコンペなどにおいて、ぺリア方式での計算方法が用いられます。

ぺリア方式の計算方法
    ぺリア方式での計算方法は、隠しホールの合計に3を掛けて72を引き、そこに0.8を掛けます。グロススコアからそこで計算された数字を引けばネットスコアとなります。企業内コンペなどでよく採用される方式ではありますが、比較的複雑な算出方法のため、しっかりと理解している人は多くはいません。しかし、覚えておくといざという時に役に立つことがあります。
2018年2.28、私が優勝した時の場合
隠しホールでのスコアの合計4+5+9+7+10+5=40
{(4+5+9+7+10+5)×3-72}×0.8=38.4
103(グロス)-38.4=64.6→72-64.6=7.4アンダーでの優勝となしました。
隠しホールは6つあり、隠しホールのパーの合計は、3+4+5+4+5+3=24です。
隠しホールでもっと叩けばもっとすごいハンディも出そうです。
    もし、これが新ぺリアで隠しホールの合計が、80ならば
{80×1.5-72}×0.8=38.4で上と同じだけど
隠しホール(12個ある)のパーの合計は、倍の48だから、もし合計が60なっていたら
{60×1.5-72}×0.8=14.4
103(グロス)-14.4=88.6でむしろブービー候補かもね。

    ぺリア方式での計算で出したスコアは相当に運に頼った面があるため、一部では不公平という声もあります。そこで現在では、隠しホールを12に設定したダブルぺリア方式や、9つの隠しホールによる新新ぺリア方式と呼ばれる計算方法がよく使われています。うまい人が上位に行くのが公平か、だれでも優勝のチャンスがある方が公平か、コンペの性格で使い分けていくのが良いようです。

ゴルフの力学

ゴルフスィング動画

ゴルフのスィングはやはり動画を見てみるのが速い。
松山英樹プロDriver Shot
石川遼プロDriver Shot
宮里藍プロDriver Shot

将棋の部屋

目次
ようこそ将棋の部屋へ 【第30期竜王戦】 【実践で現れた詰将棋の例】
【第11回朝日杯将棋オープン戦】 【第76期名人戦】

必至の研究

ようこそ将棋の部屋へ

将棋というのは面白いゲームだ。と言ってもやらない人には分からないか。発祥はインドのチャトランガとかいうものらしいが、西洋のチェスの他、中国将棋や朝鮮将棋というのもあるらしい。しかし、日本の将棋には取った駒を自分の駒として使える点にある独特のルールがある。将棋も、もともとは戦争を想定したゲームですから、相手の王さまを取れば勝ち。実際に戦争する代わり、将棋で競えば世界は平和になる訳だ。まあ、ゲームとはそういうものか。推理小説の殺人事件だって何も殺人を進めている訳ではないからね。だけと、将棋というものは基本的に頭脳を使った壮絶な格闘技であるから、プロ棋士なるもの、毎日壮絶な戦いを繰り広げている訳ですね。
チャトランガ チャトランガ
近年、藤井少年の活躍や、羽生永世七冠の誕生で、さかんに将棋の話題がマスコミにも出ますが、たいていは対局中にどんな食事をしたかとか、服装はどうだったか、どんなコメントをしたか等が話題の中心です。でも、やはり本当に将棋を楽しむには、どんな考えでどんな手を指したか、つまり棋譜を鑑賞することが最も重要でしょう。棋士にとって棋譜とは、将棋人生そのもので後世まで残る大げさに言えば人類の遺産なのです。

将棋の部屋

【第30期竜王戦】

 今期の竜王戦で7番勝負では、挑戦者羽生棋聖が渡辺竜王を破り、見事新竜王に返り咲き、7大タイトルすべてに永世タイトル保持者としての資格を獲得しました。同じ時期に囲碁の井山裕太氏が7冠独占の偉業を成し遂げたことで、井山さん羽生さん同時の国民栄誉賞受賞と相成りました。ただし、羽生さんの場合は既に若いころに7冠独占の偉業を成し遂げており、井山さんから見ても偉大な大先輩とのこと。羽生7冠誕生の経緯は、
     ①1983年度NHK杯にて優勝、この時に大山、加藤一二三、谷川、中原をすべて破る
     ②1983年度島朗竜王から竜王を奪取
     ③1990年11月谷川氏に竜王を奪取される。→無冠となる
     ④1991年3月棋王獲得
     ⑤1992年福崎文吾氏から王座を奪取→2冠となる
     ⑥1992年谷川3冠から竜王を奪取→3冠となる
     ⑦1993年谷川氏から棋聖を奪取及び郷田氏から王位を奪取→5冠
     ⑧1993年佐藤康光氏に竜王を奪取される→4冠に後退
     ⑨1994年度米永名人を破り名人を奪取→5冠に復帰
     ⑩1994年佐藤康光氏から竜王を奪取→6冠誕生
     ⑪1995年3月谷川氏に王将位を挑戦するが失敗→タイトルに挑戦して敗れるのは初めて
     ⑫1996年2月谷川から王将を奪取→ついに7冠達成
     ⑬この後、三浦氏に棋聖を奪われ、その後7冠に戻ることはなかった
 このように見ると最初のタイトルを獲得してから7冠を得るまで13年の年月がかかっている。タイトルに挑戦する時はたいてい勝っており、その間防衛にも成功している。また、タイトル戦を戦った相手方の顔ぶれもすごい。しかし、その凄さは棋譜を読み解くことでしか分かってこないのが将棋の世界です。
     今回の竜王戦は、羽生さんにとっては、永世竜王のかかった大一番。竜王を獲得できれば7大タイトルすべてに永世の資格を得ることになり、前人未到の快挙となる訳です。一方の渡辺明氏は既に永世竜王の資格を持つ、竜王戦スペシャリストと言っては失礼かもしれないけれど何故か竜王戦だけはとても強くタイトルを保持し続けて来ました。前回羽生さんが挑戦した時は3連勝で追い詰めた後、4連敗を喫する等痛い思い出があったはず。今期の羽生は落ち着いていて強かった。渡辺竜王は今一つ力が出し切れず残念な戦いだったろうと思う。

将棋の部屋


【第30期竜王戦 第4局】
     この一戦を勝利して、羽生は竜王に王手をかける。棋譜は、終始羽生が攻めまくり渡辺竜王を追い詰めている場面。羽生の持ち駒は既に金1枚となっており、うっかり寄せそこなうともつれてくる可能性もある。ただし、▲4三香成らずでもすぐに寄る可能性もなさそう。そこで、羽生が放った一手が▽6八飛車打ち。
竜王戦第4局
     王手では無いけど、これを取ることは出来ない。取れば▽6八金打の一手詰みだ。つまり、一目有望な手。
では、これで詰めろになっているのか。ほっておくと、▽6七歩成、▲5六玉(ここしかない)、▽5八飛車成、▲4五玉、これに対しては▽4七竜と下から追うのがよさそうだ。従って、▽4七竜には合駒は▽3四金で詰みなので、▲3五玉、ここで取った▽3四歩が打て、▲2五玉には、▽3三桂と守りの桂馬まで使える。これでどこに逃げても金打ちまで、金はとどめに残すべきの格言通りだ。また、▲3五玉には▽4四銀と香車を補充しておいてむ詰みそうだ。 ただし、▲4五玉に▽5五竜と行ってしまうと▲3六玉と逃げられて下が広く、金1枚と歩では詰まないの要注意。それでも勝てるかもしれないが。

と言う訳で、▽6八飛車打ちは詰ろになっており、何らかの受けを考えないといけない。持ち駒は豊富だ。しかし、▽6八飛車を同玉と取るのは詰みだし、5六に駒を打つのは逃げ道がふさがり▽5八成桂の一手詰み。
それでは、玉を▲5六と逃げるのはどうか。▽6七飛車成、▲4五玉、▽4七竜、▲3五玉、▽3四歩、▲2六玉(▲2五玉では▽3三桂がきてしまう)、▽2七金、▲1六玉、▽3六竜までの詰み。なお、▽3四歩では、▽4四銀と香車を補充して攻めるのも有力で、これでも詰む。
▲7六銀引きでは、▽5八飛車成、▲6六玉、▽5五竜、▲6七玉、▽5七金で詰み。

     他に▲7六角(銀)打ち、▲5九桂打ちがありそうだ。▲7六角打ちは、▽4七成桂(取れば▽4六金の詰み)、▲6八玉(飛車を取る)、この時7六に打った駒が銀では▽5八金打ちで詰んでしまうので▲7六角打ちが正解だったことが分かる。そこで寄せる手は▽5七金しかなさそう。▲6九玉と下に落ちられるとこれ以上王手が続かない。そこで▽6七歩成、▲同角、▽同金、ここまでくると受ける手も限られてくるね。飛車の横利きを利用して受けるしかなさそうだ。▲1八飛車。でもこの後の変化は結構大変みたいだ。
さらに駒を足して、▽2五角と打ってみる。数の攻めなので駒を投入して受ける他ない。▲2八飛車のように遠くから打つと、▽4八成桂と空き王手で飛車を遮断すれば詰み。▲4八飛車と打つのは。▽同金と取ってくれれば上部脱出が図れそうだがそうは問屋が卸さない。やっぱり▽4八成桂と空き王手され、▲4八合、▽同金、▲同飛車、▽同角成で詰みとなる。大ゴマの利きを遮ったまま駒を動かすのがコツですね。
では、▲5六飛車と受ければ。これも▽4八成桂と空き王手が絶妙で、▲4八合に、▽7八金として、眠っていた金が活用されてこれも詰み。

     結局、▽6八飛車打ちの時点で必至がかかっていたのか。ここで渡辺竜王が投了した。次の一手として問題を出されればアマチュアでもこの手を発見できるかもしれない。

将棋の部屋

【実践で現れた詰将棋の例】

指導対局で現れた見事な詰みの例を検討してみました。飛車落ちの将棋で下手が大駒をバッサリ見切っての寄せ、この局面で詰みありと見た大局観は素晴らしいですね。持ち駒は豊富で桂3丁で詰まぬことなしなんて格言もありますが、桂馬を使った寄せは受ける方も攻める方も結構読みにくくて大変です。下の方、特に右辺は広そうなので小駒の寄せでは届かなくなるかもね。王を上に引張り出して挟み撃ちにしたい気もしますが。
実践詰将棋の例
1.初手 まず、この局面で初手も色々ありそうで迷います。先ほどの方針から▲7五桂が目につきますが他の手も考えて見ます。
①▲6四歩、②▲6四香、③▲7五桂、④その他(▲6三金、7二銀、7三金等)
2. ▲6四歩の変化
2-1.同玉と取る変化
▽同玉取る変化は、▲5三銀が気持ちの良い手(これが▲6四歩と打った目的)、▲5三銀を打たないと5五玉からの右辺への逃走を阻止できない。▲5三銀に▽6三玉と逃げるのは▲7三金打ちで詰み。では、▽6五玉と桂馬を取ってくれれば、下から▲6三金と打って▽7五玉に▲7七香で以下詰みます。実戦ではこのストーリーに惹(ひ)かれたからか▲6四歩と打って勝を逃してしまいました。
では、桂馬を取らずに前に逃げて来たら。▽5五玉は▲5六金で詰みなので、▽7五玉と逃げます。7四から下に逃げられたら捕まらないので、ここでも▲7六香と打ちます(7七香でないところが味噌)。▽6五玉に▲7七桂、▽5五玉、▲5六金で詰みです。
さらに、▲5三銀に▽7四玉と横に逃げたら?。▲6六桂がありそうです。▽6五玉と桂馬を取って前に進むのは、▲7六金、▽5五玉、▲5六金と進んで詰みです。すると、▽6六桂には▽8三玉と逃げるしかない。さあ、金駒は金1枚だけ。どう寄せる。▲7五桂、これに対しては、逃げ方が沢山ある。▽9二玉なら、▲8三金、▽9一玉、▲9三香、▽8一玉、▲9二香成、▽7一玉、▲6三桂成らず、▽6一玉、▲7三桂成らずで詰みになります。結局、▲6四歩に対して同玉と取ってくれたら詰みそうです。
ということは、▲5三銀を打たれたらダメなので、▲6四歩打ちに対しては、にげる手を考えなければならないようです。

2.2.逃げる変化
▲6四歩に対して、逃げる変化は、下へに逃げる①▽5二玉、②▽6二玉、③▽7二玉と上に逃げる▽7四玉があります。
2.2.1.下に逃げる手で、①▽5二玉は、▲5三銀打ちで、▽5一玉と下に逃げても▲6三桂打ちがあり詰み。③7二玉は、▲6三銀、……意外と捕まらない。
②▽6二玉は、▲5三銀、右辺に逃げられると4三の銀が利いているので詰まないようだ。
▽5一玉は、▲6三桂が打てて詰み。従って▽7一玉、これも意外と捕まらない。結局下に逃げられて詰まない。
2.2.2.▽7四玉に対しては、▲7三金と下から打つ手がある。これに対して①▽6四玉と歩を取って逃げると、ここで▲6三銀が打てるので、詰む。②他の逃げ方もどれも詰む。
このように見ると▲6四歩は結構うまい手だったようだが、▽6二玉あるいは▽6三玉と下に逃げられると駒不足で詰まないようだ。

3. ▲6四香の変化
▲6四歩の変化と良く似ているけれど、▽6二玉と下に逃げる変化が出来ないメリットがある。ただし、上部に逃げられた時に打つ香車が無くなる。また、▽7二玉と逃げられても詰まない。
4.▲7五桂
結局、本命は▲7五桂ということになりそうだ。実戦では速くこの手に気づけば読みの時間が短縮できる。これに対して、二手目候補手としては、①▽7二玉、②▽5二玉、③▽6二玉、④▽6四玉、⑤▽7四玉で、二枚の桂馬の利きと味方の歩のための制限はあるが、玉の可動範囲は5か所もある。

4.1.下へ逃げる変化
 まず、下へ逃げる変化、①は▽7二玉、▲7三銀以下詰み。②▽5二玉は、▲5三銀、▽5一玉、▲6三桂不成以下。いずれも桂馬が大活躍。
③の▽6二玉の変化が大変そうだ。
▽6二玉、▲5三銀、▽7一玉、▲7二歩、この歩は取るべきが逃げるべきか、まず、▽△同玉と取ると、▲7三金以下詰む。また、▽8一玉と逃げれば、▲7三桂成らずからの詰みとなる。桂馬2枚に上から抑える包囲網が厚く玉は逃げ切れないようだ。という訳で後は、残りは上に逃げる変化だ。

4.2.上に逃げる変化1…△6四玉
 ④△6四玉と逃げた変化。待望の▲5三銀(3手目)打てる。▲5三銀を打たないと、▽5五玉から左辺への逃亡を阻止できない。▲5三銀には玉方には3通りの逃げ方、a. ▽6五玉、b. ▽7五玉、c. ▽7四玉の3つの逃げがある(▽5五玉は▲5六金で詰み)。
a. ▽6五玉は、▲6四金、▽7五玉、▲7六歩、▽8六玉、▲8七香で9手で詰む。
b. ▽7五玉には、▲7七香、△8六玉、7六金、または▲7七香に▽6五玉、6六金打ちでともに7手で詰む。
c. ▽7四玉には、▲6四金、▽7五玉、▲7六歩、▽8六玉、▲8七香で9手で詰む。

4.3.上に逃げる変化2…△7四玉
3手目の候補として王手は▲7三金、6三銀、6六桂がある。この中で6三銀は5三の逃げ道が空いており、詰まない。
▲7三金でどうか。玉の逃げ方としては、a. ▽7五玉、b. ▽6五玉、c. ▽6四玉の3つを読まなければならない。
a. ▽7五玉は、▲6六銀、▽6四玉、▲5六桂で7手詰み。
b. ▽6五玉は、▲6六銀、▽6四玉、▲6三桂成で同じく7手詰み。
c. ▽6四玉は、▲5三銀と打って、▽7五玉、▲7六歩、▽8六玉、▲8七香で詰む。結局7三金にはどのように逃げても何とか詰むようです。

 次に、▲6六桂(3手目)は、どうか。玉の逃げ方としては、a.△7五玉、b. △6五玉、c. △6四玉の3つは、7三金の場合と同じだ。
a. ▽7五玉は、▲7四金、▽6五玉、▲5六銀で7手詰み。
b. ▽6五玉は、▲5六金上がる、▽6四玉、▲6三金、▽7五玉、▲7六歩、▽同玉、▲7七歩、▽8六玉、▲8七香、▽7五玉、▲7六銀の15手詰。
c. ▽6四玉は、▲5三銀と打って▽6五玉、▲7六金、▽5五玉、▲5六金で9手詰み。
結局、▲7五桂と打てば解決と言う訳ですが、変化が多くてとても実践では読み切れないですね。桂馬の使い方はなかなか難しい。

将棋の部屋

【第11回朝日杯将棋オープン戦】

2018年2月17日(土)に朝日オープンの準決勝で、夢の対局・羽生善治竜王vs.藤井聡太五段が行われて、藤井聡太五段が見事大先輩に勝利しました。その後の決勝でも広瀬章人八段を破り、優勝の快挙。その結果、藤井聡太さんは6段に昇段となりました。
実践詰将棋の例
     図は、上記棋戦の終盤。羽生竜王が7一角と打った所。これは、詰めろにもなってないか。後は、手順の詰みです。
▲5五銀、▽同銀、▲同銀、▽同玉、▲4七玉、ここで後手投了。後はどこに逃げても金打ちの詰み。
角換わり将棋みたいな出だしで、共に7七角、3三角の構え。先行した藤井5段が見事に攻め勝ちました。


将棋の部屋

【第76期名人戦】

永世7冠を達成した羽生竜王が佐藤天彦名人に挑戦します。棋譜は第一局(2018.4.11)の終了間近。羽生が何も利きの無い空間に▲5一金と打ったところ。羽生マジックで有名な銀打ちを思い出しますね(後ほど図を出したい)。
76期名人戦第1局


     この金捨て、取らないわけにはいきません。▽8二銀と飛車の方を取ってしまうと。▲5二金でゲームセット。▲6一金もありだ。従って後手は当然同玉。え~、それで決まるの。これにはとりあえず、▲7一竜。間駒しなければ、5二、4二のどちらに逃げても尻金で詰み。この辺までは初心者でも分かる。ここで佐藤名人は▽6一桂(6一角もありそうだが、角を打っては先手玉の詰めろが消える)。さあ、詰みはあるのか。金を渡したので先手玉には▽3九角からの詰みがある。
     そこで羽生竜王は、▲1八玉と悠然と王を寄る。でも後手玉は詰んでなかったのだ。次は後手の手番。先手玉に現状で詰みは無いのか。▽7一角とすれば詰めろだが、▲2八金と受けられると後が続かない。しかし、金を使ってしまうと後手玉も詰まなくなる可能性がある。
佐藤名人は、ここで▽6二角と竜取りに打つ。でも、ここで攻める手を選んだら詰まされるのか。単純な▲6二金では詰みそうもない。
▽6二角に対して、羽生は▲5二歩、これには▽同玉。王が逃げるのは竜で角を取られて、受けが利かない形になりそう。ここで羽生の手は▲8一竜。攻めの要と思われた竜を捨てて銀を入手。▽同銀には▲6四桂があった。▽同歩、▲6三銀、▽4一玉、▲5二金で詰みだ。だから、佐藤名人は△7五馬と桂馬の方を外す。そこで▲7二竜で後手の投了となった。後手玉は▲4一銀からの詰み。かといって、金を打って守っても7五の馬を取られたら万事休すか。羽生は通算1400勝の歴代2位の記録を達成。でも最後の最後まで気の抜けない大接戦でした。
76期名人戦第1局


     実はこの将棋、相横歩取り3三角戦法で始まったもの。羽生が8筋の角頭の歩を打たずに▲2六飛車と寄ったので、佐藤名人がすかさず、角交換から▽4四角と打ったところ。従来の研究では先手が好んで選ぶ順では無いようだ。▲2一飛車成、▽8八角成、▲同金、▽同飛車成では、先手が駒得でも寄り形になってしまう。羽生はでも躊躇なく▲2一飛車成と成り込む。では、▽8八角成にはどう対処するのでしょう。以下難解な応対が続きます。

将棋の部屋

必至の研究

必至の勉強は詰め将棋と違って、初心者のもならず、上級者にとってもなかなか取り組みにくい面がある。
必至問1

必至問1

必至問1

まず、この問題は3手必至です。だから、初手▲3五桂で、玉が下がる手は▲3二竜の一間竜で詰みなので、受け方は▽3四玉の一手、そこで▲3六金と桂馬を支えて、必至完了となって、説明は終わり。
でも、その後本当に詰むの?
必至問1-2 左の図では詰めろがかかっていることがパット理解できないと??となってしまう。▲2五銀と歩の頭に打つ手が定石。勿論、▲4五銀でも良い。受け方はこの2つの詰めろを同時に防げないから、これにて必至。しかし、玉の下の銀をどかすことで真下に落ちる逃げ道ができる。▽2二銀は▲3二竜で結局、間駒が必要で3三の逃げ道が塞がってしまうので、▽4二銀とする。チョット困るでしょう。
でも、ここは▲同竜と切ってしまえば解決。この時、銀1枚が手に入るのがミソ。▽同金寄なら、2三銀、2二銀と銀打ちまで。▽同金下がるなら、▲2五銀(4五銀)以下上から詰めることが出来る。ここでは、後ろへの玉の逃走を抑える桂馬を動かさないことがコツだ。
必至問1-2 なお、上の図で▲4五銀と打ったのが左図。▽同歩でただなのだが、▲同金と進むと詰み。この歩頭に銀を打つ手は初心者にはなかなか気がつきにくい。上の図なら3手詰みだけど、左の図で出題したら、受け方から始めるので、2手詰め。こう考えれば、詰め将棋の問題も、2手詰め、4手詰め、6手詰めなんていう新しいジャンルの問題を作ることが出来ないでしょうか。

将棋の部屋

初心者のためのパソコン教室

電源の確認を最初に

 パソコンが故障した。まず、大慌てする前にまず電源を確認して下さい。パソコンの出張修理の方に聞いても、結構こんな事例多いそうです。さっきまで、動いていたのに。電源コードが緩くなっていて、途中で接触が悪くなった可能性があります。モニターが付かない。プリンターが動かない。キーボードが利かない。本体の電源が入っていても、周辺機器に電源が行っていない可能性があります。逆に周辺機器だけ電源が入っていることもあるでしょう。
 なんかのはずみで、家のブレーカーが落ちてしまったこともあるでしょう。作業に熱中して気が付かないこともあるかも。コンセントの接触が悪くなって、電気が来てないこともあるでしょう。コンセントを差し替えただけで治ることも。何はともあれ、故障の際の最初にチェックする項目です。

周辺機器の故障は交換して見る

モニター画面が映らない。キーボードが利かない。プリンターの調子が悪い。DVDドライブからディスクが取り出せない。マウスを動かしてもカーソルが動かない。いずれも、パソコン本体は何ら異常が無いケースがほとんど。周辺機器を交換すれば、ほとんど今迄通り問題なく使えます。周辺機器の故障は大抵は個人で直すことは無理なので、修理が必要でしょうが、修理中はパソコン本体も使えないケースがほとんどでしょうから、結局買い換えることになると思います。周辺機器はパソコン本体と比べて安いので買った方が早いです。修理して治った機器は保存しておくと役に立つこともあるようです。

検索機能をうまく使おう

 Googleの検索機能はすごい。今では、辞書も百科事典もほとんどいらないですね。ただ上手に検索するには、多少の技術が要ります。例えば、私のホームページを見ようとして、アドレスを忘れてしまった場合など。「裸坊達」と入力すると、裸坊祭り(山口県防府市にある“はだか坊祭り”)が出て来てしまいます。でも、“裸坊達の部屋”として「“ ”」でくくるとちゃんと出ます。これを完全一致検索と言います。また、「裸坊達+全角スペース+相対性理論」としても上手く行きます。これをAND検索と言います。裸坊達と相対性理論の両方の含まれるサイトは他に無いようです。他にOR検索やマイナス検索などもあります。
 百科事典に相当するWikipeiadaというサイトも大変便利です。わざわざ探さなくても大抵はキーワードに対して、検索エンジン(Googleなどの検索サイト)で検索結果の上位に現れます。世界中のボランティア達が協力して作っている無料サイトです。ただほど安くて便利な物が多いのがネットの世界なのでしょう。いま、大学生はWikipeiadaを使ってレポートをつくるのは当たり前。いわゆるコピペ(コピー&ペースト)です。大学の先生達は、学生たちが見な同じ答案を作って来るので困っているようです。Wikipeiadaの利用を禁止しようという考えもあるらしいけど、これは本末転倒。コピペすればお終い等というような課題を与える方が悪いのです。得られた情報を自分で考えて加工して付加価値をつけることが学習です。

もう一つ重要な検索は、開いたwebページ内の検索です。自分のホームページでキーワードのある位置を探すときに大変便利な機能。これは簡単で、コントロールキー(Ctrl)を押しながらFのキー(は)を押せば、検索の窓が出て来ます。そこにキーワードをいれて、Enterキーを押せば、目的の位置にカーソルが移動します。Fは、英語のfind(見つける)からきているのですね。

力学も面白い

力学と言えば、物理学のもっとも基本。だから、色々な現実の諸現象を理解しようと思えば、やはりある程度の知識は必要。実はゴルフの力学なんて立ち上げて、やっぱり大変なことを実感している。今までScienceの部屋で取り上げた話題も含めて少しずつ充実させていきたいと思っています。
ゴルフの力学

目次    
回転する剛体 斜面を転がるビール樽 回転する座標系
静水圧とは マグデブルクの半球 ロケットは何故飛ぶのか

回転する剛体

学校の物理では、直線運動が多くて回転系に関してはやや手薄だったような気がします。ゴルフのスィングから人工衛星の運動まで、回転系を理解することは重要でしょう。また、ボールと茶筒が斜面を転がる時、どちらが先に落ちるか、すぐに答えられますか。台風の進路が曲がるコリオリの力、色々と面白い話題がありそうです。
剛体回転
剛体回転
剛体回転
剛体回転
剛体回転
【回転する剛体のまとめ】
1.回転の速さは、角速度を用いる。角速度は進んだ角度を要した時間で割ったもの。
2.角速度をω、回転した角度をθとすると、ω=dθ/dt
3.円周上の速度=回転半径×角速度
4.トルクとは力のモーメントのことで、トルク=力×腕の長さ。ただし、力の向き、腕の長さの計り方には要注意。T=F∥×r=F×d。
5.力は運動量の変化として表せるのと同様に、トルクは角運動量の変化として表せる。
すなわち、F=dp/dt、T=dL/dt
6.角運動量は、L=mrvともできる。つまり、L=pr
7.剛体の慣性モーメントはI=∑(miri2)ω、角運動量=Iω
8.角運動量=慣性モーメント×角速度 (運動量=質量×速度)
9.固定軸を持った剛体の回転運動の方程式
 T=Idω/dt=Id2θ/dt2

力学も面白い

斜面を転がるビール樽

斜面でビー玉を転がす、空き缶(かん)を転がす。小さな子供の大好きなあそび。だけど空き缶(かん)と、ジュースの詰まった缶どちらが先に落ちるか。ビー玉とおもちゃの自動車では。大抵は同時でない。でも正解は大人が考えても結構難しい。
ビー玉は転がる。サイコロは滑(すべ)る。でも斜面の傾斜を急勾配にすればビー玉も滑るのではないかな。斜面が垂直までたつと今度は自由落下。
ところが、昔ガリレオ・ガリレイは自由落下の研究をするのに斜面を使って行ったと言われる。だって当時に時計の能力では、自由落下は速すぎて計測できない。因みに光速の測定も試みたが、もちろん速すぎて計れなかった。でも、自由落下は回転しないでストンと落ちるのに斜面ではコロコロと転がって落ちる。果たして同じ物理法則に従っているんでしょうか。
斜面
まず、図に示すように斜面に物体を置いて見ます。初等物理学の最初の方にある絵ですね。座標軸は、斜面に沿って下向きにxと取りましょう。傾斜角をαとします。
物体がサイコロなら転がらずに傾斜が急になると下向きに滑り出すでしょう。この時物体に働く力は重力だけです。
斜面に垂直方向の力は、mg cosα、この力の成分は斜面から物体への抗力Rと釣り合っているので運動には関係しません。斜面に沿ったx方向の力だけを考えればいいですね。下向きの力Sはmg sinα、これに抵抗するのが摩擦力Fで、
          F=μR=μmg cosα
結局S>Fとなれば、物体は滑り出します。だから滑らずに安定する条件は、
μmg cosα>mg sinαだから、μ>tanαとなれば良いことになります。μは静止摩擦係数と呼ばれる係数で物体の面の粗さなどで決まるため理論的に算出することは出来ません。動き始めると動摩擦係数μ´に変わるため少し小さくなって動きやすくなります。動き始めると急に軽くなったように感じることからこれは理解できます。摩擦係数が0の場合は、斜面に沿って下向きの力がmg sinαだけとなり、自由落下の条件でゆっくりと落下しそうですね。ガリレオが求めていた実験用の斜面はこれですね。ドライアイスや氷で斜面を作れば摩擦を0には出来ないものの技術的には大変でしょう。ガリレオの時代ではまず不可能。そこで斜面を転がしたらどうかと考えるのは当然でしょう。
斜面を転がる物体は、球か円筒か。ただ気をつけないといけないのは本当にいつも転がってくれるのか、転がりながら同時に滑ることはないのか。そして、本当に斜面の実験結果から自由落下の場合が極限(α=90°)として計算できるのか。自由落下については、我々は既に学校で習っているけれど、これは後知恵で、ガリレオは斜面実験から自由落下を推定したのだから。また、球や円筒でも中空の場合はどうか、中に水などの流体を詰めた場合は等々色々な疑問が出て来ます。
まず、斜面が緩い場合は、滑ることなく転がるものと考えられます。まず、2次元的に考えて円筒を考えます。半径aの円筒が転がって距離xだけ進むとします。この時円筒の回転した角度θとすると、aθ=xの関係が成立します。
斜面と円筒
上の式で少し分かりにくいのは②の式です。これが回転する剛体の運動方程式です。Iは慣性モーメントいうもので I=∫V(ρr2)dVとして積分を用いて計算されます。球や円筒のような回転体では、
I=Cma2とすると(Cを形態因子、a半径、mは質量)とすると、
Cの値は、リングでC=1、円筒(円柱)でC=1/2、球でC=2/5、球殻でC=2/3なるようです。Iは、直線運動の際の動きにくさ、つまり質量に相当するもので、Cが小さいほど回転しやすいことを表します。つまり、球(C=0.4)は円筒(C=0.5)より若干速く転がることが分かります。
上の円筒の計算を一般化して、Cを使って計算すると下記のようになります。xの二回微分の加速度が求まるので、これを自由落下のgと見做すと斜面での運動は分かります。ただし自由落下と異なり形(円筒とか球)で微妙に加速度が異なります。さて、今度は滑りがある場合、つまり摩擦が小さいか斜面が急な場合を考えないといけませんね。
斜面と回転体

力学も面白い

回転する座標系

回転する座標系にのった観測者から見ると、見かけに力が働きます。有名なものとして遠心力とコリオリの力。特にコリオリの力は教養の力学ではあまり触れられていないので分かりにくい所があります。気象の研究をする方には必須かもしれませんが(台風の進路や渦巻き等と関係)。もう一度基本から学び直してみましょう。
回転する座標系
回転する座標系
回転する座標系
回転する座標系

力学も面白い

ロケットは何故飛ぶのか

ロケットは、宇宙開発には欠かせない道具です。翼もプロペラも無いのにどうして空を飛ぶのでしょう。この原理を最初に考えたのは、ロシアのツォルコフスキーという人です。原理は、ニュートン力学だけで説明できます。以下のようにモデルを作りましょう。
ロケットは、燃料(酸化剤を含む)を積んで飛んでいくので、その総重量はだんだん軽くなって行きます。ロケットの総質量を、M(t)=M、使用した燃料の質量をm(t)=mとします。発射時はt=0秒とします。また、ロケットの速度をv(t)=v、ガスの噴出速度をu0とします。
M(0)=M0:出発時のロケットの質量(kg)
m0:出発時の燃料の質量(kg)、m(0)=0とは異なります。
t秒後のロケットの質量は、M=M0-m
時刻t~t+dtの運動量の変化は、Mvから
(M-dm)(v+dv)+dm(v-u0)=Mv+Mdv-vdm-dvdm+vdm-u0dm、dvdmは微小のため省略
になります。この増加分が外力による力積と釣りあうのが運動量保存の式。
従って、Mdv-u0dm=Fdt
ここで、外力というのは、空気の摩擦抵抗ぐらいですから、宇宙空間では外力は全く働きません。つまり、F=0です。
従って、(M0-m)dv-u0dm=0…(1)
変数分離型の微分方程式なので (1)は、
dv/u0-dm/(M0-m)=0
v/u0=-log| M0-m |+const
v=0のときm=0なので、const=log M0
従って、v=u0 log(M0/M)…(2)
これが、ツォルコフスキーによって初めて見出されたツォルコフスキー公式です。
燃料をすべて使い切ったロケットの最終質量をMKとして、ロケットの最終速度vKを求めることができます。
MK=M0-m0だから、vK=u0 log(M0/MK)…(3)
この式から、所定の速度を得るために積まねばならない燃料の量が求められます。
(3)から、log(M0/MK)=vK/u0
∴M0=MK+m0=MK exp(vK/u0)
∴m0=MK{exp(vK/u0)-1}…(4)
宇宙空間では、最終速度が得られれば後は等速直線運動で宇宙の果てまで飛んで行ってしまいます。
ツォルコフスキー(1857~1935年)は、「宇宙旅行の父」とも言われるほど、宇宙旅行に情熱を注いだ人。下記は有名な言葉。
Планеста есть колыбель разума, но нельзя вечно жить в колыбели.
「地球は、人類のゆりかごである。しかし人類はゆりかごにいつまでもとどまっていないだろう。」
ロケット
ロケット

力学も面白い

水理学再入門

 水理学とは、流体力学の中でも水だけを対象にする。気体には圧縮膨張や熱的変化等力学においても色々と考慮すべき事項が多い。その点水は非圧縮で、密度が一定。取りあえずモデル化しやすい。水理という呼び方は、どちらかと言うと土木や地球物理の分野で、川の流れや海の波、上下水道などの開渠や暗渠などでの実用的な流れの解析を中心に発達してきた。私自身、若いころ研究所で色々勉強したのですが、最近は使うことがなくてすっかり忘れていました。再度学び直して見ようとの趣旨から勉強を始めたので宜しくお付き合いの程を。

目次    
一次元流れ Eulerの運動方程式 流れ関数
速度ポテンシャル 静水圧とは マグデブルクの半球

静水圧とは

 アリストテレスは、力が物体に作用すると物体は動き(運動し)、力が働かなければものは動かないと考えていた。コップに水を入れておいておけば、水は力が働いていないので動かない。しかし、コップは水が入ったため明らかに重くなっており、それが置いてある机により多くの圧力を与えるだろう。あなたが机を下向きに押せば、力が必要ですが机は動きません。また、あなたがいかに力持ちでもあなたの体重よりも大きな力で下向きに押すことは不可能です。ここで、作用反作用の法則を思い出してください。机が動かないということは、机から上向きの力が働いているのでしたね。動かないということは、力が働いていないのではなく、働いている力が釣り合っているためと分かることは大きな進歩です。
 では、圧力とは何でしょう。簡単に言えば単位面積当たりの力です。あなたが面積Sの板の上に乗り、あなたの体重がM(kg)とすると、その時の圧力P(N/m2)は、
P=Mg/S 【N/m2】、
gは重力加速度で地上では、9.8m/s2、体重は正確には質量と言わねばなりません。ところがあなたが乗った板には本当に均等な圧力がかかっていたとは言えません。上のPは、平均の圧力です。実際には板の端と真ん中ではちがう圧力でしょう。
 ちょっと話がそれますが、土木や建築の分野では、出来上がったコンクリートの強度を確認するために、現物と同じ条件で試験練(ねり)として拵(こしら)えた円柱の供試体を何本も造り、これを機械的に潰してどこまで耐えられるか試験します。この試験体をつくる円柱の大きさ等の仕様はキチンと決まっていて、これ以外は認められません。所要のコンクリート強度を確保するためには結構色々な条件を考慮する必要があるのです。強度というのはコンクリートの内部に発生する圧力に対する耐久力です。コンクリートの年齢(打設してからの時間経過)、配合(水、砂、砂利、セメントの量と割合)、温度等色々考慮する必要がありますが、円柱の大きさが決まっている最大の理由は、コンクリートの場合、内部の圧力の分布は均一にはならないためです。供試体が大きい方が耐久力があるようです。

 この点、水(流体)を対象にすると圧力はずっと簡単になります。水圧は、流体の中に仮想の面を考えると面がどちらに向いていても面に垂直な成分しかありません。上で述べたコンクリートのように面の向きで圧力の値が異なったり、面に平行な成分が発生するものを応力と称しています。詳しくは、材料力学等の分野を学ぶ必要があります。
【水中の一点に作用する水圧は、その方向にかかわらず強さが等しい】
図1に示すように、一辺が鉛直な三角形の単位長さの仮想三角柱が水中にあるとする。鉛直としたのは、この三角柱に作用する力は下向きの重力だけとしているから。
静水圧の説明図-1
結局水中の圧力は、深さが一定ならどの方向でも一定になります。材料が固体(剛体ではない)ではこうならず、応力テンソルという物理量が必要になります。
鉛直筒体図-2
結局静水圧とは深さだけの問題ですね。次に示すのはパスカルの原理とも言われているもので、「密閉容器中の流体は、その容器の形に関係なく、ある一点に受けた単位面積当りの圧力をそのままの強さで、流体の他のすべての部分に伝える。」 というもの。建設機械等に使われる油圧の原理もこれですね。
油圧機械の原理図-3

力学も面白い

マグデブルクの半球

大気圧の力を示す歴史上有名な実験です。17世紀のドイツでオットー・フォン・ゲーリケが行ないました。
半球は、中が中空の2つの金属製の半球で、縦に2つに割ったメロンをイメージ。すきまなく接合するように作られ、この2つを合わせ、ゲーリケ自らが発明した真空ポンプで中の空気を抜く。間には濡らした動物の皮をパッキンとして使用。こうすると半球はぴったりくっつき、どんなに引っ張っても外れない。外側の大気圧によるものである。
ゲーリケはこの実験を公開実験で行った。最初のものは1654年5月8日、レーゲンスブルクの帝国議事堂前において、神聖ローマ皇帝フェルディナント3世の御前で行われた。このとき、16頭の馬(両側から2頭立ての馬が各4対)が双方から引っ張り、やっと半球は外れた。この実験により、デカルトが否定した真空の存在を証明した。「マクデブルクの半球」の呼び名は、当時ゲーリケがマクデブルク市長であったことに由来するそうです。1970年代にNHKの『ハテナゲーム』で再現されたそうです。

マグデブルグの半球マグデブルグの半球
   この実験を思考実験で確かめてみましょう。半球に作用する大気圧pは一様均等に作用しています。この合力を求めましょう。ところがpは、半球の上で方向が各々異なります。そこで、水の中に仮想の半球を考えます。この仮想に半球は静止した水の中にあるので当然動きません。だから右側の圧力の合計は、左側の半円の上に作用する圧力の合計です。また、圧力pを鉛直方向と水平方向に分けて、鉛直方向は上下方向が互いにキャンセルされて、水平方向だけ残り、上と同じことが言えます。本当は紙面を突き抜けるx方向も考える必要がありますが。上の説明ならどんな形でも適用可能です。
大気の圧力は、水に置き換えると、およそ10mの水柱に相当します。だから、
       p=1000kgf/m3×10m=10000kgf/m2
半球の半径rを30cmとすると、面積はa=πr2=0.2827m2
従って、馬が引張らなければならない力Tは、
      T=p×a=2827kgf=2.83ton、やはり相当大きな力だ。1kgf=9.8N(ニュートン)ですからT=27700Nの方が正式か。
大気圧は、p=98000N/m2=980hPaとなるが、実際にはだいたい1013.25 hPaとされている。だから10m水柱という大雑把な見積は3%程度少な目のようだ。
ところで、この検討では、半球(鉄製らしい)の肉厚は考慮されていない。中が中空でなくて本当に密実な半球でも接着面を平滑にして水でも入れて空気が入らないようにして密着すると半球は離れなくなる。接着面の水が乾かないと簡単には取れないはずだ。

力学も面白い

一次元流れ

流体というものは形が決まってないことが非常に扱いづらい原因ですね。まず、一番簡単なモデルとして、非圧縮流体の定常流一次元モデルを考えます。ここで流線というものを導入します。流れの中で流線は常に一定で流体要素(微小な水の塊)は常にこの上を通ります。流れは流線を横切らないので、流線で囲まれた流管も考えることが出来ます。イメージとしては流し素麺みたいな感じ。実際に管路を考えてもいいのですが取りあえず摩擦は無しとしています。
一次元流れ
一次元流れ
流体で非圧縮とするとその代表は水です。空気は基本的には圧縮性ですが、特殊な条件では非圧縮として簡単化できることもあります。非圧縮の水を扱う分野は水理学とも呼ばれ、河川や海の流れ、管路の設計などに応用され、土木や機械の分野では必修事項となっています。
【質量保存の法則→連続の式】
上の管路の中では、流体は湧き出したり、吸い込まれたりしないとしましょう。管路の入り口から入った水は同じ量だけ出口から出て行きます。この量は、
(流量)=(単位時間に入った流量)=(単位時間に出た流量)
流量は、流速×断面積です。従って、u1A1=u2A2=uA(任意の断面)…(1)
流れの速さは、断面積に反比例です。

【運動量の保存則】
上と同じ管で、単位時間に流入(流出)してくる質量mは、
m=(密度)×(流速)×(断面積)=ρu1A1=ρu2A2
非圧縮の水では密度ρは一定。運動量は、流入(流出)質量にさらに流入(流出)流速をかけたものです。流管の両端に作用する圧力をp1、p2とすると、
流管に作用する力は、p1A1-p2A2+F
ただし、座標軸は流れの方向を正としています。
従って、運動量の保存式は、
ρ(A2u22-A1u12)=p1A1-p2A2+F…(2)
一般の力学では、(運動量の変化)=(力積F△t)となりますが、単位時間を考えているので力そのものとなります。ある意味では剛体の力学よりも楽かも。
水ジェット
(2)式の応用例を図に示す。消防用のホースから水が噴出しています。今、人が板を持って支えていますがどの位の力がかかっているのでしょう。まず、水の密度SI単位系では、1000kg/m3。ノズルからの流速はu=30m/sです。
ノズルの径は20mmなので0.02m、断面積はA=(0.02)×π/4=10-4πm2
運動量方程式は、
0-ρAu2=-F、Fは板からジェットの出口に向かう力、ジェットは右向きのFの力を加えている訳です。
F=ρAu2=1,000×(10-4π)×302=90π=283【N】
この力は28.9kg重で、なんとか人一人で支えられるかどうかの力です。

【エネルギーの保存則】
 ここでは、単位質量当たりのエネルギーで考えます。水の微小要素については、単位質量当たりの運動エネルギーは、(1/2)u2となります。次に圧力のする仕事は、
(仕事)=(力)×(変位)=(pAu; 断面における単位時間当たりの仕事)であり、この断面には単位時間当たりρAuの質量が流れ込んでいる。従って、単位質量当たりの仕事は、
(単位質量当たりの仕事)=pAu/ρAu=p/ρ
あと一つは、位置エネルギー。これは重力加速度を用いてgzとすれば良い。以上をまとめると、
(1/2)u2+(p/ρ)+gz=一定…(1)
この式が流管内のどの断面でも成り立つわけです。
位置エネルギーが変化しないとすると、
(1/2)ρu2+p=p0=一定…(2)
ここで、左辺第一項を動圧、第二項を静圧、右辺p0を総圧(全圧)と呼んでいる。
また、p/w=p/ρg=Hを圧力水頭(m)と称し、(1)式を
(1/2g)u2+Hp+z=一定
として、各項を水頭として長さの単位で表すことが土木の世界では一般です。速度水頭、圧力水頭、位置水頭と呼んでいます。農業用の取水堰のことを頭首工(Head Work)というのもこれと関係しているかも。水位をせきあげして水頭を大きくするのですね。

水理学再入門

Eulerの運動方程式…三次元

普通、水理学や流体力学の教科書では、直方体の微小なサイコロdx,dy,dzモデルを使って、出入りする質量、運動量を勘定し微分方程式を導くのが筋でしょうが、それは、どの本を見ても書いてあると思います。ここではやや難解であることを覚悟して、ベクトル解析的な方法をトライします。というのは、この後電磁気学を学ぶ際に、最終的の目標とするマクスウェルの方程式がベクトル形式で表現されているからです。

ちょっと、電気磁気学に寄り道すると、この理論が出来る時点では電子の存在は知られていませんでした。電荷の流れが電流、ちょうど流体力学と同じ考えが用いられるのです。電流がプラスからマイナスに流れる。ちょうど電子の流れと逆向きなのはそのためです。体系が確立してしまったので電子が発見されても電流の向きは逆には出来なかったのでしょう。
Eulerの公式1
検査面とは空間内の適当な閉局面。仮想の立体だ。そこに出入りする質量を考えれば良い。閉局面内での質量の増加は、密度の変化を合計すれば良く、その合計は面か出入りする流体の合計だ。きわめて当然のことを言っているだけです。 Eulerの公式2
水理学で頻繁に出現する (D/Dt)=u(∂/∂x)+v(∂/∂y)+w(∂/∂z) は、とても大事。流体の微小要素が時々刻々動いていることに起因しているのです。x,y,zの各成分に分解して記すると下記のとおりです。
Eulerの公式3

水理学再入門

流れ関数

完全流体(粘性を無視)の2次元流れでは、流れ関数Ψが定義できます。渦度が0のとき、ラプラスの方程式を満たします。
流れ関数

水理学再入門

速度ポテンシャル

渦がない完全流体では、速度ポテンシャルΦを定義することが出来ます。速度ポテンシャルの勾配(∇Φ)が流速を表します。ポテンシャルは、電気磁気学や重力の話でも出て来る重要な考えで。渦がない非圧縮流体とすれば、境界条件さえ決まれば、流れの状況が分かるようになります。つまり、流速が速度ポテンシアルで表されることと渦度がゼロということは同値です。
速度ポテンシャル

水理学再入門

ベクトル解析入門

 水理学や流体力学において、ベクトル解析の知識は極めて重要である。そういう私も、水理学はEulerの運動方程式やベルヌーイの定理程度の基礎でものたりたわけで、何を今さらということもありますが、ベクトル解析自体が流体の本質を解明するために発展して来たものなのです。ちょうど、微分積分の発展が質点系の力学と一緒に車の両輪のように発展してきたことと全く同じです。更に、電磁気学も電荷の流れをちょうど流体として扱うため、ベクトル解析の理解が不可欠なのです。最終的には、電磁気学のマクスウェルの式まで到達したいと思います。現象をどのような式で表現するかは現象を理解するうえで極めて大切です。そのため、若干の寄り道をしてベクトル解析の基礎をマスターしたいと思います。
まずは、一番良く見かけるgrad, div, rotについて。これを見ただけで逃げ出してしまう人もいるかも。三つとも同じ記号では∇と書きます。一種の微分みたいなもの。ただし、これは数値ではなく、いわゆる演算子というもの。ちょうどd/dxとか∂/∂xと同じ。すなわち、∇=(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)です。これは、3成分を持った1種のベクトル見たいなもの。∇f=grad f。つまりスカラー関数f(x,y,z)にかければ、ベクトル×スカラーで結果はベクトル。勾配と呼びます。∇・A=div A。ベクトルAに内積として掛ければ、結果はスカラーで発散と呼ばれます。最後に∇×A=rot Aは、回転と呼ばれ、外積なので結果はベクトルです。
また、∇を組合わせた次の公式も重要です。
grad,div,rot 関連公式
ベクトルに関する積分の公式もあります。

数学の部屋

部分積分と置換積分

物理や理工系の専門書を頻繁に数式が出て来ます。
【部分積分】部分積分
関数f(x)とg(x)がある時、
∫f g’ dx=f g-∫f’ g dx …(1)
これが、部分積分の基本公式。
例えば、I=∫log x dxを求めたいとします。
この時、f=log x、g=xと置きます。fは積分は出来ないけど、微分したら1/xとなります。
gは微分すると1です。
I=∫log x dx=x log x-∫(1/x)xdx =x log x-x+C …(2)
(1)式のもとは、微分法の積の微分公式 (f・g)=f’g+f g’ です。

【置換積分】置換積分
関数f(x)とg(x)がある時、g(f(x))の積分を考えます。
∫g’(f(x)) f’(x)dx=g(f(x))+C …(1)
これも、微分法の合成関数の微分からきています。
(g(f(x)))’=g’(f)・f’ ; 全体をfで微分して、次にfをxで微分します。
(1)では、迷わずにf(x)=hとおいてみます。f’(x)=dh/dxだから、
∫g’(h)) (dh/dx)dx=∫g’dh=g(h)+C

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