算数の部屋
皆さん、算数が好きですか。算数が得意になるためには算数が好きでないといけませんね。一番いいのは算数が楽しめるようになることだね。
計算大好き人間はいいととして、計算が大嫌いな人はどうすればいいのかな。できるだけ文章題を楽しむんだ。楽しんでやっていれば自然と計算する力もついて来る。算数は世界中でも大好きな子が最も多い科目だ。日本だって遅(おく)れを取ってはいけない。
英語で算数をしている国。文章題という言葉に相当する英語はないみたい。文章題とは算数そのものだからね。計算の練習というのは、スポーツで言えば筋肉トレーニング見たいなもの、算数ができるようになるための練習だ。英語で算数をする時はいつも次の二つのことを頭に入れておくように言われるらしい。
1. What is this problem asking? → 何を問われているの?
2. What kind of answer does this problem want? →どんな答えを「this problem=この文章題」は求めて(want?)いるの?
この姿勢はどんな勉強でも大切だね。「あなたは何のために漢字を練習しているの。」「どうして、都道府県の名前を漢字で書けないといけないの。」。テストで100点取りたいだけが答えではないよ。
まずは計算
【足し算引き算入門】
君たちが小学校に入学する。1年生で最初にすることは、数を数えることから始まって、10までの数の足し算、引き算だね。3+7=10、10-3=7みんなやさしくて、たいていの子供たちは算数が大好きだね。チョット復習からやって見よう。
6+4=、2+8=、9+1、10+0、3+7、…
10-9=、10-8、10-7、10-0、…
答は簡単だからここには書かない。最初のつまづきは、和が10を越(こ)えた場合。ここで大事なことは10進法の仕組が分かることだね。10毎にひとまとまりにして新しい位として左に書くこと。3+8=11、この左側の1が10の意味だということを理解することがとても大切なんだ。「十」を10と書く0の発見は人類の大発明なんだ。また簡単な復習だ。暗算で答えを出してね。
【問1】13+27=、38+27、68+42=、60+58=
繰上りの登場だね。古代ギリシャ人ローマ人10、11、12をⅩ、ⅩⅠ、ⅩⅡなんて書いていたんだけど大きな数の計算は大変だったんでしょうね。
【問2】21-2=、33-14=、35-26=、51-19=
これも簡単でしょう。でも、10進法や繰り下がりの考え方が分からない、子供にとっては結構(けっこう)な難問(なんもん)です。計算問題をたくさん練習するのはこの考え方を理解するためなんだ。だからただ漫然と言われたことだけ作業している子は上達が遅くなるんだ。良い先生はこのポイントを教えることが上手なのですね。1の位どうしは引く数の方が多くて引けないね。だから10の位から10を取ってくる。だから10の位は1だけ減るんだね。借りて来るなんて説明されるけど、借りたものは返さないといけない。借りるんでなくてぶんどってくるんだ。
多分、このページを見ている高学年の皆さんには簡単すぎると思うけど、君たちが下級生のお友達に上手に教えられるかどうか。
ここまでできれば、次はどんどん大きな数の足し算、引き算にチャレンジできるね。2ケタまでは出来るけど5ケタ以上はダメなんてことはありえない。仕組みは全く同じだから。そんな言い訳は無しだ。次の問題。
【問3】10013-14=、2098-99=、9888+13=
足し算引き算の仕組み
次の問題をやって見よう。
【問題4】68+32=、32+68=、18+32+50=、10+8+16+16+20+30=
答は、全部100だね。ここで理解して欲(ほ)しいことは、足し算の答えは足す順番に寄らないことだ。
A+B=B+A、A+B+C=A+(B+C)
こういう時は、数字を使うより文字を使った方が見やすいでしょう。AとかBは色々な数字の代わりだ。どんな数字でもいいんだ。沢山(たくさん)の数を足すときはその順序や組合せを工夫すれば簡単にできるということだ。
【問題5】1から100までの数を足すといくつになりますか。では1から999まで足すといくつですか。
この問題は、ガウスという大数学者の子供時代の逸話(いつわ)からです。先生が生徒たちにこの問題を出して、生徒たちが苦労している間にチョト自分の用を足そうと部屋を出ようとしました。その時ガウス少年が「先生出来ました」と言って答えをたちどころに出してしまったということです。ここで答えをSとしましょう。
S=1+2+3+……+100
足し算は、足す順番は関係がなかったですね。だから、
S=100+99+98+……+2+1
この2つのSを加えてごらん。
2×S=(1+100)+(2+99)+……+(99+2)+(100+1)
右辺は()の中はみんな101で、(括弧)の数は全部100個だね。
だから、2×S=101×100、S=101×100÷2=101×50=5050
これを一般化(どんな数にも対応できる形)すると、
【問題】1からNまでの自然数の和はいくつでしょうか。
答は100の代わりのNを入れて、
S=(N+1)×N÷2
となります。N=10なら、S=55、N=999ならS=499500となります。
チョト追加の説明を加えると、普通上の式は、
S=N(N+1)/2
文字を使えば、掛算記号は省略でき、割算は「/」で表すのが普通です。
ところで、上で自然数と言う言葉をつかったね。自然数とは君たちが普段ものを数える時に使う、1、2、3、…という数だ。小学校の1~2年生で習う数はみな自然数だね。問題は0も自然数かどうかだけど、これにはどちらの流儀もあって、話をする前に決めておかないといけない。
【問6】次は簡単な引き算の問題だ。
5-12=、12-25=、0-1=
解答は、出来ません。本当は-7、-13、-1だけど。自然数の範囲では答えは出てこない。自然数を負の数まで拡張したものが整数と言われるものです。温度計では0度より寒いときは氷点下10度なんて言いますね。南極などでは-60℃ぐらいまで寒くなるんだ。デモ小学校では負の数を使ってはダメとか言われる??
【N進法】数字の表し方は、本当は10進法が総てではないんだ。2進法や16進法等はコンピュータの世界では使われているよ。
【問7】次の数を2進法と16進法で表してごらん。
183、256、4260
例えば、183÷2=91…1、91÷2=45…1、45÷2=22…1、22÷2=11…0、11÷2=5…1、
5÷2=2…1、2÷2=1…0、これを逆に(右から左へ)並べると
183=(10110111)2=128+0+32+16+0+4+2+1=183
183÷16=11…7、だから(A7)16=183、ただし、11=A、12=B、13=C、14=D、15=E、16=(10)16となる。
こういう数を表すときに大変便利なのが指数記法という方法だ。例えば、1億と言う数。1の後に0が8個もつく。これを108と表せば大変便利だね。10を8回かけあわせる意味だ。1兆は1012だ。では3億×2兆=3×108×2×1012=6×108+12=6×1020、それでこれどう読むの。10の20乗(じょう)です。でもコップの中にある水に含まれる原子の数や太陽系の中の星の数はこれよりずっと多いね。先ほどの183もこれで表すと分かりやすい。
183=1×102+8×101+3×100
=1×27+0×26+1×25+1×24+0×23+1×22+1×21+1×20
22=2×2=4、21は2が1つしかないから2。20=1は2が一つもないという意味なので分かりにくいけど、指数がマイナスの時を考えるとこう決めておけば良いことが分かる。
例えば、10-3=1÷10÷10÷10=1/1000
【問1解答】40、65、110、118
【問2解答】19、19、9、32
【問3解答】9999、1999、9901
やっぱり計算
小学校も二年生になると掛算が入ってくる。「ににんがし…」なんて九九の表を全部暗記しないといけない。
ここで自分でも作れる便利な九九の表を紹介しよう。
まず、第一段目に1から9までの数をならべるよ。
第二段目は2、4、6、…、18と書く。
これで準備完了だ。第三段目は、第一段目を第二段目をくわえて、
1+2=3、2+4=6、…、9+18=27とやてって完成だ。
二段目も一段目と一段目を加えているんだ。これを続けて九段目は八段目と一段目を加えると良い。こうして表が出来上がる。さあ、表が出来上がった。どうしてこんなことが可能なんでしょう。掛算の法則に分配則というのがある。交換則というのもあります。式で書くと次のように簡単に書ける。
交換則;A×B=B×A
分配則;(A+B)×C=A×C+B×C、
C×(A+B)=A×C+B×C
交換則はすぐわかる。「4×6=24、しろくにじゅうし」と「6×4=24、ろくしにじゅうし」は同じだね。上の計算は分配則を使えばすぐわかる。
例えば、8×7=8×(6+1)=48+8=56
九九の表を毎日暗記させられるのは結構大変。でも忘れても大丈夫、例えば6×8を忘れても5×8を覚(おぼ)えていれば、(5+1)×8=40+8=48で、「ごはしじゅう」の「いんはちがはち」を足して、「ろくはしじゅうはち」が簡単に思い出せます。でも、九九の表は最終的には暗記しないと2ケタや3ケタの掛算で苦労するよ。
二けた以上の掛算も10のまとまりを使って、分配則を適用しているのだ。
98×76=98×(6+70)=588+6860、分配則をさらに適用すると、
98×76=98×(6+70)=98×6+98×70=(8+90)×6+(8+90)×70
=8×6+90×6+8×70+90×70=48+540+560+6300=7448
2段計算を4段でやる裏技(うらわざ)ですが、こんなこと学校でやってもだれもほめてくれないね。
ところで、さっき出した九九の表をもう一度ながめて欲しい。対角線に沿って、数字が1、4、9、16、25、36、49、64、81となっているね。同じ数を掛け合わせた積(せき)を平方数と呼んでいる。一辺の長さが1、2、3…の正方形の面積が1、4、9…となるね。
また、平方数に関してはピタゴラスの定理という有名な定理があるんだ。これについては別の項でも説明がある。直角三角形の直角をはさむ二辺をA、B、斜辺をCとする時、
A2+B2=C2という関係がある。たまたまA=3、B=4、C=5の時、この定理にぴったり当てはまる。
この表の中で上手く行くのは3、4、5の時だけで、
32+42=52だね。もっと大きな自然数ならあるらしいが探し出すことも難しいね。この3、4、5の直角三角形は古代エジプトのピラミッドの建設にも大いに利用されたようです。
さらに、この表は面白いことに対角線に対して対称で、縦と横を入れかえても変わらず、九九の表を縦に読んでも同じように九九の練習ができる。インドの子供たちは計算が得意でこの表を100×100まで拡張して諳(そら)んじているらしい。
まだまだ計算
さあ、君たち算数計算の力もずいぶん上がったでしょう。足し算、引き算、掛算、割算これをまとめて四則計算と言うんだ。四則とは4つの法則(ほうそく)という意味だね。足し算の答えを和(わ)、引き算の答えを差(さ)、掛算の答えを積(せき)、割算の答えを商(しょう)という。4つ合わせて和差積商(わさせきしょう)。忍者の呪文(じゅもん)みたい。四則計算、難しくいうと四則演算。記号を使うと下の4つにまとめられてしまいます。
①加算(かさん):A+B=C、CをAとBの和という。
②減算(げんざん):A-B=C、CをAとBの差という。
③乗算(じょうざん):A×B=C、CをAとBの積という。
④除算(じょさん):A÷B=C、CをAとBの商という。
あれ~。割算では、余りがあったよね。そう、君たちが今まで教わってきた計算はすべて自然数を対象にしているんだ。自然数とは、クラスの人数とか、男の子の数とは、鉛筆の本数とかだ。どれも「ひとつ、ふたつ、…」と数えられるでしょう。でも、ジュースを3人で分ける。長いリボンを3人で分ける。線の長さを分割(ぶんかつ)する。当然、小数や分数が出て来るね。だから四則演算を小数や分数にも使えるように修行(しゅぎょう)しないといけない。
【分数の計算】
【問題】大きな丸いケーキが1つあります。これを3人で分けると一人いくつづつでしょうか。
1÷3=0…1、一人0個であまりは1個。確かに一人で1個はもらえません。だけど、食べるのを我慢(がまん)するのでなく、包丁を持ってきて3等分して食べますよね。つまり、
1÷3=1/3です。「/」は学校では横棒(よこぼう)ですが、パソコンでは「/」を使います。分数は、割算の商と全く同じですね。つまり、A÷B=A/Bとなっています。
分数の計算では通分(つう)と約分(やくぶん)の考えがとても重要だね。まず、通分を見て見よう。一つの式の中では、掛算と割算は足算と引算よりも先にやることが約束だったね。
1/3+1/2=1÷3+1÷2
このままでは、足せないね。割算にも分配則が使えるんだ。分配則は、
(A+B)÷C=(A+B)/C=A÷C+B÷C=A/C+B/C
1/3+1/2=1÷3+1÷2=2÷6+3÷6=(2+3)÷6=5÷6=5/6
分母を同じにしないと、足し算も引算も出来ないですね。
だから、分数の計算では、足算(たしざん)、引算(ひきざん)よりも掛算(かけざん)、割算(わりざん)の方がずっと簡単なんだ。自然数だけの四則計算と逆になるんだね。
ところで、分数を考えると余りは無くなる。そして掛算と割算は逆演算(ぎゃくえんざん)あるいは逆操作(ぎゃくそうさ)という関係(かんけい)になっています。つまり、
ある数に5で割る(÷)ということは、ある数に(1/5)を掛けることと同じと言うこと。つまり、A÷B=A×(1/B)、A×B=A÷(1/B)
Bと(1/B)の関係を逆数と言います。(5/4)の逆数は(4/5)です。それから、どうして約分がいるかというと、A÷B=Cのときに同じCに対してAとBは色々な値を取ることができますね。だからAとBが一番簡単になるようにするためです。例えば、
1/3=2/6=123/369=4000/12000=…
この場合、1/3が一番簡単な形ですね。このような形で表された分数を既約分数と言います。分数の掛算、割算が混合している時は、全部掛算に直して計算すると間違いが少ないですね。逆数が大活躍(だいかつやく)です。
【小数の計算】
分数の計算ができたら、後残りは小数の計算です。多分、分数と比べるそんなに難しいとは感じないでしょう。というのも、普段の生活にももう取り入れられているからでしょう。1リットルの水は、10デシリットル、1デシリットルの水は0.1リットル。
1メートル23cmのリボンは、1.23mです。1mは100cmです。1cmは0.01mです。量を計る単位を変えると、必ず小数が顔を出します。
足算、引算は問題ないだろう。問題は掛算、割算だね。まずは、小数点を外して計算して、後から小数点の位置を考えるのが一番簡単かもしれません。
【問1】9.8×7.6
まず、98×76と計算すると、7448となる。この答えは、10×8よりは小さくて、9×7より大きいことは分かるね。つまり、80~72、どちらにしても小数点より左側は2ケタだね。つまり、答は74.48だと分かる。小数の計算では、数字の計算を間違わないのは当然として、もっと大事なことは桁数をしっかり理解することだ。
もう少し、複雑な場合を考えて、10の指数について復習して見よう。例えば、105とは1の後に0が5個ついた数。100000、つまり10万だ。103=1000、102=100、101=10、最後に100=1、この1が大事だ。マイナスの指数は、逆数の意味だ。
0.01=1/100=10-2、0.00001=1/100000=10-5、
【問2】0.035×0.00047=3.5×10-2×4.7×10-4=16.45×10-6
35×47=1645だから、3.5×4.7は16.45、
小数で無い部分を1ケタにしておけば、かけたものは1ケタか2ケタのどちらかだ。
2×3は1ケタ。6×3は2けた。
【問3】3.85÷4.7
これは、38.5÷47としても同じだね。38は47では割れないから0、385なら47で割れる。だから、商は小数第一位から始まる。答えは、0.8191489…
小数の割算は、小数点より右も同じように計算するけど、問題はいつまでたっても割り切れないことが多いのだ。掛算の場合もかけると答えの桁数が増えてしまってゴチャ、ゴチャするでしょう。それに実際問題としてあなた物差しや秤(はかり)を使って計る時、1.3546949494…cmなんて計れるはずもない。だから、たいていはcmやmmまで計って残りはバッサリ無視してしまう。例えば、小数第二位まで求めよなどと。第三位目が5より大きければ(上の場合0.82)切り上げ、4よりも少なければ切り捨てとするのが四捨五入というやり方だ。他に少しでも残りがあれば加算する切り上げと、残りをバッサリ捨ててしまう切り捨てという方法もある。この3つの方法のどれを取るかは現場の要請で判断するんだ。
【問題4】次の小数を分数であらわしてください。
①0.3333…
②0.9999…
点々(…)は、無限に続くことを示しています。
①×10=3.3333…、この両辺から①を引くと①×9=3だから①=3/9=1/3
同じように②×10=99999…、この両辺から②を引くと②×9=9だから②=1
0.999…は1と同じなのですね。小学校までは、数はこれですべてです。分数まで使えばほとんどの数は表せそうです。しかし、本当は分数で表せない数もあって、無理数と呼ばれています。例えば、面積が2m2の正方形の一辺は、√2mです。直径が1mの円の面積はπm2(3.141592…m2)となり、やはり無理数です。分数で表せる数を有理数とも言います。無理数とは分数で表すことが無理という意味ですね。無理数については別項で説明があります。
足し算、引き算
まず始めに肩慣(かたな)らし。簡単な足し算、引き算をやって見よう。足し算は繰(くり)上りのやり方、引き算は繰(くり)下がりのやり方を覚(おぼ)えるのが一番大事だね。たくさん問題を解くよりも答えが分かっている問題を繰り返し簡単にできるように練習しよう。下に練習問題を2問出します。野球の選手が素振りするみたいに、サッカーの選手がドリブルの練習をするみたいに毎日練習して見よう。
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370292579 | |
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もっと練習するには、下の四則計算練習をクリックしてね。
四則計算練習 算数の部屋
小数に慣れよう
小数に関してまず簡単な復習をして見ましょう。
①
分数を小数に直すには、分子を分母で割ればいいね。1÷4=0.25
【答え 0.25】
では、小数を分数に直すには?
例えば、0.375 なら375/1000=75/200=3/8、 どんどん約分していきます。最初分母と分子を5で割って、次に25で割って、これ以上約分できなくなればOKです。
②
小数を分数に直すには、まずは10とか100とがで割ればすぐわかる。0.8=8/10=4/5。やっぱりしっかり約分はしよう。
【答え 4/5】
③
1/3は循環小数というもの。1÷3
=0.33333333333333…何時まで行っても終わらない。でも、1/3の方が大きいことは分かるでしょう。 【答え 1/3の方が大きい】
x=0.99999…、無限に9が続きます。実はこれは1と同じです。なぜかというと、10x=9.999999…、 10x-x=9、 9x=9 だから、x=1 なのです。
④
4÷5と考えると、0.8だ。当然0.7よりも大きい。分数は分母が違うと大きさが比較しにくいので小数に直した方が比べやすいね。 【答え 4/5の方が大きい】
⑤
単位をそろえればいいんだ。たいていは問題の文にどちらの単位に合わせればいいか書いてあるから間違えないように。学校の問題では先生は答えが一つに決まるようにしておきたいんだ。
480 cm +200 cm =680 cm でいいんだけど、何mと聞いているので、 4.8 m+2.0 m=6.8 m 、【答え 6.8 m 】
答えには必ず単位をつけてね。式には単位をつけなくてもいいけど、つけるなら全部の数字に着けること。
⑥
答えはリットル(ℓ)で聞かれているので、リットルで出しましょう。1 リットル=1000 ミリリットル、 1ミリリットル=0.001 リットル。 ミリリットル=1 cm3、
0.8+1.4 =2.2 リットル だから、
【答え 2.2 リットル】
でも、この画面でこのリットルℓという字、とても見にくいでしょう。パソコンの画面では小文字のエルは「l」で、数字に1と見分けがつかなくなってしまいます。そういう理由もあってかこの頃はリットルという単位は学校以外ではあまり使われなくなっています。だからこれからはリットルをカタカナで書くようにします。
⑦
カバンから物を出せば当然軽くなるので引き算だ。これも単位をそろえよう。
1 kg=1000 gを忘れなけば大丈夫だね。300 g→0.3 kg だから、 7.5-1.20-0.3 = 6.0、
【答え 6 kg】 です。
⑧
1リットル当たり500円と単なる500円は違(ちが)うんだ。1リットル500円は、500円/リットル で、円をリットルで割った単位と考えた方がいいんだ。
500円/リットル × 3.5 リットル =1750 円、
【答え 1750 円】です。
⑨
あまりには小数がつくね。 58.5 m ÷ 3 m/人=19 人と余り1.5 m、
余りのある割り算で式にも単位をつけると結構(けっこう)ややこしいでしょう。
【答え 19人に配れて1.5m余る】
割り算はひっくり返してかければ良かったですね。つまり逆数を使うのです。単位も同じだ。
m ÷ m/人=m × 人/m =人、割り算の商は人数、余りはmですね。
⑩
テストでこんな問題出してくれたらうれしいでしょう。だって計算しないで楽に答えが出てしまうからね。
掛け算の場合、1より大きな数字をかければ答えは元の数より大きくなります。逆に1より小さい数をかければ元の数より小さくなります。当たり前?だったらもう答えは分かるね。
答え→1)□<〇、2)□<〇、3)□>〇、4)□>〇、
⑪
割り算の時は、上の場合と反対だね。1より大きな数で割れば元の数より小さくなるし、1より小さな数で割れば元の数より大きくなるよね。
あとの二つは分数で考えてごらん。□÷〇=□/〇だから、この商が1より大きければ、分子>分母で、この商が1より小さければ分子<分母となる。
答え→1)□<〇、2)□<〇、3)□>〇、4)□<〇、
かっこのある長い式の計算には計算する順序(じゅんじょ)についての明確なルールが決まっている。
①かっこの部分は最優先、②掛け算と割り算は、足し算と引き算より先にやる。③わし算は逆数にして掛け算としても良い。④同じ数が出てきたらカッコを使ってまとまると計算が楽で速くなる。分配則というのがある。
分配則;(a+b)×c =a×c+b×c
③と④ルールではないけど計算を早くするコツだ。
⑫
1) 2.4 - 0.4 × 6=2.4 - 2.4 = 0
2) 1.5 × 2 - 1 × 1.5 = 1.5 ×(2-1)= 1.5
3)(125-25)×4.56 =100 × 4.56 =456
4)(25+75)×2.55 = 100 ×2.55 =255
⑬
1) 32.5 -7 -0.5 =25
2) (16.2×4.2÷4.2-42÷4.2)=16.2-10 =6.2
3) (15-7.5)÷3 =7.5÷3 =2.5
4) (75-25)÷0.5 =50÷0.5 =50/0.5 =500/5 =100
⑭
お店屋さんになったつもりで考えよう。
1)あなたは靴を4000円で仕入れる。これが仕入値段。4000円で売ったら設け無しだね。
2)20%の儲(もう)けを見込んで定価をつける。儲けは、4000×0.2=800、つまり一足800円の儲けだね。
3)だから、定価は4000+800=4800円だ。
4)20%引きとは0.8倍で売ることだ。4800×0.8=3840円→え!!これでは損してしまうでしょう。だって4000円で買ったものを3840円で売るんだから。
5)定価の 15% 引きとは100-15=85なので定価の0.85倍だ。4800×0.85=4080。この値段なら一足当たり80円の利益が出る。対した利益ではないが損はしない。つまり得をする。
6)左の文章で正しいのはどれでしょうか。
→【答え ①と④】
大きな数と小さな数
皆さん、暗算の練習です。300×600=??、500×3000=??
こんな暗算簡単だと思う人。イヤー、頭がゴチャゴチャしちゃうという人。どちらの人も、「さぶろくじゅうはち」とか「ごさんじゅうご」までは、簡単に分かるでしょう。後は、この後に0が何個つくかを考えればいいだけだね。
1、10、100、1000、10000…。10進数は10倍するごとに0の数が1つ増えるだけだ。だから数学者は大きな数を10nというとても便利な方法で表わすんだ。同じように小さな数は10で割るごとに小数点より右に移っていくんだ。こんな時は、10-nなんて表すけどね。実際に練習してみよう。計算といっても実際は、右肩にある数を足したり引いたりするだけでいいんだから超簡単でしょう。
300×600=3×102×6×102=(3×6)×102+2=18×104
500×3000=5×102×3×103=(5×3)×102+3=15×105
104は1万だから、上は18万、下は150万だと分かる。
では、100億×2000億=1010×2×1011=2×1010+11=2×1021こんな大きな数は名前がない。
小さな数の場合は、負の数(マイナス)が出て来るけど、意味は同じだ。
20÷40000=2×101÷(4×104=(1/4)×101-4
=(1/4)×10-3
10-3とは1/1000のこと。千分の一だ。100万=106、
1億=108、1兆=1012、100万分の1=10-6
この程度は覚えておいて損はない。
お店屋さん
【問題1】
1 足 9800円の運動靴を10足仕入れて、定価12000円で販売したら、8足売れました。残りは定価の2割引きで売りました。
(1). 運動靴の原価はいくらでしょうか? 定価はいくらでしょうか?
(2). 残った2足はいくらで売ったのでしょうか?
(3). お店屋さんはいくら設けたのでしょうか?
(4). では、全部(10足)定価で売っていたらいくら儲かっていたのかな?
【問題の答え】
(1). 原価とは仕入れた時に払ったお金の値段。定価とはお客さんに提示するために値札に書かれた値段だ。昔の商売では、店の主人とお客さんが交渉して決めたんだ。
この場合は靴1足の原価は9,800円、定価は12,000円だね。
(2).2割とは2/10ということだ。定価×(1-値引きの割合)=売値だね。
12000×(1-0.2)=12000×0.8=9600円が答えだ。
でも、よく見てごらん。9,800円で仕入れた(買った)ものを9,600円で売ったら、1足当たり200円の損だね。2足で400円の損か。
(3). 商売というものは、 (売ったお金の合計)-(仕入れたお金の合計)=(売上(利益))だね。
利益を出していないと商店はつぶれてしまうぞ。
(仕入れたお金の合計)=9,800×10=98,000円 これは簡単だ。
(売ったお金の合計)=12,000×8+9,600×2=115,200円
この2つの金額の差が儲けだね。 115,200-98,000=17,200円
(4).1足当たりの利益は、定価-原価=12,000-9,800=2,200円
だから10足では、利益は22,000円となっていたはずだ。とこらが実際の儲けは、17,200円となってしまった。22,000円-17,200円=4,800円損した? でもとりあえず利益は出ている。どちらが得かは一概には言えないのが商売の難しい所だよ!!
(かっこ)のついた計算
足し算、引き算、かけ算もわり算もできるのに、どうも( )がつくと、急に難しいと思う子供がいる。何のために( )があるのか分かっていないからだ。例を見ながら考えて見よう。
1+(((1+(1-1)+1)+1)×2-2)=???
カッコには必ず、始まりと終わりがある。「(」と「)」でワンセットだ。()がある時の計算は最優先。つまり、内側のカッコから順に計算して行けば何の問題もない。
1+(((1+(1-1)+1)+1)×2-2)=1+(((1+0+1)+1)×2-2)
=1+((2+1)×2-2)=1+(3×2-2)=1+(6-2)=1+4=5
普通は、こんな時は1+([{1+(1-1)+1}+1]×2-2)みたいに()の種類を分けて分かり易くしてあるんでけど、パソコンなんか使う時は、使えるのは( )だけだ。
後は、かっこのついた計算では、かっこでくくったり、かっこを外したりできることが大事だね。
52×7+48×7は、52×7+48×7=364+336=700 とやるより、
52×7+48×7=(52+48)×7=100×7=700 とやる方がはるかに楽だ。
(a+b)×c=a×c+b×c (分配則)は知っているだけでなく、自由に使えないとだめだ。大人は、文字を使った場合掛け算の記号を省略する。つまり、
(a+b)c=ac+bc、a(b+c)=ab+ac、(a-b)c=ac-bc、3(2x-6)=6(x-3)
【練習問題】
(1). 1+(2×3+(6-4)×5)
(2). (9×8-(7×(6-(5+(4-3-2)))))×1
ヒント:1758
不等式
不等式も多分どこかでやったんではないかな。a は b よりも大きい。a は b よりも小さい。
記号で表わすと「>」、「<」となる。他に≠、≧、≦ なんかも良く使われる。
まず、上の絵を見て下さい。
【問題左】
①から辞典>写真集が分かる。絵本は共通だから。②から絵本>辞典だ。写真集が共通だから。
この二つを組合わせれば、絵本>辞典>写真集となるので、1番重いのが絵本、2番目が辞典、3番目が写真集だね。
【問題右】
まず分かっていること。 ①柿>レモン、②桃>柿 だから三つの重さは、桃>柿>レモン となる。
その後の文章は? ①→正解、②→柿の方がレモンより重いので間違い、③→不明
掛算と割算
(1). 肩慣らし。まずは易しい問題から。
500mの道を毎分50mで進むと、何分かかりますか?
これは出来るだろう。 500m÷50m/分=10分
掛算や割算をする時は、単位も一緒に掛け算割算することを覚えておこう。
(2). 分数が出て来ると急に分からなくなる人がいる。
毎時(5/6) km で (5/9)km の道を行くには何時間かかる?
上と同じ問題なのにどっちをどっちで割るの?
単位を考えると、km÷km/時=km×時/km =時だから、
(5/9)km÷(5/6) km/時=(5/9)×(6/5)時間=(2/3)時間
(3). こういう問題、文字で表わすとかえって分かり易かも。
毎秒 a mで、b m 進むには何秒かかるか? これなら答えは b/a とすぐに分かるだろう。
(4). (7/5)m の金の延べ棒重さは(29/31)kgであった。1m当たりの重さは? 1 kg当たりの長さは?
(5). 上の金の延べ棒で考えよう。(8/5)kgの時の長さは? (19/3)m の時の重さは?
パズルで楽しむ分数計算
ここに紹介するのは昔から伝わる面白いお話。分数が関係するので自分でしっかり分かるように計算してね。
どこの国の話かは知らないが、ある村の長者(お金持ち)が亡くなり、3人の息子に遺言(ゆいごん)を残した。どこか遊牧民の国みたいだけど。財産として残されたのは馬が17頭だった。
「長男は全体の1/2を取れ。次男は全体の1/3を取れ。三男は全体の1/9をとれ。」
さあ、兄弟たちは困った。17頭の1/2だって、それは8.5頭だ。馬を半分にきることなんてできないし。そこで、兄弟たちは村の知恵者の長老に相談に行った。
「よし、分かった。まずわしの馬を1頭貸してやろう。そうすれば馬の数はどうなる。」
「馬は、全部で18頭。長男は1/2だから9頭、次男は6頭、三男は2頭、合わせて全部で17頭だ。残った1頭は、もともとわしの物だから返してもらうよ。」
という訳で、めでたしめでたし。さすが長老だね。
でも、この話どこかおかしいでしょう。
遺言どおりだったら、長男は17×(1/2)=8(1/2)、次男は17×(1/3)=5(2/3)、三男は17×(1/9)=1(8/9)でなければならないのです。でも、それではうまく分けられないよね。それに3人の取り分を足してみてごらん。(1/2)+(1/3)+(1/9)=(9+6+2)/18=17/18で初めから余りがあるわけです。3人とも遺言の取り分よりほんの少しだけと増えているね。 だから絶対に文句は出ない。面白い話ですね。
でも、どうして長男が半分なんて、年上の方が多いの、不公平なんていう声もあるね。昔の子供達は皆、父親や母親を助けて働いているんだ。だから馬が増えたのも長男や次男の働きも大きいということ。だからたくさんもらうのも当然という訳(わけ)。
方程式を解いてみよう
小学生の皆さんにとって方程式なんて結構難しいと思っているのでは。ところが今まで学んだ四則計算が出来れば何でもない。試しに次の問題をやってみよう。
(1).x+1=2、(2).5+x=7、(3).x-7=3、(4).8-x=2、(5).10=13-x
これなら暗算でxがいくつか分かるね。答えは自分で出して検算してみて下さい。
x+a=b→ x+a-a=b-a→ x=b-a
このように「=」の片側の数字(文字)を反対側に移す操作を移項(いこう)という。
次の問題も簡単だろう。
(1).2x=4、 (2).3x=9、(3).10=x×2、(4).3x=1、(5).(3/4)x=(7/3)
ax=b →x=b/a の形になっている。逆数という言葉思い出してね。
ax+b=cx+d →ax-cx=d-c →(a-c)x=d-c →x=(d-c)/( a-c)
(1).2x+10=x+12、(2).7x-2=5x+6、(3).(1/2)x-(1/3)=(1/3)x+(2/3)、
(4).1.25x+0.25=0.25x+1.25、(5)2x+10=12+2x
最後の問題は出来ませんと答えないと不正解です。
算数の部屋
もう少し、練習を続けて見よう。
方程式というと、「ああ、x が出て来るあれね!」なんて言う人がいるけど、文字は何でもいいんだ。
(1).3+2Z=5、 (2).5y+y=36、 (3).1/x +1/3 =1/2、 (4).3a +5=a +15、
(5).ax +b=c (ただし未知数は x)
暗算でも解けるかな? 未知数とはこれから求めたい数。文字が一つしかなければそれが未知数だね。
最後の例での、a、b、cは既知数(きちすう)と言う。つまり、本当はもう分かっている数だ。コンピュータなどではデータとして色々な数が後から与えられる。
(5)→ax +b=c → ax=c-b → x =(c-b)/a が正解となる。a、b、cを色々変えて調べることが出来るね。
【例題】この例題は昔から有名な鶴亀算の例だ。鶴の数を「つ」、亀の数を「か」としよう。
鶴と亀が合わせて9匹、足の数は合計26本あった。鶴と亀はそれぞれ何匹でしょう。
この場合、未知数は「つ」と「か」で、これを求めれば良い。これを式にすれば、
つ+か=9、 2つ+4か=26
鶴の足は2本、亀の足は4本は、常識としていいだろうね。すると、つ=9-か だから、これを2つ目の式に入れて、2(9-か)+4か=26 →2か=8 →か=4
亀が4匹ならば残りの5匹は鶴。以上。
この問題を鶴と亀合わせて a匹、足の数をb 本としよう。今度は 鶴の数を「x」、亀の数を「y」としよう。
x+y=a、 2x+4y=b
2(a-y)+4y=b → 2y=b-2a → y=(b-2a)/2
これで亀の数が分かった。後はデータをもらえば、a=9、b=26だから、y=4が求まるね。
x=a-y=a-(b-2a)/2=a-b/2+a=2a-b/2、これからx=5が求まる。
このように文字を使うことで応用範囲がうんと広がるんだ。
なお、このように問題の中に未知数が2つ以上ある方程式(の組)を連立方程式という。
【例題】3つの異なる数がある。3つの数の合計は31であった。小さい方の2つの合計は18、大きい方の2つの数の合計は24であった。この3つの数を求めて下さい。
【解】3つの数字をx
この3つの式よく見てごらん。
z=31-18=13、 x=31-24=7、 y=18-7=11 となることはすぐわかりますね。
簡単な計算問題
方程式は難しくない。とは分かっても実際に問題を解こうとすると、結構間違ちゃったり、時間がかかったりして好きになれない。そういう人は、小学校の低学年での計算練習が足りなかったのかもしれない。ここでは、復習をを兼ねて易しい問題を沢山やってみよう。
【問題1】
(1). 3+x =10、 (2). 2x -2= 8、 (3). 3+3a=9、 (4). 10 -x= 7、
(5). 1/x=1/6、 (6). 1/x =3、 (7). 3/x=6、 (8). 15- 1/x=10、
(9). z-1/3=2/3、(10). 12-z=2、 (11). (2/7)y+(5/7)y=100、
(12). 3y-5=2y-5、 (13). 7b+4=5b+8、 (14). 100z+2000=98z+4000
【例題】 18(1/x)+3/7 =15(1/x)+9/7
こんな問題では、 1/x=yとおいて、18y+3/7 =15y+9/7 →3y=6/7 →y=2/7、これを元に戻すと、
y=1/x=2/7 →x =7/2 とできる。y=1/x 見たいな操作を置換(ちかん)という。
置き換えるという意味だ。痴漢(ちかん)と言うのはとても悪い意味だから気をつけてね。
【問題2】
(1). 1/z=13/17、 (2). 17/y=34/5、 (3). 63z=9、 (4). 48a=8、
(5). (3/4)x +(1/3)x=12/13、 (6). (3/4)x +(1/3)x=13/12、
(7). 100x-25x+26x+21-98x=2x+31
(8). (3/7)x-15=14-(2/5)x、
小学校の分数計算。とても大事だったことが分かるね。
正の数と負の数
正の数と負の数は、何故か小学校では取り扱わない。中学生の最初にやることにされている。でも、正の数と負の数の考えは日常の生活でも、頻繁(ひんぱん)に出て来るね。温度計の目盛りだって、氷が凍る温度より下はマイナスだね。借金を正の数とすれば、お金をもらうのは正の数だ。例題をやりながら考えよう。
(1).5-6=?、 (2).-8+5=? 、 (3).(+7)+(-9)=?、(4).10-(-3)=?、 (5).-45-(-50)=?
(6).3×(-4)=?、 (7).(-6)×(-9)=?、 (8).(-(-(-10)))×(-10)=?、
マイナスの符号がつくを数の向きが反対になるんだね。
(9).(-1/3)+(-1/2)=?、 (10).(-5/8)×(-16/15)=?、 (11).(-1/2)÷(1/3)=?
文章題へのチャレンジ
目次
【まずは質問の意味をよく読んで】 | 比とは何か | 植木算 | 天秤算 | 建物の設計 |
方程式の解き方 | 還元(かんげん)算 | |||
数当てクイズ | チョト難しい方程式 | |||
通過算 | 旅人算 | 分配算 | 過不足算 | 和差算 | 鶴亀算 |
流水算 | 年齢算 | 仕事算 | ニュートン算 |
【まずは質問の意味をよく読んで】
計算の練習をするのは、色々な問題を解けるようにするためだ。聞かれていないことを答えても0点だから気をつけよう。
【単位には要注意だ】
足算と引算は必ず同じ単位だ。単位が違うものは絶対に足したり引いたり出来ないぞ。次の問題をやってみよう。
【問1】 1.2mのひもから、70cm切り取りました。残りは何mでしょうか。
【問2】 2700mの道を1.4km走りました。残りは何mでしょうか。
【問3】 鉄の棒が2本あります。1本は1m、もう1本は1kgです。2本合わせた重さと長さはいくらでしょうか。
【問1の解答】 mで答えないといけないので、mに直してやるのが賢(かしこ)いやり方だね。
1.2-0.7=0.5 答え0.5m
となる。もちろん、120-70=50、答0.5m
としても良い。しかし、50cmでは0点だ。気をつけよう。
【問2の解答】 これもmで答えないといけないので、mに直してやる。
2700-1400=1300 答え1300m
質問が残りはいくらでしょう。これなら2.7-1.4=1.3 答え1.3kmも正解だ。
【問3の解答】 長さと重さとか、体積と面積等性質の異なったものは絶対に足したり引いたり出来ない。この問題の答えは出来ませんが正解。
足算と引算は単位が異なったものは絶対に足したり引いたりは出来ない。でも、掛算と割算の単位は違っていても大丈夫。というより積や商は必ず単位が違うんだ。掛算や割算では単位も一緒に掛算、割算するんだ。
①A×B=C
②A÷B=D
掛算①では、Cの単位はA単位とBの単位の掛算。
割算②では、Dの単位はA単位とBの単位の割算なのです。
【問題4】 毎時5kmで3時間歩くと進んだ距離は何kmですか。
【問題4の解答】 5km/時×3時間=15km
km/時は、kmを時間で割ったものですね。
【問題5】 127個のお菓子を27人で分けると一人当たり何個ですか。
127個÷27人=4個/人余り19個
ここで商の単位は4個/人、つまり個数÷人数、余りの単位は個数で異なっています。
【問題6】 一辺が5cmの正方形の面積は
【問題6の解答】 5cm×5cm=25cm2
cm2はcm×cmの意味です。cm2は面積の単位、cmは長さの単位。全く別の単位ですね。
【問題7】 15kmの道を6時間かけて歩いた。平均の時速はいくらですか。
【問題7の解答】 15km÷6時間=2.5km/時
距離を時間で割ると速さの単位になります。
文章題へのチャレンジ
比とは何か
みなさんは比という言葉を聞いたことがありますか。あなたのクラスの男子生徒16人、女子生徒15人だったら、男女の比は16:15。16:15=16/15= 1.06667 を比の値と言います。A:B=A/Bとなります。比の値は、Bに対するAの割合です。AとBの数字は変化しても、比の値は同じになることはあります。例えば、
100:50=46:23=2000:1000=2:1=2/1=2
A:B=C:D=A/B=C/D
、最後の2つの両辺にB×DをかけるとAD=BC
外側の2つを掛け合わせたものと、内側の2つを掛け合わせたものが等しいのだ。これを外項の積は内項の積に等しい言ったりする。
【問題】3匹で6gのカブトムシは12匹で何グラムか。
【解答】3 匹:12 匹=6 g:x g→3x=12×6→24g、x=24gが答えだね。この問題を
3匹:6g=12匹:x gとやっても同じだ。単位はつけなくてもいい。
今度は、少し難しい問題だ。これができれば算数博士の一歩手前だ。
【問題】ジグムさん(A)とジムク(B)さんは、貯金をしています。AとBの金額の比は、
3対1です。AがBに840円渡すと二人の金額の比は8:5に変(か)わります。二人の貯金の金額を求めてください。
【解答】まずは、文章をそのまま比の式で表してみよう。
A:B=3:1…①
(A-840) : (B+840)=8:5…②
①からA/B=3だからA=3 B(=3×B)…③
次に②だけど、外側の積と内側の積が等しいことを利用して書き直すよ。
5(A-840)=8(B+840)、
③を利用して、Bだけの式にしてしまおう。
5 (3 B-840)=8 (B+840)
15 B-5×840=8 B+8×840、
(15-8)B=(8+5)×840、7 B=13×840、B=13×120 (840は7で割切れます)
だから、B=1560、A=3×1560=4680
検算してみよう。Aは840渡すと4680-840=3840、Bは、840円もらうと、1560+840=2400、8:5=1.6だけど、3840/2400=1.6でぴったり合うだろ。これも方程式の威力(いりょく)だね。方程式はまだ分かってない数を文字で表すのだけど、別にxやyを使わなくてもいいんだ。甲とか乙みたいな漢字でもね。
文章題へのチャレンジ
比の練習問題
比に慣れるため易しい問題をやってみよう。次のA、B、C、…を求めよう。比の値(あたい)と言うのも忘れないでね。
(1). 3:5=9:A、 (2). 2 : 10=B : 1000、 (3). C : 30= 300:900、
(4).1000 :10=D、 (5). E : F=3
(6). 7:9 = 21 : x = y : 63 = z、 (7).3/5 : 2/7 = 21 : x = y : 10 = z、
(8). 2,000,000 : 50,00,000 = 2 : x、 (9). 0.03 : 0.27= 3 : x = y、
(10). 2.5×108 : 5×107 = 25 : x= 5、
(11). 6×10-23 : 3×10-23= z
(12). A : B = 8×1045 : 2×1040 = 4×10(45-40) : 1×10(40-40)= 4×105 : 1×100=A/B= x
指数計算は、君達が大人になるととても大事だ。
100=1、101=10、102=?、108=?、10-1=1/10、10-6=1/百万だね。
大きさがうんと異なるものを比較するときは、指数を使わないといけないね。太陽の大きさと地球の大きさを比べて見よう!!
三つ以上の物を比較するときは連比を使えば良い。
A : B : C : D : E = 95:85:65:35:15=19:( ):( ):7:3
A : B : C : D : E
=7×1045:7×1043:7×1044:7×1044:7×1043 = 100:1:10:( ):1
次の問題は、チョットむずかしいかな?
A : B =2:3、 B : C=4:3 の時、A:C はどうなるかな?
地図の縮尺
【問題1】:あなた方は、地図を見るのが好きですか。地図は広い世界を小さな紙の上に表してくれます。
とても便利です。さいたま市と千葉市の距離。手元の地図帳では 5cm でした。地図の縮尺を見ると、1:1,000,000となっています。つまり、本当の距離は 5cm の百万倍あるのです。
5:x =1:1,000,000 ですね。 x=5,000,000 cmとなります。
でも、普通都市と都市の距離は kmを使いますね。1km=1,000m=100,000cmですから、 x=50 km となります。だから、車で時速50km/h で1時間で行ける距離なんですね。もちろん実際は道路は直線でないし、渋滞もあるでしょうからこんなに早くは無理ですが。
【問題2】:もう少し実践的に。ニューヨーク市とボストン市、どちらもアメリカが州国の市だね。この2つの市の距離は地図帳で測ると1.8cm です。この地図の縮尺は、1:16,000,000です。つまり地図の上の長さは実際の1,600万分の1 ということです。この2つの市の間の距離を求めて下さい。
1.8: x = 1:16,000,000、ここから、x=28,800,000 cmが分かる。1km=100,000cm だから、ゼロを5つ取り払えばいいんだね。つまり、x=280 km であることが分かる。地図で見ると近くに見えるけど実際は結構遠いんだね。
【問題3】:では、東京と大阪はどのくらいの距離だろう。5百万分の一の地図で見てみよう。大体距離は8cm 位だね。
8×10-5 : x = 1 : 5×106 だから
x = 8×10-5×5×106=400 (km)
つまり、東京~大阪の距離は大体400kmあると見当がつくんだね。
宝の山分け
【問題1】
A、B、C の3人が協力して宝探しを行い、見事宝を発見しました。3人の貢献度に応じて宝は 5:3:2 の配分で分けることになっていました。宝の金額は180万円でした。3人の分け前を求めて下さい。
3人の分け前の比を、 5:3:2とすると全体の比率は、 5+3+2=10 となるのは分かるでしょう。
A=180万×5/(5+3+2)=90万円
B=180万×3/(5+3+2)=54万円
C=180万×2/(5+3+2)=36万円
となります。A+B+C=180万円となることは分かりますね。
このような問題を比例配分と言います。
【問題2】
ある遊牧民の父親が亡くなり、子供達3人、A、B、C にラクダを17頭残し、遺言には長男1/2、次男は1/3、小さい3男は1/9を取れとあった。さあ兄弟達どうする。ラクダは半分に分けたりでいない。そこで彼等は村の知恵者に相談に行った。知恵者はとりあえず彼等にラクダを1頭貸してやろうと言った。さあ、どうなったかな??
【解答】
取り合えず、3人の取り分と全体を比で表わそう。(1/2):(1/3):(1/9): 1=9:6:2: 18、
もう分かったかな? 全体が18頭なら、兄弟たちは9、6、2頭と仲良く分配できる。でも実際は、9+6+2=17だから、結局1頭余る。村の長老の知恵者は、「これは、初めからワシのものだから。」といって、何事も無かったのように引き上げて行ったとさ。
植木算
昔から有名な算数の問題に植木算というのがある。いきなり、計算しようとする前に、チョット考える習慣をつけるのにいい訓練になるね。まずは、具体的な問題をやって見よう。
【問題1】
48mの道に沿(そ)って、端(はし)から端まで8mおきに桜の木を植えます。桜の木は全部で何本植えるのでしょう。4mおきにしたら何本植えることになりますか。
【考え方】
一番ダメな考え方。48÷8=6だから6本だ。できた。できた。チョット待って下さい。48mおきなら何本。48÷48=1だから1本?? 両端に植えるのだから2本だね。
植木算では、並べる物の数と並べる間隔(かんかく)の数が必ずしも等しくないことがポイントだ。次のように考えればよい。
①端から端まで植える時;木の数=間の数+1
②両端には植えない時; 木の数=間の数-1
③端が無い時(円周状など); 木の数=間の数
問題は、いつも木とは限(かぎ)らないし、間についても違った表し方になっているのでよく気を付けてね。
【問題2】
あるマンションで階段(かいだんを)を上(のぼ)るのに、1階から5階まで上ると48秒かかります。1階から10階まで上るには何秒かかりますか。
【解答】
1階から5階までは階段を5-1で4階分登らねばならない。1階分減るんだ。1階から2階まででは1回登るんだから。だから、48÷4=12で12秒/階となる。1階上るのに12秒かかるんだ。割算したら単位も割算する。秒÷階=秒/階だ。。同じように9階分登るので
12×9=108秒となる。
【問題3】
山中さんの会社は、池袋の会社の16階にあります。朝、出社するときに計ったら、エレベータが1階から6階までに6秒かかりました。6階から16階まで行くには何秒かかると予想できますか。
【解答】
1階から6階までは、6-1で階段が5つあります。だから、6 秒÷5階=1.2 秒/階、つまり1階当たり1.2 秒かかると予想できます。6階から16階までは16-6=10ですから、
1.2 秒/階×10 階=12 秒が答えです。【答え; 12秒】
【問題4】
これぞ植木算。本当に木を植えようという問題だ。
【解答】クラスのみんなの前で、先生が左の問題を出した。元気のいい太陽君が早速(さっそく)手を挙(あ)げて、「60÷6=10、 10 本に決まっているじゃないですか。」、これを聞いた先生、ニンマリ笑って、「君達、植木算を知らないのかね。木の本数は間の数より1つ多くなるんだよ。」、ところが太陽君、「確かにうちの校庭の片側は60mかもしれませんが、左端(ひだりはし)は校舎の壁(かべ)だから木を植えられないでしょう。だから僕の考えの方が正しいんだ。」、一本取ったね。
文章題へのチャレンジ
天秤算
天秤(てんびん)とは何だかわかるかな。重さを計る秤(はかり)の一種で薬剤師(やくざいし)さんが使っていいたり、化学実験室にもあるよ。てんびん棒と言ってものを担(かつ)ぐのに使われる棒(ぼう)のことも言うね。ここでは、てんびんも含めて梃子(てこ)の勉強をしよう。テコについては理科の方で習うかもしれないが、算数のいい勉強にもなるんだ。
まず、(1)を見てごらん。梃子(てこ)には3つの大事な点がある。支点、力点、作用点だ。左側の作用点には動かしたいもの(調べたいもの)をつける。力点にはあなたが力を加えるか、重さの分かっている分銅(ふんどう)等をぶら下げます。支点は真ん中の動かない点。でも、支点は両方の重さを支えているので大変ですね。
支点というのは算数の=(イコール)みたいなものです。釣り合っている天秤の両側の同じ重さのものをのせても釣(つ)り合っていますね。同じ重さだけ引いてやっても釣り合っていますね。両側の重さを同時に2倍、3倍しても、1/2、1/3としても釣り合いは保(たも)たれていますね。
次に、(2)を見て下さい。この梃子(てこ)では支点は一番左側です。あなたは100kgの重りを持ち上げることができますか。ここで、あなたが力を入れなければ、この梃子(てこ)は支点を中心に右回り(時計回り)の回ってしまいますね。だからあなた上向きに力を加えて、左回り(反時計回り)の力を加えてやらなければいけません。どれだけの力がいりますか。100kgなんて力はあなたには無いですね。この時の釣り合いを考えるには、モーメントというものを考えなければいけません。モーメントとは、
モーメント=力(重さ) × 腕の長さ
で表されます。右回りの回す力(モーメント)が左回りのモーメントと釣り合えは、梃子は釣り合い、それ以上の力をいれれば、重りを動かすことができます。あなたが加えなければならない力をx kgとして見ましょう。
左回りのモーメント=右回りのモーメント
ですから、式は次の通りです。
(1+9) × x =100×1、
10 x=100、 x=10
あなたは、10kg の力を入れれば、この100kgの重りを動かすことができます。つまり、10倍もの重さを持ち上げることが出来るのです。ずいぶん得をした気持ちになりますか。でも、よく絵を見て下さい。あなたは、重りが動く距離の10倍の長さを動かしているのです。100kgのものを0.1m動かすのと10kg のものを1m動かす仕事の量は同じなのです。でも、100kgもの物を動かせる人はそんなにたくさんはいませんね。
次に(3)を見て下さい。今度は、あなたは何kgの力を加えればいいでしょう。先ほどと同じに、右回りのモーメント=左回りのモーメントを求めると、
3 x=9×5=45、 x=15
15 kgと求まります。でも今度は、梃子(てこ)自身の重さも考えないといけませんね。テコの重さは重心に全部の重さがかかる考えることが出来ます。重心は支点から左に3 mと分かります。モーメントの釣り合いを求めると、
3 x=3×40+9×5、 3 x=165 x=55、 から55kgと求まります。こんなに重たい道具では使い物になりませんね。だから、一般にはテコの重さはとても軽くて無視できるものとするという問題が多いです。
文章題へのチャレンジ
建物の設計
大きなビルの設計を考えて見よう。地震が来たとしよう。地震で建物は左右に揺(ゆ)れる。
この図では、左から右へと力が加わったとする。この力をFとする。Fを20 トンとしようか。
建物の重さをG=100トンとしよう。
地震の力は建物の重さの0.2倍だね。つまり20/100=0.2、これを震度という。建物の重さはその重心に集まっていると考えてもいい。また、地震の力も重心に作用する。
建物は地震の力が加わると、点Aを中心に右側にひっくり返ろうとするね。建物の重さが横向きの力よりもかなり大きけれビクとも動かないが、建物が軽いと転倒(てんとう)してしまう。
それでは上の図の場合は大丈夫だろうか。
こんな時に必要なのは、力に加えて、力のモーメントを考えないといけない。
点Aを中心として、右回りのモーメントが左回りのモーメントよりも大きくなるとこのビルは倒れてしまう。
力F の地面Aからの高さhを10mとしよう。また建物の重さはAからd=5mの位置だね。
すると、右回りのモーメント=F×h=20トン×10 m=200トンm
左回りのモーメント=G×d=100トン×5 m=500トンm
左回りのモーメントの方が大きいので建物は動くことは無いようだ。
この図より、建物の重心が高い(hが大きい)時、建物が細い時(dが小さい)。
文章題へのチャレンジ
方程式の解き方
小学校の算数の文章題は、方程式を使うとたいていはすごく簡単にスラスラ解けてしまいます。方程式は中学校から習うことになっていますから、先生によっては使うこと禁止することもあります。「トンチの一休さん」の話にあるでしょう。和尚(おしょう)さんが水あめをこっそりなめていて、小坊主たちに見つかると、「これは、大人には薬(くすり)だけど、子供には毒(どく)だから絶対に食べてはいけない。」と言いましたね。先生も簡単に解かれたら困るのでしょうか。
例題をもとにして説明しましょう。
【例題】
(5/7)x +(5/14)=(3/7)x+(9/14) …①
まず、左側に未知数xがついた項を集め、普通の数字を右側に集める。この操作を移項という。この操作は方程式の「=」を挟んで両側に同じ数を足しても(引いても)等号は成立するからだ。
(5/7)x-(3/7)x=(9/14)-(5/14) …②
移項をしたら、その項の符号は反対になる。何故かは説明できるね?
(5/7-3/7)x=(9/14-5/14) …③
パソコンでの表記は大抵は分数の横棒が使えないので「/;スラッシュ」を使うけど慣れてね。また()
もやたらと多いと思うかもしれない。
(2/7)x=(2/7) …④
分数の移項は、逆数をかければ良い。つまりa/bの逆数はb/aだね。
(2/7×7/2)x=(2/7×7/2) …⑤
x =1 …⑥ でも、この場合は④からもう分かるか。(ax=a→x=1)
最終的に方程式はみな、ax=b →x=b/a となるんだね。
算数の部屋
還元(かんげん)算
計算の流れが示されていて、答えの方から逆に計算して元の数を求める問題だよ。元の数をxとして、流れの通りに式を書いてごらん。還元とはもとに戻すという意味。
【問題1】ある数を3倍して5を加えたら29になりました。ある数はいくつでしょう。
【問題2】ある数の半分とある数の3分の1を加えて、6倍したら5になりました。ある数はいくつでしょうか。
【解答】どちらもある数をxとします。問題1は、
3x+5=29 ----(1)
です。3xは3かけるxのことでしたね。「=」のマークは天秤と同じ、=の関係を壊(こわ)さないように式を変形していくと自動的にxが出てきます。すなわち、
3x=24 ((1)の両辺から5を引いた。5が邪魔(じゃま)でしょう)
x=8 (両辺を3で割った。3は余計(よけい)ですね。)
簡単に8がでますね。では、先生が「だめだよ。方程式は習ってないでしょう。」なんて言う分からず屋だったらどうしましょう。心配ありません。答えはもう分かっています。上で筆算(ひっさん)をしたところだけ抜き出して書けばOKです。
29-5=24、 24÷3=8、答え8 です。
問題2は、式にすると、
(1/2x+1/3x)×6=5----(2)
です。/は割り算の意味です。パソコンの画面では分数はうまく表せないので我慢して下さい(行が2行になってしまうため)。分数の足し算は分母をそろえ(通分)なければなりませんね。
(2)は、(1/2+1/3)x=5/6 (両辺を邪魔(じゃま)な6で割った。かっことxの間の×は省略できる)
1/2+1/3=3/6+2/6=5/6 だから、(2)は
5/6x=5/6
x=5/6×6/5=1 (5/6が邪魔だから両辺に逆数の6/5をかける)
答えは1ですね。先生が先の和尚さんみたいな人だったら、
1/2+1/3=3/6+2/6=5/6、5/6×6/5=1 答え1 と書いておけば満点をくれるでしょう。
算数の部屋
数当てクイズ
還元(かんげん)算なんて、名前はいかめしいね。ようするに数当てゲームだ。簡単にできるようになるまで、たくさん練習してみよう。
0.例題
ある数に52を足(た)して、それを3倍して50を引いたら答えは250 になりました。もとのある数は何でしょう。
さあ、まず方程式をつくるぞ。ある数をxとする。上の文章を式で書いてみよう。
まず、x+52。これを3倍する。かける(×)時は、( )がいるね。
(x+52)×3-50=250
もう少し格好(かっこう)良くすると、
(x+52)-50=250…(1)
3と( )の間には、「×」があるが省略(しょうりゃく)する。中学校ではみんなそうしているので、何時までも「×」を書いていたらとてもみっともない。さあ、これを解けば答えがx=〇として、自然に求まるのが方程式のいいとこ。後(あと)は、方程式のルールを守ってあわてずゆっくりとかたづける。左にあるゴチャゴチャした数を少しずつ右に移(うつ)して行くんだ。まず、(1)の両辺に50ずつ足してやる。
3(x+52)-50+50=250+50
どうして、50足したか分かるだろう。こういう操作(そうさ)を移項(いこう)とよぶ。
3(x+52)=300、
両辺を3で割(わ)ってやる。これも移項という。
3(x+52)÷3=300÷3、 x+52=100
もう、( )はいらない。さあ、もう一息(いき)。
両辺から、52を引いてやる。
x+52-52=100-52
x=48
これでおしまい。答え合わせは自分ですること。
x=48を元の式(1)に入れる。
(48+52)×3-50=100×3-50=300-50=250
ほら、ちゃんと合っているだろう。検算(けんざん)して合っていれば、もう解答(かいとう)を見なくてもいいだろう。
左にある邪魔(じゃま)な数を右に持ってくるのを移項(いこう)というけど、足し算は引き算に、引き算は足し算にかわる。掛算(かけざん)は割算(わりざん)に、割算は掛算にかわるけど、その理由ももう分かるでしょう。分数の時は移項すると逆数(ぎゃくすう)になるのです。逆数とは、4/5と5/4のような関係ですよ。
それでは、練習を始めます。
1. ある数に48を足(た)して、それを7倍して200を引いたら答えは500 になりました。もとのある数は何でしょう。
2. ある数に48を足(た)して、それを10で割って、1を足したら答えは11 になりました。もとのある数は何でしょう。
3.ある数を3倍して9を足し、また3倍して10を加えると100になりました。もとの数は何でしょう。
4.ある数から9を引いて10で割り、1を加えると100になりました。ある数はいくつですか。
5.ある数から1/3を引いて3/2をかけたら、1になりました。ある数はいくつですか。
6.ある数に5をくわえ、それにある数の2倍を加えたら20になりました。ある数とはいくつでしょうか。
7.100からある数を引いて4倍したら、また100になりました。ある数はいくつですか。
8.ある数に1/8を加えて、1を引いたら0になってしまいました。ある数はいくつでしょうか。
9.ある数の3倍からある数の2倍を引いたら7になりました。ある数はいくつ。
10.ある数から1/3を引いて6倍して1を加えたら7になりました。ある数はいくつでしょうか。
さあ、全部できましたか。最初はくどいようでもていねいに手順を追って式を書いていくことがコツです。飛(と)ばして頭(あたま)の中で計算すると間違いやすくなります。たくさん、たくさん書くことが上達の近道ですよ。検算して合っていれば答え合わせはいらないのですが、いちおう1~10の答えをのせておきます。
1→52、2→52、3→7、4→999、5→1、6→5、7→75、8→7/8、9→7、10→4/3
です。分数はパソコンでは特別なプログラムを使わないと学校でやっているような表示は出来ません。7/8は8分の7の意味です。慣(な)れて下さい。
算数の部屋
チョト難しい方程式
まあ、とりあえず次の問題を考えて見よう。
1. ある数を3倍したものから、ある数を2倍したものを引いて、それにある数の半分をたしたら、答えは3/2になったという。ある数はいくつですか?
2. 15をある数で割ったら、1/2になりました。ある数はいくつ?
3. 13をある数で割ったら、0になったと言います。そんなことあるかな?
4. ある数の半分を6倍して、ある数の3倍を引いたら0になりました。ある数はいくら?
5. 27立方メートルのサイコロの1辺の長さは?
6. ある正方形を縦横2cmずつ切り取ったら、4cm2になりました。元の正方形の一辺はいくらでしょうか。
【解答】
1. まず、ある数をxとして、式を立てて下さい。
3x-2x+(1/2)x=2/3、 xが共通なのでカッコでくくれます。
(3-2+1/2)x=2/3、 2/3x=2/3、x=2/3×3/2、x=1だね。
2. これはチョト注意がいる。15÷x=1/2、分母にxがあるので、両辺にかけてやろう。ついでに両辺を2倍して、30=x、つまりx=30だね。
3. 上と似ている。13÷x=0、右辺にxをかけたいけど、0だからxがなくなってしまう。xをどんどん大きくすると左辺はどんどん小さくなるね。だけど絶対に0には出来ない。
この問題の答えは不能。出来ません、不可能です。
4.(1/2)×6×x-3x=0、(3-3)x=0、0x=0、xがどんな数でも0をかけたら0だから、xはどんな数でも構いません。
不可能ではありません。どんな数でも可能です。こういうのを問題の答えは不定といいます。
5. 立方体に体積の求め方は分かりますね。x×x×x=27、x3=27、3×3×3=27だから、x=3と分かります。
6. 今度は正方形。(x-2)2=4、2×2=4 だから、x-2=2、x=4です。x2、x3のような方程式を2次方程式、3次方程式と言います。5番、6番は簡単に答えが出るのですが普通は簡単ではありません。中学校の後半で習うでしょう。
x2=4の答えは、本当は2と-2の二つの答えがあるのです。(-2)×( -2)=4となるからです。だけど長さには負の数は無いですね。
算数の部屋
通過算
列車みたいに長い物が、トンネルや鉄橋等を走り抜ける。この時のかかる時間を求めたり、列車の長さを推定したりするのが通過算と言うらしいね。速さ×時間=進んだ距離を忘れないようにね。
【例題】
列車は 28 秒間には、20 m/秒×28 秒=560 m だけ走ったことになります。この長さは鉄橋の長さではありません。この28 秒間には、列車は鉄橋の始点を列車の先頭が通り、鉄橋の終点を列車の先頭が通り、更に列車の最後部が渡り終えて初めて通過したといえるのです。つまり列車は鉄橋の長さ+列車の長さの距離を走ってはじめて通過したことになるのです。つまり、560-125=435、435 m が鉄橋の長さということです。 →【答え; 435 m】
鉄橋の長さを x m とすると、 (x+125)m=20 m/秒×28 秒→ x =20×28-125=435、【答え;435 m】
【問題1】;
長さ300mの列車が、秒速20mで走っています。この列車が自分の前を通り過ぎるのに何秒かかるでしょう。
解答;あなたの前を列車の先頭が通り過ぎ、その後列車の最後部が通り過ぎる。あなたは、その列車の長さだけ列車の前にいて列車を見ているんですね。では、その時間をxとすると、簡単ですね。
20× x=300、x=15秒、これが答えです。→【答; 15秒】
【問題2】;
列車が、秒速24mで走っています。この列車が、電柱の前を通り過ぎるのに5秒かかりました。列車の長さは何mでしょう。
解答;列車が電柱を通り過ぎるには、列車の長さと同じ距離だけ走らないとといけないですね。
24×5=120、 【答え; 120m】、速さ×時間=進んだ距離だね。
【問題3】:
長さ50mの列車が秒速20mで走っています。この列車が、長さ430mの鉄橋をわたり始めてからわたり終えるまで何秒かかるでしょう。
解答;列車が渡り終えるためには、鉄橋の長さに自分の長さを加えた分を走らねばなりませんね。
かかる時間をxとすると、 20 x=430+50、20x=480、 x=24、 →→【答え; 24秒】
【問題4】;
長さ75mの列車が、長さ339mのトンネルに完全に隠れている時間が11秒でした。 列車の速さは時速何kmでしょう。
解答; チョット絵を描いてみれば分かるかも。列車はトンネルに入って、75m進まないと全部見えなくならないね。頭がトンネルに入ってもお尻が見えるからね。でもトンネルから出る時は頭がでればお終い。結局トンネルの長さより列車の長さだけ短い距離で済(す)むね。
速さは最初は秒速で出さないといけない。長さの単位もmだね。x m/秒とすると、
11 x=339-75、 11 x=264、 x=24、24m/秒ということは、
1時間では、24m/秒×1/1000 km/m×60秒/分×60分/時=86.4km/時 →【答え;86.4km/時】
時速、分速、秒速を変換することになれよう!!
【問題5】;
全長240m、時速144km/時の列車が走っている。この列車が長さ1400mの鉄橋を渡り始めてから渡り終わるまでに何秒かかるか。
解答;これも走り終えるまでとなっており、列車の長さだけ走らねばならない距離が増えるね。列車の速さを秒速に直さないといけない。
144 km/時×1000m/km×(1/60)時/分×(1/60)分/秒=40m/秒
40x=240+1400、 40x=1640、 x=41、→→【答え;41秒】
【問題6】;
長さ230mの列車が秒速15mで上り方向に、長さ250mの列車が秒速17mで下り方向に進んでいます。 お互いの列車が出会ってから、すれ違い終わるまでに何秒かかるでしょう。
解答; お互い列車は、出会ってからすれ違い終わるまで走らねばならない。列車の長さの和だね。また速度も足し算だ。x秒ですれ違うとすると、
(15+17) x=230+250、 32 x=480、x=15、→→【答え;15秒 】
算数の部屋
旅人算
旅人算は人や車が追いかけたり、であったりする時の、速さや道のり、時間などを計算する問題を総称してそう呼ぶようです。距離=速さ×時間の関係がふんだんに使われますね。
まずは、左の例題を見てみましょう。ひろ子さんの自転車の速さは 250 m/分、お兄さんの車の速さは 500 m/分です。
1) ひろ子さんはお兄さんが出発した時は、すでに3 分先に進んでいます。この道のりを求めればいいんですね。 250 m/分×3 分=750 m 。
これが答えだね。簡単簡単→【答え;750 m】
2) 二人が進む道のりは、進んだ時間だけしか関係しないね。1分間に進む道のりとは、ようするに分速そのものだね。
→【答え;ひろ子さん 250 m、 お兄さん 500 m】
3) 分速の差は 500 m/分-250 m/分=250 m/分、 m つまり、お兄さんは毎分 250 m ずつ2人の距離を詰めていくんだ。二人の距離は750 m だったね。この道のりをなくすには、
750 m  ÷250 m/分= 3 分、→→【答え; 3 分後】
お兄さんは家を出てから 3 分後に追いつき、ひろ子さんは家を出てから 6 分後に追いつかれる。
算数の部屋
分配算
文章で書いてあることをとりあえず、式として書いてみよう。
《一郎さんのお金》+《弟のお金》=3600円…(1)
《一郎さんのお金》=2 ×《弟のお金》+300 円…(2)
(2)の《一郎さんのお金》を(1)に入れてやれば、《弟のお金》だけの式になるでしょう。
《弟のお金》=x とおけば、《一郎さんのお金》=2 x+300なので、
2 x+300+ x =3600、 3 x=3600-300=3300、 《弟のお金》はx=1100と求まります。だから《一郎さんのお金》=2×1100+300=2500、 【答え;一郎さんが2500円、弟が1100円】
左の図が線分図と言われるもの、(1)と(2)の関係を表わしています。答えはしっかりと検算しましょう。2500+1100=3600なので(1)はOK。1100×2+300=2500で(2)もOKです。
算数の部屋
過不足算
子供の数を x、ミカンの数を yとしてみよう。xとかyを未知数というが、未知数の数が方程式の数と同じならたいていは答えを求めることだできる。
問題文を式にすると次の2つの式が求められるでしょう。
(1) 5 x+8=y、 (2) 7 x-2=y
式(1)、(2)ともに右辺はy(ミカンの総数)で、この両辺を等値すれば、5 x+8=7 x-2 がもとめる式だ。これより、2 x=10、 x=5 となる。子供の人数が5 人と分かれば、ミカンの総数は、y=5×5+8=7×5-2=33
【答え; 子供の人数は5 人、ミカンの数は33個】
方程式を使わない方法。図をしっかり眺めてみる。5個から7個に増やすということは、4人分は既に確保されている(8個余る)。2個不足ということなのであと一人分足りない。つまり子供の数は5人だ。5人が分かればミカンの数は、5×5+8=7×5-2=33。
和差算
まず始めに問題を出します。
【問題】白い碁石と黒い碁石が合わせて、80 個あります。白と黒の碁石の数の差は10 個です。白と黒の碁石はそれぞれ何個ずつあるのでしょう。
【解答】さあ、どうしましょう。このような問題を和差算と言います。和が80,差が10、では、2つのもとの数は。これが最も単純な元(もと)の形です。普通このような問題は、線分図と言う図を描(か)けば簡単に解決します。でも、ここではもっと汎用的(はんようてき)な方法を使いましょう。大人ならこうします。
まず、白石、黒石の数をそれぞれ、x、yとします。するとこの問題は、
x+y=80 (1)、
x-y=10 (2)
分からない数をx、y、z 等として問題を書き換えます。(1)(2)のような式を連立方程式と言います。(1)、(2)の組合せから、x、yを求めればそれが答えです。数式では=の両側(右と左)が等しいことを表わしてます。両側が等しい二つの式をお互いに足しても引いても=は成り立ちますね。まずは、(1)と(2)を足してみます。
(x+y)+(x-y)=80+10
左辺(=の左側)は、yが消えて、2×x =90となり、両辺を2で割って、x=45
が求まります。この時、2×x を2x、a×b=abと書くことも覚(おぼ)えておいて下さい。xが求まれば、これを(1)、(2)のどちらかに入れてy=35が求まります。
x、yを使う利点はさらに、次のような場合を考えれば分かります。
問題→和がP、差がQの時、元の数はいくつでしょう。
x+y=P-------(1)、 x-y=Q------(2)
(1)と(2)を足すと 2x=P+Qだから、
x=(P+Q)/2------ (3)
(1)から(2)を引くと、2y=P-Qだから、、
y=(P-Q)/2-----(4)
ここで、/の記号は、割り算を表わすことを理解して下さい。パソコンなどでは÷の記号は使いにくので、「÷」の代わりに「/」が良く使われます。
これを見れば、和差算の答えは、和と差を足して2で割ると、大きい方の数、和と差を引いて2で割ると小さい方の数が分かります。これをパソコンにプログラムしておいて、PとQに色々な数字を入れると和差算の答えはすぐに求められます。
【問題1】
和差算は、和と差を足して2で割ると、大きい方の数が出る。和から差を引いて2で割ると小さい方の数が出る。すなわち、(4800+200)÷2 =2500、(4800-200)÷2=2300となるので、国内盤が2300円、輸入盤が2500円と分かる。 →【答え; 国内盤2300円、輸入盤2500円】
検算してみればこれでいいことが分かる。x+y=4800、x-y=200の式を作ることが出来ればすべて解決ということだ。
算数の部屋
鶴亀算
昔から有名な鶴亀算(つるかめざん)です。
【問題】ツルとカメが合わせて13匹います。足の数は合わせて42本です。ツルとカメはそれぞれ何匹ずついるのでしょうか。
【解答】この問題では、定石(決まったやり方)があります。まず分かっている13匹をツルかカメのどちらかに決めてしまうのです。すると足の数は、全部ツルなら13×2=26、カメなら13×4=52、答えは26本から52本の間にありますね。42-26=16、52-42=10、全部ツルとすると足が16本不足して、全部カメだとすると足は10本余ります。ツルをカメと入れかえると1回ごとに足は2本ずつ増え、カメとツルを入れかえると足は2本ずつ減っていきます。これを見ると答えは、カメが8匹(16÷2)、ツルが5匹(10÷2)だとわかります。
次に、ツルの数をx、カメの数をyとしてみます。すると問題は次のように翻訳(ほんやく)されます。そうです。方程式とは日本語の文章を数学の言葉に置き換えるだけでできてしまいます。
x+y=13-------(1)
2x+4y=42-----(2)
さて、(1)式の両辺を4倍して、それから(2)式を引いてみましょう。
(4x-2x)+(4y-4y)=13×4-42----(3)
これを整理すると、2x=10、x=5
また、同じように(2)式から(1)式の2倍を引いてみましょう。
(2x-2x)+(4y-2y)=42-13×2----(4)
これを整理すると、2y=16、y=8
答えは、ツルが5匹、カメが8匹と分かりますね。(3)か(4)でxまたはyが求まったら、それを(1)式の入れて、もう一方を求める方が楽でしょう(これを代入という)。
どうでしょう。問題の文章から(1)(2)の式を作ることはそんなに難しくないでしょう。(3)(4)式を良く見て下さい。(3)は全部カメだとして実際の足の数の違いからツルの数を求めていることになりますし、(4)は全部ツルだとしてカメの数を求めています。最初にしたこととまったく同じですね。でも上の方法では、途中でどっちがツルでどっちがカメか混乱(こんらん)してまちがいやすいですね。
ちょと待って、つるの数がx匹とすると、カメの数は13-xだね。
2x+4(13-x)=42…(2)’
そうすれば、-2x+4×13=42
あれ!頭にマイナス。気にしないで。こういう時は、xを右辺に持って行ってしまうんだ。
52-42=2x、 2x=10、x(ツルの数)は5匹だね。カメは13-5=8、8匹だね。こうすれば、x、yと2つも分からないものを使うより、xだけの方が分かりやすいかも。未知数が2つ以上ある方程式を連立方程式というんだね。連立方程式を解く時は、結局未知数を1個まで減らさないと解けない。やってることはどれも同じだね。
【問題】金貨が100枚あります。ところがこの中にニセモノが混じっています。本物は重さが1枚48gありますが、ニセモノは39gしかありません。100枚の重さは4368gありました。さあ、ニセモノの金貨は何枚混じっているのでしょうか。推定して見てください。
これも鶴亀算だということが分かりますか。ツルとカメでは、あまり現実の問題には見えませんがかなり本物臭くなったでしょう。化石の年代等を測定する炭素原子同位体を用いる方法では、炭素原子の1モル(化学でも質量分析に用いる単位)が12gのものと13gのものが混在(こんざい)していることを利用して、その比率で当時の環境などを推定しています。金貨のニセモノ探(さが)しと良く似てますね。
【解答】これも本物の枚数をx、ニセモノの枚数をyとして、文章を式で表します。
x+y=100----(1)、
48x+39y=4368 ----(2)
(1)を48倍して、これから(2)を引けば、
(48x-48x)+(48y-39y)=100×48-4368、
これを整理すると、9y=432、y=432÷9=48、 y が求まってのでこれを(1)に代入すると、x=52、 つまり、本物が52枚、48枚がにせものです。
最後に考え方をもう一度復習して見ましょう。まず、とりあえず全部本物だと仮定してみよう。→矛盾がでる。つまり重さが足りない。どれだけ足らないか分かれば、何枚本物でないか分かるということだ。
算数の部屋
流水算
水が流れている所を船が進んでいる問題を、流水算といいます。たいそうな名前はついていますが、考え方は単純でわかりやすいです。 流れに逆らって進むときは、川の流れのぶん船は遅くなりますし、流れに沿って進むときは、川の流れのぶん船は速くなります。 川の流れの速さにだけ気をつければ、普通の速さの計算問題ととらえて大丈夫です。しかし、実際には船は岩にぶつかったり、浅い所で動かなくなったりそう簡単ではないはず。まあ、ちょっと待って。これは算数の問題で理科の問題ではない。この点は目をつぶって我慢して下さい。つまり、
川を上るときは、船の速さ=静水時の速さ-川の流れの速さ、
川を下るときは、船の速さ=静水時の速さ+川の流れの速さ、
このことだけに気をつければ良いのです。、
【例題1】静水時に時速15kmで進む船が、川を36km上るのに3時間かかりました。 川の流れの速さは、時速何kmでしょう。
まず、速さとは。実際には平均の速さのこと。速さ×時間=距離。
これだけは覚(おぼ)えて下さい。距離はm、kmなどで表されます。一方、時間は時間、分、秒で表されます。だから、速さは距離÷時間、m/秒、km/時。単位も割算だ。本当は速さは後で示すけど、もうすこーしややこしい。
取りあえず問題をやって見よう。取りあえず分からないもの、川の流れの速さをx km/時としよう。すると単位をつけてあらわすと、
(15 km/時-x km/時)×3時間=36 km
km/時×時間=kmだね。単位をとってもしまっても大丈夫かな。
(15-x)×3=36
これが求める方程式。まず、両辺を3で割る。
15-x=12、15-12=x、x=3
つまり、川の流れの速さは3km/時です。上流に向かえば船が遅くなり、下流に向かえば船は遅くなる。だけど、川の流れの速さが船の速さより速くなってしまったら、船は上流には進めないね。
さっき言った、速さの問題。あなたは自動車の補助席に座ったことがありますか。運転席の所に速度計があるのに気が付きましたか。車が走り始めると、速度計の目盛はだんだん大きくなりますね。0km/時→60km/時、高速道に入ると100km/時と変化するでしょう。これが本当の速さだね。だけど、船の速さを一定にしないとチョット問題が難しくなるでしょう。速さの変化の度合いを加速度と言いますが、これについては別のところで勉強しましょう。平均の速さは、進んだ距離÷かかった時間です。進んだ距離を短く取ればかかった時間も短くなります。進んだ距離をうんと小さくして→0とすると、かかった時間も→0となります。0÷0は、??。これが瞬間の速さです。
【例題2】ある船が川を8840m上るのに34分、下るのに26分かかりました。 この船の静水時の速さと、川の流れの速さは分速何mでしょう。
あれあれ。船の速さも、川の流れの速さも分からないの。
仕方がありません。各々をx m/分、y m/分としましょう。
川を上る時は、x-y 【m/分】
川を下る時は、x+y 【m/分】
船が動く距離は上りも下りも同じ8840mですね。式を作りましょう。
(x-y)×34=8840
(x+y)×26=8840
さあ、両辺を各々かかった時間で割算して下さい。割算を間違えないようにね。
x-y=260…①
x+y=340…②
この式、どこかで見たでしょう。そう、和差算だね。和が340で差が260だ。
②-①=2y=80→y=40、 ①+②=2x=600、x=300
船の速さが、300 m/分、川の流れの速さが40 m/分と出ました。これを①②に入れて検算して見るとあっているでしょう。未知数が2つある時はちょと迷いますが、和差算はもっとも簡単な場合。その次が鶴亀算か。
算数の部屋
年齢算
年齢(ねんれい)算というのがあります。あなたが10才でお母さんが30才とすると、お母さんの歳(とし)はあなたの3倍。でも、差はいつも20歳で変わりません。お母さんが100歳になったら、あなたは80歳。何時だって20歳年上ですね。方程式が作れれば超簡単だ。
左の図を見て下さい。年齢算を解くにはまず作図をしなさいと言われる。この図が描ければ22年が12年後の年齢の2/3となっていることが分かる。つまり1/3が11年だから12年後は11×3=33、33歳だね。現在はその12年前だから、33-12=21で現在は21歳だね。でも、この線分図をスラスラ描けるなんてそんなに簡単ではないだろう。
こんな問題は、方程式を使えば簡単だ。求めた現在の年齢をズバリ x とおいて見よう。10年前の年齢は x-10、12年後の年齢は x+12だから、問題の文章はそのまま式で表わされて、
x+12=3 (x-10)、 、 x+12=3 x-30、 2 x=42、 x=21、 つまり、現在の年齢は21歳だ。 【答え;21歳】
現在21歳なら、12年後は33歳、10年前は11歳、確かに3倍になっている。
【問題1】
12才のコウタ君は三人兄弟の長男で10才と8才の弟がいます。いま、コウタ君のお母さんは40才です。兄弟3人の年齢の合計がお母さんの年齢と同じになるのは何年後でしょうか?
解答;
x年後しましょう。お母さんは毎年1歳づつ年を取ります。兄弟3人の年齢の合計は3人ですから、毎年3つずつ増えますね。
いまは、12+10+8=30、まだ10才足らないね。方程式作れるかな。
30+3x=40+x、xを左に数字を右に持ってきて、
3x-x=40-30、 2x=10、x=5、つまり5年後だね。 答5年後
検算;兄弟達12+10+8+3×5=45、お母さん40+5=45、同じだね。
【問題2】
ワカバさんのお母さんの年令はワカバさんの年令の5倍ですが、7年後にはこれが3倍になります。今のわかばさんの年令を求めなさい。
解答;
今のワカバさんの年令をxとしてしまおう。今のお母さんの年齢は5xだ。7年後は2人とも7歳年取るね。等式(=)を考えて、左をお母さん。右をワカバさんとするよ。
5x+7=3(x+7)、 5x-3x=21-7、2x=14、x=7 答7歳
検算して見よう。ワカバさんは今7歳。お母さんは35歳。7年後はワカバさんは14歳。お母さんは35+7=42歳。14×3=42だからいいね。
算数の部屋
仕事算
君が草刈りの仕事をするとしよう。3日で全部草を刈り終わる。花子さんがやれば、2日で出来る。どちらの仕事が速いかな。3と2では、3の方が大きいね。でも、君の方が仕事が遅いのはすぐわかるよね。この場合は、2とか3とかの日数は、仕事の速さでなく、仕事の遅さだね。でも長さ5mと6mでは当然、数の大きな6mが長い。だから、仕事も遅さで比べるのでなく速さを使う必要がある。遅さをひっくり返すと速さ。大きさをひっくり返すと小ささか。
すると、君の草刈りの仕事の速さは、1/3 (1/日)、花子さんは1/2 (1/日)だね。では2人でやればどうなる。速さにすると足し算ができるね。
1/3+1/2=2/6+3/6=5/6
だから、またひっくり返して遅さにもどすと、6/5日かかることになる。(1+1/5)日だね。
文章題へのチャレンジ
算数の部屋
次の問題は分かりやすい例だ。
壁を塗るという仕事を一つの単位と考えてごらん。よく「さあ、一仕事しよう。」何で言うね。ペンキ屋さんなら全部塗り終わらないとお金一銭ももらえないよね。
この場合も、日数の少ないAさんの方が仕事が早いことが分かるね。二人の仕事の速さはどうなるのかな。
【Aさんの仕事の速さ】=1/6仕事/日、【Bさんの仕事の速さ】=1/9仕事/日
面白いでしょう。「仕事」という言葉をそのまま単位として使っているんだ。同じような壁が100個あれば、100仕事。人数とか個数なんかもこんな風に使えるね。仕事の速さなら足し算ができる。足し算や引き算は単位が同じでないとできないですね。
【AB協力した仕事の速さ】=【Aさんの仕事の速さ】+【Bさんの仕事の速さ】だね。だから、
【AB協力した仕事の速さ】=1/6仕事/日+1/9仕事/日=(1/6+1/9)仕事/日=(3/18+2/18)仕事/日=5/18仕事/日→ これが2人の仕事の速さだね。
【必要な時間(日数)】=【仕事】÷【仕事の速さ】この関係は、【かかった時間】=【進んだ距離】÷【進む速さ】の関係と全く同じだね。つまり、
必要な日数(日)=1仕事 ÷ 5/18仕事/日=18/5日=3.6日 (3日と3/5日)
これが答えだね。 答え;3日と3/5日 とすればいいだろう。
学校などのテストでは一々単位を書いていたら大変かも知れないが、少なくとも頭の中でこのような考えを大事にしておけば、似たような問題が出てきても冷静(れいせい)に対応できるでしょう。
文章題へのチャレンジ
算数の部屋
【問題1】
ある仕事をするのに、トンペイさんは10日、ゴンベイさんは15日かかる。2人で協力すると何日で終わらせることが出来るかな。
《トンベイさんの仕事の速さ》=1/10 仕事/日、《ゴンベイさんの仕事の速さ》=1/15 仕事/日、 トンベイさんは1日当たり1/10、ゴンベイさんは1/15の仕事をするんだね。トンベイさんの方が腕(うで)が良く沢山稼(かせ)げるんだね。
《二人でやる仕事の速さ》=1/10+1/15=3/30+2/30=5/30=1/6 仕事/日
もうわかるね。《かかる日数》=《仕事の量》÷《仕事の速さ》だから、
1 仕事÷ 1/6 仕事/日=1 仕事×6 日/仕事= 6 日、【答え; 6 日】
仕事の速さの逆数を取れば仕事の遅さだ。かかる日数というのは仕事の遅さの単位だね。だから仕事の速さが出たら、ひっくり返して逆数を取ればかかる日数や時間が求まるという訳(わけ)だ。
文章題へのチャレンジ
算数の部屋
【問題2】
ある仕事をするのに、ライザさん1人で10日、ライザさんとサティさんの2人ですると6日かかります。サティさん1人ですると何日かかりますか。
仕事の速さが足し算できるということは、当然引き算もできるね。
《サティさんの仕事の速さ》=《二人の仕事の速さ》-《ライザさんの仕事の速さ》
《サティさんの仕事の速さ》=1/6-1/10=5/30-3/10=2/30=1/15、単位は仕事/日だね。
仕事の速さが1/15 仕事/日だから、かかる日数(仕事の遅さ)は15 日/仕事、だから【答え;15日】だね。分母に仕事があるのはこの仕事を1つと考えているからだ。同じ仕事が100個あれば、かかる日数は100倍の1500日になってしまう。
文章題へのチャレンジ
算数の部屋
【問題3】
ある牧草地の草をヤギが食べると12日、羊が食べると18日で食べつくす。はじめヤギと羊を6日間だけ放牧した後、残りはヤギだけ放牧すると牧草地は何日で食べつくされるか。
《ヤギが食べる速さ》=1/12 牧/日、《羊が食べる速さ》=1/18 牧/日、この「牧」と言う字は牧草地一つ分の意味だ。
二匹で仲良く一緒に6日間食べた。ヤギも羊も食べるのが仕事だね。
《二匹で6日間で行った仕事量(食べた量)》=(1/12+1/18)×6=(3/36+2/36)×6=5/36×6=5/6、単位は牧/日×日=牧 だから牧草地全体の5/6を食い尽くしてしまうんだ。残りは、1-5/6=1/6牧で、牧草地の1/6だけが残っている。残りを今度はヤギだけが食べる。また《所要日数》=《食べる量》÷《食べる速さ》を考えると、1/6÷1/12=1/6×12/1=2となり単位は日。求められている答えは全部で何日なので、最初の6日を加えて6+2=8として、【答え;8日】が正解となる。
文章題へのチャレンジ
算数の部屋
【問題4】
水を水槽に入れるのに、ポンプAでは12分、ポンプBでは15分、ポンプCでは20分かかる。ポンプA、B、C3台を一緒に使ったら水槽には何分で水が入りますか。
3つのポンプの水を供給する速さは、それぞれ1/12、1/15、1/20で単位はP/分となる。Pは水槽(pond)の略号だ。3台のポンプを同時に動かせば、給水の速さはその和で、
1/12+1/15+1/20=5/60+4/60+3/60=12/60=1/5となる。単位はP/分だ。かかる時間は、1P÷(1/5)P/分=1P×5分/P=5分、【答え;5分】
文章題へのチャレンジ
算数の部屋
【問題5】
6人で1日8時間働いて10日かかる仕事がある。
(1)この仕事を1日8時間、10人で働くと何日で終わりますか。
(2)この仕事を12人で4日で終わらせるには、1人1日何時間働くことが必要でしょう。
《一人当たり1時間の仕事の速さは》=1W÷6人÷8時間÷10日=1/(6×8×10)W/人・時・日、分数の時はあえて掛け算をしないのがコツだ。どうせ後で約分してなくなってしまうことが多いから。この数字を基本単位量当たりの仕事の速さと考える。一人で1時間働いた時の仕事の速さだ。
(1)1日8時間、10人で働く時の必要日数
1/(6×8×10)×10×8=1/6、仕事の速さが1/6 W/日なので所要日数(仕事の遅さ)はその逆数の6日だ。 【答え; 6日】
(2)この仕事を12人で4日で終わらせるには、1人1日何時間働くことが必要でしょう。
1日x時間働いて、12人で4日で終わるには、
1/(6×8×10)×12× x ×4=1、右辺の1は一仕事終わる(1W)ということです。これから、x= 1/(6×8×10)×12×4 =10 となるので、【答え; 10時間
文章題へのチャレンジ
算数の部屋
問題3の絵による解説。方程式は使わない
問題3を方程式を使った。
文章題へのチャレンジ
算数の部屋
【問題6】
ケーキ屋さんのアルバイト店員さんが5人で6時間働いて、合計27000円もらえました。 アルバイト店員さんが4人で8時間働くと、合計いくらになるでしょう。ただし、時給はみんな同じです。
解答;この問題、仕事量が1ではなく、27000円とお金になっているところ今までと違います。だから今までの仕事が速いということをお金が稼(かせ)げるということに読み替(か)えればいいんです。
まず、一人が1時間働いたらいくらもらえるか調べます。分解できる最小単位ですね。
27000÷5÷6=900円、これを時間単価(時給)と言います。単位は900円/時・人です。これが時給です。良くあなた方のお父さんやお母さんが話していませんか。
4人で8時間。もう簡単ですね。900×4×8=28800円です。【答え;28800円】
あなたがケーキ屋さんの主人ならなかなか悩ましい問題でしょう。5人で6時間ずつなら合計27000円の給料を払わねばいけないし、4人で8時間ずつなら28800円支払わないといけません。でもどちらの場合でも時間単価(時給)は同じ900円です。どちらの方が効率良く働いてもらえるかは他の要因を考えないと決められないようですね。
算数の部屋
ニュートン算
誰(だれ)がこんな名前をつけたのでしょうか。一方の量が増えているのにもう一方の量が減っているなど、結構ややこしい。もちろんニュートンとは何の関係もありません。
まあ、じっくり左の絵を見て下さい。井戸の底から水が湧き出しているらしい。何にもしなくても水が出て来るのでとても良いようだけど、ポンプでくみ出してやらないとあふれ出して周りじゅう水浸し。ポンプのくみ出しの量が足りないと結局はあふれ出すし、ポンプを増やせば、簡単に水槽(すいそう)を空(から)にできるけど、お金もかかるし水を利用するにも何かと不便だね。適当なポンプ台数を決めてやるのが技術者としてのあなたの腕(うで)の見せ所だ。
この問題のとっつきにくい所は、水槽の大きさや、入って来る水の量の具体的な数字が無いことだね。
こういう時の手段として、ポンプ1台当たりのくみ出し量を1としてこれを単位と考えることが良く行われている。ポンプ1台の能力を 1 m3/分・台 と考えてみよう。こうすれば左の絵の水の出入りを計算できるでしょう。
①ポンプ4台で36分で水を汲みだせる。→36分×4台×1 m3/分・台=144 m3
②ポンプ5台で28分で水を汲みだせる。→28分×5台×1 m3/分・台=140 m3
この2つでは、8分の時間差(36-28=8)があるが、この間にくみ出した水量が異なっている。これはこの8分の間に井戸の底から水が入り込んで来て余分にくみ出さないといけないからである。(m3)
《底から湧き出す水の量》=(144-140)/(36-28)=4/8=0.5 (m3)
つまり、水槽の底からはポンプ1台の半分の量の水が常に湧き出しています。
このことから、《水槽の水の量》=144-0.5×36=140-0.5×28=126 (m3)
従って、ポンプを11台にしてくみ出す時の、《所要時間》は、
《所要時間》=126÷(11-0.5)=12、 【答え; 12分】
この問題の面白い所は、ポンプ1台の能力をどのように決めても同じ結果が得られることです。ポンプ1台の能力を 1 m3/分・台 としても 1 kg/分・台としても、 1 リットル/分・台としても大丈夫です。
この問題が観光地の温泉などの水源を利用する計画か何かだったら、きっと施設もとても大きなものでお金も大変かかるものでしょうね。でも、これを小さな模型を作って机の上で実験できれば便利でしょう。ポンプを1cc/秒等の小さなもので紙コップのような水槽で実験できますね。このように水を使った模型実験を水理模型(すいりもけい)実験と言います。でも、頭の中で模型を考えて計算できればもっと楽で便利ですね。これを思考実験と言います。この問題も思考実験の練習問題だともいえますね。
これも方程式を使ってみよう。ポンプ1台の能力をxトン/分、底から湧き出す湧水の量をyトン/分とする。水槽の容量をQトンとしよう。
36分×(4x-y)トン/分=Qトン…(1)、28分×(5x-y)トン/分=Qトン…(2)
(1)と(2)を等値できるので、36(4x-y)=28(5x-y)、 (144-140)x=(36-28)y、→y=(1/2)x=0.5 x、これを(1)に代入する((2)でも同じ)。
Q=36(4 x-0.5 x)=126 x、ポンプ11台でくみ出せる時間をz 分とすると、z (11-0.5) x=126 x、 10.5 z=126だから、z =126÷10.5=12、【答え;12分】
方程式で分からない量をどんどん文字で表わして行っても、計算しているうちにどんどん消えてしまうのでご安心。
算数の部屋
文字式=数字が無くても計算できる
文字だけで式を作っておいて、後で色々と数字を入れて実験する。コンピュータは当然これだ。こんなことは君達にも簡単にできるんだけと、文字を使った計算にはちょっとだけ約束がある。こんなこと大抵の大人は知っているのに教えてくれない。文章で表わすより、次の式を見たらすぐ分かるだろう。
A+A=2A、 n×A=n A、 A×B=A B、 A÷B=A/B、 A×A=A2
文字の場所にはいつでも数字を入れることが出来る。また、文字式では掛け算や割り算の記号は使わないが、これは無くても分かるからで、本当は書いたからと言って間違いではない。先生によってはバツをつけるかも。
【練習】
3ab+6ba=9ab、 abとba は同じものだ。
4cab+5bca=9abc、 どの項もabcだから一緒にできる。
4cab+5bcad=abc(4+5d)、 どの項もabcだから一緒にできる。
5+2x+x2+2-3x=x2-x+5、 どの項もabcだから一緒にできる。
x2=x×x、は 2x=2×x 当然異なるね。
算数の部屋
計って見よう
大きな動物、高い山、長い川、暑い日、たくさんの水、冷たい水、
英語でやって見ましょう。big animal, high mountain, long river, hot day, much water, cold water
このホームページは算数の部屋でも国語も、英語も、理科も何でもありですよ。英語の苦手な人は飛ばして読んでね。ここで並べた言葉は程度を表す言葉、だから算数と結びつけるには、どの位を示さないといけません。500kgの動物、1000mの山、10kmの川、40度の暑い日、100リットルの水、氷水(0℃のこと)と言うように具体的に示すと良く分かるでしょう。でも、親切な人、意地悪なおじいさん、きれいな花なんかは、数字で表せないですね。数字で表すことができるものは、その大きさを計ることが出来ないといけませんね。100倍いじわるなんて、どうやっていじわる度を計るんだろうね。なお、これは国語の問題だけど、「はかる」には、図る、計る、測る、量る、謀るなんて沢山の漢字があるけど、どう使い分けたらいいんだろうね。
算数の部屋
長さ
1000mの山、10kmの川、2mmのアリ、5mの深さの穴。これらは長さのことですね。数字を出さなくても、具体的なものを挙げれば、長さは分かりますね。東京から大阪までの距離、富士山と同じ高さなど。長さは、距離とか寸法とか、深さ、高さなどとも呼ばれることもありますね。
長さを表すには、単位も大事ですね。長さ10の川では何のことか不明ですね。長さの単位にはどんなものがありますか。
1mm(ミリメートル)、1cm(センチメートル)=10mm、1m(メートル)=100cm、1km(キロメートル)=1000m
世界標準では、mが基本だ。ミリは1/1000、センチは1/100、キロは×1000という意味だ。メートルだけでは、消しゴムなどの小さなものを計るのに不便だね。0.035mなんて感じ悪いでしょ。普通は35mmだね。3.5cmでは小数が出てしまうね。単位はどれを使ってもかまわないが、単位の変換が自由にできるようにしよう。
でも、いちいち色々な単位を使い分けるのは面倒なので、メートル一本槍(やり)の方を好む人たちもいるのだ。例えば、10-28mとか1025mとかね。10の上についた小さな数字を指数と言うのだったね。1を28回10で割った数、1に10を25回掛(か)けた数の意味だね。
長さを計るには普通、物差し、巻尺、定規等を使うね。太陽や星までの距離等は特別な方法が必要だし、特別な単位が必要だ。また、細菌やもっと小さい原子の大きさも特別な単位を使うことが多い。図-1のようにグジャグジャ曲がった線の長さを計るのは大変そうだ。
図-1.フラクタル
算数の部屋
面積と体積
長さと言うなら、「広さ」と「大きさ」にした方がいいみたい。でも普通は長さ、面積、体積とセットにするようだね。英語では、length, area ,volume(レングス、エリア、ヴォリューム)だが、カタカナでの発音は要注意だ。できるだけ早く英語の発音になれた方が便利だ。
面積を計るのは計算が必要なことが多く、簡単には求まらない。体積の方はもっと難しいはずなのだけど、水みたいな液体なら計量カップを使うことができるね。それと水にぬらしていい物ならお風呂(ふろ)のような水槽(すいそう)にどっぷりつけて、あふれた水の量を計ることもできるね。
面積は紙の上ならまだ簡単だけど、地球儀のように曲面(まがった面)や、自動車や飛行機などの表面積(ひょうめんせき)なんか計算も大変だね。塗装(とそう;ペンキなどぬること)の時にはペンキの量をあらかじめ計算して発注しないといけないしね。また、図-2の紙テープを1回捩(ね)じったメビウスの輪(わ)の面積は、元のテープの面積の2倍になるね。表と裏が繋(つな)がっているから。
図-2.メビウスの輪
面積や体積の単位も覚(おぼ)えておいて欲(ほ)しい。1辺が1mの正方形の面積を1m2と書いて1平方メートルと呼ぶ。1辺が1mの立方体の体積を1m3と書いて1立方メートルと呼びます。
mの上に書いてある2とか3の小さな字、これは数字のときの指数と同じなのだ。つまり、
1m×1m=1m2および1m×1m×1m=1m3
つまり、単位も掛け算や割り算の対象になることが大切。だから算数の応用問題では単位がとても大切なわけ。単位が間違っていたら数字があっていても0点なのは仕方がない。他の単位も見てみよう。まずは、面積から
1cm×1cm=1cm2、1m=100cmだから、
1m×1m=100cm×100cm=10000 cm2=104 cm2→1万平方センチだね
1km×1km=1000m×1000m=106 m2→百万平方メートルだ。
他にアールとかヘクタールという補助(ほじょ)単位も使われることがあります。
10m×10m=100 m2=1a(アール)
100m×100m=10000 m2=1ha(ヘクタール) =100a(アール)
アールなんて単位があるのだね。
次は、体積だ。容積とか「かさ」ということもある。物の大きさだ。
1m×1m×1m=1m3(1立方メートル)
1cm×1cm×1cm=1cm3(1立方センチメートル)
1m=100cmだから100cm×100cm×100cm=1000000cm3=106 cm3
1m3は、1cm3の百万倍だ。となると中間の単位が欲しくなるでしょう。
10cm×10cm×10cm=1000cm3=1 リットル
1cm3のことを1ccなんて呼ぶよ。cubic centimeterの略です。立方センチメートルを英語で言ったのです。デシリットルは1リットルの1/10。つまり、
1 リットル=10デシリットル=1000ccだね。パソコンでリットルを出そうとするとl(エル)となるので1(イチ)と区別がつきにくいのです。
算数の部屋
面積の計算
面積の計算を少し説明します。図-3を見てください。
図-3.面積の計算
長方形ABCDの面積は
たて×よこ=5cm×3cm=15cm2です。
では、平行四辺形EBCEの面積は、底辺×高さ。では、三角形は、平行四辺形の半分だね。つまり、
三角形の面積=(1/2)×底辺×高さ
となります。底辺とは長さの分かっている辺ならどれでも良く、それに垂直に高さを取る。複雑な多角形も三角形に分割して面積を求めます。
算数の部屋
重さ
重さなら簡単ですか。重さの単位はkgが基本かな。でも実際はちがうのです。話はそう簡単ではありません。あなたの体重が30kgとしましょう。30kgとは、あなたが地球上のどこかの場所で秤(はかり)で計ったものでしょう。でも、あなたが宇宙飛行士になって宇宙船の中で秤の上に乗りました。宇宙空間では無重力ですから秤のメモリはゼロです。ではあなたの体重は宇宙空間ではなくなってしまったのでしょうか。あなたの友達100kgのリキシ君が宇宙船の中であなたとぶつかりました。ドーン。あなたはキット強烈に弾(はじ)き飛ばされますね。あなたが月に着陸して月で体重を計ると月の引力は地球の1/6なのであなたの体重は5kgになってしまいます。
無重力
あなたが持っている固有の塊の量を質量と言います。体重とは地球の引力があなたの質量を引張る力なのです。でも普通は、物の重さは地球の上で測るのでkgを使ってもかまいません。正式にはkg重として書くべきなのですが、あなたの質量が30kgと考えれば問題はありません。でも、あなたに働いている下向きの地球の引っ張る力は本当は、ニュートンという単位で表します。つまり、
30kg重=30kg×9.8m/s2=294Nとなるのです。ここでNはニュートンという力の単位です。9.8m/s2は重力加速度という量なのですが、少し難しいので説明は後程(のちほど)としましょう。でも、月の上では重力加速度は地球の1/6になりますし、宇宙船の中では多分0でしょう。このそのうち種明(たねあ)かしをしたいとは思っていますが。小中学校の段階では重さと言ってもかまわないでしょうが、本当は質量と言うべきなのです。さて、重さ(質量)の単位はそんなに難しくない。世界標準ではkgが基本。
1kg=1000g、1トン=1000kg
算数の部屋
温度
水が沸騰(ふっとう)する温度は100℃、水が氷(こお)る温度は0℃。40℃の夏の日の温度は、20℃の2倍ですか。100kgは50kgの2倍は正しい。でも、40℃は決して20℃の2倍ではない。温度にはマイナスの温度があるけれど、長さや重さにはマイナスは無いですね。温度は高い方には上限はないようです。太陽の表面温度は6000℃、宇宙には太陽よりもずっと温度の高い恒星もあるようです。でも、低い方の温度は下限があるようです。どんなに頑張ってもこれより冷たくならない。科学者たちは、この温度を改めて0と決めて、そこから温度を測ることにしました。これを絶対温度と言います。-273℃を改めて、0Kとしてこれを絶対温度とすると立派な温度のメモリが出来上がります。氷が氷(こお)るのは273K、沸騰は373Kです。しかし、気体の実験から、絶対温度T、体積V、圧力pにはpV/T=一定;という関係があることが分かってきました。図-5には気体の温度と体積の関係を示します。これによると-273℃では体積が0になりそれ以下の温度は無いことが分かります。実際には気体が絶対温度に近づくと、どこかで液体や固体に変わっていしまうので体積が0付近の減少の解明は簡単ではないようです。でも。絶対温度なら、400Kは200Kの2倍ということは正しい表現となります。温度という量は、長さや重さと違って気をつけなければならない性質があるようですね。
図-5.気体の体積と温度
算数の部屋
速度
速さのことだね。車の助手席に座って運転席のメータを見たことありますか。メータが時速60km/h等と表示されますね。車が加速すると速度計がぐんと上がりあなたの体は助手席に押しつけられるでしょう。これが瞬間の速さといるある意味で本当の速さです。
ある女の人がスピード違反でおまわりさんにつかましました。おまわりさん「あなたは時速80kmで運転していましたね。」。女の人、「時速80kmですって。私まだ車に乗ってから10分しかたってないんですよ。1時間も運転していませんよ。」。この話どこがおかしいか分かりますか。時速80kmとは、そのもしそのスピードで運転を続ければ1時間で80km先まで行ってしまうよという意味。おまわりさんが見たその瞬間の速度が時速80kmだったので1時間運転する必要な全くないのは分かりますね。
一方、速さ=進んだ距離÷走った時間として計算される。これは本当は平均の速さというものです。算数の応用問題ではほとんどこれですね。実際、長い距離をほぼ一定の速さで走る場合は、この考えで充分かも。出発時の加速と停止時の減速時を除けば、後の速度は一定としても大きな誤差は無いでしょう。
速度の単位は距離÷時間で割算だ。だから速度に時間を掛(か)ければ距離になる。距離とは当然長さのことだね。
時速;km/h(キロメートル毎時)、m/h,分速;m/min、km/min、秒速;m/s(メートル毎秒)
平均速度は距離÷時間で割算だから、平均を取る時間を短くすると同時に進む距離も短くなる。時間を0にどんどん近づけると距離もどんどん小さくなる。距離÷時間は0÷0みたいですが。
算数の部屋
時間と角度
時間と時刻の区別を明確にしよう。時間は時刻と時刻の間隔だね。時間を計るのは時計だ。距離は目で見えるけど、時間は目で見えないので感覚でとらえるのは結構難しいですね。時間の測定と角度の測定にはなぜか60進法が使われています。
1日=24時間、1時間=60分、1分=60秒
円周を一回転すると360度。直角は90度。180度は一直線。
時計の絡(から)んだ時間の計算、苦手だという人結構多いのでは。時計は0時から始まり、1周して12時。1時のことを13時と言ったりします。25時というのもありか。
【問題1】昨日の晩の7時から明日の朝の10時までの何時間かかりますか?
【問題2】昨日の晩の7時から3人で一人5時間20分ずつ交代で仕事をしました。仕事が終わるのは何時でしょうか?
算数の部屋
将棋を使った算数問題
将棋の盤(ばん)と駒(こま)を使って算数をやってみよう。まず、将棋盤を見てみよう。盤には升目(ますめ)があるね。実際の盤には、数字はふっていないけど、棋譜という記録を作るには必要だ。
升目の数は、全部でいくつでしょう。
【升目の数】
縦の方向には、一~九で9行、横の方には1~9で9列ある。
だから、升目の数は、9×9=81、 81升(ます)との答えが正解だ。
つぎに、交点の数は、どうだろう。正方形に近い升の頂点を考える。
一つの正方形には4つの頂点がある。正方形はさっき計算した81個だった。
では、点の数は、81×4=324個??
勿論不正解だ。たくさんの点をダブって計算しているぞ。
この点は、縦の方向には、10行、横の方にも10列。
だから、点の数は、10×10=100
100と答えれば100点です。
この考えは算数の植木算の考え方と一緒だね。木が10本なら間の数は9個。
この計算が信じられない人は、実際に数えて確かめる必要がある。
100まで数えるのは大変だけど、これなら小学校の低学年でも可能だね。
でも、将棋盤だからいいけど、碁盤だったらもっと大変だ。
将棋は、升目の中に駒を置くのに、囲碁は点の上に置く。どうしてかは分からないけど。
【将棋盤を作る】
昔の子供は、将棋盤を買えないので紙に線を引いて作ったりしたものです。
では、将棋盤を造るには全部で何本の線を引いたらいいでしょうか。
さっきは、掛け算使ったけど、今度はどうなる??
縦の方向には、10本、横の方にも10本。9本でないから注意して。
合わせて、10+10=20、20本です。
今度は足し算でいいんですね。
ついでに将棋盤の面積を考えて見よう。正方形の1辺の長さを2cm として見ましょう。
10cmでは大盤解説の将棋盤、1cmでは小さすぎて駒が乗らない。
将棋盤の横方向の長さは、 横方向の長さ=2cm/個×9個=18cm
縦方向も、同じく18cm、だから求める面積は、
S=18cm×18cm=324 cm2 となります。平方センチと読みますね。
単位が大事です。324 cmなんて答えたらお前馬鹿かと言われちゃう。
掛け算や割り算をする時は、単位も一緒に掛けたり割ったりがルールです。
え?? それではさっき升目を数えた時は??
9升×9升=81升升
升升なんて単位がある訳がない。こうすれば分かる。
9升/行×9行=81升、 あるいは 9升/列×9列=81升
こういうこと頭の中でちゃんとやっているんです。
【市松模様】
将棋の駒は全部で何枚ある?
(9+2+9)×2=40、敵味方20枚ずつ計40枚。
これはいいとして、将棋盤に色を塗ってみたとしよう。
チェスの盤みたいに。こういうのを市松模様というらしい。
この図では、色付けしたところ、色が無い所がある。
将棋の駒には角という駒がある。角は斜め対角線方向にしか進めないので、色無しのところに置かれた角は何回動かしても色のある所には行けない。逆に色付きの所に置かれた角は何回動かしても色有りの場所には進めない。もちろん敵陣に入って馬になるというのは駄目(だめ)だよ。それは馬で、もう角ではないから。
それでは、色付の升と色無しの升の数はそれぞれいくつかな?
色付の升は、奇数列(1,3,5,7,9)では5個、偶数列(2,4,6,8)には4個だ。
つまり、色付きの升の数は、5×5+4×4=41個
一方、色無しの升の数は、奇数列(1,3,5,7,9)では4個、偶数列(2,4,6,8)には5個だ。
つまり、色無しの升の数は、5×4+4×5=40個
合わせて、81個(9×9)、良かった。つじつまが合っている。
色無しの升の角を筋違い角と呼ぶようだけど、1升分働きが悪いということだね。
【正方形の数】
盤面にある正方形の数は全部でいくつ??
結構難しい問題だ。
1cm×1cmの数が全部で9×9=81、81個であることはもう調べた。
でも、正方形はこれだけではないね。盤全体が一辺18cmの正方形。
18cm×18cm=324 cm2 の大きな一つの正方形だ。
次に、2cm×2cm=4 cm2の正方形は?
図の一1の升に、この正方形を置いて見よう。升4つ分だ。
この正方形は、一1→一2→…一7→一8と横方向に動かせる。
でも一9はだめだね。左半分がはみ出してしまう。
つまり、4 cm2の正方形は1~8で、8個できる。
3cm×3cm=9 cm2の正方形も同じように考えて7個できる。
これをまとめてみよう。
1個の正方形→9×9=81
4個の正方形→8×8=64
9個の正方形→7×7=49
16個の正方形→6×6=36
25個の正方形→5×5=25
36個の正方形→4×4=16
49個の正方形→3×3=9
64個の正方形→2×2=4
81個の正方形→1×1=1
後は、この数を足して合計を求めればいいだけだ。
合計は285となるようだ。
高校数学では、公式 S=n(n+1)(2n+1)/6 という公式を暗記させられる?
確かに、n=9と置けば、S=285であっている。
これが将棋盤でなくて、囲碁の盤だったらもうもう考える気もしないね。
だから公式覚えて置けと言われるけど、こんなこと計算して何になるんだといわれると確かにそうだね。
将棋の部屋
インド式算数
インドの小学校での掛け算の教え方。テレビでそのノーハウの一端を紹介していた。確かにこの教え方なら、2桁×2桁の掛け算も小学校の低学年でも可能だね。
以下、そのやり方を紹介しよう。原理も多分ちょっと考えれば分かってもらえると思う。算盤ならぬ算木と言うのがある。日本にも和算なんてあったから、ひょっとしたら、こんなことも知っていたかもしれない。
例として、 23×34として見るか。23×34=782だね。
2桁の時は2色の算木を使おう。青が10円棒、赤が1円棒としよう。横棒を23に相当の青2本、赤3本、縦棒を青3本、赤4本。これなら小学生だって出来るね。そこで横棒と縦棒の交点の数を数える。
① 赤と赤の交点は、4×3=12→つまり1の位は2で10の位はひとつふえる。
② 赤と青の交点は、20×4+30×3=10×(8+9)=10×17
つまり、10の位は8(一つ増える)で、100の位も一つ増える。
③ 青と青の交点は、100×(2×3)=100×6 だけど、一つ増えて7だね。
④ つまり、782が掛け算の答えか。
算木が売ってない? 紙と色鉛筆でもあればOKだね。色々な数で実験して見ると面白い。交点の数は単に数えるだけ。結構使えそうだね。
将棋の部屋
理科の計算
中学校に通うようになると、理科の学習で計算問題が増えて来るね。算数や数学で計算が大好きだった人もどうも理科の計算は苦手。ましてや数学嫌いなものは初めからチャレンジするのすらためらってしまう。でも、理科は単なる暗記科目ではないぞ。自分で計算して答えを出して物事の本質を理解する態度は一生続けないといけない大切なことなんだ。
色々、例を挙げながら説明して見よう。
1.地球と太陽はずいぶん離れているね。どのくらいの距離か知っているかな?
地球と太陽の距離は1億4960万kmあるんだよ。おおよそ1.5×108kmだね。
でも、どうやって計ったんだろうね。それに地球は太陽の周りを楕円軌道で回っている(ケプラーの法則)。だから本当は一定ではないんだね。かなり円に近い楕円か。どの程度円に近いのか? こういう疑問は、今は解決できなくてもしっかりと頭の中に大事に取っておいて欲しい。
2.光の速さを知っているかな? 光は1秒間に地球を7回り半する速さだとか。
真空中における光速の値は 299792458 m/s(約30万km/s)と定義されている。太陽から地球まで約8分19秒、月から地球まで2秒もかからない。
299792458 m/sなんて書かれると分かりにくね。最初の2の後に何個数字があるか?
8個だね。だから、3.00×108 m/sとすれば良い。約3億m/sだね。10の右肩の数字、指数の計算はとても大事だ。
3.指数計算の法則
問題: 10a×10b=10( ) →かっこの中を埋めて下さい。
4.答えは、超簡単。a+b だね。ただ、この法則の凄い所は、aとbはどんな数でもいいことなんだ。負の数でもいいことは勿論、分数でも無理数でもOKだ。ただし、整数で無いと実際に計算するのは大変だ。実際には虚数(複素数)でもいいんだけど。こういう疑問を解決するのも将来のお楽しみ。
5.速さを求めて見よう!
速さとは何だ? 速さを具体的な数字で表すならどうすれば良いか? 文学なら「鳥のように速い」で済むけど、理科や現実世界ではしっかりと具体的な数字で表すことは必須の技術だね。
「速さとは、あるものが単位時間に進む距離」だね。だから単位は必ず「距離÷時間」。
速さ=進んだ距離÷かかった時間 →小学校でも何度も教わった?
では、
問題; 地球から太陽までの距離は、1.5×108kmだった。1.50×1011mとした方が良いね。光の速さは3.00×108 m/sだった。これから、太陽の黒点の爆発があってから、それを地球の観測者が発見するまでの時間を求めて下さい。
6.解答;
速さ=進んだ距離÷かかった時間→かかった時間=進んだ距離÷速さ
こんな計算小学生でも出来る。しかし、理科の問題とした出されたら途端に難問早変わり?
かかった時間=1.50×1011m÷3.00×108 m/s=0.5×103 s=500s=8.33分
0.33分×60秒/分=20秒、
つまり8分20秒かかるということだ。
7.次は、上のデータから地球の半径を求めて見よう。
光の速さは、3.00×108 m/sだった。1秒間にこれだけの距離を進む。その間に地球を7回り半は知っている。だから地球の円周は、
3.00×108 m÷7.5回=4.00×107m
円周=π×直径→直径=4.00×107m÷3.14=1.27×107m
→半径=6.35×106m=6.35×103km=6350km
8.地球の半径は、Googleで調べれば出て来るね。6,371 kmだった。有効数字2桁でピッタリ一致しているので計算は正しいね。
9.地球の半径が分かれば地球の大きさも分かる。これで地球の密度を求めて見よう。地球の質量も、Googleで調べれば出て来るね。5.9724×1024 kg となっている。質量は宇宙ではとても重要な量だ。ニュートンの万有引力の法則を思い出して欲しい。密度を求めると何が分かる。それは地球の内部がどんな物質で出来ているが推測できることだ。
では、地球の体積を求めて下さい。
10.球の体積は、小学校で習ったかな?公式があるね。でも、何故そうなるかは今後学習していくんでしょう。とりあえず疑問として大切にしておきましょう。
球の体積=(4π/3)×(半径)3
地球の半径=6.37×106m→球の体積=(4π/3)×(半径)3
(半径)3=(6.37×106m)3=258.5×1018m3
地球の体積=1082×1018m3=1.082×1021m3
Googleで調べて見よう。地球の体積は、およそ1兆833億1978万km3です。1兆とは1012だった。
1 km3= (103m)3=10
つまり、地球の体積=1.083×1021m3
計算は正しかったようだね。
11.指数計算の法則
問題: (10a) b=10( ) →かっこの中を埋めて下さい。
12.上の答えは簡単。(10a) b=10ab
10a×10 b=10 a+b と(10a) b=10ab の区別だけはしっかり確認してね。
13.地球の密度を求めて見ましょう。
地球の体積=1.083×1021m3、 地球の質量=5.9724×1024 kg
地球の密度=地球の質量/地球の体積=(5.9724×1024 kg)÷(1.083×1021m3)
地球の密度=(5.97/1.08)×10(24-21)kg/m3=5.53×103 kg/m3
14.答は出たんだ。でも、君達が使っている密度の単位とは違うね。単位を換算してやろう。
1 kg/m3=(103g/106cm3)=10-3 g/ cm3
地球の密度=5.53 g/ cm3 、Googleで調べると 5.51 g/cm3
これも計算結果は有効数字を考えるとあっていると言える。地球の中心は密度7.9ぐらいの鉄でできているらしいけど、地表の岩石は密度が2.5~3.0ぐらいなので、平均すると密度が5.5程度になるようだ。
将棋の部屋
ピタゴラス
ピタゴラスは、今から2,500年ぐらい前の古代ギリシアの数学者です。NHKのEテレにピタゴラスイッチなんてあるので名前ぐらいは、みなさんごぞんじですね。
ところで、みなさん直角をつくるにはどうすれば良いか知っていますか。校庭にドッチボールのコートをかくのにどうすればいいか分かりますか。
長いなわを用意して、同じ長さの部分を12個作ります。なわには結び目を入れて分かるようにしておきます。これを校庭にならべて、長さが、3、4、5の三角形をつくります。3と4にはさまれた部分が直角になります。この事実は古代のエジプトでも知られていて、ピラミッドの建設にも使われたとのことですよ。これをエジプトの神官から聞いて、ピタゴラスは、ピタゴラスの定理というものすごく有名な定理を発見します。数学の場合は証明したわけです。ピタゴラスの定理はどんな直角三角形でも例外なく成り立ちます。
以下の説明を絵を見ながら考えて下さい。直角三角形の三つの辺の長さをa、b、cとし、aとb間の角が直角です。
この時、 a2+b2=c2 が成り立ちます。a2はa×aのことです。
先ほどの、3、4、5の三角形でも、32+42=9+16=25=52となります。a2+b2=c2のような関係が成り立つ3つの数をピタゴラス数と呼びますが、実生活に役立つ簡単な例は、3、4、5の場合だけです。
無理数
次に簡単そうな問題です。一辺が1mの正方形があります。この面積は簡単ですね。面積は1m2です。それでは、この正方形の2倍の面積を持った正方形の1辺の長さはどうなるのでしょうか。半分の面積の場合はどうなりますか。折り紙とハサミがあれば、このような三角形は、図に示すようにすぐにつくれます。でも、その一辺の長さはどうなるのでしょうか。一辺の長さをx(まだわからないからね)とします。この時、直角三角形のピタゴラスの定理が役立ちます。
12+12=x2、 x2=x×x=2
2の平方は、2×2=4です。4の平方根は2です。xの平方は、2です。でも、2の平方根は実は分数を使っても求まりません。この時、x=√2と表します。
このように、分数で表すことの出来ない数を無理数と呼びます。反対に分数で表すことが出来る数を有理数と呼んでいます。√は今では、電卓を使えば簡単に求まります。でも、その時表示される値は、小数で表されており、近似値というものです。本当の値は小数で表すことは無理なのです。だから無理数と言うのでしょうかね。実際には数は、有理数よりも無理数の方がはるかに多いのですが、有理数の数は無限にあるので、その無限よりも大きい無限があるなんて不思議ですね。
ところで、ピタゴラスさん、当時の人々は数に神秘的な力があるものと信じていた。ピタゴラス自身、どん数も分数まで使えば表すことが出来ると思ってましたので、無理数の存在が身近にあることを知ってビックリポン。弟子達には秘密にするように命じていたとか。そんなこと無理スーよね。
集合算
みなさん、今日は集合について考えますよ。例えば、3年2組の生徒の集合、6年9組の女の子の集合、動物小学校の先生の集合等、いくらでも考えられますね。この時、集合の構成員一人一人を要素(ようそ)と言います。集合については、ベン図という便利な物があります。イギリスのベンさんという数学者が考えたからベン図です。まず、下の絵を見て下さい。左側の絵では、四角いワクに丸が2つかいてあります。
例題を考えます。進君のクラス3年2組の生徒の集合を考えます。生徒の数は38人、これを四角いワク全体としてCと表します。すると、Cの要素の数は、n(C)=38です。n( )は、要素の数を表します。次に、Aは自分の国語辞典をもっている生徒、Bは自分の漢字辞典をもっている生徒を表しています。n(A)=15、n(B)=12です。四角いワクから丸二つをのぞいた部分(黄色い部分)は、国語辞典も漢字辞典もどちらももっていない生徒の数です。どちらも持ってない生徒Dの数は、
38-(15+12)=11、11人とするのは誤りだと分かりますね。だって、国語辞典も漢字辞典もどちらももっている生徒の数を重複して数えてますね。両方持っている生徒は集合算のルールでは、A∩Bであらわし、積(セキ)集合と呼びます。帽子みたいなのでハットと呼ぶこともあります。そこで、n(A∩B)=6としましょう。
また、国語辞典か漢字辞典のどちらか、あるいは両方持っている生徒の集合をA∪Bで表します。A∪Bのことを和(わ)集合、またはコップみたいなのでカップと呼ぶこともあります。
n(A∪B)=n(A)+n(B)-n(A∩B)=15+12-6=21
これで、AとBからダブりの部分を引いた二つ丸の数が求まりました。後は、四角い部分から丸二つをのぞいた残りがもとまります。つまり、
n(D)=n(C)-n(A∪B)=38-21=17
なお、下のの絵のように、集合BがAにスッポリ含まれてしまう時は、記号でB⊂Aのように表します。絵を見れば分かることを記号を使って表して見るともっと良く分かるようになる。面白いですね。以下、記号は覚えておくと便利。
∪;カップ(和集合)、足し算みたい。n(A∪B)=n(A)+n(B)-n(A∩B)
∩;ハット(積集合)
c;補集合;D=( A∪B)c 、全体からcがついた部分を除いた集合。
a∈A; 要素aは集合Aに含まれる。例えば、ペンギン∈鳥の集合
ソロリ・シンザエモン
みなさん、曽呂利 新左衛門(そろり しんざえもん)という人知っていますか。豊臣秀吉(とよとみひでよし)に御伽衆(おとぎしゅう)として仕えたといわれる人で、落語家の始祖とも言われ、ユーモラスな頓知(とんち)で人を笑わせる数々の逸話(いつわ)を残した人です。元々、堺(さかい)で刀の鞘(さや)を作っていて、その鞘には刀がそろりと合うのでこの名がついたといわれています。架空の人物と言う説や、実在したが逸話は後世の創作という説もある。西洋でも道化などといっていつも王さまのそばにいて笑わせたりすることを仕事にしている人いますね。
逸話1
秀吉が、猿(さる)に自分の顔(かお)が似ている事を嘆(なげ)くと、「猿の方が殿下を慕(した)って似(に)せたのです」と言って笑わせた。
逸話2
ある時、秀吉が望みのものをやろうというと、口を秀吉の耳に寄せた。諸侯は陰口をきかれたかと心落ち着かず、新左衛門に山のような贈物(おくりもの)を届けたという。
逸話3
秀吉から褒美(ほうび)をやるが、何を希望するかたずねられた新左衛門は、今日は米1粒、明日は倍の2粒、その翌日には更に倍の4粒と、日ごとに倍の量の米を100日間もらう事を希望した。米粒なら大した事はないと思った秀吉は簡単に承諾したが、日ごとに倍ずつ増やして行くと100日後には膨大な量になる事に途中で気づき、他の褒美に変えてもらった。
さて、米粒の量は100日目にはどの位になるのでしょう。4日目は8粒、5日目は16粒、……、2×2×…2×2=?。2を100回掛(か)ければ良いのですね。関数機能のついた電卓があればすぐできます。2100=1.27×1030粒です。ここで2とか10の右上についた小さい数字の100とか30がとても大事だ。これを指数という。とても大きな数や小さな数を表すのに便利で欠かせない表記だよ。米粒の数は127の後にゼロが28個もつく大きな数だ。米粒の重さってどの位かな。
とりあえず、0.01gとしよう。0.01g=10-2g=10-5kg=10-8トン
マイナスの指数と言うことは、逆に割って行くんだ。10-2=1÷10÷10だね。
10-8トン/粒×1.27×1030粒=1.27×1022トン
1億トンが108トンだからその1億倍の100万倍だ。世界中のコメを集めても未だ足らない。指数計算恐(おそ)るべしだ。次に簡単な法則を示します。
10a×10b=10a+b、10a÷10b=10a-b、簡単でしょう。指数だけ足したり引いたりすればいいだけさ。だから数学のできる大人は大きな数を見ても全然驚(おどろ)かないのです。
無限を数える
1,2,3,4……、このような数を自然数と言います。自然数の数は無限にあります。偶数の数と自然数の数はどちらが多い。どの自然数も2倍すれば偶数になり、どの偶数も半分にすれば自然数になります。つまり、自然数と一対一の対応がつく無限はどちらも同じと考えられるのです。自然数=偶数+奇数ですが、偶数も奇数も自然数と同じ無限です。このような無限を可算無限(かさんむげん)と言います。取りあえず番号を付けて途中までは数えることができるという意味。分数や循環小数全体も可算無限です。可算無限より大きな無限に連続体の無限があります。もっと大きな無限があるかって。これはもっと勉強しないと分かりません。
「線とは点が集まったもの」と言っておきながら、「点とは位置だけを示し大きさがないもの」とも言われることがあります。でも、大きさの無い点をいくら集めても長さは0で、線分は生まれません。例えば、長さ1の線分に、分数で1/2、1/3、97/99……と点をつけて行ってもすきまだらけなのです。ここに無理数(√やπ)を全部加えて初めて連続体の無限が出来上がります。連続体はベターと続いていて、1個、2個と数えることは不可能です。
球の体積と表面積
円周と直径の比はπ(3.14…)で無理数。誰でも知っている関係。でも、これを証明するためには相当長い歴史が必要でした。でも、これが分かれば円周の長さ、円の面積、球の表面積、球の体積が求められるようになりました。つまり、円(または球)の半径をrとすると、
①円周l=2πr
②円の面積s=πr2
③球の表面積S=4πr2
④球の体積V=(4/3)πr3
この4式は、中学高校での必須暗記事項でしょう。でもどうしてこうなるのかと聞かれると結構説明に困ります。
まず、①→②、③→④は、図のように簡単。円を細長い扇形に切り分けて並べると高さが半径r、底辺は全部で円周分2πr。s=(1/2)×2πr×r=πr2
と求められます。一方、球は細長い無限個の錐体の集まり。錐体の体積は(1/3)×底面積×高さです。すなわち
V=∑(1/3)△s・r=(1/3) (∑△s)r=(1/3)4πr2r=(4/3)πr3
となります。これらは、
ds/dr=d(πr2)/dr=2πr=l
dV/dr=d((4/3)πr3)/dr=4πr2=S
の関係になっています。つまり、平面図形で面積を微分すると周長。立体で体積を微分すると表面積になっています。
とはいえ、③及び④は積分を使って求めるのが普通です。結局一番難しいのはπを求めることのようです。実際にはどの電卓にも数値は入ってますが、どのようにして求めたのでしょうか。
ガリレオの冒険(ぼうけん)
みなさんは、ガリレオ・ガリレイという人を知っていますか。1564年生まれのイタリアの人です。今から400年以上も前の人ですね。科学の歴史(れきし)では色々活躍(かつやく)しましたよね。どんなことをしたのか分かりますか。
1.ピサの斜塔(しゃとう)から2つの重さが違うものを落として、同時に落ちることを確かめた。落下の法則を確かめたのです。これは公開(こうかい)実験ですから、大勢が見ている前で実験したのです。失敗(しっぱい)したくないですよね。その前に自分で何回もやって見たのでしょうね。このころは、重いものは速く落ち、軽いものはゆっくり落ちるのが常識(じょうしき)だとされていました。
2.振り子(ふりこ)の等時性(とうじせい)を発見した。これは振り子時計と言って、つい最近までこんな時計が使われていました。いまは、デジタルが多いけど。
3.ガリレオは、自分で望遠鏡(ぼうえんきょう)を作って色々なものを見て見ました。結構(けっこう)器用な人ですね。先に作った人がいてそれをまねしたのですがね。だいたい30倍ぐらいだったらしいです。そうしたら、月を見たら表面は凸凹だったり、木星にはその周りに4つの衛星が見えたりします。ガリレオが望遠鏡見せたところ、多くの学者たちは木の葉や建物が大きく見えることには感激(かんげき)してくれましたが、月を見た途端(とたん)、この望遠鏡はニセモノだと言って信用してもらえませんでした。当時の人達は、月は神様が作ったものなので、月の表面もつるつるのものだと信じ込んでいたのです。
4.ガリレオだけは、望遠鏡で見た世界の方を信じて地動説を唱(とな)えるようになります。その当時は、太陽が地球の周りを回っているという天動説が主流(しゅりゅう)でした。でも、この当時、木星や火星等の惑星(わくせい)は、太陽の周りを回っていることは想定(そうてい)されていたのです。というのは、普通の星は観測していると地球の周りを回っているのですが、惑星だけは時々反対に回ることが分かっていたからです。だから惑星と言うのです。惑星の惑は「まよう」という意味。ガリレオは地球も惑星の一つと考えたのです。そうすれば他の惑星の動きも無理なく説明できますからね。ガリレオは、宗教裁判にかけられ、教会から地動説を取り下げるように要求されます。「それでも、地球は回っている。」とつぶやいたとかは伝説になっていますね。
落下の法則を調べて見よう
自由研究として、落下の法則を調べて見ましょう。10円玉と1円玉をいっしょにおとしたらどちらが先に落ちるでしょう。落ちる時間を計(はか)ってみましょう。どうですか、背の高さくらいでは、早すぎて時間が測れないですね。ガリレオも困(こま)りました。なにせ、当時は今みたいな正確な時計はどこにもなかったからです。水時計とかロウソク時計とか、想像できますか。そこで、斜面を使うことを考えました。平らな板を斜めにしたもの。
消しゴムを斜面に置いて見ます。止まったままですね。摩擦(まさつ)が大きいためですね。ビー玉を転(ころ)がしてみましょう。ビー玉は止まるどころか、だんだん速くなりますね。緩(ゆる)やかな斜面で実験して、だんだん斜面を急にしていけば、斜面が垂直になった時、自由落下(単純に落とした時)と同じになりますね。
さあ、実験開始です。斜面を進んだ距離とかかった時間の関係を調べます。使う道具は時計と物差しだけです。色々とやって見て次のことが分かりました。
転がる時間が、2倍、3倍、…となると、進む距離は4倍、9倍、…となっているように見えます。実験は下図のような斜面で行いました。1m落下する毎(ごと)に斜面では10m落下することになります。実験結果は、グラフと表に示されるようになりました。実際の自由落下は、この10倍の速さになりそうです。
距離をx(m)、時間をt(秒)として、
x=(1/2)a t2…(1) とおいてみると、どの時間でも a=2x/(t×t)=0.98m/sec2となります。
このグラフでは、玉の速さについては何か分かるでしょうか。普通、小学校では平均の速さしか扱いません。つまり、速さ=進んだ距離/かかった時間です。でも、速さは、時間に比例?して速くなります。つまり、瞬間の速さが必要です。
v=a t…(2)として見て下さい。図に計算結果を入れています。図では、速さはちょうど接線の傾きで表されます。また、aを加速度と言います。加速度は速度の変化の割合を表します。ここでは、加速度は時間にかかわらず一定です。落下運動は、等加速度運動となります。
実際の落下運動は斜面の場合の10倍の速さですから、(1)式は
x=9.8t2…(3)
g=9.8m/秒2は重力加速度という定数で、ニュートンの万有引力の法則から導(みちび)かれる量です。
落下の法則によると、重い物も軽いものも同時に落ちることが分かりました。また、落下距離が大きくなると落下速度もそれにつれて大きくなることも分かりました。この落下の法則は、科学の世界ではものすごーく大事な法則です。だからガリレオが偉大な科学者といわれるのです。
でも、落下の法則が計算通りに成り立つのは、あくまでも空気の抵抗(ていこう)や斜面(しゃめん)の摩擦(まさつ)が無視できる程度に小さい場合の話で、何時もこうなるとは限らないことに注意して下さい。斜面に置かれたあなたの消しゴムは、落下の法則に従っては動きません。多分止まったままでしょう。空気の抵抗が無ければ雨粒(あめつぶ)は高速で落下してきて危(あぶ)なくて外を歩けません。空から高速で落ちてくる隕石はたいていは空気との摩擦で発熱し燃(も)え尽(つ)きてしまって地上に届く(とどく)ことはまれです。
ようこそ幾何(きか)の世界へ
幾何学は、古代ギリシャで発展して、考える力をつける大変有力な手段として世界中で学ばれるようになりました。日本でも戦前は代数(だいすう)と並んで幾何は大変重要な科目でしたが、戦後経済の高度成長に伴って考える力を軽んじる傾向が出て来て日本の小中学校ではあまり重要(じゅうようし)視されて来ませんでした。最近、文部省も「考える学習」が大事だなんて言っていますが、勉強なんてもともとは正しい考えを養うための手段ですから、昔から心ある人は考える学習をして来ているのです。なお、下の肖像画はユークリド;幾何学を取りまとめ集大成したギリシャ人です。
でも、幾何は、子供たちはみんな大好きです。出で来るのは円や三角形等の簡単な形で、教科書も絵が一杯で、難しい計算も全く出て来ません。楽して考える力がつく。こんな楽しい勉強をしない手はありません。はじめは、やさしいことばかりで、絵を見れば分かるだろうなんて思っていても気がついたら、気がついたら結構「???」マークが一杯ということになっていると思います。
【目次】
目次
1.【まずは直線から】 | 2.【角度】 | 3.【三角形の辺や角の大小】 | 4.【平行】 |
5.【三角形の内角の和】 | 6.【円】 | 7.【三角形の合同】 | 8.【二等辺三角形と正三角形】 |
9.【円周角】 | 10.三角形の5心 |
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【まずは直線から】
図にかかれた線ABは、直線です。直線は、Aの方向(左)へも、B方向(右)へもどこまでも延ばすことができます。頭の中で考えているので宇宙の果(は)てまで伸(の)ばすことだってできるのです。ここで、ABを線分と呼びます。直線の一部と言う訳(わけ)です。線分の長さもABと表すんだ。
でも、そもそも直線とは何だ。その前に線とは。幾何で扱(あつか)う線には太さはありません。もちろん色もついていません。太さもないのにどうやって色つけられるんだ。
平面上に点Aと点Bがある時、AとBを結ぶ最短の長さの線を直線としましょう(直線の定義)。ひもで例えればぴんと張った状態だね。
2つ目の図に、三角形が見えるね。三角形は3つの頂点を順番に並べて△ABCと表すんだ。
3つの頂点の順番はどうでもいいね。△ABC=△ACB=△CAB=…
どれも同じ三角形だから、算数と同じでイコールマーク「=」で結ぼう。形も大きさも一緒だ。形も大きさも一緒というのを幾何では合同という。
先に述べた、直線の定義から、AC+CB>AB…①
2点AとBを結ぶ一番短い長さが直線だ。A→C→Bと途中で寄り道すれば当然距離は長くなる。
記号「>」は、不等号というね。「=」は等号です。等号は、等号の左辺と右辺が等しいということ。例えば、A=A。A+B>A、AにBを加えるとAより大きくなるね。Bが負の数(-3)なんかだと、この不等号は成り立たないけど、幾何の場合は心配ない。マイナスの長さなんて考えないから。
と言う訳で、①は、大変重要な定理を示しています。
(総ての)三角形において、二辺の長さの和は、他の一辺の長さよりも大きい。
この定理は、三角不等式と呼ばれる有名な定理でこれからもどこかでしょっちゅう出て来るでしょう。
ここで、先頭についている言葉「総ての」は、不要です。幾何で学ぶ定理はどれも「総ての」が暗黙(あんもく)のうちに含まれているのです。例外を一切許(ゆる)さないのです。例えば、「総ての哺乳類は卵を産まない。」という文は、実は「カモノハシ」という動物は例外的に卵を産むことが分かったので、あやまりとなります。西洋では幾何学は科学の王様と言われていたのは、幾何学の推論の進め方が他の科学の模範(もはん)とされたからにほかなりません。
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【角度】
直線が2本あれば、たいていはどこかで交わります。交わらないこともあって、これらの2直線を互いに平行と言います。直線が交わればそこに角度が生じます。線分には長さがあるように、角度にも大きさがあります。角度は、交点と2つの直線上の任意の点を使って、∠AOBのように表します。では、この図で∠AOBと∠DO’Cではどちらが大きいのでしょうか。O’をOに、直線O’Cを直線OBに重ねます。なお、CとBの位置は任意(てきとう)に取っているので重ならないことに注意して下さい。すると、その下の図から、
∠DOC=∠AOB+∠DOA>∠AOBから∠DO’Cのほうが∠AOBより大きいことが分かります。(OとO'は同じ点だ)
また、その右の図では、直線ADと直線BCが点Oで交わっています。
その時、∠AOB=∠COD、∠AOC=∠BODとなります。これらを互いに対頂角の関係と言います。そこで、これも定理として
「対頂角は互いに合い等しい。」と表現します。
特別な角度として、直角と平角があります。いま、円周の上に点Pがあります。このPが時計と反対の方向に回って、Qの位置に来たとします。すると、ここに、
∠PQR=∠θが生じます。θ(しーた)は、ギリシャ語、数学では良く角度を表す時に使います。皆さんも知っている通り、角度を表す時は度(°)という単位を使います。θは最初は0度です。QがAまでやってくるとθ=90°、これを直角と言って、∠Rと表します。さらにQが回転して行きBまで来ると、θ=180°、これを2直角または平角と言って、2∠Rと表現します。更にCまで来るとθ=270°、Dまで来ると1週回ってθ=360°、4∠Rです。平角とは∠DOBでDとOとBが一直線の関係にあります。
【三角形の辺や角の大小】】
下の図-1を見て下さい。上は、丁度(ちょうど)蝶々(ちょうちょ)見たい。でも蝶々は羽根が4枚。リボンみたいか。
【定理】:2つの線分ABとCDが交わっている時、→AB+CD>AC+BD (上の図のチョウチョの形の絵をを見てね)
証明:定理は必ず証明します。どうやって証明するか考えるのが幾何の勉強なんです。
AB+CD=AO+OB+CO+ODは図を見れば明らかでしょう。そこで、先に述べた三角不等式を使うんです。覚(おぼ)えていますか。三角形の2辺の和は他の一辺よりも大きい(長い)。そう、2点を結ぶ最短の道のりは2点を結ぶ直線です。だから、図を見て
AO+CO>AC、BO+DO>BD、この2つの不等式を足して見よう。大きいもの同志、小さいもの同志を足し合わせれば、不等号の向きは変わらないね。
AO+CO+BO+DO>AC+BD
AO+BO=AB、CO+DO=CDだから、AB+CD>AC+BD
これで、証明終わりです。同じようにすれば、AB+CD>AD+CBも言えるね。
別の表現をして見よう。図形ACBDを4角形とみると、4角形の対角線の長さの和は、向かい合った辺の長さの和よりも大きい。
【定理】図-1の下の絵を見てね。点Oが△ABCの内部にある時、→AB+AC>OB+OC (下の方の絵。三角形の中に三角形がある。)
証明:三角不等式を使いたいですね。例えば、AB+AC>BCとなることは分かります。O点は△ABCの内部にあるので、BOを延長して、ACとの交点をDとしましょう。すると、
三角不等式が使えて、AB+AD>BD、またOD+DC>OC、ゆえに、AB+AC=AB+AD+DC>BD+DC=BO+OD+DC>OB+OC(証明終わり)
三角不等式が大活躍です。一見、図を見れば明らかなように思えますが、いざ証明しようとすると結構大変でしょう。
【定理】:△ABCと△DEFにおいて、AB=DE、AC=DFとします。この時、∠A<∠Dならば、→BC<EF
4本の木の割り箸を考えてごらん。実験もできるね。4本うちの2本はAB=DE=◎cm、残りの2本はAC=DF=●cmとしよう。AとDをピンでとめて、三角形を作ろう。この時2本割り箸の角度を大きくすると残りの辺は長くなる。算数でも実験で確かめられることも多い。幾何の問題は正確に絵を描けばたいていは正しいことが分かる。絵は正しく正確に描く習慣をつけよう。
証明:2つの三角形があって、2つの辺が互いに等しくても、間の角が異なれば三角形は重ならないね。大きな角に対応する辺の方が大きいということですね。この場合図を描くと次の3つの場合に分かれるので、チョト面倒ですよ。図-1では、点Cが△DEFの外側にあります。上でやったリボンの形だ。「4角形の対角線の長さの和は、向かい合った辺の長さの和よりも大きい。」という定理があったね。定理を覚えたらどんどん使っていけるの幾何の面白さだ。ABとDEを重ねた図を参考にして、DF+BC<AC+EF、またACとDFが等しいと仮定しているので、不等式から等しいものを両辺から取り除いて、BC<EF(図-1の場合の証明終わり)
図-2の場合は、Cが△DEFの内部にあります。これも上の定理が使えるね。
AC+BC<DF+EF、また仮定よりAC=DF、不等式から等しいものを両辺から取り除いて、BC<EF(図-2の場合の証明終わり)。
図-3の場合は、Cが線分EFの中にあるのでBC<EFで自明です。(証明は不要)
従って、図-1,2,3のどの場合もBC<EFとなります。つまり、2辺が等しい三角形において、はさまれた角が大きい方が、対応する辺も大きくなることが分かります。
ようこそ幾何の世界へ
【平行】
「平行」とはどういう意味でしょうか。「垂直」の反対。では、垂直とは?「平行の反対」。これでは答えになりません。
平行な2直線は左右どちらに延ばしても互いに交わることはありません。下に2本の平行な直線を示します。直線は、ローマ字の小文字でl、m、nなどとして表します。この2本の直線と交わる別の直線を1本えがき、平行線との交点をA、Bとします。この時できる角度、∠CADと∠EBFは等しく、この関係を互いに同位角(どういかく)の関係にあると言います。また、下の方の図で∠GAEと∠EBFも互いに等しく、この関係を互いに錯角(さっかく)の関係にあると言います。錯角の「錯」は目の錯覚の錯と同じ字を使うんですね。また、∠DABと∠ABFの関係は同傍内角と言います。
∠CAB+∠DBA=2∠R つまり同房内角の和は2直角(180度)です。
もう一度、まとめますと
「平行な2直線と交わる別の直線との間でできる同位角および錯角は互いにひとしい。」という定理が得られます。
下の方の図を見て下さい。「三角形の3つの角の合計は2∠Rになります。」、ところが同傍内角の和は2∠Rです。2本の平行線が、例えば右側で交わるとすると、線分ABと二本の平行線の交点をMで出来る△ABMで二つの角∠A(∠CAB)と∠B(∠ABD)の和は2∠Rですから、残りの∠Mは0になってしまいます。これは、2本の平行線は決して交わらないことを示しています。つまり、無限の彼方(かなた)で交わる→交わらない。ということです。
簡単な問題をやって確かめます。
まず、上の問題から。2つの平行な線に平行な第三の平行線EFを引きます。これを補助線と言います。これにより求める角度は上下に分かれて上は30度、下は60度で合わせて90度と求まります。錯角は互いに等しいからです。
下の問題は、同じようにして80度と求まります。各自考えて下さい。
ようこそ幾何の世界へ
【三角形の内角の和】
どんな三角形も、その3つの内角の和は180°になります。180度とは2直角のことですね。
次の図を見て下さい。何の変哲(へんてつ)もない、ごく普通の三角形です。三角形を△ABCとします。三角形ですから3つの頂点がありますが、この3つの内角の和を求める問題です。内角とは三角形の内部に含まれる角で、∠ABC、∠ACB、∠BACの3つの和を求めれば良いことになります。一方、∠CADは点Aでの外角と呼ばれます。
ここで、AからBCに平行な直線を引きます。すると、先ほど説明した平行線の同位角及び錯角を思い出せば、
∠B=∠ABC=∠DAE (∵同位角)
∠C=∠ACB=∠EAC (∵錯角)
ここで、記号「∵」は「なぜならば」と読みます。便利な記号でしょう。一方、「∴」は、故(ゆえ)にという意味だ。従(したが)って、
∠A+∠B+∠C=∠BAC+∠ABC+∠ACB=∠BAC+∠EAC+∠DAE=∠BAD=2∠R
つまり、
「三角形の内角の和は二直角(180°)である。」
という関係が得られます。どんな三角形を持ってきても、その内角の和は180°ということが分かるというのはすごいことです。これを利用すれば、どんな多角形の内角の和も計算できます。次の図は7角形です。
7角形の内角の和
頂点がA~Gまであります。これを三角形の分割すると(7-2)=5個の三角形に分けられます。だから全部の内角の和は、180×5=900°になる訳です。∠A+∠B+∠C+∠D+∠E+∠F+∠G=900°です。4角形なら三角形が2つだから360°だね。
三角形の内角の和が180度というのはとても大事な定理なので、学校のテストにも多分良く出る。知っていれば簡単なことだが。
復習を兼(か)ねて左の絵を見てみよう。△ABCがある。オレンジ色で丸を付けたA、B、Cが内角だ。A+B+Cが180度になるんだった。BCを延長してE、ABに平行にCFを引く。二つのAは錯角で等しい。二つのBは同位角で等しい。つまり三つの角、A、B、Cは一直線にBEの上に並ぶので2直角、180度だね。この時∠ACEを頂点Cのおける外角という。
【三角形の外角は向かいある2つの内角の和に等しい】
左の5角形星形の5つの頂点角度の合計を求めよという問題だね。右側の絵を見れば答えは分かる? 緑色の二等辺三角形の内角の和「ウ+オ」、黄色の二等辺三角形の内角の和「イ+エ」、どちらもピンクの三角形の中にあるでしょう。つまり【答え;ア+イ+ウ+エ+オ=180度】、意外と簡単な問題でした。
左の2つの問題、どちらも「?」の角度を求めればいいんだね。こういう問題では、図の真ん中に補助線AD(AE)を引いて考えるとうまく行くことが多い。
まず上の問題から行こう。∠Aの50度が2つに分かれてしまった。これを☆、★としようか。☆+★=50度だね。左側を考えると、☆+30=∠BDEだ。右側を考えると、★+40=∠CDEとなる。求める角度∠BDC(?)=∠BDE+∠CDE=(30+☆)+(40+★)=70+(☆+★)となる。ところが、☆+★=50度だった。だから求める角度は【答え;120度】
下の問題はどうかな?今度も☆+★=?、これが不明なんですね。下の△DBCで考えてみよう。
∠BDE=☆+〇、∠CDE=★+×、三角形の内角の和は180度だから、〇+×=180-120=60、
また、∠BDC=(☆+〇)+(★+×)=(☆+★)+(〇+×)=120、つまり☆+★=120-60=60、 【答え;60度】でした。
ようこそ幾何の世界へ
【円】
円は幾何では、直線と並んで大変重要な役割を果たします。円は中心(下の図ではO)から等距離の点が集まって出来たものだ。下の円ではOP=OQ=OR=半径です。
幾何の勉強には作図というものがあります。作図で使える道具は、定規とコンパスだけ。定規は目盛が無いもので、三角定規のように角度が測れるものもだめです。コンパスは円を描(か)く以外に長さを移す時にも大活躍します。上の図の円の右にある直線を見て下さい。点Aから先ほどの円の半径で弧(円の一部を弧と呼びます。)を描きます。弧と直線の交点をBとすれば、ABの長さは円の半径と同じです。このようにコンパスを使って、線分を同じ長さで紙の上の適当な場所に自由に移すことが可能になります。円の各部分の名前は下の通りです。
円の各部名称
ところで、みなさんコンパスを選ぶときは慎重にね。グルッと回してスタートの点とゴールの点がピッタリと一致しないコンパスは不良品だ。また、回す時あまり強く押さないで下さい。中心がずれる原因になるから。
ようこそ幾何の世界へ
【三角形の合同】
平面にかかれた図形は自由に動かして他の場所に移動できるはずです。平行に移動したり、裏返したり、回転したりできる訳(わけ)です。でも、ここでは三角形だけに注目します。下図のように2つの三角形、△ABCと△DEFがあるとします。どちらか一方、例えば△DEFを移動して(裏返しも含む)、もし△ABCにピタリと重なる時、この2つの三角形は合同であると言います。記号で書くと、△ABC≡△DEFとなります。「≡」は、形も面積も等しいことを表します。単に「=」と書くと面積だけが等しい意味になってしまうので注意して下さい。また、形だけが等しい場合、2つの三角形は相似であると言い、「∽」という記号を使います。拡大や縮小したコピーですね。
三角形の合同
ここで、合同な三角形を描(か)いてみましょう。コンパスと定規を用意します。定規で長さを計ってはいけません。△ABCと合同な三角形かきます。まず、底辺ABに対応する直線DEを薄(うす)くえがき、点Dを取ります。次に、コンパスでABと同じ長さを測り、Dを中心として弧(こ)を描き直線との交点をEとします。AB=DEとしたわけです。次に、Dを中心にACを半径とする弧を描き、同じようにEを中心にBCを半径とする弧を描きます。2つの弧の交点をFとします。こうすれば、AB=DE、AC=DF、BC=EFとなることが分かります。つまり対応する3つの辺の長さが各々等しいので2つの三角形は合同となります。
2つの三角形が合同となるのは次の3つの場合です。ぜひ覚えておいてください。
①対応する3つの辺が各々等しい。
②対応する2辺と挟(はさ)まれた角が各々等しい。
③対応する2つの角と挟まれた辺が等しい。
三辺、二辺挟角、二角挟辺の3つが合同となる条件です。
さて、△ABC≡△DEFとなる場合、辺と各には次の6つの関係が成り立ちますね。
AB=DE、BC=EF、CA=FD、∠A=∠D、∠B=∠E、∠C=∠Fですね。
それでは、二つの三角形が合同かどうかを調べるにはこの6つを調べないとならないのでしょうか。そんなことはありません。6つのうちの3つが分かればいいのですが、合同となる条件は上の3つに限られます。また、角度については2つが分かれば残りの1つは決まってしまいます(どんな三角形でも3つの内角の和は180°だから)。
さて、まず図-1を見て下さい。△ABCと△DEFを重ねてありますが、ここで∠Bと∠E、∠Cと∠Fが等しいとします。三角形の内角の和は180°ですから、∠Aと∠Dも等しいですね。でも、辺の長さは異なります。BC<EFですね。三つの角が互いに等しければ形は同じですが、大きさは違います。このような2つの図形は、合同ではありませんが相似と呼ばれます。
次に図-2を見て見ましょう。△ABCと△DEFで、AB=DE、AC=DFで、∠ABC=∠DEFです。
2つの辺と1つの角が等しいけど、△ABCと△DEFは合同ではないですね。EF<BCとなっており長さが異なっていますね。等しい角は2辺にはさまれていないといけないわけです。
2辺とその挟む角が等しい三角形は合同である。
すなわち、図-3で、AB=DE、AC=DF、∠A=∠Dならば→△ABC≡△DEF
2辺夾角
証明:∠Aと∠Dを重ねると、AB=DE、AC=DFなので、BとE、CとFは同じ場所に来ますね。だから、BC=EF。つまり、完璧に重なり合同であることが分かります。なお、夾は挟(はさ)むという意味で同じ意味なのですが、夾を使う方が伝統的見たいです。どっちでもいいんだろうけど。
【定理】2つの角とその挟まれた辺が等しい三角形は合同である。
すなわち、これも図-3で∠B=∠E、∠C=∠F、BC=EFならば→△ABC≡△DEF
証明:BCにEFを重ねれば、長さが等しいのでピッタリ重なり、両端の角も重なる。ということは、角の延長のA点とD点は同じ点だ。直線の交点は一か所しかないからね。
だから、△ABC≡△DEFがいえる。
【定理】3つの辺がそれぞれ等しい三角形は合同である。
3辺が互いに等しい2つの三角形がピッタリ重なる、つまり合同であるなんで皆さんの経験から自明なことみたいですが、4辺が互いに等しい四角形は合同にならないですね。だから証明が必要なわけですね。
すなわち、図-5においてAB=DE、AC=DF、BC=EFならば→△ABC≡△DEF。
これは、コンパスを使って三角形を移す作業で分かるように、合同であることがすぐわかる。しかし、辺EFをBCに重ねても、他の2辺が重なることをすぐには出てこないのです。でも、∠Aと∠Dが等しいことが分かれば、2辺と夾角の問題になるので解決します。
3つの辺が互いに等しい三角形は実際には合同ですが、4辺が互いに等しい四角形は合同とはならないので注意して下さい。これは、図-4を見れば分かる通り、ABCD≠EFGHです。
証明:∠Aと∠Dが等しいこと言いたいのですが、このような時に用いる方法として背理(はいり)法というものがあります。まず、AB=DE、AC=DFであるにもかかわらず、
∠A≠∠Dとします。取りあえず、∠A<∠Dとすると角と辺の関係で調べたように、
BC<EF、つまり大きな角に対する辺は小さな角に対する辺よりも大きいと言う定理がありありました。逆に∠A>∠DとするとBC>EFとなります。
ところが、仮定ではBC=EFとしたんですね。これは、矛盾でしょう。だから∠A≠∠Dは間違いで∠A=∠Dとなることが分かります。(証明終わり)
【背理法】a=bを言いたい時に、もしa≠bと仮定したら矛盾する。だから、a=bという証明を背理法と言います。からめ手から攻める感じだね。
ようこそ幾何の世界へ
【二等辺三角形と正三角形】
正三角形は二等辺三角形の仲間、二等辺三角形は普通の三角形の仲間だ。正方形は長方形の特別は場合。
三角形の中で、2辺の長さが等しいものを二等辺三角形と言います。もちろん三辺が等しい三角形も二等辺三角形ですが、この時は正三角形とも呼びます。つまり、
正三角形 ⊂ 二等辺三角形 ⊂三角形
「⊂」の記号は、正三角形の集合は、二等辺三角形の集合に含まれ、二等辺三角形の集合は普通の三角形の集合に含まれるのです。正三角形は二等辺三角形の特別な場合と考えるのですね。ちょうど正方形は長方形の特別な場合と考えるのと同じです。
上の図を見て下さい。△ABCで辺ABとACは長さが等しいです。この時、∠Aを二等辺三角形ABCの頂角と呼びます。また、辺BCを底辺、∠Bと∠Cを底角と呼びます。三角形の向きにはよりませんから、逆さまに置(お)いてBCが上になっても底辺と呼びます。下にあっても頂角です。国語では船の底は下だし、山の頂上は上にあると考えるのが普通でしょうが。
【定理】二等辺三角形の2つの底角は合い等しい。三角形を裏返(うらがえ)して見ればすぐ分かります。CBはBCに重なり、AC=ABですから。
【正三角形の模様】
さて、円を半径で切っていくとちょうど6個の弧が取れ、これを中心を含めて結んでいくと、6個の正三角形ができます。正三角形とは3つの角と3つの辺がどれも等しい三角形です。正多角形というのは、同じように全部の辺と全部の角が皆等しい図形を言います。このような図形はいくらでも考えられ、正三角形、正四角形(正方形)、正五角形、正六角形、……とあります。上の図からは、正三角形が6つ集まると正六角形になることが分かります。作図した時の円弧(えんこ)も含めて色をつけていくときれいな模様ができますね。江戸時代よりももっと前からこのような模様は、沢山使われて来ました。
ところで、正多角形のタイルを作ったとします。このようなタイルで床(平面)をすきまなく埋め尽くすことができるのは、正三角形、正方形、正六角形の場合だけ。チョット不思議な気もしますね。次に示す図は正五角形です。正五角形のタイルを作ってもすきまだらけで使い物になりませんね。
正五角形を作図するのはチョット大変です。その方法はネットでも調べればすぐに分かりますが、幾何の勉強ではそれが本当に正五角形なのかを証明しないといけません。正多角形の作図は、辺の数が3、4、5の二倍、四倍なら可能ですが、そうでないと不可能な場合もあります。もちろん分度器を使えば解決しますが。正 n 角形(nは任意の数)でn→∞としたら、これは円ですね。
【円周角】
そもそも円周角。聞いたことがありますか。まずは、下の絵を見てみましょう。
まず、円の上にABという弦を取りましょう。すると円は弦で2つに分割(ぶんかつ)されて、2つの弧ができます。ここでは大きな側の孤の上に適当な点Pを取ってみます。ここでは、P1、P2、P3を適当な点としましょう。この時、∠APBを弦ABの円周角と言います。この円周角はPをA~Bの間のどこにとっても角度が等しくなります。つまり、
∠AP1B=∠AP2B=∠AP3B=∠ABQ
最後の∠ABQは、弦BAと円の接線が作る角です。更に、この円周角は、対応する中心角の半分の大きさなのです(∠AOB=2∠APB)。チョット不思議で便利な法則ですね。
そこで、下の図を基にこのことを証明しましょう。まず、その1は、たまたまPがAOの延長上にある場合。証明には円の半径は、どこで測っても同じを言うことを利用します。まず、△OPBは、OP=OB(円の半径)ですから、二等辺三角形。だからその底角は互いに等しい。つまり、∠OPB=∠OBP(☆印)、また、三角形の内角の和は、向かいある外角に等しいのでしたね。つまり、∠AOB=∠OPB+∠OBP=2∠APB(☆二つ)。 つまり、中心角は円周角の2倍です。円周角は中心角の半分ということが分かります。
その2では、POを延長して、中心角を2つに分けると、上の結果を使って、証明できる。この場合、中心角は☆2つと□2つだね。本当は、P3の場合とか、PがBと重なった場合(弦と接線の角度)とか、適当な点を孤ABの反対側の小さい方ににとった場合も全部証明しないと本当に証明したことにはならないのです。だから、この段階では、証明ではなく、まだ説明の段階なのです。是非色々とトライしてみて下さい。
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三角形の5心
三角形には5つの「へそ」がある。へーそーなんで駄洒落(だじゃれ)言っているのはダレジャ。正確には5種類8つのへそだ。円と比べてごらん。円には一つだけ中心がある。コンパスの針を刺す位置だね。でも三角形の中心はどこだろう。普通には重心のことを指すのかもね。でも、いつもそう考えていいのだろうか。三角形の5心は、幾何(きか)の勉強では、最も面白い所だから、しっかり理解してね。
これからこれらを一つずつ紹介していくけど、まず全体のリストを示そう。内心、外心、垂心、傍心と重心。この5つです。
三角形の5心の目次
1.三角形の内心
2.三角形の外心
3.三角形の垂心
4.三角形の傍心
5.三角形の重心
まとめ
応用1-三点を通る円弧
ようこそ幾何の世界へ
三角形の内心
内心は、三角形の3つの角の2等分線が1点で交わり、その交点を内心と言います。まず、角の2等分線の作図を復習しておきましょう。
角の2等分線の作図はキチンと描けるようにしておこう。では∠Aを二等分してして見ましょう。適当な半径r1で、孤(こ)を描(えが)き、角の2つの辺との交点をB、Cとしましょう。B、Cから適当な半径r2で孤を描き、2つの孤の交点をPとします。もうお分かりでしょうが、この線分APが∠Aの二等分線なのです。つまり∠BAP=∠CAPということです。
何故(なぜ)2等分線だと分かるか。三角形の合同について学んだでしょう。AB=AC(同じ半径r1の孤)、PB=PC(同じ半径r2の孤)、APは2つの三角形で共通。つまり、対応する3辺がどれも等しいので、2つの三角形は合同です。△ABP≡△ACP。2つの合同な三角形は対応する角も等しいのでした。つまり、∠BAP=∠CAPが証明されます。幾何とはこういう証明が、途切れなく延々と続くのですね。
角の2等分線の作図方法を使って、皆さん自分でコンパスを持って、三角形の内心を作図して見て下さい。右の△ABCの内心Iを作図した例をのせます。
作図が出来たら、3つの角の2等分線が1点で交わることが確かめられましたか。正確に上手な絵を描かないとなかなか1点で交わらないことが実感できると思います。作図も練習が必要ですね。
次に、内心Iから、三角形の各辺に垂線を下ろして見て下さい。垂線を下ろす作図は、別途説明しましょう。とりあえず、ここでは絵を見て、P、Q、Rを垂線の足としましょう。足とは垂線と辺の交点を言います。
△IPBと△IQBを見て下さい。∠IPB=∠IQB=∠R(垂線だから)、∠IBP=∠IBQ、2つの角が等しければ、当然の残った角も等しいね。だって、どの三角形も内角の和は180度だから。つまり、∠PIB=∠QIB、また、この2つの三角形では辺IBは共通(つまり等しい)。従って、△IPB≡△IQB(∵2角と挟まれた辺が等しい)。2つの三角形は合同なので、対応する辺は当然等しく、IP=IQです。
同じようにして、IP=IQ=IRが言えます。これを半径として円を描けば、その円は三角形に内接する円となります。つまり、三角形からはみ出さずに最も大きな円を描くことが出来る訳です。ぜひ作図して確認して下さい。
内心はこのことから、三角形の大事な「へそ」の一つであることが分かりましたか。つまり、内心は三角形の内接円の中心なのです。
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三角形の5心
三角形の外心
外心は、三角形の各辺の垂直二等分線が一点で交わり、その交点を外心と言います。名前からも想像がつくでしょうが、外心は、外接円の中心、つまり「へそ」です。
まず、初めに垂直2等分線の作図を復習しておきましょう。自分で作図できることが大切です。何度もコンパスと定規を使って練習しましょう。
まずは垂直二等分線の作図。線分ABがある。点A、Bから同じ半径rで孤を描く。上下の交点をP、Qとすると、PQは線分ABの垂直二等分線になっている。ABとPQの交点Mは、ABの中点と呼ばれる。中点とは、AM=BMとなる点である。点Mが線分ABを二等分しており、PQはABに垂直だから垂直二等分線と呼ばれるのです。四角形AQBPが菱形になっていることにも注意して下さい。
三角形△ABCの外心を作図してみましょう。辺AB、BC、CAからそれぞれその垂直二等分線を作図して、その交点をOとします。垂直二等分線は一点で交わることが分かると思います。きちんと作図して下さい。すると、OA、OB、OCは二等辺三角形の性質から同じ長さになることが分かると思います。この長さを半径として円を描きます。この円が、この三角形の外接円になります。外接円は三角形の外側にできる最も小さな円です。つまり、外心は三角形の外接円の中心なのです。
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三角形の5心
三角形の垂心
次は、垂心です。三角形の3つの頂点から、対応する辺に垂線を下ろします。垂線とは何か分かるかな。作図を通して説明しましょう。三角形の3つの垂線は1点で交わり、その交点を垂心といいます。
まず、垂線を作図しましょう。線分ABを考えましょう。線分の上にはない点Pを取ります。PからABを結ぶ線を考えて、その交点をHとします。PH⊥AB、つまりPHがABと垂直となる、PHをPからABにおろした垂線と呼び、Hを垂線の足と言います。
まず、Pから適当な半径r1で孤(こ)を描き、交点をP1、P2、この
線分P1P2の垂直二等分線を描けば、これがHを通る垂線となるわけです。
次に、三角形△ABCの垂心を求めた図が右です。ずで、hA、hB、hCが3つの垂線です。これが交わるのは三角形の外側の、点Hです。このように「へそ」が三角形の外側にはみ出してしまう場合も良くあります。
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三角形の5心
三角形の傍心
傍心(ぼうしん)とは、聞きなれない名前ですね。漢字「傍」の意味は、そば、かたわら。傍観者、路傍の石、傍流、傍系、近傍の点などの使い方をしますね。国語辞典で調べておいて下さい。傍心は三角形の外側に接して出来る3つの円の中心。つまり1つの三角形に3つあります。
図を見て下さい。元の三角形は△ABCです(グレーの部分)。傍心は、1つの内角の2等分線と他の2つの外角の2等分線の交点として求めることが出来ます。右の図では、I1、I2、I3が傍接円の中心、傍心です。皆さん各自傍心の作図を試みて下さい。
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三角形の5心
三角形の重心
最後に重心を考えましょう。まさに、へその中のへそだね。三角形の重心に糸をつけてぶら下げれば、三角形を水平に保ったまま持ち上げることが出来るぞ。もちろん三角形が一様均一な材料でできていればだけど。
重心の作図は、そんなに難しくないでしょう。△ABCの各辺の真ん中の点、これを中点を求めます。これを求めるには、先に学んだ線分の垂直二等分線を用いて、中点だけを利用すればいいですね。この図では、L、M、Nが中点です。中点と頂点を結んだ線、AL、BM、CNは三角形の内部のG点で交わります。なお、、AL、BM、CNのことを中線とも言います。そしてこのG点が三角形の重心です。Gは英語の重力の頭文字から。
皆さん、是非(ぜひ)、厚手のボール紙に重心を作図してみて下さい。そうしたら、三角形をハサミで切り抜いて、重心の所を糸でぶら下げて見て下さい。きっと三角形は水平に保たれたまま、持ち上げることが出来ると思います。他のところを糸でぶら下げてもこうなりません。重心は重さの中心ということで理科の勉強とも深い関係があり、とても大事な「へそ」だということが分かると思います。
この実験、やってみると結構難しいことが分かります。相当正確にやらないと水平にならないんです。皆さんヤジロベーと言う玩具(おもちゃ)知ってますか。重たい部分を外側にもっていくのが安定を良くする秘訣です。このことは幾何とは関係ないですが。
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三角形の5心
まとめ
三角形の5心について、作図の方法を中心に説明しました。三角形には5つの(実際には傍心は3つあるので7つ)「へそ」があることを理解されましたか。5つの名前、内心、外心、垂心、傍心、重心を覚えるだけでなく、任意の三角形に対して、その位置を作図で求められるように練習して下さい。作図では、コンパスと定規でだけで、三角定規は使わないでください。幾何が発達した時代にはまだ、三角定規のような便利なものは発明されていなかったので、当時の子供たちは遊び感覚で、作図を楽しんでいたのでしょう。
三角形の5心は、三角形の形のよって、場所が変わりますね。でも、円の中心は何時でも一つ。でも、正三角形はどうでしょう。内心、外心、垂心、重心は同じ場所にありそうですね。試して見て下さい。
三角形の角の二等分線、辺の垂直二等分線、垂線、中線等3本の線が何時も1点で交わるということはある意味では不思議なことですね。たくさん図を描いてみると分かります。でも、たくさん絵を描いてみても、本当に例外なく何時でもそうなのか、また何故そうなるのかはまだ分かりません。
そのためには、証明という手続きが必要です。このコーナーでは、5心の描き方までは説明していますが、実はまだ証明は出来ていません。裸坊達も実はまだ証明まで検討していないのが本当のところ。そのうち時間んを見つけてチャレンジしようと思っていますが。証明が簡単に出来るのか結構難しいのかはやってみないと分かりません。でも、幾何(きか)という学問は古代から証明に証明を積重ねて盤石(ばんじゃく)の土台の上に発達してきました。だから、幾何学は諸科学の王様と言われるのです。
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三角形の5心
応用1-三点を通る円弧
平面に点が三つあります。A、B、Cとしましょう。この3つの点を通る綺麗な線を考えて見て下さい。2点なら、例えばAとBを結ぶなら、直線でエイヤーと引けば簡単ですね。でも、3点ではそうはいかない。適当ないい加減な曲線で繋げば簡単だろうが、この3点を綺麗(きれい)な円弧でつなぐとなるとそう簡単ではないと思います。でも、直線なら2点で決められるけど、円弧なら決めるのに3点は必要だ。4点ではよほど恵まれた条件が無いと一つの円弧でつなぐことは無理だ。
でも、この場合は結構簡単に実現できます。線分ABと線分BCに垂直二等分線をたてて、その交点をOとして下さい。点Oを中心にAまたはCを通る円弧をコンパスで描(えが)けば、これはA、B、C総ての点を通過します。更に良く調べるとOは線分ACの垂直二等分線の上にあることも分かります。良く図を見て下さい。円Oは三角形△ABCの外接円になっており、円の中心Oは三角形の外心であった訳ですね。三角形の5心の一つ外心の見事な応用例でした。
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三角形の5心
面積を計算しよう
目次
面積計算の練習
円の面積
色々な問題
ヘロンの公式
幾何(きか)とは図形についての勉強だ。だから、面積の計算も幾何の一部だ。色々な形の図形を扱うので、ここでは長さを文字で表わすことに慣れよう。
まずは、図-1。正方形だね。一辺の長さがaだ。単位はcmかもしれないし、mやkmかもしれない。a里という江戸時代の単位かもしれない。いずれにしろ一辺の長さはaだ。面積はSで表すことにする。すると正方形の面積は、 S=a2
a2は、分かるね。小学生でも高学年なら常識として知っておかないと。a2=a×a。
次の図-2は長方形。S=ab だ。もちろん、S=baでも良い。S=a×bだけど、「×」記号は省略できるし、格好が悪い。長方形の面積は縦(たて)×横(よこ)と習っているかもしてないが、今後は面積=底辺×高さと考えよう。この考えが面積を求める基本だから。
図-3は平行四辺形。長方形のまねをしてS=ab が間違いなことはすぐわかるでしょう。bを底辺とすると高さはbと垂直に測らないといけないね。aは高さになれない。だからS=bhが平行四辺形の面積だ。
図-4は台形。S=(1/2)(a+b)hが公式。学校では、上底足す下底かける高さ割る2と教わるかも。この台形では上底aと下底bの平均がこの図形の底辺だと考えると良く分かるでしょう。
四角形で公式が使えるのはここまで、それ以外の図形は三角形の集まりとして計算するんだ。
次の図は三角形。S=(1/2)ah。これは有名だね。底辺×高さ÷2だった。本当はaを底辺とすると平均の高さは半分しかないことは図を見れば明らかだね。という訳で三角形はどんな三角形でも面積は計算できる??実際には底辺が分っても高さが分からないことが多い。どうやって高さを求めるかこれからいろいろと勉強していく必要がありそうだね。
底辺と高さが同じ図形は形が異なっていても面積は同じだ。これを用い図形を面積が計算しやすいように変形していく技術がある。等積変形なんて呼んでいる。
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面積計算の練習
色々な図形の面積を計算して見ましょう。
まずは、三角形がら。三角形の面積はS=(1/2)ahでした。まずは底辺を決めて、底辺に直角(垂直ともいう)方向に高さを決めるんだね。まず、左の図。底辺を2+5=7として、高さは3なので、S=(1/2)×7×3=10.5となる。面積は10.5 cm2だね。単位は絶対に忘れてはいけない。
右図は、S=(1/2)×3×4=6でいいね。面積は6cm2だね。底辺は3cmでも4cmでもどちらでも良いけど、5cmを底辺とすると高さが不明になってしまう。この図では、3cmと4cmの辺の間の角度は直角と示してあるが、これはピタゴラスの定理からこうなるんだ。
32+42=52という関係が成り立っている。でも普通は3辺の長さが分かっても簡単には面積は計算できない。
図が4つある。平行四辺形の面積は、S=bhだった。上側の底辺を平行にずらしてその次の図のように長方形にしても面積は同じ。面積は6cm2だ。3番目の図。影のついた三角形は2つあるが、2cm頂点を下にずらしても面積は変わらない。だから三角形1個の面積を計算すれば良く、S=(1/2)×10×6=30cm2となる。この辺まではそんなに難しくないでしょう。
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円の面積
三角形や四角形の面積は、たいていのものは計算できるようになったかな。直線だけ手囲まれた図形を多角形と言うけど、多角形は三角形の組合せとすればたいていは解決する。でも、実際には底辺と高さの両方が分かっていることはそんなにはない。その代わり、別の辺の長さや角度が分かっていることもある。こういう図形を計算するにはあとで述べる三角関数が必要になって来るんです。小学校では三角関数はやらないことになっている。もうしばらくのご辛抱(しんぼう)。
でも、その前にとても大事な面積の計算を紹介しておきたい。そう、円の面積だ。まず、初めに円を一つ考える。大きな木があるとしよう。木の直径は1mだ。巻き尺でこの木の周りの長さ(円周)を計って見よう。多分3mより少し大きいはずだ。円周をs、直径をRとすると、その比はどんな円でも一定で、π=s/Rとなる。ここで、π(パイ)は、円周率と呼ばれている有名な数字で、今の小学校では3.14としなさいと学ぶはずだ。この比πは2000年以上う前から色々な人が正確な少数や分数で表わそうとして努力してきたけれど、結局不可能であること分かったんだ。無理数と言って3.14の後に延々と小数が繰り返しもなく永遠に続くんだ。だからこの比を円周率と言ってπ(パイ)で表すんだ。
コンパスで円を描いたりするときには、直径Rを使うより、半径rを使う方が便利だ。当たり前だけと直径は半径の2倍だ。
だから、円周=s=πR=2πr
この円をハサミで中心に向かって細かく切り裂いて並べてみよう。細長ーい三角形がいっぱいできる。底辺を一列に並べれば元の円周の長さなので2πr、高さは半径rだね。面積はこの三角形の合計だ。Σは数学で良く使う記号で、合計を取りますよという意味だ。
S=Σ((1/2)⊿r・r)=(1/2)×2πr×r=πr2、なお、半径の代りに直径を使うとS=(1/4)R2となる。よく中学生が円の面積は「パイアールの2乗(じょう)」何て言って覚えているが、この時の「アール」は半径だから気をつけよう。間違うと答えが4倍になってしまう。
次の問題をやってみよう。影のついた部分の面積を求めるんだ。真ん中の円の半径は10cmなのは分かるね。反対向きに4つの円弧があるね。4つ合わせると一つの円でこれも半径10cmで一つの円だ。影の部分は外側も内側も正方形から円を除いたものだ。だから、
【影の面積】=2×(正方形-円)=2×(20×20-10×10×3.14)=172となり、【答え;172cm2】
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色々な問題
まず、左の絵を見てみよう。これ菱形(ひしがた)ではない。特徴はというと、2つの対角線が互いに直行していること。この場合、S=(1/2)abとしてすぐに求められる。
つまり、S=0.5×65×80=2600、【答え;2600m2】
このことは、この図を三角形に分割して見ればすぐにわかるね。
この問題は"?"マークがついた黒塗(ぬ)りの小さい正方形の面積を求めなさいと言うものだ。
正方形の中に円が、またその中に正方形が入っているね。こういうのを内接円、内接正方形というんだ。中に入っていてはみ出さないで最大のものだ。まず、外側の正方形の面積は、一辺が20cmだから、400cm2とすぐに分かる。その中にある円の半径は、当然10cmだね。でも慌(あわ)てて面積を計算しない。要求されているのは円の面積ではなくて正方形の面積だ。この黒い正方形、45度回してごらん。回さなくても分かるけど、この正方形の対角線は円の直径になっている。正方形だからその対角線はお互い直角だ。つまり面積は、S=0.5×20×20=200、【答え;200cm2】となる。つまり、新しくできた正方形は元の正方形の半分の面積だ。もう一度中に円を描いて、正方形を描けば今度は、元の正方形の半分の半分、つまり1/4となる。
【花壇の面積】次の問題も良くありそうなもの。
道の形を面積を変えないで変化させていけば、結局右端の絵と同じになる。右端の図形なら暗算でも解けるでしょう。
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ヘロンの公式
三角形の三つの辺の長さが分かれば面積を求めることが出来る。右の絵を見て下さい。三角形△ABCがあります。図形の頂点はアルファベットの大文字で、辺はアルファベットの小文字で表す。s=(a+b+c)/2として、右のような計算をすれば、面積が求められる。根号(ルート)があって、めんどくさいようだけと、関数電卓かパソコンがあれば訳なく計算できるという訳だ。
この式は、ギリシャ人(エジプトのアレクサンドリア)のヘロンという人が発見したらしいが、実はアルキメデスは既に知っていたとか。キリストが生まれたころの大昔の話だね。
面積を計算しよう
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ラジアン
皆さん、ラジアンという言葉聞いたことがありますか。角度を測る単位です。角度は小学校では度を使いますね。紙の上に円を描(か)いて見て下さい。この半径を1としましょう。この円で半径1の棒が円の中心Oの周りにぐるぐる回っていることを想定しよう。1周回ると360度回ることになりますね。この時棒の外側の点が動く長さはどれだけでしょうか。円周の長さは直径の3.14倍と習いますね。本当はこの3.14は概数と言われるもので実際は分数でも表すことが出来ないので無理数と呼ばれている数です。だからこの数はπと表わされます。πは3.1415926…とどこまで行っても無限に続きます。だから、この円周の長さは2π(半径が1だから直径は2だ)と表わされることは分かるでしょう。このπを基準に計る角度の測り方を弧度法といい、単位はラジアンと言います。円周の角度は2πラジアン(360度)です。半円の角度はπラジアン(180度)、直角は(π/4)ラジアン(90度)となります。
x(ラジアン)とy(度)の関係は、比例の関係があります。π:180=x:y、だから簡単に変換できるでしょう。電卓でsin、cos、tanを求めるときに度を使うのかラジアンを使うのかよく確かめないととんでもない結果のなってしまうぞ。
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三角関数
三角関数と言えば、高校で数学を放棄して社会人になった人たちからは、蛇蝎(だかつ)のごとく嫌われる厭(いや)な物の一つだろう。蛇蝎(だかつ)って分かるかな。蛇やサソリと言う言う意味だ。しかし、微分・積分とは異なり古代の人達も親しんでいた、非常に古典的なルーツを持つもので、入り口の部分は小学生の高学年レベルで十分理解できるものだ。
古代の人達にとっても、土地の測量や天体観測は大事な仕事だったので、直角三角形の角度と辺の長さの関係を知ることは幾何学の基本知識としても必要でした。まずは、小学校の高学年(5~6年生)でも分かる説明から。
図のような直角三角形△ABCを考えるよ。古代エジプトでピラミッドを設計していた技術者にも必須の知識だ。直角三角形の一番長い辺を斜辺という。図では確かに斜めに描かれている。∠ABCが今考えている角度だ。ギリシャ文字を使ってθ(シータ)と表わす。∠ABC=θだね。辺BCを底辺(ていへん)、辺ACを対辺(たいへん)と呼ぼう。名前をつけないと何となく不便だから。今考えているのは直角三角形だったね。どこに直角がある。当然∠ACBだ。∠ACB=∠Rとも表す。∠Rは直角。つまり90°。2∠Rは2直角、180°だ。ここで図をよく見てごらん。∠ABC=θが等しい三角形は総て相似形だ。だから次の比は相似な三角形同志は皆等しいんだ。
正弦=AC/AB、余弦=BC/AB、正接=AC/BCと呼ぶことしよう。これを記号でsin、cos、tanとして書き直したのが三角関数と言われているものだ。つまり、sinθ=正弦=AC/AB→正弦、cosθ=BC/AB→余弦、tanθ=AC/BC→正接。
正弦、余弦、正接と和算のように呼んでもいいし、sin、cos、tanと読んでも構わない。ところで、sinθ/cosθ=(AC/AB)/(BC/AB)= AC/BC=tanθとなることは分かるでしょう。このsin、cos、tanを三角関数と呼んでいるんです。この関数の値を0°~90°まで、先に細かく計算しておくんだ。計算結果は数表として昔からきちんとまとめられている。江戸時代の人、例えば伊能忠敬さんなんか、測量の時これを使って素早く距離を計算できたんだ。今は電卓やパソコンで簡単にできるけど。
ところで、君達ピタゴラスの定理というものは知っているかな。ピタゴラ・スウィッチなら知っている?直角三角形ではAB2=BC2+AC2というもの。この両辺をAB2で割ってみよう。
1=(BC/AB)2+(AC/AB)2 となる。これからcos2θ+sin2θ=1、
ここで、cos2θ=(cosθ)2=cosθ×cosθの意味だ。sin2θの時も同じ。
次にこのことを利用して、更に一歩進めてみましょう。半径1の円を描きましょう。円周上の点Pの座標を(x、y)としましょう。∠POX=θです。x=cosθ、y=sinθ、つまり、yの値が正弦、xの値が余弦となっています。もちろん
cos2θ+sin2θ=1ですね。この図の良い所。角度を分度器で正確に測って書けば、数表が無くても長さを測ればsin、cos、tanを求めることが出来ますね。更にθが90°より大きくなっても、sin、cosを求められることがわかります。
θ=90°→sin90°=1、cos90°=0、 θ=180°→ sin180°=0、cos180°=-1、
x軸(横軸)より上ではsinは正(+)、下では負(-)です。y軸(縦軸)より右ではcosは正(+)、左では負(-)です。とりあえず、三角関数についての基礎はこれだけです。
伊能忠敬さんになったつもりで、問題を考えよう。海の向こうに島が見える。島の目印のある点Pとこちら側の点Aとの距離を求めたい。海が荒れていて直接船で渡ることなど不可能だし、海の上で巻き尺なんて使えない。そんな時は、陸に沿って別な地点Bを選んで、角度θ=∠PBAとABの長さを測る。測量をしていると分かるのだが、角度は正確に測定できるのに、距離を正確に測るのは結構難しい。だって、地面が何時も平(たいら)とは限らないし、いろいろと障害物があって、簡単には測れない。できるだけ角度を測るようにして計算で距離を出す技術が大切なんです。
ABの距離は364.2メートルでした。θ=41.8度でした。実際の現場では学校の算数と違ってそんなに切りのいい数字にはならない。この場合欲しいのはPA、分かっているのがABだから、使うのはtanθ=PA/AB、 tanθ=tan(41.8°)=0.8941
従って、PA=ABtanθ=364.2×0.8941=325.6、 【答え;325.6メートル】
伊能忠敬さんの時代は、関数電卓やパソコンも無かったので三角関数の数表はとても大事なものでいつも持ち歩いていたんです。
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場合の数と確率
小学校6年に算数に場合の数が出ていた。これ、説明見るとそんなに難しくないけど、なぜこんなこと考えなければならないんだろう。このためには一緒に確率の考えもマスターしてしまおう。
簡単な例として、コイン投げを考えよう。どっちが表でどっちが裏。基本的には絵が描かれている方が表らしい。では10円硬貨を投げる。場合の数は表か裏か要するに2通りだね。
ではあなたとお友達が賭けをする。あなたが勝つ確率は、当然1/2と分かるね。
次はサイコロにするか。サイコロの場合は1から6の目がでて、どれも同様に確からしい。偶数ならあなたの勝ち。奇数ならお友達の勝ち。あなたが負ける確率は?
全体の場合の数は、1~6で6通り。あなたの勝ちは偶数で2、4、6の3通り。つまりあなたが勝つ確率は3/6=1/2=0.5、半分かった半分負ける。いい勝負だね。
次にサイコロを6回振ってみるか。目のでる総ての場合を列挙してみよう。一回目に1が出たからと言って2回目に1が出ないとは言えない。すべての試行(投げること)は独立と考えれる。つまり6×6×6×6×6×6=66=46,656通りもある。こんなものノートに一々書いていたらきりがないね。
111111、111112、111113、…、211111、211112、…、611111、…、666666
では、同じ目が6回続けて出る確率は。ハッキリ言ってものすごーくありないことみたいだけど。場合の数は、111111、222222、…、666666となって全部で6通りしかない。
そうなるとその確率は、6/46,656=0.0001286=0.0128%
はっきり言ってこんなことめったにないね。サイコロ振ってこんなこと起こったら絶対みんなインチキだと疑うね。確かに確率的に絶対ないとは言えないんだけど。つまりインチキだということを証明することも実は大変難しいんだ。
次のカードの問題を考える。赤、青、黄色、緑のカードが1枚ずつある。A、B、C、Dとしてもいいね。これを並べるとその場合の数はどうなる。
1. A、B、C、D 2. A、B、D、C 3. A、C、B、D …
結構もれなく全部書き上げようとすると大変でしょう。これ以下のように考えるとかんたんに答えが出る。まず、最初のどのカードを持ってくるかで4通り。2番目は1枚使っているので、残りの3通り。その次は2枚使っているか2通り。最後は1枚しかないから1通り。つまり、場合の数は 4×3×2×1=24通りなのだ。これを数学では
4!=4×3×2×1=24 と書くんだ。「!」はビックリマークと呼ぶことにしよう。
6!=6×5×4×3×2×1=720
上の例で、先頭の文字がA、或いは先頭のカードが赤である確率はどれだけ?
先頭が赤と決まると残りは3つの色を並べる場合の数だね。つまり3!=6通り。
では先頭が赤となる確率は、6/24=1/4
カードが4種類しかないから先頭に来るのは4つのうちのどれか当然1/4だね。
では、今度は4枚のカード時計のように円盤状に並べてみよう。この場合最初のAの位置はどこでもいい。残りの3枚を続けて並べる。つまり、3!=6通りだね。
BCD、BDC、CBD、CDB、DBC、DCBと確かに6通りだ。
「!」はこれをつける数字がチョット大きくなると急に大きな数になり手が付けられない。
10!=3,628,800 つまり約363万となる。「!」のことを階乗(かいじょう)と呼んでいる。
4枚のカード(A、B、C、D)から2枚を取り出す問題を考えよう。
AB、AC、AD、BC、BD、CDの6通りの組合せが考えられるね。
この時取り出す順番或いは並べ方まで考えると、ABとBAは違ったものになるので並べ方の数は12通りとなる。
考え方の基本はまず面倒がらずの総ての並べ方を書き出して見ることですが、ある程度ルールを覚えて置かないと数が大きくなると手が付けられない。
このような問題は順列組合せ問題と呼ばれる。小学生でもわかる問題もある一方、大学生でも頭を抱える問題もあるよ。
面積を計算しよう
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四色問題
「四色問題とは、四色あればどんな地図でも隣り合う国々が違う色になるように塗り分けることができるのか?」という問題だね。問題自体は小学生でも分かる。
実際地図を描いてみて色分けしてごらん。多分3色では足らないことはすぐに分かる。四色必要なことは容易に分かる。では5色必要な場合は? 多分どんなにやってみても4色で足りてしまいそうだ。でも本当に5色必要な場合はないのかな?
実は四色問題は何年も数学者たちを悩ませてきたと言われている。数学では証明することが大事。3色で駄目なことは簡単に証明できる。4色必要な実例を上げれば良く、そんな実例はいくらでも作れる。
だから4色定理とは4色で十分ということを証明しないといけない。もし5色必要な例を作れれば4色定理は破綻して定理で亡くなるのですが、5色必要な例は見つかっていない。
チョト、左の図を見て欲しい。これはとりあえずどこかの地図としよう。中央の丸がA国。赤く塗ってある。周りにB、C、Dの三国がある。これらの国はA国と隣り合うので赤色は塗れない。周りの国の数が偶数なら黄、青、黄、青、…となるので3色あれば十分。ところが周りの国の数が偶数なら、例えばこの図のC、Dのように色を変えねばいけないので、結局は地図の塗り分けには4色は絶対に必要であることは分かる。この図で赤、黄色、青、緑の三色が必要だね。
歴史的経緯
1852年に法科学生のフランシス・ガスリー(Francis Guthrie)が数学専攻である弟のフレデリック・ガスリーに質問したのを発端。問題として定式化され、19世紀後半になって数学者がその話を聞いて証明を試みたが、多くの数学者の挑戦をはねのけ続けていた。色塗り作業なら簡単なのに証明となると簡単にはいかないようだ。
1879年、アルフレッド・ブレイ・ケンプ(Alfred Kempe)による証明が『アメリカ数学ジャーナル』誌上で発表された。この証明は妥当と見なされていたが、1890年になってパーシー・ヒーウッド(Percy John Heawood)により不備が指摘される。しかし、ケンプの証明で使われた論理に沿って、地図を塗り分けるには5色で十分であることが証明された。これは五色定理と呼ばれている。6色は必要ない。4色で十分かどうかは、グラフ理論における最も有名な未解決問題として残った。
1976年にケネス・アッペル (Kenneth Appel) とヴォルフガング・ハーケン (Wolfgang Haken) は、ヘーシュ(Heinrich Heesch)により考案された「放電」(discharging)と呼ばれる手続きを改良し、コンピュータを利用して約2000個の(後に1400個あまりに整理された)可約な配置からなる不可避集合を見出し、四色定理を「証明」するに至った。
これは一応は認められたが、人手による実行が(事実上)不可能なほどの複雑なプログラムの実行によるものであることから、ハードウェアやソフトウェア(コンピュータやそのプログラム)のバグの可能性などの懸念から、その確実さについて疑問視する向きもあった。
しかしその後、1996年にニール・ロバートソン (Neil Robertson) らによりアルゴリズムやプログラムの改良が行われ、より簡易な手法(従来の放電手続きよりシンプルな放電手続きを考案し、不可避集合の数を1405個から633個に抑えた)による再証明が行われ、第三者による複数の改良された証明が行われ、証明は確実視されるようになっていった。2004年にはジョルジュ・ゴンティエ (Georges Gonthier) が定理証明系Coqを用いて、よりシンプルな証明を行うなど、コンピュータの応用手法の洗練により、より確かな手続きで証明が行われるなどしているため、現在では四色問題は解決していると捉えられているらしい。
4色問題は、実際には次の様な置き換えをして考えられているらしい。図を変形してグラフ(こういう図をグラフを称する)の問題置き換える。頂点に色がついていて。線分の両端は必ず異なった色になっている。頂点の色は何色必要なのかな?
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二次方程式
今までxやyを使った方程式は、一次方程式という。ところがx2が入ると急に難しくなる。これが二次方程式と言われるもの。x100なら100次方程式だね。
まず、とやかく言う前に右の問題考えてごらん。周囲の長さが14cm で面積が12cm2の長方形がある。この長方形の横xと縦yの長さを求めて見よう。感のいい人ならもう見ただけで答えだしかも知れない。
まず文章を式にまとめてみよう。
xy=12 …①
x+y=7 …②
①式のxyも未知数の掛算なので2次式という。xとyの連立二次方程式だけど、②式から
y=7-x …③ とできる。
つまり、本当は未知数は初めから1つ(x)だけで良かったとも言える。③を①に代入してみよう。
x(7-x)=12、 →x2-7x+12=0 …④
④の形の方程式を二次方程式と言います。x2の項が入っている。
二次方程式の一般的な形を示すと、
ax2+bx+c=0 …⑤
ここで未知数はx だけで、a、b、cは定数としてPC等ではデータで与えられます。
方程式⑤は、一般解が下式で求められています。
x={-b±√(b2-4ac)}/2a …⑥
x2-7x+12=0 …④ では、a=1、b=-7、c=12 だから、
x={7±√(72-4×1(-12))}/(2×1)
={7±√(49-48)}/2=(7+1)/2 または (7-1)/2=4または3 となります。
つまり、縦横3cm、4cm どちらが縦でも横でもOKですね。
また、④式は、(x-3)(x-4)=0 …⑦
と表わすことまで決る。これから、x-3=0、x-4=0→ つまりx=3または4です。
⑦→④はかっこを外して見ればすぐに分かりますね。2つの数をかけて12で足して7なら答えは3と4と
すぐぴんと来た人はナカナカ感がいいね。
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根の公式
根(こん)とは、ここでは方程式の解と考えておいて良い。式全体は公式といえる。
この式一つ覚えていれば、どんな2次方程式も解けるという優れもの。
まずは、与えられた二次方程式を下の、基本形に直す。
ax2+bx+c=0 …⑤
こうすれば、この公式の具体的なa、b、cの値が求まる。後は公式にa、b、cの値の値を入れるだけだ。
x={-b±√(b2-4ac)}/2a …⑥
ところが、2次方程式はいつも実数の解が求まるとは限らない。この式には√があるね。√の中は当然正の数になってないといけない。
D=(b2-4ac)
このDを判別式と呼んでいる。多分中学校ではD<0の時は解なしとするんでしょう。
でも、数学者達はそれでは満足しない。√(-1)=i 何て数(虚数)を考える。
i×i=-1となる。虚数を組み入れることで実数に加えて複素数と言うものがうまれて、総ての二次方程式は解が持てるようになる。ここから先は高等数学の世界だ。
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円錐の不思議
この項目は、中1数学の立体図形から。
円錐はとてもなじみの深い立体図形だね。クリスマスの時に作る三角帽子の形だ。底が無いけど。底付きの帽子を作ってみよう。
円錐の正面図。普通の三角形。紙を切り抜いて造るには展開図が必要だね。まず作りたい円錐は正面図しかない。底辺がbで高さがhの三角形。展開図では円と扇形の組合せだったね。扇形の方の半径(母線といったね)はいくら?
立体図形をそのまま平面に描くことはそもそも不可能。円錐の場合は、側面図及び平面図を描けば何とか円錐だと分かってもらえるね。
底面の円の半径はr=(b/2)、では母線長は? ℓ=√((b/2)2+h2)
扇形のこの長さと底面の円周は重なるので、
2π(b/2)=2πxℓ →→x=b/2ℓ
ここで求めた、2πx は扇形の角度だ。ただし、単位はラジアン。360°=2π(ラジアン)
だから、xに(360/2π)をかければ度で表わされた角度(分度器で測れる)が求まる。Xは360度のうちの何%を表しているだけだね。
さあ、これで任意の直径の円を持った円錐を展開図描いて実際に作れるね。
b=6 cm、h=4 cm として、実際に作図して鋏(はさみ)で切って確かめてみよう。
母線の長さℓはℓ=√(32+42)=√52=5 、5 cmだね。
x=b/2ℓ=6/(2×5)=3/5=0.6 →角度は360×0.6=216度となる。
底面の周長は、6π、扇形の孤長は、2π×5×(3/5)=6πできちんと一致するね。
実際作ってみたかな。それではこの円錐の表面積はどうなる。これは簡単、底面の円と扇形の和を取るだけだ。
S=πb2/4+πℓ2x、この例ではS=9π+25π×3/5=24π
チョト難しいのが体積だね。
V=(1/3)π(b/2)2h=(1/3)×32×4π=12π
同じ底面積の円筒に1/3を掛けたのが円錐の体積。係数の1/3は中学生では暗記しろと言われるらしい。積分法が必要とか。古代ギリシャのアルキメデスさんも知っていたとかで、どこかほかの場所で説明を試みたいとは思っている。
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円錐の不思議2
前項の続き。
【問題】右の図のような、円錐を頂点Oを中心にして転がした。半径は母線の長さで、円を描くことが分かるね。底面の半径をaとしましょう。円を1周して元の場所の戻るまでに、n回転したという。この円錐の母線の長さと母線が一回で描く面積を求めなさい。
【解答】まず、底面の周長は、2πaとなる。母線が描く円周は2πnaとなるね。
底面が作る周長と、母線が作る周長は一致するはずだから、母線が一回で描く面積は、1/nだね。
母線が1回転で描く面積は、母線の長さをℓとして、2πℓ×1/n=2πa、
つまり、ℓ=naとなる。
面積Sは、S=πℓ2/n=π(na)2/n=πna2となる。意外と簡単な関係なんだね。
具体的な数値を入れると、a=6 cm、n=2.5だから、ℓ=15cm、S=90 π cm2
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円錐に紐
紐(ひも)とは伸び縮みせず長さは変わらない。展開図を見れば分かる。紐はAからA'へ向かう。つまり直線AA’(小豆色の線)が求める答えだ。
実際の長さを求めるには、扇形の角度求める。弦の長さを求めればいい訳だ。
360×(2/12)=60で60°だ。つまり、頂点をPとすると三角形PAA’は正三角形。つまりAA’=12cmだね。
でもこれが成り立つのは、扇形の角度が180度までだね。180度を越えると紐(ひも)が架(か)けられないこと分かるかな。直線が扇形の展開図からはみ出してしまうね。
紐(ひも)を使う問題は面白いね。もちろんここで考えているのは数学的な紐だ。つまり引っ張ても長さが変わりない。ゴム紐みたいなのはダメだね。だから展開図で平面になる曲面では、最も短くなるのは直線となるんだ。
では、同じような問題で今度は円柱を考えようか。円柱の底面の点Aから真上の点Bに紐を架ける。上から見たら円を一周する。
答は簡単で、右側の展開図のようになるね。
では、今度は紐を6回巻きつける。これも右側の展開図のようになることは分かるね。
紐を鋼に変えて、巻いた後に円柱を抜き取ると? これはバネだね。このばねの形を螺旋(らせん)という。
英語で言ってみよう!!
円錐=cone、円柱=cylinder、角錐=piramid、角柱=prizm。
どう見ても日本の呼び方の方が合理的でしょう。円錐はコーン、角錐はピラミッド、でもエジプトのピラミッドは正確には四角錐、でも円錐と角錐は立体図形としては兄弟、プリズムとシリンダーも兄弟だ。だから、「柱」と「錐」としたのは賢いね。
日本の数学用語は、既に江戸時代にはヨーロッパよりも先に出来ていた。和算と言って世界のトップクラスの数学の研究がなされていたからだ。
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正八面体の不思議
ある立方体(正六面体)の各面の対角線の交点を考える。立方体の1辺の長さをaとしておこう。交点は、A、B、C、D、E、Fと6つあるね。この6つの各点を結んだ立体図形を考える。この図形は元の立方体の体積と比べてどうなっているでしょう。
見取り図は、図に示した通りだけど、立方体の内部の事情なので本来は見えるはずの無いものだ。そこで、これを上面から、正面から、側面から見た図を示す。
これを見ると、四角形BCDEは、立方体に高さの半分の所に平面図にあるような正方形を形成していることが分かる。この正方形の一辺の長さ、例えばBEを求めると、
BE2=(a/2)2+(a/2)2=a2/2
∴BE=a/√2
もう少し良く図を眺めてみよう。四角錐A-BCDEは高さがa/2で底面積は立方体に半分だ。これが下側(頂点がF)にもある。つまり求める体積Vは、
V=2×(1/3)×a2/2×a/2=a2/6
立方体から作られる正八面体が元の立体のたった1/6しか体積が無いのはチョト驚きか。
残りの5/6は切り取られなければならない。切り取る箇所は8か所でどれも同じ形だ。どんな形なのか考えて見よう。一個当たりの体積は元の立方体の 5/6×1/8=5/48となるね。
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