技術開発のお話

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技術開発のお話

【-こんなもんは要らない????????】

井戸と肥溜め 鉄道の復権 飛行船の復活
ローカル線廃止について ヒマラヤの水資源開発 ダム開発の功罪 令和元年台風第19号
ダムの歴史 停電被害 河川改修・老化対策 建設残土処理
霞堤 ポルダー ヨハニス・デ・レーケ アスワンダム
三峡ダム
水力発電 北陸新幹線浸水 プラスチック廃棄物 農薬
電気自動車たま トリカヘチャタテ
ダスト・シュート フラッキング技術
自動車の無い世界 馬型ロボットの開発 日本は世界5位の農業大国光力の時代 発動機
温暖化対策の国際的枠組み 温暖化問題の虚構 温暖化問題の虚構-その2 陶芸と窯 アンモニア発電? 医療用マリファナ
温室効果ガス オゾンホール 永久凍土の融解
鉄条網 空気電池
波動ポンプの開発 波力発電 ししおどし
チェルノーゼム 地球温暖化の大嘘が暴露1
GIF インド亜大陸の水資源開発 不都合な真実
破綻技術の風力発電 馬鹿にできない人力発電 太陽光発電 バイオマス発電 脱炭素の嘘 海水の温暖化
トリチウム 太陽熱温水器 CO2を減らす馬鹿 ドアノブ
波動ポンプの開発

井戸と肥溜め

手押しポンプ 私の子供の頃は、手押しポンプの付いた井戸はどこの家にもありました。また、畑には、あちこちに肥溜めがあって、うっかり落ちたら大変だと思ったものです。農家は.各家庭を回って、トイレから糞尿を回収していました。私の住んでいる東武東上線柳瀬川駅の隣の「みずほ台駅」も、もともとは都心からの糞尿を積んだ列車が止まるために開設されたのが起こりと言われています。江戸時代、化学肥料の無い時代、江戸の町人達の家のトイレから排出される糞尿を金肥と称して、糞尿はとても貴重品だったのです。地球環境が重視される今の時代、江戸~明治に利用されていたこのシステムは、世界に誇るべき素晴らしいものですね。今、採用されれば下水道の負荷も大いに軽減されるでしょう。
     一方、夏の暑いとき冷たい井戸水は美味しいですね。また、消毒のカルキの臭いも無い安全で美味しいと水と考えますが、如何でしょう。しかも開発のコストがかからず、経済的です。地下水は地層という自然のろ過システムを通過してくるで、基本的には品質の良い生活水です。ただ、地下水は地下で広範囲に繋がっていますから、誰かが汚染すれば皆が迷惑を被ります。従って、政府が地下水は危険だということは、当時、産業の発展のためには多少の汚染には目をつむろうという姿勢の現れだったのでしょう。
     いずれにしろ、戦後の日本は、欧米に追付くという数値目標を上げて、下水道、上水道の普及率向上を進めてきました。下水道、上水道の発達のお陰で潤った業界もあります。しかしながら、官指導による画一的な開発は、結局は最適な結果を生まないようです。

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鉄道の復権

1964年(昭和39年)に東海道新幹線が東京駅~新大阪駅間に開業したに始まり、山陽、東北、上越、山形と秋田(ともにミニ)、九州、北陸と続いて、やっと北海道新幹線が新函館駅まで2016年(平成28年)に開通した。国家プロジェクトとしては異常に遅いテンポで52年もの歳月がかかっている。リニア新幹線に至っては未だ開業に目途がついていないようだ。
     このような大規模な交通インフラの進展は技術よりも政治の力学で大きく変化する一例である。当時は、鉄道の管轄は運輸省でも、鉄道の敷設から車両の開発まで旧国鉄が自前でやらねばならない。しかも、膨大な数の赤字のローカル線の運営も国からおしつけられてきた。一方の道路は、建設省の管轄で国費または補助金で建設でき、鉄道と比べお金がかかるので地方の土建会社や、雇用の促進の効果もあり地元出身の議員さん達から政治的な圧力をかけることもできた。また、道路を造ることはマイカー販売促進にもなるので政府も積極的に旗振りをしてきたのだろう。新幹線を造ると車の販売にはむしろマイナスとなりますよね。
     一方、世界に目をやれば今高速鉄道は、世界中で引張りダコだ。中国を筆頭に、アメリカ、フランス、韓国、台湾等で高速鉄道が熱く見直されている。開発途上国の大都市はどこも車の渋滞、排気ガスや騒音による公害に悩まされており、また、グローバル競争が進む中、よりコストの安い鉄道に熱い目が向けられるようになって来ている。
リニアモーターカー(和製英語で英語ではMaglev(magnetic levitation)と称されるらしい)は、国鉄の京谷 好泰等が開発した世界に誇れる技術である。日本のMagrevは、超低温超伝導を用いるもので、真空にしたトンネル内を走らせれば、想像を絶する超高速も可能かもしれません。

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飛行船の復活

飛行船ツェッペリン

飛行船は、20世紀前半には大西洋横断航路などで旅客運行に従事していましたが、1937年に発生したドイツの「ヒンデンブルク号」の爆発事故を契機に水素利用の飛行船の信頼性が失墜し、航空輸送には用いられなくなっている。しかし、その後も小規模なものではあるが広告宣伝用や大気圏の観測用等として、不燃性のヘリウムガスを利用した飛行船が小規模に使われている。しかしながら、爆発したのが水素ガスだとするなら、ヘリウムガスを充填した飛行船は、問題が無いのではないかとの疑問が生じる。
     ドイツのツェッペリンによって開発されたヒンデンブルク号は、硬式飛行船というもので、従来からよく用いられてきた軟式飛行船(船体そのものが空気を入れる柔軟な袋で出来ている)とは異なり、アルミニウム合金を用い、しっかりした骨格をもった流線形の船体の中にガス袋を収めたもので、高速長時間の飛行を可能にしている。硬式飛行船の優れたもう一点は、大型化を可能にしたことである。飛行機と違って、ツェッペリン飛行船の浮力は寸法の3乗である体積に比例し、また、構造重量は寸法の3乗以下にとどめることができるため、大型であるほど搭載貨物を増大できるとされている。
     このようにしてみると、硬式の飛行船、結構飛行機に代わるものとして使えそうだ。特徴をまとめてみる。

  1. 空中の一点にとどまることができる。飛行機は飛んでないと落ちてしまう。

  2. ヘリコプターは、空中で停止できるがプロペラの揚力を用いているので操縦は難しい。

  3. 飛行船は浮力で浮いているので、スラスターを組合せて、正確な位置保持が出来る。

  4. ヘリウムガスは高価だろうが、圧縮して体積を減らせば良いので、再利用ができる。

  5. 揚力が不要なので目的に応じて機体の形状を自由に設計できる。

  6. 機体を大型化できるので大量の物資を運ぶことが可能。

  7. 滑走路が不要なので大規模な飛行場が不要である。

  8. 低空でアンカーを地上に設置して、係留状態で置いておける。

  9. 揚力が不要で推進力のみ必要なので多分燃料費が安いと思われる。

このような利点を鑑みれば、飛行船利用価値ありそうだ。大規模な建設現場、災害救助等。ただし、今さら航空機会社が新たに開発をする気になるだろうか。さもなければ、開発のプレーヤーになりうるのは誰か。

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ヒマラヤの水資源開発

ヒマラヤ山脈  ヒマラヤ山脈は、インド亜大陸のプレートがユーラシアプレートに衝突してできた世界最大の山脈。このインド亜大陸の東側を流れる大河ガンジス川とブラマプトラ(ツァンポー)川は、夏季のモンスーン時に大量の雨を降らせ、毎年流域に洪水を引き起し、大量の難民を作り出している暴れ川である。特に最下流の国バングラデシュの洪水は、世界的にも有名で国際的な支援活動が必要ですが、上流域のネパールやインドも河川の氾濫で田畑が一面の砂礫に埋もれる等の災害をもたらしています。従って、治水洪水対策が必要ですが、この両大河、治水と言ってもスケールが我が国の河川とは桁違いにスケールが大きく、しかも複数の国にまたがる国際河川でもあるため、河川の管理にあたっても各国の利害の調整も難しく、またインド亜大陸各国の経済レベルから資金的にも難しい状況にあります。
 洪水の対策としては、上流に巨大なダムをつくる以外には無いでしょう。堤防なんか造っても無駄。なんせ雨季と乾季の流量の差が半端でない。堤防ごと流されてしまうのが落ち。巨大なダムを造るには、国際的な支援が必要ですが、ここにも障害が。近年、欧米の環境保護団体がダム建設は環境破壊だとして大騒ぎになります。
 一方、ダム建設は経済的には多大な利益をもたらします。農業では旱魃時に水が利用できます。また、ヒマラヤ地帯は降水量が多いので水力発電にも有利です。ダム1基造るだけで、1,000万kw(我が国に普通の原子力発電10基分)なんていうダムの候補地もいくつかあります。もちろん洪水制御も可能です。国際河川ですから利益の配分をどうするかという問題は残りますが。既に成功している例としては、ブータン国があります。インド資金協力のもと水力発電を開発し、インドに電力を輸出。唯一の外貨獲得手段になっています(農業は自給自足で輸出力無し)。慢性的に電力不足に悩むインドにとっても美味しい話です。因みにインドでは盗電(東電ではない)が有名。勝手に電線から自分の所に電力を引き込む犯罪。
 さて、環境保護団体の言い分。ダムの適地は山の中。文明の主流から外れた少数民族が細々と暮らす地域となっている。また、希少な動植物も残っているだろう。これらの広大な地域がダムにより水没することは避けられない。ダム建設の話でも持ちあがろうものなら環境保護団体が早速現地に赴き少数民族とともに反対運動を盛り上げるというパターンである。場合によっては、札束でこれらの少数民族を反対運動に味方させることも辞さない。この反対運動を盛り上げマスコミを使って世界中にアピールする。本来はダム建設は補償のやり方次第では少数民族にとっても利益はあるはず。少数民族だっていつまでも伝統にしがみついていたい訳でもないはず。ダム建設を中止させたことが環境保護団体の勲章なのでしょうが。
 これって、先進国のエゴでしょう。自分たちはダムを造りたいだけ造ってきた。その幾つかは環境破壊と言える問題を引き起こしたかも知れない。しかし、一方では電力や用水、洪水対策として多大な恩恵を被ってきたはずです。

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ダム開発の功罪

ダムは巨大な土木構造物だ。建設には長い時間と労力及び資金を必要とする。そして最大の問題は、そこで暮らしている人々や豊かな自然環境が一瞬のうちに水没してしまうことだ。つまりダムによる環境破壊。従って、ダムの建設は、必ず利益を被る賛成派と水没の対象になってしまう住民、および水没する生態系を守りたい環境保護団体反対派の対立の構図になってしまう。従って、ダムの建設の可否を判断し、利害調整して妥当な結論を出すことは政治や行政の極めて重要な役割の一つであろう。
八ッ場ダム 令和元年台風第19号は、2019年10月6日3時にマリアナ諸島の東海上で発生し、12日~13日にかけて関東地方や東北地方を中心に、東日本各地に記録的甚大な被害をもたらす。多摩川や阿武隈川など主要な大河川の堤防が決壊した中で、東京の下町の洪水危険区域が無傷で守られたのは、①首都圏外郭放水路と②八ッ場ダム③彩湖(荒川第一調節池)のお陰であったとする専門家のコメントもテレビであり、建設に係わった方々にはうれしいニュースだったかも。
八ッ場ダム(やんばダム)は利根川の主要な支流である吾妻川中流部、群馬県吾妻郡長野原町川原湯地先に建設された重力式コンクリート多目的ダム。高さ116m。建設計画は、1949年(昭和24年)に「利根川改訂改修計画」において、利根川に10箇所のダムを建設する利根川上流ダム群(後の「利根川水系8ダム」)計画に準拠。カスリーン台風級の水害から首都・東京及び利根川流域を守るために1952年(昭和27年)に計画発表。その後計画は紆余曲折、当初の治水一点張りから「流水の正常な機能維持(環境への配慮)」や「発電」まで加わる多目的化。総事業費も2,110億円から4,600億円に増額修正。当然当初から反発はある。何故、首都・東京を守るため地元が犠牲にならないといけないのか。
昭和40年代からの実施計画調査や地元住民の生活再建案調整を経て、1986年(昭和61年)、「八ッ場ダムの建設に関する基本計画」が2000年(平成12年)の事業工期として策定された。その後、2001年(平成13年)の第1回変更で工期が2010年(平成22年)に延長され、2004年(平成16年)の第2回変更で建設目的に「流水の正常な機能維持」が新たに追加されると同時に、総事業費が2,110億円から4,600億円に増額修正された。2008年(平成20年)の第3回変更では建設目的に「発電」が追加されると同時に、工期が2015年(平成27年)に再延長された。国土交通省という役所は一度先輩たちが決めたことは 絶対に変えないという強い意志を持っているようだ。
しかし、民主党が衆議院第一党 となった際に、鳩山内閣が正式に発足し、国土交通大臣に就任した前原誠司は、認証式後の就任会見において八ッ場ダムの事業中止を明言し、鳩山由紀夫首相もこれを支持したし凍結となる。しかし、ここまで既成事実化したものを撤回すれば地元も寧ろ怒り出す。結局工事は再開され、2019年10月1日から、試験湛水開始となった。台風第19号はこれが幸いし、貯水池はほとんど空の状態で、これが大雨の一時貯留に寄与したと言われる。本当にそうなのかチョット検証してみましょう。
テレビでは約1億トンと言っていた。総貯水量は107,500,000 m3とされているからその通りだ。堤高116mだから、100mとして、108÷102=1062=100ha、実際の湛水面積は304ha、流域面積は711.4 km2とされているのでこの流域に降った雨がほぼ全部この貯水池に入り込むのでしょう。推定される降水量を仮にx mmとして、これが約1億トンになるまでどのくらいかかるのが推定してみましょう。
       x×10-3m×711.4×1062=1083、(雨量×流域面積=貯水量)
ここから雨量を求めると、x=140mm。つまり、時間雨量140mmの雨(結構な豪雨です)が1時間降り続けば貯水池は満杯だ。どう見ても八ッ場ダムが、今回荒川等東京の河川が氾濫しなかった主要因とは言えないようだ。単純なそろばん計算でもそのことは自明だ。若干の寄与はしたかも知れないが。あまりたいそうなこと言うとかえって逆効果だね。この数値を見れば民主党の方々が、何もそこまでしなくてもと思う発想も分かる。洪水制御だけが目的では余りに効果が小さすぎる。
  地下ダム 首都圏外郭放水路は、埼玉県春日部市の上金崎地から小渕にかけての延長約6.3km、国道16号直下約50m地点に設けられた世界最大級の地下放水路。洪水防止のみを目的とすることから、通常時は水を取り込まず空堀状態で、人も立ち入れる巨大な地下空間となっている。地下に作られた巨大なパルテノン神殿という感じで多くの観光客を集めているようだ。しかし、ダムと言っても地下構造物。泥水式シールド工法で建設されたシールドトンネルで、延長約6.3km、内径約10m。
すると、総貯水量は(π/4)×102m2×6.3×103m=5×105m3
  つまり、50万立法メートル程度。八ッ場ダムと比べると2桁以上少ない。短期決戦で長期戦には対応できそうもない。海への排水はポンプを使う他ないね。電源の確保が生命線だ。
  彩湖のような洪水対策に遊水地を活用するのは、昔からある正統派の考え。武田信玄の信玄堤等が有名。河川敷にある運動場やゴルフ場等も洪水時には遊水地として有効に機能している。河川敷のゴルフ場は今回の台風で軒並み水浸し。1か月ぐらいは再開できない。それと今建設中のスーパー堤防。洪水対策として今回の台風19号に対してどの程度効果があったのか。都市化が進むと遊水地を確保することが難しくなる。どうしても堤防の嵩上げで対応することになる。しかし堤防の嵩上げは、決壊した場合の被害が更に大きくなる欠点もある。
彩湖 関東平野の江戸川、荒川の治水対策は江戸時代からの先人たちの知恵が積み重ねられている。先人たちの知恵を受け継ぎ、総合的な治水対策を地道に積み重ねていくことが重要なのでしょう。つまり、一つ一つの対策はさほど抜本的な対策にならないわけだ。
ところでダム開発は世界的にも逆風だ。欧米先進国は自国では既にダム開発は終わったと考えている。開発途上国にはダムの適地はいくらでもある。例えばヒマラヤ山脈を擁するインド圏では総貯水量1億m3なんてチンキなダムではなく、桁が3つ以上も大きい巨大なダムの適地がいくらでもある。ガンジス河、ブラマプトラ川、インダス川どれも河のスケールが日本とはけた違いに大きい。当然経済効果も大きい代わりに環境への影響も大だ。しかも、これらのダムの適地は、大抵は少数民族の住む特別な地域。欧米の環境保護団体も反対運動には熱が入る。民主主義の発想からは地元最優先だから、なかなかプロジェクトは進まない。しかし、ダムと言う構造物は、発電、利水、治水、洪水制御と人類に幸福に多大な寄与をする可能性が大きい。賛成反対を問わず大きな視点から国民の生活向上第一の視点を失わないで議論して欲しいと思う。

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令和元年台風第19号

令和元年台風第19号は、2019年10月6日3時にマリアナ諸島の東海上で発生した台風である。関東地方や東北地方を中心に、東日本各地に甚大な被害をもたらす。
10月12日より関東甲信地方を中心に記録的な大雨ととなる。15時30分に大雨特別警報が静岡県、神奈川県、東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、長野県の7都県に発表され、19時50分に茨城県、栃木県、新潟県、福島県、宮城県に、13日0時40分に岩手県にも発表された。半日で13都県での発表とは、3日で11府県に発表された平成30年7月豪雨を超え、特別警報の運用を開始して以来最多の発表数となった。
大雨特別警報が出た12都県では、台風19号本体が上陸する前から活発な雨雲が断続的に生じ、広範囲で強い雨が降り続ける。その結果、各地で観測記録を塗り替えるような大雨になる。また12日は大潮にあたっていた。

以下は国土交通省が発表した資料。
1時間降水量
1. 95.0 mm: 普代(岩手県、13日1時54分まで)
2. 93.5 mm: 小本(岩手県、13日1時55分まで)
3. 85.0 mm: 箱根(神奈川県、12日19時21分まで)
4. 84.5 mm: 宮古(岩手県、13日1時21分まで)
5. 81.5 mm: 丹沢湖(神奈川県、12日19時52分まで)
6. 80.5 mm: 筆甫(宮城県、12日20時30分まで)
7. 77.5 mm: 山田(岩手県、13日0時59分まで)
8. 75.0 mm: 梅ケ島(静岡県、12日17時55分まで)
9. 71.0 mm: 久慈(岩手県、13日1時43分まで)
10. 70.5 mm: 今市(栃木県、12日18時39分まで)
(70mm以上)


24時間降水量
1. 942.5 mm: 箱根(神奈川県、12日21時00分まで)
2. 717.5 mm: 湯ケ島(静岡県、12日18時50分まで)
3. 647.5 mm: 浦山(埼玉県、12日22時00分まで)
4. 627.0 mm: 小沢(東京都、12日21時20分まで)
5. 613.5 mm: 梅ケ島(静岡県、12日20時00分まで)
6. 604.5 mm: 相模湖(神奈川県、12日21時20分まで)
7. 588.0 mm: 筆甫(宮城県、13日3時50分まで)
8. 587.0 mm: ときがわ(埼玉県、12日22時10分まで)
9. 580.0 mm: 小河内(東京都、12日21時20分まで)
10. 561.5 mm: 三峰(埼玉県、12日21時40分まで)
(550mm以上)


最大瞬間風速
1. 44.8 m/s: 神津島(東京都、12日15時15分)
2. 43.8 m/s: 江戸川臨海(東京都、12日21時17分)
3. 43.8 m/s: 横浜(神奈川県、12日20時32分)
4. 42.7 m/s: 羽田(東京都、12日21時04分)
5. 42.2 m/s: 三宅坪田(東京都、12日17時16分)
6. 41.5 m/s: 東京(東京都、12日21時14分)
7. 40.3 m/s: 千葉(千葉県、12日21時20分)
(40m/s以上)


風速も40 m/sを越える超大型。とりあえず、洪水被害に焦点を当てるため、降水量を考えて見よう。降水量の測り方の基本は、バケツのような容器に決められた時間にどれだけ雨水が貯まるかその深さを測るもの。
国土交通省発表のデータでは、時間雨量では最大100mm程度だ。つまり、10cm程度。とりあえず我慢していればいずれ水は引く。ところが、降水の継続時間が長くなると問題は大きくなる。24時間降水量のデータでは、1,000mmに迫る数値だ。1m水位が上がれば宅地では1階は全滅だろう。降った雨は、地面に浸み込まない限り、近くの川へ流れ込む。地下にしみ込んでもいずれ湧水となって下流へと運ばれる。
しかし、実際に浸水の被害にあった地域では、水位上昇が6~7m程度もあったという。つまり、この地域の水害は地域の降った雨ではなく上流で降った雨が原因だ。例えば阿武隈川流域では洪水があった時間は日中で雨は降っていなかったという。つまり、水は上流からやって来たので、本来は事前に予測可能なはずである。洪水対策の難しさは、洪水の被害地と大雨に見舞われた地域が異なっていることがある。
こんなことは海外では当たり前のこと。東南アジアや南アジアの大河川では、上流に降った雨が下流に届くには数週間から数か月かかるのは普通のことだ。流量が大きいため、洪水が来ることは分かっていても対策は避難する以外にはないという。人口の密集する関東地方では人が避難することは難しいので降った雨を効率良く海まで流さないといけない。それと日本の河川は海外の大河と比べると勾配も強く、瞬時(数日)で海まで到達してしまう。
利根川や荒川などの大河川は、多くの支流から水を集め、最終的には海に流れ込む。河川に集まる水は、流域の面積×降水量。しかし、河川網の支流からの洪水流が、一度に本流の河口目指して流れ込んで来たら、本流が持つわけがない。
今回の台風では、降雨は同時多発的に生じているが、流域から河川へ、支流から本川へ流れ込むには実際は時間差がある。各河川での流速と流量が大事な訳だ。関東の山間部から東京湾まで流れるには半日程度の時間差があるようだ。それと水位も大事だ。水位が上がると堤防を乗り越えてしまう。下流の水位が上昇すると、それにつれて上流の水位も上昇する。いわゆるバックウォーターと言われる現象。
どうも、洪水対策と言うものは、堤防を嵩上げしたり、河川を浚渫したり、ダムを造ったりと色々な対策はあるが、決定打はなく流域全体を一つのシステムととらえた総合的な対策が必要なようだ。治水には水文学、水理学、河川工学やその他色々な分野の専門家が互いに知恵を出し合って進めて行くことが必要なのだろう。

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ダムの歴史

ダムの歴史なんて本気で書きだせば、何十作冊の本が出来るほどの内容があるでしょう。今の河川法では、高さ15メートル以上のものを「ダム」と表記し、それ未満の河川構造物については基本的に「堰堤(えんてい)」・「堰」と表記するとなっているようだ。
狭山池 満濃池
日本でダムを造り始めるのは、水田耕作が開始されてからだが、人口が増えて渡来人が新しい土木技術を持ち込んで来た以降だろう。記紀の記録からは7世紀初めの「狭山池」と言うのが最初らしい。これはその後何度も改修されているとの記録もある。
香川県には日本最大級のため池「満濃池」(金倉川)がある。これも8世紀の初め頃。狭山池も満濃池もどちらも現役として現在も使われているらしい。その後も多くのダムが建設されて来たようだが調べ始めるとキリがない。しかし、規模の大きなダムが本格的に建設されるのは明治以降でしょう。

狭山池 **狭山池: 大阪府大阪狭山市大字岩室にある日本最古のダム式ため池(人工池)とされ、現在では狭山池土地改良区が維持管理している。前年ながら埼玉県の狭山市(狭山茶で有名)とは関係ない。
飛鳥時代前期、朝廷によって西除川(天野川)と三津屋川(今熊川)の合流点付近を堰き止め築造されたとされるが、正確な築造年は明かでは無く、4世紀~7世紀の改修記録が残る時期まで幅広い説がある。『古事記』・『日本書紀』にもその名が記され、池の中に狭山池神社が祀られている。
1704年(宝永元年)の大和川の付け替えまで、現在の大阪市域に至る80か村、約55,000石を灌漑していた。各時代で幾度となく改修が重ねられ、1988年から10年以上の工期をかけた大改修のダム化工事により洪水調整機能を備え、同時に池の周囲は公園として整備された。また、以前の狭山池の保存と公開を目的とした大阪府立狭山池博物館が池の北側に2001年に開館し、改修工事の際に切り出した堤体の実物が展示され断面を見ることが出来る。

狭山池  9月15日に札幌市で開催されました、第22回国際水圏環境工学会アジア・太平洋地域部会(IAHR-APD)において、狭山池が「国際水圏環境工学会アジア・太平洋地域部会 水遺産賞」を受賞しました! 狭山池が水遺産賞を受賞するにあたっては、次の点が評価されました。
   ①インド・スリランカから中国・韓国経由で仏教とともに伝来した「ため池文化」の帰着点としての文化的価値
   ②ため池の水を取水する「東樋・中樋・西樋」などの築造当時の施設の技術の先駆性
   ③親池(狭山池)から子池、孫池に水を分配する「連珠式」導水システム

満濃池

**満濃池:
満濃池(まんのういけ)は、香川県仲多度郡まんのう町にある日本最大の灌漑用のため池である。国の名勝に指定されている。空海が改修した(ホント?)ことでも知られ、周囲約20km、貯水量1,540万t。また満濃太郎とも呼ばれる。

ダム建設は、土木技術の花だろう。大量の土砂が運搬され、大量のコンクリートが使われる。使われる重機も超特大級。トンネルや道路はいくら規模が大きくても延長が長いだけで同じことの繰返し。ダム現場では、これが一箇所で見られる。土木技術者なら一度は経験して見たいと思うのが自然だろう。

黒部ダム 黒部ダムは、電源開発目的とした本格的な大ダムだろう。鬼怒川上流に水力発電所を建設し、発生した電力を東京へ供給するという目的。年間を通じて一定でない鬼怒川の流量を調整するためのダム貯水池を計画。1912年(大正元年)12月に竣工(しゅんこう)する。318メートルという高落差を利用して、最大3万1,200キロワットの電力を発生する下滝発電所は、当時日本最大級の規模を誇るものであったといわれる。
日本のダム建設、初めの頃はほとんど電力が目的だった。当時の日本は、電力が著しく不足しており、石炭や石油のような資源も輸入する資金もないため、電源開発目的としたダムの建設は国家の優先的事業でもあったわけだ。
水力発電では、ダム放流の落差が重要だ。318mの落差は大変有利だ。しかし、鬼怒川の流量には季節変動が大きく、その変動を小さくするため貯水池(ダム)を設けることに。しかし、想定を上回る大量の土砂が黒部ダムに堆積し、貯水容量を圧迫。このため、水不足に備えて黒部ダムに貯水しておくという、当初の運用計画は破綻。東京の電力を賄うため、隅田火力発電所(1919年,大正8年)が建設されたとか。
黒部ダムに関連しては、吉村昭氏の長編ノンフィクション小説『高熱隧道』(こうねつずいどう)が有名かも。日本電力黒部川第三発電所(現関西電力に移管)水路トンネルの工事が舞台。同発電所は1936年着工、1940年工事完了。厳密にはトンネル(隧道)工事であるが、大きな目で見てこれもダム工事の一環と見ることもできよう。ダム年間では黒部ダムの竣工年は1963年となっているので、1912年竣工のものとは大部形状も変わっているのでしょう。
(財)日本ダム協会発行の「ダム年鑑」に日本のダム・有効貯水量ベスト30が出ている。どれも、有効貯水量は1億m3を越えている。日本は世界でもダムが多い国なのでしょうか。山の多い地形の影響か。
大きなダム
慣行水利権者との争い
大正時代のダム事業は主に電気事業者が中心となって日本各地にダムを建設する。しかし、水力発電のために河川から取水することで下流の水量が減少し農業用水、あるいは当時盛んに実施されていた流木(山で切った木を流す)に対する影響が表面化する。1896年(明治29年)に日本初の河川関連法規である旧河川法、1911年には電気事業法が成立したがこれらの法律では対応し得ない状況であり、江戸時代以前より農業用水を取水している農民や林業を営む流木業者が持つ慣行水利権と電気事業者が獲得した新規発電用水利権が衝突する例が発生する。 それは今まで使っていた水がいきなり使えなくなれば、それらの水で生活していた人々が怒り出すのは当然だ。ダムの建設は、水没させられる住民や自然環境に加えて、川を生活の基盤としていて人々の既存の権利も侵害することもある。また河を遡上する魚類への影響も馬鹿には出来ない。
昭和初期(1926年-1944年)
大正時代のダム建設ブームにより日本のダム技術は明治以前に比べて飛躍的に向上し、高さ50メートルを超えるダム建設も盛んに行われる。一方で慣行水利権者との摩擦は、日本における河川行政・法整備が実情に追い付いていないという現実を露呈させる。さらに治水事業との整合性や利水事業者同士による開発事業の衝突など、旧河川法や電気事業法では解決できず政治家による調停に委ねる例も出て、河川行政の抜本的な改革が問われつつあった。また、満州事変以降次第に日本は軍国主義の風潮が高まり、河川事業にもその暗い影が差して行ったのが昭和初期のダム事業を取り巻く環境である。
1896年(明治29年)に制定された旧河川法では治水事業は堤防整備を主体とした河川改修が主眼であり、ダムを活用するという流れはなかった。またダム事業自体も単一事業者が単一の目的で建設しており、複数の事業者が関与することもなかった。こうした状況下で同一河川における水力発電事業で複数の事業者が水利権の所在を巡り対立するなどの事案が多発する。従来の法整備では太刀打ちできない現実を目の当たりにした行政は、大正時代より逓信省、農林省がそれぞれ水力発電・灌漑目的の立場から法改正を画策したが河川行政を管轄する内務省の猛反対によって陽の目を見なかった。ようやく法整備に関する事態が動き出したのは1926年(大正15年)8月26日に勅令第270号として公布された河川行政監督令である。即ち当時盛んだった水力発電に係る河川占用の許可を内務大臣の許認可事項とする内容のもので、内務省(今なら国土交通省)の河川行政への専管業務を強化する意図があった。またダムの基準についても従来曖昧だったものを統一するため、1935年(昭和10年)5月27日内務省は省令第36号として河川堰堤規則を、6月15日には逓信省が省令第18号として発電用高堰堤規則をそれぞれ制定。二つの政令によって「基礎岩盤からの高さが15メートル以上(河川堰堤規則ではアースダムは高さ10メートル以上)」というダムの基準が日本で初めて確立する。

物部長穂 こうした流れの中、一人の学者がその後の日本における河川行政の流れを大きく変える論文を発表する。東京帝国大学教授・東京帝国大学地震研究所研究員・内務省土木試験所長の職に在った当時38歳の物部長穂。物部は1920年(大正9年)に耐震構造に関する論文で第一回土木学会賞を受賞、その後耐震構造学の権威として重力式コンクリートダムの耐震理論を確立し今日まで地震による重力ダムの致命的な損壊を防ぐ重要な基礎を築く。河川工学にも精通する物部は1926年に『わが国に於ける河川水量の調節並びに貯水事業について』という論文を発表し、河川総合開発・多目的ダム建設の必要性を主張した。論文の要旨は以下の通りである。

1.河道が全能力を発揮する期間は極めて短いので、貯水による河川水量の調節は洪水防御上有利。
2.発電が渇水に苦しむのは冬季であり、冬季には大洪水の心配はないから治水容量は発電に利用可能。夏季の渇水には多目的として貯水池を少し大きくする。
3.貯水池地点は日本では一般に有利な地点が少ないので、多目的に利用する。治水・灌漑用はなるべく平地に近く、発電用は上流部が有利なので水系一貫的に効率・有機的な運用を行う。
4.大規模貯水池の下流には逆調整池を設け、貯水池埋没対策として、将来は大規模な砂防事業を進める。
5.民間企業の貯水池も治水・利水の総合計画にするため補助金など助成策を講じる。
6.計画は、公平な立場にある河川管理者が統制する。

物部長穂博士というのは、日本の水理学の泰斗であり、今でも「物部水理学」は大学での立派な教科書だ。おっしゃること一々正論である。この当時は、米国でもテネシー川総合開発が始まり、1913年(大正2年)からはマイアミ川総合開発に基づく5か所のダム建設も実施されている。世界的にも河川事業が見直されている時期だったのか。我が国も物部論文を最優先とする河川事業を国策で推進することを決定する。
日本発送電とダム
電力会社による発電用ダムの建設は大井ダム以降、より大規模なダムの建設を手掛ける。水力発電は渇水時に発電能力が減少する欠点がある。これを火力発電所で補うことが当時の電力政策(水主火従)。電力会社はより大容量の貯水池を有する水力発電所建設を計画し、ダム建設もそれに比例して大規模なものに。1929年(昭和4年)に完成した高さ79.0メートルの小牧ダム(庄川)は、物部長穂の耐震理論を最初に導入した重力式コンクリートダム。またこの頃よりコンクリートに関する技術も進歩し、従来のコンクリートダムではコンクリートに玉石を混合した玉石コンクリートが主力だったが、玉石を使わない硬練りコンクリートの研究が進められる。塚原ダムは1938年(昭和13年)完成するが、高さ87.0メートルは戦前のダムとしては日本で最も高く、歴史的な土木遺産として小牧ダムと共に国の登録有形文化財に登録されている。また1917年(大正6年)日本有数の急流河川である黒部川では、高峰譲吉がアルミニウム精錬の電源として黒部川の開発に着手。その後日本電力が事業を承継。1936年に小屋平ダム(黒部川)と黒部川第二発電所、1940年に仙人谷ダム(黒部川)と黒部川第三発電所を完成させた。このダム・発電所工事は難工事であり、雪崩や吉村昭の『高熱隧道』で知られる灼熱のトンネル工事などで多くの殉職者を出しながら完成した。こうした河川一貫の水力発電事業は戦後さらに活発化する。
しかし、電力会社を巡る環境は戦時体制に突き進む日本の国情の中次第に厳しい情勢に追い込まれる。当時日本には東京電燈、東邦電力、日本電力、大同電力、宇治川電気のいわゆる「五大電力会社」が電気事業の中心であった。日本各地の河川で開発を進めていたが配電シェアの獲得競争は極めて激しく互いに紛争も絶えなかった。こうした激烈で無秩序なシェア競争に対して電気事業を民間に任せることは不適当とする意見が逓信省内部から出始める。満州事変勃発後は国家が積極的に電力統制を行うべきという急進的な意見が軍部や逓信省、企画院などで主流となる。「半官半民」の国策電力会社である日本発送電が1939年(昭和14年)4月に発足。実質は発送電事業の国有化であった。

軍部の介入
電力国家統制を成し遂げ、国家総力戦に突き進む軍部が次に狙ったのが河川行政、特に河水統制事業。航空機の生産や軍艦建造など軍備増強を図る上で水力発電事業や水道整備は欠かせなかったが、電力事業を掌握したことから今度は河川行政に直接介入し、軍部に都合が良い河川開発を企てる。 軍部は日本各地の河水統制事業に強引な圧力を掛けて自らの目的を押し通す。その極めつけが相模ダム(相模川)。建設反対住民に対し圧力をかけ無視。なりふり構わず突き進んだ太平洋戦争も次第に日本不利の戦況となる。資材や人員の欠乏は日を追う毎に深刻。ダム事業もこうした事情から進捗が滞る。1944年東條内閣は国家総動員法を補強するため決戦非常措置要綱を発令。物資の全てを戦争に投入することになり、これが遠因となってダム事業のほとんどが事業遂行不可能となり、中断に追い込まれる。各地の山林は乱伐によって極端に保水力が低下。河川改修も完全に停滞し、修繕がままならぬ状態で日本は終戦。後に残されたのは荒廃した国土であり、それは戦後直ちに大きな災害をもたらす。

終戦直後(1945年-1954年)
太平洋戦争で敗戦した日本は、国力も国土も極めて疲弊した状態。決戦非常措置発令で物資の全てを戦争に費やし、河川事業はダムを含め完全に停滞。電力に関しては物資不足による事業中断に加え、民間の電力需要が爆発的に増大、電力の需給バランスは一挙に崩壊し深刻な停電が頻発。さらにコメを始めとする農業生産力も低下して食糧不足が深刻化、1946年(昭和21年)には皇居前広場に25万人が集まる食糧メーデーが開かれるなど日本の社会は大きな混乱を来たす。戦災からの復興を果たさねばならない中で、混乱に拍車を掛けたのは連年襲い来る水害であった。
襲い来る災害
1945年-1954年に発生した主な水害
1945年 昭和20年 枕崎台風 (死者2,473、行方不明 1,283)
1947年 昭和22年 カスリーン台風 (死者1,077、行方不明 853)
1948年 昭和23年 アイオン台風 (死者512、行方不明 326)
1950年 昭和25年 ジェーン台風 (死者398、行方不明 141)
1951年 昭和26年 ルース台風 (死者572、行方不明 371)
1953年 昭和28年 昭和28年西日本水害 (死者759、行方不明 242)
治水事業の停滞、加えて戦時中に行われた日本各地の森林乱伐は治水安全度を極度に低下。そうした状況下、毎年のように台風や水害が来襲。日本各地に甚大な被害をもたらす。連年日本全土を襲った水害は、敗戦からの復興を目指す日本経済に大きな打撃を与え、復興の大きな阻害要因となる。 因みに、2019年台風19号の被害は、死者79名、行方不明 8名とされているが、人口密集地を襲ったこともあり、経済的な損失から見ると被害は決して小さいとは言えないだろう。

ダムの歴史について簡単に整理してみようと思ったが、とりあえずここまで書いてチョット疲れてしまった。続きはまた。(2019.10.21)

技術開発のお話
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停電被害

今年の台風は、19号の被害も甚大だったけど、15号の際も結構大きな被害を被った。東京都で死者1名、埼玉県と千葉県、神奈川県、茨城県での重傷者11人を含む、1都6県で150人が重軽傷を負ったといわれる。特に被害が甚大だった千葉県に到達したのは、10月9日頃か。
この台風で特徴的な点は、台風による停電のための2次被害が非常に目立つことがあげられる。千葉県内では高齢者を中心に、台風被災による停電のため熱中症とみられる症状で死亡した者が相次いでいる。
また19号では雨による被害が大きかったのに比べ、15号は風の被害が大きかったように見える。屋根が飛ばされビニールシートで覆われた家屋がテレビの画面で何度も映し出されたが、これらの家屋が19号の大雨に際にどうなったかは大変心配である。
この台風により、千葉県内で送電塔2本と電柱84本が倒壊。推計約2000本の電柱が損傷。神奈川県と千葉県を中心に9日時点で93万戸が停電。関東の広域で停電が発生。復旧に時間を要し、停電は異例の長期。17日午後7時半時点でも、6万戸あまりで停電が続く。通信網が途絶した地域からは被害の報告が出来ず、状況が正確に把握できていない状態。
電柱倒壊 電柱倒壊 電柱倒壊
11日時点で東京電力パワーグリッドは、停電の全面復旧は、千葉市周辺で12日中、それ以外のエリアでは13日以降とする。設備・施設に想定を超える被害が確認され、山間部での作業が難航しているためだと。全面復旧は1週間、10日かかることはないとしていたが、実際には2週間以上かかってしまった。
洪水や家屋損傷と異なり、停電被害は復旧作業にも影響し問題がより深刻。しかも今回の停電は被害地域が非常に広範囲であるため、復旧作業の大きな妨げの原因ともなっている。停電の被害は波及効果が大きく、浄水場などから家庭に送るポンプが停電で広域な断水被害や通信障害も併発。 復旧作業は、電気を扱うため、電力会社(東京電力)一社の善意に頼らざるを得ないことも、責任の所在を見えにくくする一因となっていそうだ。
日本の電力供給システムという重要なインフラが、かように脆弱な物であったとは、では今後どのような対策を取っていくのだろうか。どうも先が見えない話だ。
風による電柱の倒壊が多数(84本)見られたとある。電柱は大抵コンクリートなどできている丈夫な柱だ。しかも、地中深く埋められている。風でボキット折れたのか、根元から折れずに倒れたのか。多少とも構造力学を齧った人なら知りたいところだ。少々の風では倒壊など絶対にあり得ないはずだ。木の枝などが当たって電線が切れることは考えられるが。この点ははっきりさせて欲しい。
都市部では電線の地下化なども進められているが、これは住民の安全と美観を優先しているためで、強風対策のためではない。それにコストもかかる。当然これからも電柱は残されていくのであろうから、何らかの抜本的な対策が必要であろう。
一方、台風19号の際の、川崎市武蔵小杉では、停電の影響で、駅や超高層のマンションへの電力供給がストップ。近代都市と言うものは電気が無ければ本当に無力だ。エレベータもエスカレータもストップ。夜は明かりもない。ポンプが動かないと水も運べず断水だ。生活そのものが不可能だろう。
原因は配電設備が水没したためとか。電気設備は水に弱い。水没しないための対策は。似たような例では、北陸新幹線の車両が水没してして、新幹線がしばらく普通になったこともある。新幹線の基地は広大な面積が必要だ。しかし、北陸新幹線は後発組であったため、適切な敷地の確保が難しかったらしい。従って基地自体が初めから水没する可能性のある低湿地に建設されていた可能性も指摘されている。しかし、新幹線は自走可能な構造物だ。水没する前に安全な場所に避難する余裕はあったはずだ。 配電設備が水没も同じ理由で、都市化の速い地域では、重要なインフラを設置するための、敷地は水に弱い限られた土地しか残っていなかった可能性もある。建設することが最優先で、災害対策は後回し。その結果、被災するまで忘れられた存在に。水に強い設備に改善しない限り災害は繰り返される。
昨年(2018年)9月6日午前3時8分頃に発生した北海道胆振東部地震では、強い揺れによって、震源近くにあった苫東厚真火力発電所の2号機と4号機が、タービンの振動を検知して停止しました。その後、連鎖的にすべての発電所が停止して、ブラックアウトし、全道が停電するという事態となる。これも北海道の人達にとっては大変事態。
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による災害でも、停電の被害は大問題であることは証明済み。それなのに、北海道、関西、千葉、神奈川と同じような停電被害が繰り返し頻発するようになっている。ここまでくると、日本の電力行政そのものが可笑しいのではないかと思えて来る。
一方、水道水が供給できなくなる断水の問題もクローズアップされた。
11日午後1時現在で、千葉・東京・静岡の3都県で約2万4000戸の断水が発生し、最大断水戸数は約12万戸もあったという。給水のポンプが停電での影響で使えなくなったという理由もある。実は多くの浄水施設は河川の近くに設置されており、河川が氾濫した際には同時に被災してしまうものらしい。つまり、洪水の災害と断水はセットで起こるケースが多いというのが現実らしい。 浄水施設が川の近くに設置されているのはある意味仕方がない。水は川から取水するのだから。河川が氾濫しないように祈るだけか。
電気も水道も現代生活には欠くことの出来ない重要なインフラだ。国土交通省の洪水対策は主に河川の治水だろう。しかし、今後は都市化の進展や気候の変化を見越し、電気、水道、通信などのインフラ整備も並行して進めなければいけないでしょう。バブルが崩壊して日本がますます貧しくなっていく中、過去に整備したインフラがドンドン老朽化して、災害に対し脆弱になっていく。政府の対策は避難対策ばかりで、今後日本の国土をどのように守っていくのがビジョンに乏しいように感じるのだか、皆さんはどう思われますか。
【追記】
電力設備の安全対策は、国土交通省ではなく経済産業省の管轄のようだ。インフラ設備の老朽化対策は電気設備に対してもしっかりとやってもらわないといけないようだ。
台風上陸から10日後、送電復旧作業の応援に駆けつけていた九州電力の作業員は、週プレ記者にこうつぶやいたとのこと。「これまで全国各地の災害現場で復旧作業に当たってきましたが、千葉の電柱や電線は総じてもろいです」どういうことか?
電力各社は、経済産業省が定める「電気設備技術基準」に沿って送配電設備の設計や設置を行なうことになっている。鉄塔や電柱は省令で毎秒40メートルの強風にも耐えられる設計を求めており、東京電力管内でも「風速40メートル基準で設計」していた(東京電力パワーグリッド・広報)という。今回の台風では瞬間風速50メートル以上を記録し、多くの電柱が倒壊してしまったとのこと。
しかし、台風被害の多い他地域の電力会社は独自に手を打っている。沖縄電力の鉄塔は「風速60メートルの風圧荷重に耐えられる設計」(同社広報)とし、九州電力も「過去に台風で大きな被害が出た地域は『強風地区』に指定し、電柱や鉄塔を風速50メートルに耐えうる設計にしている」(同社広報)という。
東電管内でも、過去に同様の台風被害は起きている。例えば2002年10月、関東地方を通過した台風21号による強風を受け、茨城県鹿嶋市などで送電鉄塔9基が折損・倒壊、約60万軒が停電した。
東電から送配電設備の設置や改修を請け負う電気工事会社の社長がこう話す。
「当時(02年)、倒壊した鉄塔は風速40メートル基準でした。国や東電は事故原因の検証を行ないましたが、強度基準が見直されることはなかった。千葉県の被災状況を見ると、もっと過去の教訓が生かされていれば......との思いはぬぐい切れません」
では、今回の台風被害は今後にどう生かされるのか?
「鉄塔や電柱の強度を上げるには当然、コストがかかる。例えば風速40メートル基準の鉄塔と60メートル基準の鉄塔を比べると、設置費用は2倍ほどになります」
しかし、東電の台所事情は厳しいのが現状だという。福島原発の補償も終わってないしね。
「3.11以降、耐震補強など原発の安全対策費が膨張し、送配電設備への投資は絞られています。建設から50年以上が経過した鉄塔や電柱が多いのに、建て替えや改修などの老朽化対策は後回しにされがち。現場担当者も上からのプレッシャーがきついのか、コストカットにがんじがらめになっています。電気の安定供給は電気事業者の最大の使命ですが、その意識が薄れてきているように思えてなりません」(電気工事会社社長)
何か災害が生じるたびに「想定外」を繰返す体質はもうたくさんだ。設備更新のコストは電気料金の値上げという形で消費者に跳ね返ってくる可能性も高いが、今回の被害を見れば、背に腹は代えられない?(2019.11.19)

技術開発のお話
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河川改修・老化対策

巴波川 巴波川
栃木県に巴波川(うずまがわ)と言う河がある。今年2019年の台風19号の際にも氾濫し、被害を出した。「ウズを巻き、波を立てて流れる」という意味に由来すると言われるので結構暴れ川なのか。
中世から江戸川と通じた舟運の盛んな川で、栃木市内には蔵造りの建造物が多く残り「蔵の街」として親しまれている。舟運の始まりは、江戸時代に徳川家康の霊柩を久能山から日光山に改葬した際に、日光御用の荷物を栃木河岸に陸揚げしたことが端緒である。その後、物資の集散地として江戸との交易で隆盛を極めた。現在は、錦鯉が放流されており、船頭による舟歌が楽しめる観光用の舟が行き来する。 現代は氾濫することは極めて少ない。明治時代に堤防が築かれる以前はたびたび氾濫し、橋をかけても2年ともたないと言われたほどであった。氾濫を鎮めるために人柱を立てたという伝説も残っており、「巴波川悲話」として栃木市の塚田歴史伝説館などで紹介されているそうだ。
近代以降においては、1947年(昭和22年)のカスリーン台風襲来の際に大洪水となり、多くの被災者を出した。また、2015年(平成27年)9月の関東・東北豪雨、2019年の台風19号の際にも氾濫し、被害を出したという。
テレビで観光用の船着き場付近の被災状況の映像があった。現在は、船は航行できない。本当に、気の毒な状態だ。河川には大量の礫が運び込まれて、川のあちこちに洲が出来ている。
はっと気がついた。洪水は大量の水だけを運んでくるわけではないのだ。山地では山崩れが起きて大量の礫が運び込まれる。おまけに風でなぎ倒された流木も来る。これらは流されて海まで運ばれれば問題は無いが、河川のあちこちに置き去りにされることが多い。一度流木などで川の流れがせきとめられると、流速が落ちて更に土砂を置き去りに。その結果、更に流れがせきとめられる。川の上流側では著しく水位が上昇し堤防が決壊し氾濫する。つまり、氾濫の主役は大量の水よりも、一緒に流れ込む土砂などの流下物かも知れないのだ。
河川網と言うのは、人間の血管系と似ている。人の動脈は、心臓を出発して枝分かれしながら体の隅々まで行き渡る。一方、河川は山地から雨水を集めて、次々と合流を重ねながら、最後には海に出る。心臓→太い血管→毛細血管、山地の渓流→中小河川→大河川→河口。流れる方向は逆だが、良く似ている。血圧が上がってしまうと、血管は耐えきれず破裂する。水位が上がってしまうと、堤防は耐えきれず破堤する。水位が上がるのは支流からの流入する水の他に、土砂や流木やゴミなどがある。
今回の被災地域を見ると、どれも河の河口ではなくて、中流部、特に合流点。ということは合流部での通水能力が劣化している。これ河川の老化なのでは。心臓ではなく、枝の部分だ。河川の水を流す力、これを通水能とでもいうでしょうが、通水能を向上させることが洪水対策の最も根幹でしょう。つまり、血液サラサラの状態だ。そのためには川幅は広く、深く、適切な勾配が必要だ。適切な場所に遊水池を造るのの有効だ。場合によっては、放水路(バイパス)のような外科的方法も必要かも。河は生きている。適切なメンテナンスをしないと老化してしまう。川は上流から土砂やゴミ等も沢山流れ込んできます。河川が動脈硬化にならないためには、川底の浚渫、川幅の拡大等日頃からの地味なメンテナンスの積み重ねが必要なのです。

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建設残土処理

自然の河川は、生き物のようだ。ある時は大きく蛇行し、流路をしばしば大きく変化させる。特に洪水時には、水の力と運ばれて来た大量の土砂のお陰で、川の姿は激変するものだ。 しかし、都市化が進み人が川の周辺に住み着くようになれば、堤防を嵩上げして、川を封じ込めようとする。
蛇行 蛇行
堤防内に運ばれた砂は行き所が無いのでどんどん川底に貯まり、川は年々浅くなっていくのが自然の成り行きだ。川の水面より周辺の地盤の方が低い場合は、これを天井川と称している。洪水時に土地が水面よりも低い場合は、堤防が決壊したら大災害になる。

天井川 天井川
堤防の嵩上げは、このように長期的見れば決して洪水の抜本対策になっていない。また、気候の長期変動を考えると、今後ますます洪水の規模が大きくなることも考えられるので、どこまで堤防を嵩上げすれば安全かという見通しも立たないはずだ。
今回の台風災害の結果、今後多くの自治体で堤防の嵩上げの計画が増えてくる見通しだ。一方、河川を浚渫したり河道を改修しようとする計画は出て来ないと想定される。
天井川 その理由は、浚渫(しゅんせつ)した土砂の捨て場がないためである。浚渫した土砂は考えようによっては、資源にもなるが、基本的には廃棄物。河川を浚渫すれば、その中にはヘドロやゴミが混入することは避けられない。環境省の安全基準も厳しくなっており、捨て場を確保することは極めて困難であるし、残土の処理も高額になる。各自治体だって、こんなコストのかかる工事は議会の承認が得られるはずがないだろうし、地元の建設業の方々も大変だろう。

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霞堤

千曲川 霞堤(かすみてい)は、河川堤の一つ。戦国時代に武田信玄によって考案されたという。もしそうなら、信玄公は河川工学の天才だ。現代の理論によってもその優秀性は立証されているから。
連続する堤ではなく、あらかじめ間に切れ目をいれた不連続の堤防。不連続点においては、上流側の堤防が下流側堤防の堤外(河川側)に入れ込んでいる。不連続部周辺の堤内(生活・営農区域)側は、予め浸水を予想されている遊水地で、それにより洪水時の増水による堤への一方的負荷を軽減し、決壊の危険性を少なくさせた。
この霞提の優れた点として、洪水で運ばれる土砂は、もともと上流の山林で形成された肥沃な土壌であり、それをそのまま下流に流すことなく、営農区域に蓄積する機能を有したことがあげられる。近代化された視点からは、治水を単なる土木工事の対象としか見ないことが多いが、農業さらに広くはエコロジーの視点を持った治水法として再評価されている。
元々、遊水地に浸水させる目的があるので、堤は高くない。先に記述した通り、堤に切れ目を入れ、増水した川の水をそこから堤後背の遊水地へ逃がす。しかし、水位が下がり始めれば、逆にその切れ目から速やかに排水が行われる。
もともと河川の堤防は、ババ抜きみたいな面がある。ある部分に堤防を造れば、その上下流では洪水の危険が増す。霞堤なら、上流の氾濫を下流の霞堤で吸収することが出来、被害軽減に有用で、平時において周辺田畑や排水路の排水が容易に行える利点がある。
千曲川で今回被災した地区は、以前は畑地(ある意味で遊水池)であったそうだか、現在では民家が密集している。だから、この部分は本堤よりも天端を高くした堤防で守らないといけない所だった。水は高い所から低い所に流れる。本堤が決壊しなかったことは、霞堤の優秀さを立証している。霞堤は今でも採用すべき技術だと思う。しかし、都市化が進んで河の傍まで民家が密集するようになって来ているため、採用が難しくなっているようだ。

技術開発のお話
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ポルダー

ポルダー ポルダー(polder)とは、低湿地の干拓によってつくられた土地のこと。ふつうはオランダやベルギーの干拓地を指す。干拓とは、河川や海などに堤防を築き、堤防内の水を無くして陸地をつくることです。つまり、もともとは水面よりも土地だった訳です。オランダのポルダーでは、水はけのよいところで園芸栽培が行われています。水はけが良いということは相当一生懸命排水をしているということになります。
オランダ 干拓(かんたく)とは遠浅の海や干潟、水深の浅い湖沼やその浅瀬を仕切り、その場の水を抜き取り干上がらせるなどして陸地にすることです。主に農地として開拓する時に用いられるようだ。干拓された土地を干拓地(polder)と呼ぶ。 ポルダーはオランダ語だったんでしょう。水域に土砂や廃棄物等を投入して土地を造成する埋立とは発想が異なっているんですね。
方法として、まず、干拓堤防(潮受け堤防、潮受堤防)で水域を仕切り、堤防の随所に水門を設ける。その上で動力によって強制的に仕切内の水を排水し干上がらせる。または海の場合、潮の干満を利用する方法も取られる。干潮時に水門を開き海水を排し、満潮時には水門を閉じて干上がらせる。 オランダの独特の風景を造る風車もこのための物です。
だから土地は海面よりも低くなることが多く、塩分を含んだ土地であるため、農地化する際には、塩分とともに水を排水する設備を作る必要がある。また地盤も軟弱であるため、宅地としては余り好ましくないため何らかの工夫が必要でしょう。

オランダ 干拓による環境破壊
干拓される対象となる水域の大抵は既に海の豊かな生態系が形成されている個所でもあります。そこを陸地化させてしまうことは、元々あった生態系を破壊してしまうことであり、しばしば自然破壊の1つとして問題視されるようになって来ました。
日本でも、諫早湾干拓事業のような大規模事業では、その影響が干拓地だけでなく、周辺の水域にも及ぶことになります(1997年4月に湾の西半分を潮受け堤防で閉め切ったことが、有明海全体に甚大な漁業被害をもたらす原因となった)。
風車 オランダの干拓
オランダの歴史は、俗に「世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作った。」と言われるように干拓地(ポルダー)と切り離せない。
オランダでは海岸沿いに広がる湿地や泥炭地や干潟を埋め立てて土地を広げてきた歴史がある。オランダ最古の堤防はローマ帝国時代に遡り、初期の干拓は11世紀から13世紀の間に始まったらしい。海や湖を干上げる近代的な干拓の始まりは、1612年のベームスター干拓地。それ以来オランダでは堤防に囲まれ風車・排水路・水門で雨水や地下水を排水する干拓地が広がる。
また水管理委員会の長として、干拓地の周りの堤防を維持管理する「dijkgraaf(英語:dike-warden)」の役職が置かれる。この職は土地の存続や住民の生死に関わるものだったため、堤防維持のために人々を徴発する強力な権限がある。もっとも堤防の保全という作業はあらゆる階層の干拓地住民の協力が不可欠なため、オランダには階層を超えた協力や話し合いを重視する気風が生まれた。労使協調やワークシェアリングなどを特徴とするオランダ独特の政治・経済システムも「ポルダーモデル」の名で呼ばれているそうだ。
オランダの干拓手法はヨーロッパ、さらに世界各地にも影響を与えた。日本の干拓も、明治以降はオランダの強い影響を受けている。
日本の干拓
有明海沿岸での干拓は室町時代頃に始まったと考えられている。泥質干潟である有明海湾奥部では泥の堆積により年間平均10m程度(標高にして2mm程度)の自然陸化が継続するが、ひとたび陸化して干上がった地域には泥が堆積しないため低地が広がり洪水や高潮に弱く、泥質土に顕著な圧密沈下により逆に沈下してゆくこと、また干潟の方も台風の波浪や高潮などによって堆積した泥が簡単に流されていってしまうという特徴があった。そのため、陸化を促進する目的とともに陸化した地域を水害から守る目的などで干拓が行われるようになる。
明治に入ると資金力のある有力者が出資する組合方式の干拓が始まり、再び活発となった。しかし、拡大が進むにつれて水深の深い干潟を干拓せざるを得なくなり、資金のある村営、県営、そして国営と規模を拡大して行く。このころには、岩を基礎とした堤防を作り広範囲の干潟を干上がらせ自然陸化を待たない、オランダ方式が主流となった。そして、堤防も堅牢化・コンクリート化が進み大規模化する。しかし、1968年(昭和43年)に有明海の干拓がほぼすべて完工し、その後行われたのは笠岡湾干拓と諫早湾干拓のみである。
戦後の日本は米の増産が課題であったため、政府も農地を積極的に進めようとし、干拓事業も積極的に推進された。
しかし、何故オランダはそんなに努力してまで、陸地を増やそうとしたのだろう。オランダの歴史を学んでみる必要がありそうだ。戦後の日本は米の増産が課題であったため。土地バブルの頃は、山を削って内湾を埋め立てたりしたが、それは土地がいくらでも値上がりすると期待したため。今では干潟の環境的価値が見直され、埋め立てや干拓には逆風だろう。

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ヨハニス・デ・レーケ

砂防の父」と称される。日本の土木事業、特に河川改修や砂防における功績から、に土木史の偉人の一人として取り上げられている(農林水産省ウェブサイト)。
内務省の土木技術の助言者や技術指導者として現場を指揮する。氾濫を繰り返す河川を治めるため、放水路や分流の工事を行い、根本的な予防策として水源山地における砂防や治山の工事を体系づける。また全国の港湾の建築計画を立てた。特に木曽川の下流三川分流計画には10年にわたり心血を注ぎ成功させた。木曽三川分流計画にも参画。当初の二川分流案に対し、片野萬右衛門(かたのばんえもん)という老人の三川分流案の進言に感動し、三川分流に踏み切ったという。柔軟な思考ができたのでしょう。 日本中の現場にも広く足を伸ばし技術指導や助言も行う。これらの業績は高く評価され、1891年、現代の内務省事務次官に近い内務省勅任官技術顧問の扱いになる。これは「天皇から任命を受けた内務大臣の技術顧問・相談役」という立場である。
デ・レーケが指導や建設した砂防ダムや防波堤は、100年以上経過した現在でも日本各所に現存している。粗朶沈床の手法を日本に伝えた。雇い外国人としては、評価の高い人のようだ。

【三川分流(さんせんぶんりゅう)】
三川分流 以下は子供のための説明があったので載せておきます。
三川分流 明治政府(めいじせいふ)が招いたオランダ人技術者(ぎじゅつしゃ)ヨハネス・デレーケの指導(しどう)のもと、明治20年から44年にかけて木曽三川下流部の改修(かいしゅう)が行われ、三川分流がなされました。
木曽三川は複雑にからみあっていたから洪水の時はお互い悪い影響(えいきょう)を与えていました。だからこの3つの川を分流(別々に)する事が必要だったのだけど、ヨハネス・デレーケのおかげで成しとげられたのです。ヨハネス・デレーケは、木曽三川だけでなく、日本各地の河川の改修を行いました。

一本の川となっていた長良川と木曽川の間に背割堤を築いて川を分けたのです 。この工事でみんなが願っていた三川分流が実現しました。

砂防 ヨハネス・デレーケは、山林の保護(ほご)や砂防工事も大切だと考えていました。各地でオランダ式の砂防施設が造られたのが、今もその原型をとどめている所があります。
日本の川を見てその流れの激しさに驚き 「これは川ではない。滝だ」と述べたという逸話が知られています。これに関しては低地国であるオランダ出身のデ・レーケは、ゆったりした川しか見たことが無く、日本の川を見て「これは滝だ」と驚いたという説。「(日本の川が)急流なのは、大きな滝がないからだ」と言ったのを通訳が誤訳したものであるとする説の二つがあるようです。前者は、確かに日本の河川はヨーロッパと比べて短くて急です。ヨーロッパとはまた違った配慮が必要でしょう。後者は、河川に沢山ダムを造れば解決するでしょう。どうも前者ととらえた方が自然に思えるのですが。

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アスワンダム

アスワンダム アスワンダムは2つある。現在では単に「アスワンダム」と言うとアスワン・ハイ・ダムを指す。1902年に完成した古いアスワンダムは、1902年に完成し。数度にわたって拡張された。 アスワン・ハイ・ダムは、アスワン・ロウ・ダム(古いダム)の6.4 km上流に建設され、1970年に完成。エジプトの南端部、アスワン地区のナイル川に作られたダム。
アスワンダムの建設目的は、ナイル川の氾濫防止と灌漑用水の確保。しかし、1902年に作られたアスワン・ロウ・ダムだけでは力不足で、当時のエジプトのガマール・アブドゥル・ナセル大統領が、ソビエト社会主義共和国連邦の支援を受けてアスワン・ハイ・ダムを国家的事業として計画を立てる。
こうして1970年に新たに建設されたアスワン・ハイ・ダムは、堤の高さが111 m、堤の全長が3600 mの巨大なロックフィルダム。アスワン・ハイ・ダムによって出現した、表面積5250 km2の巨大な人工の湖であるナセル湖の名は、ガマール・アブドゥル・ナセル大統領の功績を讃えて命名されたもの。
アスワン・ハイ・ダムの完成によって、毎年のように起こっていたナイル川の氾濫を防止すると共に、12基の水力発電装置によって合計2.1 GWの電力が供給可能になる。またダムにより出現したナセル湖から供給される水は、不足がちだった農業用水を安定させ、周辺の砂漠の緑化も行われる。さらに、ナセル湖での漁業は活発で、豊富な水産物は重要な食料として活用されている。なお、今では、周辺の遺跡と共に、ダム付近は観光地ともなっている。
その一方で、ナイル川の生態系のバランスを破壊したなどの批判もある。ナイル川が上流から運搬してくる土砂がダムによって遮られたために、ダムの下流では河岸の侵食、さらに、ナイル川河口部の三角州への土砂の供給も減少し、付近の海岸の侵食も起きている。また、そこに生息する生物にも影響が出ており、一部地域では住民に寄生虫による病気を増加させた。さらに、ナイル川の上流から運搬されてくる土砂がダム内に堆積することによって、いずれダム湖が埋まるなどの問題も存在する。この他、エジプトが観光収入を得る観光資源ともなっている遺跡への悪影響も懸念されている。

【構造】:堤高 - 111 m:堤頂長 - 3600 m:発電能力 - 2.1 GW (175 MWの水力発電機が12基)、210万kwとなる。
*電力の「発電容量」の単位には、kW(キロワット)、MW(メガワット)、GW(ギガワット)という単位があります。
1000W=1kW、 1000kW=1MW、1000MW=1GW です。つまり、100万kW=1GWです。
発電容量とは、発電所がフルに稼動した際に、発電できる値です。日本全体の発電容量は、237GWです。しかし、実際には、発電所は常時フルの発電を行ってはいません。実際に発電した量は、「発電電力量」と言います。日本全体の発電電力量は、95~100GW(1億kW)です。

かつてナイル川の下流のエジプトでは、毎年夏にナイル川の氾濫によって洪水が発生していたが、この洪水がナイル川流域に肥沃な土壌を形成することに役立っていた。つまり、この洪水は古代からのエジプトの文明を支えてきた側面があった。
しかし、19世紀中盤にこれまでの水路を深く掘り下げて、夏運河と呼ばれる通年灌漑用の水路とすることによって農業生産高が激増した。これにより流域の人口が激増すると、ナイル川の洪水は必ずしも農業生産に不可欠なものだとは認識されなくなった。逆に、住居や農地を押し流す洪水をコントロールしたいと考えられるようになった。
ナイル川は、アスワンのすぐ南で急流が続いており、船舶の航行が不可能となっている。そのため、アスワンは古代エジプトにおいては長く南の国境とされ、ここより南はヌビアとして別の文明圏であると考えられていた。一方で、この地形はダム建設には最適であったため、上述の理由によりナイル川へのダム建設が構想されるようになると、エジプトを保護下に置いていたイギリスによって調査が行われる。そして1902年に、アスワンのすぐ南にアスワンダムが建設された。これにより治水能力は大幅に向上。それでもなおナイル川の洪水を完全にコントロールできたわけではなかったため、やがてより大規模なダム建設が構想されるようになった。結局アスワンダムだけでは不充分と結論したエジプト政府は、1952年にアスワン・ハイ・ダムの建設計画を立案。しかしその後、エジプト革命で政権交代が起こり、イギリス主導で行われていた建設計画は中止されるに至る。
ナセル 一旦は中止されたダムの建設計画だったが、ガマール・アブドゥル・ナセル大統領率いる革命政府は、ダム建設によって大きな利益を得られると踏み、さらに革命によって近代化されたエジプトのシンボルとなると計算して、計画を再開。また、建設へ向けて資金調達を始める。アメリカ合衆国が資金援助を申し込んだものの、エジプトとは敵対関係にあるイスラエルを支援するアメリカ合衆国とエジプトとの交渉は難航し、援助計画は破棄される。ナセル大統領は援助に代わる財源確保のため、1956年にスエズ運河の国有化を宣言。これはスエズ運河の権益を所有していたイギリスとフランスを激怒させ、両国はイスラエルを支援してスエズ運河の奪回を画策し、第二次中東戦争の発端となる。この戦争によりエジプトは軍事的には敗北したものの、政治的には勝利し、アラブ世界の広範な支持を得たナセル政権は磐石のものとなった。さらに1958年には、冷戦の影響もあり、ソビエト連邦がエジプトへの建設資金と機材の提供を申し出て、ソビエト連邦の企業であったギドロプロエクトが設計で協力することになる。これにより、政治的にも資金的にも技術的にも巨大プロジェクトを遂行する準備が整う。
1960年1月9日にアスワン・ハイ・ダムの起工式が行われ建設が始まる。しかし、資金面、技術面以外にも、アスワン・ハイ・ダムの建設には2つの大きな問題があった。1つ目は、ダム湖によって水没する地域の約9万人とも言われる住民の移住。結局、水没地域の住民は主にルクソールからコム・オンボの間に開かれた30の新開地へと移住させることで解決が図られる。そして2つ目は、同じく水没地域にあった、古代エジプトの遺跡群の保護の問題。当初は、ヌビア遺跡のアブ・シンベル神殿をはじめとする遺跡群は、そのまま水没させてしまう計画だった。しかし、国際社会からの批判の声が強く、最終的にユネスコから援助を受けて、巨額の費用をかけて湖畔に移築される。移築されたのはアブ・シンベル神殿だけではなく、アスワン・ロウ・ダム建設時から水没していたフィラエ島のイシス神殿や、カラブシャ神殿、アマダ神殿、ワディ・セブアなど10個ほどの遺跡も水面上へと移設する。
こうして、総費用10億米ドルをかけて1970年にアスワン・ハイ・ダムは竣工。その後、第四次中東戦争においてイスラエル軍によりペイント弾を投下された。このこともあり、2018年現在では軍事施設に匹敵する重要な防衛拠点として、軍が駐留して厳しい警備が行われている。
アスワン・ハイ・ダム 産業 アスワン・ハイ・ダムの完成によって出現した人造湖のナセル湖では、次第に富栄養化が起こり漁業が活発化。また、アスワン・ハイ・ダムの完成により、エジプト、スーダンに跨る広大な地域が耕作可能となる。1973年に起きた大旱魃の際も、周辺国で旱魃が起きても、エジプトは全く旱魃の影響を受けなかった。さらに、ナセル湖の水を湖西部北岸のトシュカより北西の低地へと送り込み、2250 km2の耕地を開発するトシュカ・プロジェクトが1998年に着工され、2003年に完成。ただ、耕作可能な場所が広がったとは言え、エジプト全体で見れば2012年現在においても食糧自給が達成されず、穀物を輸入している。
この他、ダムの建設によりナイル川の氾濫が少なくなり、穏やかな水流になった。渇水期であった冬季の水量も安定し、そのため、船に乗りナイル川を途中遺跡に立ち寄りながらクルーズするのが上流下流ともに盛んになる。アスワンからアブ・シンベル遺跡にもクルーズ船が就航し、多くの観光客を集めている。2012年現在も、観光収入はエジプトにおける重要な外貨獲得の手段の1つとなっている。

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三峡ダム

三峡ダム 三峡ダム 2020年の6月から続く長い豪雨により、中国・重慶市の水害がいよいよ本格的にヤバいことになっているとの記事があった。中国の洪水災害は常に被害が大きいらしいが、今年は特に被害が大きい模様とか。特に重慶市のある南西部。中国当局は「80年に一度の規模の大洪水」と警告を出しているくらい既に悲惨な状況らしい。
懸念されているのが、重慶市を流れる長江の下流にある三峡ダム。総貯水量は393億トンで世界的に見ればまだ上には上がいるレベルのダムですが水力発電ダムとしては世界最大。

この三峡ダムが決壊すると300億トンの津波が発生し、下流にある都市を飲み込み、被災者の数は4億人とか6億人とか言われている。どんぶり勘定でも、長江に隣接する重慶・武漢・南京・上海にまで被害が拡大するので割と現実的な予測値です。
もし本当なら、重金属に汚染された土砂がそのまま日本海に流れ込む恐れがあるので日本も無関係ではすまない。日本の漁業も泥流による日本海の汚染で大変なことになるらしい。

ということで三峡ダム決壊がどれだけヤバいのか調べた結果が以下の通りだとか。
三峡ダム(さんきょうダム)は、中国・長江中流域の湖北省宜昌市三斗坪にある大型重力式コンクリートダム。1993年に着工、2009年に完成。洪水抑制・電力供給・水運改善を主目的としている。三峡ダム水力発電所は、2,250万kWの発電が可能な世界最大の水力発電ダム。日本の原発なら1基100万kW程度だから、中国にとっても重要な電源だ。
建設前には、住民110万人の強制移住、三峡各地に残る名所旧跡の水没、更には水質汚染や生態系への悪影響等、ダム建設に伴う多くの環境問題も指摘されて来た。特に欧米各国の環境論者たちの大非難の的、現在どうなっているのか。
ダムの詳細:
ダム湖→長さ : 約570km/通常水位 : 標高175m
発電所→年間発電量 : 1,000億kWh/発電機の数 : 32基(1基の発電能力 : 70万kW)


三峡ダム決壊の危機2020:
2020年6月、三峡ダム上流の重慶市で1940年以来最大の洪水が発生し、最高水位が10~20メートルに到達。中国南部の豪雨は毎年のことだが、今年の5月末から続く集中豪雨は80年に1度のレベルらしい。6月13日の時点で多くの河川の氾濫が相次ぎ、道路や家屋、農作物に深刻な被害をもたらいる。
また重慶市の南に隣接する貴州省では洪水により少なくとも6つの県が冠水。三峡ダムでこっそり放水が行われている様子も撮影されているという。しかし、ダムが決壊する事態ならこっそり放水するのも変だ。放水すれば下流に大被害が出るので緊急事態宣言を発してなければならないはずだが。

7月10日の時点で雨量は減らず、三峡ダムでは放水しても貯水量が増える一方だそうだ。放水しても流れ込む水量の方が多い、手も足も出ない状況だとか。三峡ダムの放水が続いているため、下流域は悲惨なことになっていると言われる。中国で起こっていることの情報は外の世界にはそれほど伝わらないということか。

武漢市より下流にある「鄱阳湖(ハ陽湖)」の堤防が崩壊し、4,000平方キロメートルが浸水。今年の冬は食糧不足に陥ると書いてあります。確かに下流一帯は中国第一の米の生産地。中国の食糧不足は日本にも影響が出そう。買い占めや転売が起きたら大変だろう。

重慶市はどの省でもなく中国の直轄市。北京市、上海市、天津市と並ぶ一級行政区画。さらに下流には新型コロナで一役有名になった武漢。そして中国四大古都の一つ南京、長江の河口には中国最大の商工業都市である上海。いずれも人口1000万人を超すメガシティです。また長江沿岸には地図に載らないような小さな村が無数に存在している。重慶市よりもっと上流にあるダムも限界を迎えている模様。上流にはかなりの数のダムがあり既に満杯に近い状態らしい。

以上、恐ろしいシナリオです。最悪の事態はダムの決壊だろうから、とりあえず下流側の洪水は無視して放水を続けざるを得ないと思いますが、もし雨量が多すぎて放水して間に合わない(最大放水量≦流入量)という事態に陥ったら、ダムは決壊するのでしょうか。考えられないシナリオでもなさそう。
しかし、下流の都市は多分、ダムの洪水調節機能を加味して洪水対策を立てているだろうから、下流年の洪水被害は避けられないだろう。
日本でも洪水に被害が多数報告されているので、中国でも大雨があったことは事実だろう。この記事が反中のデマではなさそうなので、注目していく必要がありそうだ。

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水力発電

水力発電の発電量について考察してみよう。高い所(上池)にある水を低い所(下池)へ落下させる。位置エネルギーを運動エネルギーに変換する。
水力発電 適当な基準面を取って、上池水面までの高さをH1、下池水面までの高さをH2としよう。H=H1- H2が落差と言われるものだ。
上池と下池は丈夫な鉄管で連結されており、下部には発電のタービンが設置されている。鉄管の断面積はa(m2)として、流れ込む流量をQ(m3/s)としよう。流れの連続性から、管内の流速は上から下まで一様で、v=Q/a (m3/s)となるはずだ。
発電量は、一般に次のように算定されている。
単位時間(1秒間)に位置エネルギーとして流入する量、質点ならE=mghだったが、水は連続的に来るので単位時間で考える。単位時間に流れ込む質量はρQとなる。ただし、ρは水の密度(1000kg/m3)、単位時間当たりのエネルギーはパワーPになる。
P=(ρQ)gH、発電に際しては若干のロスがあるので、100%は、利用できない。効率としてη(一般にη=0.8~0.9とするらしい)をかけて、発電量は見積もられる。
   P=ηρQ gH …(1)
例として、η=0.8、ρ=1000kg/m3、g=9.8m/s2、H=100m、Q=100 m3/sとしてみると、
P=0.8×1000kg/m3×100 m3/s×9.8m/s2×100m=7.84×107 kgm2/s3 =7.84×107 W
1ワット→1W=1 J/s=1 kg・ms-2・m/s=1 kgm2/s3
であるから、確かに計算結果は電力の単位ワットになっている。
1 kW=1000W、1 MW=106W、だからP=78,400 kW=78.4MW

電気の専門書では、発電量の計算は、P{kW}=Q{m3/s}×g{9.8}×H{m}と表示されています。数字を代入すると直ちに答えが出るのですが、単位が合わないことに気がつきますか。
しかし、本当に水の位置エネルギーを効率η=0.8~0.9とそんなに効率良く電力に変えられるのでしょうか。電力を抽出された川の水の流れはどうどうなるのでしょうか。まだ、鉄管の太さも中の流速も分かっていません。実際には鉄管内にはタービンが設置されており、回ったタービンは更に発電機を回さないといけません。

まず、こんな時に有力なツールとして、ベルヌーイ(Bernoulli)の定理がある。流管内では、下記の値が保存されるというものだ。3つの項は、速度水頭、圧力水頭、位置水頭と呼ばれる。各々の項は長さの単位となっているのが土木的(河川工学)な表現。

    (1/2g)u2+H+z=一定…(2)
これを図のA点とE点に当てはめてみよう。
H1=(1/2g)u2+H2 …(2) →v=√(2gH)、H=H1- H2
v=√(2×9.8×100)=44.3m/s、a=Q/v=100 m3/s÷44.3m/s=2.26m2
(π/4)D2=2.26m2、から D=1.67m、
鉄管の径は1.67mの大口径、流速は44.3 m/sと相当速い。
ただこの計算は鉄管路の中にタービンが設置されていることを全く無視している。この時、下池の出口では、(1/2g)u2=H1-H2となっているので、位置エネルギーはそのまま運動エネルギーとなって全く仕事をしていない。タービン(水車)を回すために仕事を考慮しなければならない。多分タービンを回すために最終的な出口の流速は遅くなっているはず。ということはタービンがない時よりも流量も減っているはずです。この効果が効率ηに含まれているのでしょう。効率ηを考慮した落差を有効落差としています。

上の図でタービンの前後での水圧を考えて見ましょう。pC/w=H、pD=0(大気圧)、圧力も水頭表示です。
ここでまた、ベルヌーイを使うと、 H+(1/2g)u2=He+(1/2g)u2 となってしまします。Heは、タービンで消費されるエネルギーと考えられます。このようにタービンが作動すれば位置エネルギーは100%利用できることになりますが。

技術開発のお話
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北陸新幹線浸水

台風19号では長野市の車両センターにあった北陸新幹線の10編成120両が浸水。うち2編成はJR西、8編成はJR東が保有。ともに「廃車に向けた手続きを進めている」そうだ。 台風19号の影響で車両が浸水被害を受けた北陸新幹線は25日、東京―金沢間で直通運転を再開した。鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏は「車両を事前に避難させた例は過去にもある。運転に欠かせない作業車を守るために、基地の浸水対策も必要だ」と指摘している。

分別回収 新幹線車両は走行や車内サービスに必要な機器の多くを床下に搭載している。これらは電子機器の塊であり、泥水につかった機器は全滅で再利用は不可能だ。また水没した自動車はいくら洗っても臭いがとれないと言われるように、浸水した座席をはじめとする車内設備も全て交換が必要になるが、これらの大規模な工事を現地で行うことは困難であるため、10編成は廃車となり、代替の新車を製造することになるとの見方が有力だ。

両社が10月末に発表した中間決算によると、全10編成を廃車にした場合、減価償却費を差し引いた損害額はJR東が約118億円、JR西が約30億円。JR東は8編成とも新造する方針で、通常の製造費とされる1両約3億円で計算すると、JR東だけで288億円がかかる見込みだ。

今回の台風がもたらした被害の1つの象徴として、さまざまなメディアで報じられた長野新幹線車両センターの浸水。多数の新幹線車両が水没している映像は多くの人に衝撃を与えた。浸水したのは北陸新幹線車両全体の3分の1にあたる10編成で、はたして全線再開後もこれまで通り運行できるのかという心配を与えた。

車両だけではなく浸水により確認車車庫・車輪研削庫・臨時修繕庫・仕交検査庫、車両センターの変電所も水に浸かったそうだ。列車が走る本線も浸水したほか、架線に電力を供給するための施設も被害を受けたそうだ。

しかし、JRの虎の子、新幹線車両が、何も抵抗もせずみすみす浸水してしまった事態が全くの驚きだ。新幹線車両はレールの上を自走できる。つまり、事前に避難するチャンスはいくらでもあったはずだ。株主に対してどう説明するのだろう。ニュースで早めに避難が推奨されているとき、JRの人達は一体何を考えていたのか不思議だ。どのように説明するのだろう。

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プラスチック廃棄物

一般の日本の団地の住民は、プラスチック製品はゴミ回収の際に分別回収をしているので自分は環境汚染に関係が無いと信じているかもしれない。でも、ゴミ焼却場の近隣には、プラスチックのリサイクル施設がある訳ではないし、どこか知らない所へ運ばれていることだけは薄々感じていたかもしれない。
年間およそ150万トンのゴミが海外に輸出されていると知っている人はどのくらいいるだろうか。150万トン÷1億人=150×107kg÷108人=15kg/人となり、日本人一人当たり年15kgもの廃棄物を海外に押し付けていることに。ペットボトル1本ならせいぜい1本5g程度。ペットボトルなら一人当たり年3,000本相当だ。1日8本もペットボトルで飲み物を飲んでいるんでしょうか。
分別回収 私たちは日頃から、ペットボトル飲料、コンビニ弁当の容器、レジ袋、洗剤の容器など、多くのプラスチック製品に囲まれた生活をしている。同時に、大量のプラスチック廃棄物を出している。今、そんな生活を見直すべき時がきている。
2019年5月11日、スイス・ジュネーブで開催された国連環境計画(UNEP)の会議で、プラスチック廃棄物の輸出を制限する条約、「有害廃棄物の国境を超える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」(以下、バーゼル条約)の改正案に日本を含む180カ国近くが合意した。
これにより、日本にある大量のプラスチック廃棄物が行き場を失うことになりそうなのだ。 ここ数年、世界中で脱プラスチックの流れが加速。日本も、プラスチック廃棄物の処分方法について見直しが迫られている。
私たちが普段、何気なく捨てているプラスチックごみ。それらは国内で正しくリサイクルされ、再利用されていると思っている人もいるかもしれないがそうではないらしい。 実は日本は、プラスチック廃棄物の多くを、リサイクルとして海外に輸出しているらしい。これはアメリカも同じ。その数は、日本では年間およそ150万トンに及ぶと推定されている。リサイクル処理には手間がかかるため、その人件費を日本では捻出できないことから人件費の安い海外に輸出しているのが現状です。つまり、「日本はプラスチック廃棄物の処理を海外に押し付けている」のが現状らしい。

主な輸出先であった中国は2018年、工業由来の廃プラスチックの輸入を停止しました。中国も最初は儲かったんでしょうか。経済成長と共に中国国内のゴミも増えたので処理が追い付かなくなったこと。もうひとつは、環境汚染に繋がっていたことです。プラスチック廃棄物の多くは、食べ残しが付いていたり、実際には資源としてリサイクルしにくいものばかりなので、業者は不法投棄をしたり、有害物質を焼却したり、海に流出させていました。それによって深刻な環境問題が起きていました。これは中国に限らず、他の国でも起きています。
中国に輸出できなくなった日本は、タイやマレーシア、ベトナムなど、同じく人件費の安いアジアの国を中心に輸出をするようになった。しかし、それらの国でも輸入規制は進みつつありもう受け入れてくれそうもない。
そんな中、今回のバーゼル条約の改正により、「日本が今後、プラスチック廃棄物の輸出をすること自体が事実上難しくなる」ようだ。今回の改正により、汚れたプラスチック廃棄物について、輸入国政府の同意がなければ輸出できなくなる。また、日本と同じレベルの処理体制でないと輸出ができなくなります。だったら日本国内でやれとなる。
現在のプラスチック廃棄物の多くが食べ物の残りカスなど汚れたプラスチックであり、また、現在輸出している国々の中には日本と同じレベルの処理体制である国はほぼないことから、今後の日本では、多くのプラスチック廃棄物が行き場を失うことになるのです。

プラスチック廃棄物 プラスチック廃棄物が正しく処理されないことによる環境問題の中でも、かなり深刻な問題が、海洋汚染です。プラスチックは自然分解されないので、海に流出したプラスチックは、紫外線などにより微細なマイクロプラスチックとなり、海洋全体に漂い続けています。それにより、小魚などに取り込まれ、生態系に悪影響を及ぼしている。実際に太平洋の孤島ガラパゴス諸島の海岸でも日本語や韓国語のラベルがついているプラスチック容器が流れ着いている。だから、ペットボトルの回収では、ラベルを剥がして蓋を外すように言われるのでしょうか。近年、魚介類からマイクロプラスチックが検出されたと話題になったのも、こうしたプラスチック廃棄物の処理方法に問題があるからだという。
プラスチック廃棄物による様々な環境問題に対して、輸入規制と同時に世界中で進んでいるのが、“脱プラスチック”の流れだ。「そもそもプラスチック製品自体を使わないようにしよう」という動きである。
2018年、アメリカの大手コーヒーチェーン・スターバックスが、2020年までに世界中の全店舗で、プラスチック製の使い捨てストローを全廃すると発表したことは記憶に新しい。 世界中で、プラスチックレジ袋の有料化もしくは使用禁止、公共施設におけるペットボトルの販売禁止、プラスチックストローの禁止、もしくは紙や天然素材で代用するなどの動きが加速している。
自治体や町内会ではプラスチックゴミを分別回収するように指導しており、大抵の人達はこれがリサイクルされて新しい製品になると信じている。分別回収で一般ゴミの量が減らせるので、ゴミを焼却する際にでるCO2の排出量を減らせると宣伝されているのでしょう。でも、海洋に投棄されたプラスチック塵を失くすにはどうすれば良いのでしょう。結局多大な労力を投資して掻き集め、最後には焼却する以外には処理の手段がないのが現状です。これが分別回収の実態です。 どうも、ペットボトルは一般ゴミと一緒に燃やしてしまうのが最善の方法みたいだ。ペットボトルで1本の重さはせいぜい5g程度。ペットボトルの中身はほとんどが空気(1/5は酸素)です。湿った生ゴミと一緒に燃焼すれば処理場で必要な燃料用の重油を大幅に節減できます。この方がよっぽど地球温暖化防止に貢献できるでしょう。燃やせば処理できるものを野ざらしで放置しておくことはある意味、犯罪です。

プラスチックは、燃やす以外に処理する方法はまだ見つかっていません。リサイクルできると言ってもせいぜい質の悪い安価な土建材料にしかならないので誰も本気で技術開発などしてないのが現実。しかし、世間ですぐに問題とされるのプラスチックゴミでも、ペットボトル、レジ袋、ストロー等、小さなもので消費者に直結するものばかりだ。燃やしてしまえばほとんど何も残らない。何故焼却処理しないのでしょうか。分別回収という行為が一種の免罪符となっているからではないでしょうか。意味のない分別回収はやめて、しっかりと焼却し残骸が残らないようにすべきです。地球温暖化や地球環境が心配なら、もっと効果の大きい所から実施すべきでしょう。

【バーゼル条約】
2017年末の中国による使用済みプラスチック等の輸入禁止措置を契機に、世界的に大きな問題となっているプラスチックごみ。このたび、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(以下、バーゼル条約)第14回締約国会議(COP14)(2019年4月29日~5月10日)にて、さらに「汚れたプラスチックごみ」の輸出規制が強化されることとなりました。

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農薬

農薬は歴史的には戦争用に開発された毒ガスを転用したもの。土壌燻蒸剤等として土そのものを消毒、あるいは殺虫剤として広く使われている。基本的には人体にとっても極めて有毒。生態系にも多大な悪影響を与える。出来れば使用しないに越したことはない。

朝日新聞にクロルピクリン (chloropicrin)という農薬の被害が続出しているとの報告(2020.1.20)があった。最近農家人口が減っているせいか、あまり話題にされていなかったようだが、農業の現場で働いている人たちにとっては大問題だ。しかし、残留農薬や土壌汚染の問題を引き起こし結果的には国民の健康にも多大な影響を与える。

沈黙の春 1962年に出版された世界的な名著レイチェル・カーソンの『沈黙の春』でも化学物質浸けの農業の環境に対する危険性が指摘されて以降も、それほど事態は改善されていないのかもしれない。
そもそも、米国(他の農作物輸出国も)は大規模なモノカルチャー農業が基本で、大きな土地に機械を使って大量の化学物質を投入し人手をかけずに生産するスタイルだ。種子も肥料も殺虫剤も化学メーカーがプログラムを組んで、作業をマニュアル化し、農家はそれに従うだけ。化学メーカーが主導権を持っている以上、農薬の使用が減る道理が無い。

クロルピクリンは危険な気体を発生し、人体にも危険、しかも大気中に拡散。CO2のように安全な気体ではないし、大気中にも残留蓄積していく。クロルピクリンについてGoogleで検索してみる。農水省、厚労省、環境省などのサイトは使用法のマニュアルを守って安全に使って下さい。クロルピクリンの危険性を警告したサイトは見つからない。基本的スタンスは病虫害に被害を防ぐため使わざる得ないでしょうということ。

日本は食料には高い関税をかけ、日本の農業を守って来た。いま、日本の政府に求められているのは食料の自給率ではなく、食の安全ではないのだろうか。食の安全の中には当然農家の安全も含まれる。有機農業が盛んに喧伝され、バイオテクノロジー研究も進んできた今、 脱化学薬品、脱農薬の進展を進めて欲しいと思うのですが。

クロルピクリン **クロルピクリン (chloropicrin) は、メタンの水素3個が塩素に、1個がニトロ基に置き換わった構造を持つ有機化合物。常温ではいくぶん粘性のある無色の液体で、刺激臭を有する。水には難溶。蒸気は空気より重く、その相対蒸気密度は 5.7 。衝撃または熱を加えることにより爆発する可能性がある。光や熱などで分解して塩化水素や窒素酸化物など極めて有毒な気体を生じることから、取り扱いには厳重な注意を要する。 見るからに有害そうだ。そもそも第一次世界大戦中に窒息性毒ガスとして開発されたものだそうだ。
【追記】
何故、農家は農薬を使うのか。大規模なモノカルチャー農業だからか?有機農業と言うものは普及しないのか。農薬と言ってもここでは化学肥料も含まれている。DNA組換えの種子なんかもより大きな問題のようだ。本来命を育む農業の分野に資本主義の工学の原理を無理繰り適用することに諸悪の根源がありそうだ。つまり、農薬会社は、環境問題などお構いなしに、大量の農薬を安く作り大量に売り込むだけのことしか考えていない。 環境と言うものは多様な生物の複雑な連鎖で成立している。それを要素に分解破壊して、工学の論理一辺倒で突き進めば、どんな環境だってサステイナブル(持続可能)になる訳がないことをしっかり認識すべきだろう。 (2021.06.06)

技術開発のお話
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トリカヘチャタテ

お堅いイメージをもたれがちな日本ですが、オモシロ分野でも大活躍しているのは大変結構なこと。2017年、イグノーベル賞を日本人が受賞したのは、生物学賞だとか。その主役になったのが、この極めて珍しい生物!トリカヘチャタテというらしい。
交尾の際にはオスが上に乗っている生物が多いですが、この昆虫ではそれが逆。上に乗ってがっちりホールドしているのがメスで、捕らえられているのがオス。でも、この昆虫の凄いところはそこではありません。なんと、メスがオスに陰茎(要はオチンチン)を挿し込んでいて、オスがそれを受け入れています。そう、この昆虫では、交接器が雌雄で逆転しているということらしい。しかも、オスは精子を渡すときに、一緒に栄養になる成分もメスに一緒に渡しているらしい。メスは、卵を成熟させる際にその栄養分を消費しているとのこと。交尾しているというか、三日三晩かけてじっくり搾り取られてるというか。面白い。
イグノーベル賞は、面白いだけではなく、考えさせられるような研究に贈られる賞。この研究も、下品だという前に事実だから面白い。この研究の意義は、「性別ってどうしてあるんだろう」と考えさせるところがいい。受賞した吉澤さんは、「世界中の辞書を書き換えてしまうかもしれない発見だ」とも言っています。
オスとメスがいる生物を見ると、オスだけ派手だったり(クジャクなど多くの鳥類など)、オスがケンカして勝った者だけがメスを独占したり(ライオンなど多くの哺乳類)、捧げ物をしてメスの気を引いたり(ガガンボやオドリバエなど)と、メスの獲得にがんばっているオスが多くみられます。
これは、産卵や妊娠・育児が大変なメスにとっては、良い子供を残せるように優秀なオスを相手に選んだ方が有利だから、オスはがんばらないと相手にしてもらえないのだ、という風に考えることができます。
トリカヘチャタテ 今回のトリカヘチャタテでは、オスを逃がさず何日も捕まえておく仕組みがメスに備わっています。そして、精子を受動的に待たず、陰茎を挿入することで能動的にオスの体内から精子を獲りに行きます。この種では、繁殖相手を捕まえておくがんばりは、メスが担っているんです。

どうしてこんな逆転が起こっているのかというと、オスから精子と一緒に渡される栄養分が原因だろうと考えられています。彼らが住んでいるブラジルの洞窟は、かなり乾燥しており、栄養になるものはコウモリの糞や死骸くらい、という厳しい環境なのだそうです。そんな栄養の限られた環境で、卵を作る栄養源を供給しているのがオスなのであれば、オスが子孫のために使うエネルギーの割合が多くなります。するとオスも気軽に下手な鉄砲を打てなくなって、オスがじっくりメスを見定めたり、希少なオス(の栄養分)をメスが奪い合ったりする、とそういうお話です。
トリカヘチャタテ(Neotrogla)はコチャタテ亜目に分類されるトリカヘチャタテ属の昆虫である。トリカヘチャタテは、性の役割と生殖器の形状が他の生物と逆転しており、その形質はトリカヘチャタテ属のすべての種に共通している。和名は、男女のきょうだいが性別を入れ替えて育てられる古典文学「とりかへばや物語」に由来する。

トリカヘチャタテ 生息地
トリカヘチャタテはブラジルの乾燥した洞窟で見られる。主にバットグアノ(どうも蝙蝠の糞らしい)を食料としている。
ノミと同じぐらいの大きさ。雌雄ともに足根に毛があるが、雌のは著しく長い。トリカヘチャタテには分岐した後翅と茶色の前翅がある。
逆転した性別の役割
トリカヘチャタテのメスはgynosomeと呼ばれるペニスのような器官を持つ。メスは積極的に仲間を探す一方、オスは選択的である。交尾中、メスはオスに抱きつき、後ろから小さな生殖器の開口部を貫通する。メスのgynosomeは大きくなり、gynosomeにある小さな棘により個体がしっかりと固定される。研究者が交尾中の個体を分離しようとしたら、オスは2つに引き裂かれ、生殖器官はメスに付着したままになった。交尾中、メスはオスから精子と栄養を含んだ精液を抽出するために、gynosomeを使用する。1回の交尾は40〜70時間続くことがある。

オスとメスの性器の逆転は、洞窟環境下の栄養素の欠乏によって説明できる可能性があり、メスがオスから栄養素を抽出することは進化的に有用である。昆虫の交尾行動の研究を共著した昆虫学者の吉澤和徳によれば、メスのトリカヘチャタテは、たとえ生殖適性期前であっても、オスから精液を抜き出す。もし、オスが限られた資源の大半を栄養豊富な液体の生産に費やすならば、なぜ、オスが自分のパートナーを慎重に選ぶのかを説明する助けにもなる。他の昆虫のオスは、交尾のときに栄養素のような「nuptial gift」を作ることが知られている。メスにあるペニスのような器官の進化的起源は完全な謎である。吉澤は「通常、新しい構造は以前の構造の改変として進化している」と説明する。このような適応は、オスとメスの生殖器の構造が同時に変化する必要があるため、「例外的に困難」となるだろう。

メスがオスに生殖器を挿入する種は、タツノオトシゴのように数種知られているが、メスがペニスのような明確な器官を持っているのはトリカヘチャタテのみである。また同様に、性別の役割が逆転した例は、他のいくつかの動物に記録されている。トリカヘチャタテは、両方の特性を持つユニークな種であるようである。吉澤によれば、動物は、進化において性と性的選択の役割を研究する独特の機会を提供している。吉澤は、多くの性役割が逆転した動物の中で、なぜ、トリカヘチャタテのメスだけがペニスのような器官を精巧に進化させたのかを明らかにすることが重要であると述べている。2017年、吉澤和徳、ロドリゴ・フェレイラ、上村佳孝、チャールズ・リンハードは、トリカヘチャタテの研究の功績によりイグノーベル賞生物学賞を受賞した。

分類学的歴史
トリカヘチャタテは、生態学者であるRodrigo Ferreiraによって発見された。2010年に、昆虫学者であるチャールズ・リンハード(Charles Lienhard)が、新属に分類し、Neotrogla brasiliensisをタイプ種とした。それまで、Speleketorinae亜科の下位分類であるSensitibillini族の生物は、アフリカのみ生息が確認されていたが、この発見により、初めて新世界での生息が確認された。トリカヘチャタテは南アフリカに生息するAfrotrogla属に密接に関連している。
【追記】
生物における性の分化。多細胞生物が出来てその後、いや単細胞生物にも性の差はあるのか? 本当に摩訶不思議な世界だね。何しろ長い歴史を辿っている。ヒト社会での男女同権論も生物達が辿って来た歴史をきちんと踏まえているのだろうか。欧米に比べて日本は遅れている? ほんとかね。オリンピックの森喜朗会長の差別的発言?米バイデン大統領は女性の地位向上のため副大統領に女性を選んだ?単なる政治闘争に利用されているだけでは? (2021.06.06)

技術開発のお話
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ダスト・シュート

高層建築物に設置するごみ棄て装置。各階で投入されたごみはチューブ(縦管あるいは縦につながった空間)を通して下に集積され運び出される。 ダスト・シュートと言う言葉自体は、和製英語。英語では"Garbage chute"または"Rubbish chute"という。

ダスト・シュート 実は、この言葉、たまたま家でゴミ出しをしていた際に思い出した。20年以上前になるが駐在員として3年ほどシンガポールに一人暮らししたことがある。高層マンションであるが、考えて見るとゴミ出しで苦労した覚えは全くない。いらなくなったものは、部屋の片隅のゴミ投入口からポイでさよなら。分別やゴミ処理は地上の出口で清掃作業員たちがセッセと働いている。実はこの頃日本でも大規模な高層住宅など既に導入されていたようだ。住民に取ってはある意味合理的で近代的なシステムとも思われるのだが、現在の日本では廃れてしまったか?
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日本では、昭和40年代初めまで大規模なオフィスビル、公団住宅、マンションといった高層の集合住宅や学校に設置されていた。衛生上の問題、またさらなる高層化やゴミ分別問題の可視化に伴い、廃止されるようになっていった。そのうち、学校では木造校舎から鉄筋コンクリート校舎への立て替えが進んだ際に導入された所も多いが、後年には生徒が転落事故を起こした場合の学校への責任追及を避けるため、投入口をふさぐ処置を施した所がほとんどである。欧米では、まだ使われていることが多い。またダスト・シュートが原因で起こった火災がある。(京都国際ホテル火災など)
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ダスト・シュートが採用されなくなったのは、日本だけの特殊事情なのか。欧米では将来どうなるのだろうか。SF的な発想から見ると未来社会は寧ろこちらの方に移行して行ってもいいような気もするが。チョット検討してみよう。

1. 衛生上の問題
住民に取っては、衛生上の問題は皆無どころか理想的な環境ようだが? 問題が生じるとしたら処理を行う作業員の健康被害だろう。
もし、この点を改善したいのなら処理作業のロボット化等が課題だろう。
ただ、高層階の住民は良いかも知れないが、地上近くでは生ごみの悪臭。取り残しのゴミの飛散等公害の恐れも。
2. 高層化に伴う問題
高層の部屋から落ちて来る粗大ゴミは落下速度が増大し、落ちたら粉々に。爆発物でも混入していれば大惨事に。また、バラバラにされた幼児の死体でもビニール袋に混入していたら、誰が犯人かの特定も難しい。
3. 犯罪の温床に?
という訳で、ごみの排出者の社会的責任を問うことが大変困難になって来る。物流などの宅配システムは社会の動脈として機能するが、廃棄物の処理も静脈として非常に重要な役割を担っている。ごみの排出者の社会的責任は今後極めて重要な要素になるが、経済優先の社会では後回しにされて来た感がある。この排出者の社会的責任を無視し続けるならば、将来様々な犯罪的事態が生じることを防止できない。

しかしながらダスト・シュート方式は、将来の廃棄物処理の問題を解決する上では無視できない要素を含んでいる。処理業者の健康や社会的差別を無くすには、作業のロボット化もっ可能だろう。また、ダスト・シュート方式を取り入れるにしてもある程度の分別処理も不可能ではない。超高層住宅では、ゴミ処理のため高層階から地上まで人が毎日往復することは至難の業であろう。本当に無駄な技術かどうかはマジメなしっかりした検討を積重ねて行って欲しい。
スモーキィ・マウンテン ただ廃棄物処理を考える上で、無視できな大きな課題を忘れてはならない。フィリピン等に存在するスモーキィ・マウンテンの存在だ。都市部や先進国から輸入されたゴミの山に生活の糧を求める貧困な人々が存在することだ。富裕な人々から見れば単なるゴミでも、貧しい人々から見れば資源と回収できる有用なものが含まれている可能性がある。例えば、先進国から出される大量のプラスチックごみ。

技術開発のお話
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フラッキング技術

フラッキング 水圧破砕法(Hydraulic fracturing)は、地下の岩体に超高圧の水を注入して亀裂を生じさせる手法である。高温岩体地熱発電や、シェールガス・タイトオイル(シェールオイル)の採取に用いられている。 天然ガスや石油の掘削の際は、特殊な砂粒(プロパント proppant)や、酸・防腐剤・ゲル化剤・摩擦低減剤などの化学物質を添加した水が使われており、フラクチャリング流体(fracturing fluid)またはフラッキング水(fracking water)と呼ばれている。

化学物質による地下水の汚染、大量の水使用による地域の水不足の可能性、排水の地下圧入による地震発生の危険性といった問題点が指摘されている。ただ米国が石油輸入国から一躍輸出国に転じた立役者でもある、シェールオイルの採掘に不可欠なこの技術が不可となれば、米エネルギー産業にとって大打撃となる。

次期米副大統領候補のマイク・ペンス氏とカマラ・ハリス氏は7日夜の討論会でフラッキング(水圧破砕法を使ったシェールガス・石油の開発)について論争を展開し、過去10年間続いてきた議論をさらに拡大させた。  フラッキングは、気候変動問題を巡る広範な議論の中心的要素であり、石油・ガス業界と環境保護運動家たちの間で継続して対立の元となってきた。地下の見えない地層を破壊することは、今までになかった環境破壊を引き起こす可能性は以前から指摘があったが、米国はそれを無視して開発を続けて来た。他の国でこれに追従する国は出て来ないようだ。

 フラッキングとは、泥質岩の一種である頁岩(シェール)の層から石油・天然ガスを抽出する技術だ。ある種のフラッキングは過去数十年にわたって利用されてきたが、現在ではフラッキングという言葉は主に、「水平掘削型の水圧破砕法」と呼ばれる特殊な技術のことを指している。

ここ数年、「シェールブーム」という言葉をよく耳にするようになりました。アメリカでは、フラッキング(正確にはハイドロ・フラクチャリング/水圧破砕法)と呼ばれる採掘法を用いて、従来の方法では採掘することができなかった層にあるシェールガス/シェールオイルの採取が可能になり、国内の原油生産量が大きく伸び、長年の課題であった原油を輸入に依存する体質が改善され、ついには海外への原油輸出を開始する法案が可決されるまでに至りました。日本にもアメリカから天然ガスを輸入する計画があります。

この採掘法は、シェール層(頁岩層)の岩盤に人工的な割れ目(フラクチャー)を作ってそこに大量の水と化学薬品を流し込んでガス/オイルを採取する技術で、通常は深さ2000メートルから3000メートルの坑井を掘り、そこから水平方向に2000メートルから3000メートルの坑井を掘ることで、従来の原油とは違う場所に閉じ込められているガスやオイルを採掘します。
シェールブームが盛り上がりを見せ、原油生産量が伸び、電気代やガソリン代が安くなるなどの利点がある一方で、様々な問題が表面化している。

フラッキング 1. 大量の水を使用
米環境保護局によると、2010年に約3万5千の油井でフラッキングに使用した水の量は、約700億から1,400億ガロン(約2,650億リットルから5,300億リットル)で、これは40から80の人口5万人の都市が使用する水の量にあたる。そして、これらの水は貯留水や地下水を汲み上げ、トレーラーによって運搬されるため、ローカルコミュニティの水不足や大気汚染、道路状況の悪化、交通事故の増加にも繋がる。

2. 砂とプロパント原材料の掘削
フラッキングで頁岩層に作った割れ目が塞がるのを防ぐために使用されるプロパントと呼ばれる支持材の原料となる砂等の掘削による環境への影響が懸念されている。

3. 有毒化学薬品の使用と情報公開義務の欠如
フラッキングに使用される約600種類にものぼる化学薬品には毒性のあるものが含まれており、人間や生物に悪影響を与えることで知られています。また、ほとんどの州で、企業はそれらの化学薬品の情報を公開する義務を負っておらず、州によってはフラッキングを行うことを周辺住民に知らせる義務すらない。

4. オイル漏洩による地表水と土壌の汚染
他のオイル掘削と同じく、フラッキングによるシェールガス/オイルの掘削にも漏洩事故は付きものです。ピットと呼ばれる採取した混合液を一時的に貯留しておく人工池からの流出や、パイプラインからの漏洩事故による川や土壌の汚染が後を絶ちません。

5. 地下水汚染
フラッキングの油井は地下水脈よりも深い場所まで掘削してコンクリートで固め、そこに管を通してシェール層に作った割れ目に化学薬品と水の混合液を注入するのですが、そのいずれかの過程で地下水脈に化学薬品が混入していることが疑われるケースが見受けられる。

6. 大気汚染
フラッキングに使用されるベンジンなどの揮発性の高い化学薬品や、フラッキングによって発生するメタンなどによる大気汚染が、周辺住民の健康問題に発展しています。また、油井掘削時に発生する細かい砂の粒子による大気汚染とそれを吸入した周辺住民の健康問題も起こっています。

7. 騒音・振動による被害
油井掘削時の騒音と振動で日常生活を送ることができず、それが原因で病気になったり引っ越しを余儀なくされるケースが報告されています。

8. 廃液処理
ガスやオイルを抽出後、フラッキングに使用した大量の水と化学薬品の廃液の25%から100%は、そのまま油井に戻され放置されています。

9. 地震
近年、フラッキングを行った後の油井近辺で多数の地震が発生して問題となっています。今のところはまだ大きな地震には繋がっていませんが(最大でマグニチュード4.6)、このままこの問題を放置すると最大でマグニチュード7クラスの地震に繋がる可能性があるとも言われています。

フラッキング問題は、現在連邦政府も州政府もエネルギー国家安全保障と企業の利益を優先させているため対応が鈍い。しかし、地球環境に多大の影響を与える問題の極めて多い技術らしい。企業と多くの州政府はこれらの問題の多くとフラッキングとの関連性を意図的に否定している。しかし、今後 典型的な環境問題として、今後さらに市民や非営利団体、地方都市を巻き込んで州政府や連邦政府と対立を深めていくことが予想されます。民主党のバイデン候補は、はっきりとフラッキングを止めさせると明言してしまった。これは彼にとっての大変な失言と受け止められている。しかし、こうなるとシェールガス産業は将来危ない。

シェールガス採掘技術は、どうも政府の補助金で何とかやり繰りされているので、中東の原油等と比べると明らかに採算が悪い。ある意味、政治的色合いに強いフェイク技術なのかもしれない。つまり、いずれ破綻する技術。シェールガス会社の多数が破産することになれば、リーマンショックの二の舞。世界経済にも大きな影響を。中東やロシアが原油価格を低迷させているのも、シェールガスを破綻させる目的もあるらしい。米国側の説明は、シェールガスによるオイルの増産でロシアが困ると説明しているが。

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電気自動車たま

たま 【航空技術者が手がけた電気自動車】
「たま」は、戦前の立川飛行機から派生した「東京電気自動車」が開発した電気自動車です。「東京電気自動車」は、中島飛行機から派生した「富士精密工業」と合併し、「プリンス自動車工業」となり、さらに1966年に「日産自動車」と合併した。「たま」が登場した1947(昭和22)年当時の日本は、終戦直後で物資や食糧だけでなく、深刻な石油不足に見舞われていた一方で、家電製品はまだほとんどなく、また工場も破壊され、大口電力需要者もいなかったため、電力供給は余剰気味であった。このような状況下で、政府も電気自動車の生産を奨励し、未経験の領域ながら「日本を戦災から一日も早く復興させたい」という情熱で、同社の技術者たちは持ち前の技術を新時代の移動や物流を担う「自動車」の開発に発揮したのであった。 早くも1947年には乗用車タイプのE4S-47 型とトラックタイプのEOT-47を発売。「たま」のブランド名は工場のあった多摩地区から命名された。
先端技術を搭載した「たま」は、1948年、商工省(現・経済産業省)主催の第1回電気自動車性能試験で、カタログ性能を上回る航続距離96km、最高速度35km/hという当時トップクラスの性能を記録して注目を集め、1949年には中型の「たまセニア」(EMS-49 I型)を追加し、1951(昭和26)年頃までタクシーなどで活躍した。
つまり、日本にはこんな素晴らしい電気自動車の歴史があったんですね。量産化に成功した電気自動車が倒産に追い込まれた第一の原因は、朝鮮戦争の勃発で、鉛の需要(砲弾等)が急増し鉛の入手が困難になり、蓄電池が造れなくなったことらしい。朝鮮特需の裏腹にこういう悲劇もあるんですね。更に追い打ちをかけてのガソリン価格が超低価格の時代に直面してしまうんですね。 これらの要因は日本経済を高度成長につなげる要因にもなっていました。重化学工業に特化して、大量生産低価格で輸出しまくる。造れば造るだけ売れたんだから、ガムシャラに作れば良かった。電気自動車で培った技術はガソリン車にも生かされたんでしょう。

今、石油資源の枯渇、価格の高騰と大気中のCO2濃度の増加から電気自動車が見直されています。電気自動車を走らせるにもエネルギーは要りますが、水力発電等の化石燃料を使わない方法もある。となれば今はガソリン自動車にとって逆風だ。中国、インドを含め今後発展する国の目は明かに電気自動車にシフトしている。

技術開発のお話
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自動車の無い世界

自動車の無い世界を想像してみよう。
【危険な乗り物】
交通事故  自動車はとても便利な物だ。だけと大変危険なものでもある。世界中で毎日、大勢の人が交通事故で命を落とし障害を受けている。戦争で亡くなる人の数より多分ずっと多いだろう。自動車と言うものは危険な乗り物との認識が必要だ。
右のグラフは、2018年に日本の警視庁がまとめだ死亡事故で失われた命の数。警視庁はこれを「交通安全教育や取り締まりなどに取り組んだ結果」としているが本当だろうか。
ドライバーの高齢化や若年層の貧困化による車離れ、経済の停滞などから実際に走っている車の数が減ったことが最大の原因だろう。なお、この統計では「死亡者」とは事象発生から24時間以内に死亡した人数を指す。
事故 世界の各国の自動車1万台当たり交通事故死者数が分かっている。日本は(0.64人)、アメリカ(1.23人)、ドイツ(0.70人)、イギリス(0.53人)、フランス(0.88人)、スウェーデン(0.52人)、オランダ(0.54人)、韓国(2.93人)となっている。日本も1990年頃までは現在の2倍以上だった。英国のスミード氏が提唱する「スミードモデル」によれば、自動車保有台数当たりの死者数は車の普及率が上昇するに従って少なくなると指摘している。 それはそうだ。台数が増えれば1台当たりの事故率は減る。また、高齢者ドライバーがが増えれば高齢者の事故が増えるのも当然。昔は高齢者の方が慎重なので事故が少ないと思われていたはずだ。

大気汚染 【大気汚染の元凶】
自動車は大量の排気ガスを放出して大気や環境を汚染する。SOX(硫黄酸化物)やNOX(窒素酸化物)と言った有害物質は、技術開発により以前よりかなり減少したものの排気ガスに含まれる色々な有害物質を完全に除去することは不可能だ。また、ガソリンで走る宿命上、CO2は、宿命的排出せざるを得ず、自動車台数を減らす以外にCO2削減の抜本的対策はない。つまり、少ない数の自動車を効率良く使いまわすことが必要だ。
電気自動車なら大気汚染はない。でも、電気を作るために石炭や石油を燃やせばどうなんだろう。車の屋根にソーラーパネルを積むなんていうのはいいかもしれないね。

野生動物 【環境破壊】
道路は自然環境を著しく破壊する。生態系を分断し、多くの生物を絶滅に追いやって来ている。郊外の路上では多くの野生生物が車に引き殺されている。道路が水の移動を遮断することも。大量の排気ガスは人以外にも多くの野生生物の健康を損なっている。アマゾンの大森林やサハラ砂漠にハイウェイを建設すること経済的な観点かといっても果たして許されることなのか。

キャデラック 【何のための車か】
 そもそも、自動車は何のために存在するのだろうか。人や物を移動するためだ。当たり前のことだ。ステータスシンボルとして持っている人の満足感を満たすだけの目的もあろうが。自動車の無い世界を考えるためには、人や物を移動するための代替手段と比較する必要があろう。さらには、何のために人や物を移動させねばならないのかその目的まで踏み込んで考える必要があろう。

東海道53次 人の移動の基本はとにかく歩くことだ。長い人類の歴史においてほとんどの時間は歩くことに費やされてきている。歩くことは、人の健康にも密接に関係している。過度に乗物に依存して、運動不足をわざわざフィットネスクラブで解消なんて言う生活はそもそも異常だ。東海道を歩いた江戸時代の旅人たちは、万歩計でその日の歩数を測る必要性など全く感じていなかったであろう。健康のためにわざわざ歩く。そんな馬鹿なことを昔の人は考えたこともない。

戦車 歩くことの最初の代替は、動物を利用することだった。馬はそのための最適な手段。他に、ラクダや牛、象、ラマ、ロバなども使われた。車輪の発明は相当古い。シュメール人、インダス、あるいは中国とか。戦争には馬に曳かせた戦車を使っていた。

海上交通の船は、相当に早い時代から使われている。海を泳いで渡るわけにはいかないのでこれは当然必要な技術だ。江戸時代には河川交通も大事な物流幹線だった。河川交通は、今でも利用可能な物流手段だ。国によっては有効に活用しているようだ。しかし、陸上の移動は長い間、徒歩が主流であった。物流を盛んにするには運河網の整備が大切な時代もあった。
今では自動車が主流か。自動車に対抗できる最大のライバルは鉄道だろう。空の利用は、やや遅れている。しかし熱気球は相当前から知られていたようだ。ナスカの地上絵も気球から見たのではないかとの説もある。次は軽い気体を詰めた飛行船だ。その後ライト兄弟がプロペラ飛行機を発明。他にグライダーのような手段もある。飛行船はヒンデンブルグ号の爆発以来使われなくなってしまったが、中に詰める気体が水素からヘリウムに変わったので安全性は飛躍的に増しているはずだ。ヘリウムは高価だろうが、燃料でないので再利用も可能だろう。
最近の話題ではドローンがある。大きなドローンを作って人載せたいとの考えもあるが、これヘリコプターとどこが違うのでしょうか。ロケットを使うような手段もあるかもね。安全に着地できる手段があればね。

鉄道 物流のコストとして最も安いのは船。これは、加工貿易立国を目指した戦後の工業地帯が総て臨海部であることでも分かる。河川交通も江戸時代までは盛んであった。 また、船よりはかなり割高でも鉄道はコスト面では明らかに自動車よりも安い。鉄道の建設費は道路よりも遥かに安い。また、鉄路を走ることは摩擦が少ない分、エネルギーは遥かに節約で来る。しかし、鉄道会社は自前で線路を引くが、道路は国や自治体が税金を投入して作ってくれる。でも、最近世界各国で鉄道を見直す動きがある。

【何故車はこんなに増えたのか】
車がこんなに増えたのは石油を大量に消費するからだ。石油は地下からいくらでもタダ同然で取れた。だから工業製品を造る先進国は豊かになり、農業国は貧しくなった。日本はいち早く工業国になったので高度成長を遂げることが可能になったのだ。だから資本主義のシンボルとして車は成長神話の神様として尊敬されるようになった。車を世界中に売りまくることが繁栄の基礎。でも今はだいぶ情勢が変わった。石油資源の枯渇が問題になっており、排気ガスの放出も控えなければならない。車の台数自体を制限しなければいけない。未だに円安誘導して、関税を撤廃させて車の輸出を増やしたいという考え自体が時代遅れだ。

【未来の車】
今のガソリン車に変わるものとして、電気自動車が推進されている。中国、インド、その他開発途上国の現状を考えると、近い将来には、ガソリン車はなくなり、すべての車は電気自動車になると予想されている。電気自動車はクリーンで環境に優しいと言われる。でも、どうやって電気を生産するのか。化石燃料を使ってでは、環境対策にはならないだろう。でも、原子力では核廃棄物の処理の問題が解決されていない。
電気自動車の大きな利点としては、ブレーキ操作などの捨てるエネルギーを逆に発電に利用し蓄電できるという省エネ対策が行いやすことがある。ハイブリッド車などガソリン車にも取り入れられている技術だけど、それなら初めから全部電気にした方が良い。
また、いま研究の最前線は車の自動運転技術でしょう。AI技術が進んだのでほとんど実現可能な段階まで来ている。車そのものが人や荷物を運んでくれるロボットを目指していたのだから、技術の進む方向としてはある意味当然。

【電気自動車】
電気自動車が主流になると、今の車生産の大手は皆生き残れないとの予想がある。ガソリン車で培われた技術開発があまり活かされないのだ。また、ガソリンスタンドが不要になる。交通関係の警察官も暇になるかも。
また、自動運転の技術が本格的に実現すれば、車社会の様相は一変する。まず、職業としての運転手が不要になる。タクシーの運転手。大型バスの運転手が職を失う。運転免許証も必要なくなるかも。車は誰でも何処でも何時でも利用可能なものとなり、ステータスシンボルとしての価値もなくなる。デザインも簡素になり、コストも非常に安くなる。運転手がAIなら誰も車のデザインや性能など気にしなくなる。車を所有するメリットもなくなる。目的地に時間通り移動できればどの車も同じだ。駐車場も不要だ。必要なときに電話すればいつでもすぐに車の方からやって来てくれる。車ロボットは人の役に大切はパートナーとなって生き残るだろう。

その代わり多くの人々が職を失い不況になり、無駄が減るのでGNPが大いに低下するでしょう。だから自動車業界はどこまで本気でやるか困っているようだ。
最後に、道路建設に係わる環境破壊の対策だ。海外では大草原や砂漠や熱帯雨林といった道路を作ること事態が重大な環境破壊につながる地域が沢山ある。鉄道は、レールがないと走れないけど、車だって道路が無いと走れない。そこで考えられるのが馬型ロボット。軍事用には開発が進められているようです。映画スターウォーズにも出てきましたね。車輪の発明は偉大ですが、人の基本は歩くことではないでしょうか。

技術開発のお話
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馬型ロボットの開発

馬型ロボット

旧ソ連邦のカザフスタン、草原の中を舗装された直線の道路が延々と続く。車窓から時々見えるのは草をはむ羊の群れ。ソ連邦は、計画経済を標榜していたが、まさに官僚主導の土建大国であった。今後、砂漠を横断したり、熱帯雨林を切り開いたりして、どんどん道路が造られる可能性がある。しかし、開発のため無人の荒野や森林を破壊することは大規模な環境破壊であり、野生生物の与える影響も甚大である。更に、経済効率の観点からも決して得策ではないでしょう。
馬型ロボット 乗物のために道路や鉄道を造るのでなく、乗物自体を砂漠や草原に対応できるようにすることはどうであろう。ヒントは映画「スターウォーズ」の中にあった。砂漠の中を突き進む戦車は、馬のように歩いているのだ。地球上には、人の住めない荒野は無尽蔵に存在する。馬型のロボットは、そのような地域にもアクセスを提供できる。いい考えだと思っていたら、なんと馬型ロボットを既に米軍が開発している。YouTubeに映像があった。次は、民間ベースで商用化できるかどうかですね。

技術開発のお話
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ローカル線廃止について

レール自転車 今、またJRが赤字ローカル線を廃止する動きが相次いで来ている。昭和62年の国鉄の分割民営化に伴って、かつて全国で多くの赤字ローカル線が廃止された。過疎化する地元の人々のことを考えると心痛む思いである。廃止になったのは民営化したJRの経営問題ですのでJRを責めるわけにはいきません。しかし民営化すればこのような動きが生じることは当然予測できたはずです、国や自治体には何とか対策を考えて欲しいですね。過疎化地域は、高齢化も早く進んでいるので車も運転もままならず、過疎化がますます進んでしまいます。せっかく敷設した鉄道ももったいない。動力付きのトロッコのようなもの走らせることは出来ないのでしょうか。自動車の車輪を鉄道用に変えるだけで簡単にできそうですが。鉄道ならハンドルも、タイヤも要りません。車体も廃車になったボディを使えそうです。運転も簡単なので必要な人がシェアーして使えば台数も少なくて済みます。でも、あまりにも安くでき過ぎて、また台数も少ないので自動車会社は全く興味を示さないでしょう。退職したボランティア技術者の出番でしょうか。
自転車の例はあるようだ。でも、自転車ではレールの上を走るメリットはあまりないのでは。

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日本は世界5位の農業大国

 少し古くなったけど、こんなタイトルの本が出ていました。農水省は、国防強化の口実として食料自給率の強化をうたっています。でも、自給率の算定の根拠は。計算はカロリーベースでしているとのこと。金額ベースに直すと世界5位ぐらいが妥当なのでしょう。どうして金額ベースで計算しないのでしょうか。高級な野菜を作る畑をつぶして、家畜飼料をつくる牧草地に変えたいのでしょうか。昔、シンガポールにいた時のことですが、日本産の食糧は、超高級品。リンゴでも中国産の倍以上。でも売れているのです。
 日本の農家は規模が小さく、貧困で政府の手厚い保護がないと成り立たないというのは、戦前の発想。今では、兼業農家でも平日はサラリーマン、土日の片手間の農業でも都市のサラリーマン層よりも収入は上回っていることが明らかになっています。機械化や科学技術の進歩のお陰です。
 戦前は、確かにコメを輸入しなければならない時期もあったようです。地主勢力は、政府に対し国防を口実として食料の自給を主張し、外米の輸入を阻止のために米の高関税が必要であると要求します。彼らによって「食料自給」という概念は、食料の増産ではなく、輸入の阻止が目的。米の供給が減少したほうが米価は上昇し、地主の利益になるからである。地主だけを悪者にしてはいけない。当時はまだ、都市化が進んでないので、余剰人口を小作として養っていかねばならない事情もあったでしょう。
これは、今日でもJA 農協が、高い関税を維持することによって国内市場を国際市場から隔離したうえで、減反により供給を制限して本来実現する市場価格よりもさらに高い米価を維持しようとしているのと同じ構図です。いまの、兼業農家は戦前の地主と同じですね。でも、農民の総数から行くと、多数派でしょう。日本の農業を発展させるにはむしろ邪魔な政策ですね。
参考文献;日本は世界5位の農業大国、浅川芳裕著、講談社新書

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光力の時代

20世紀はエレクトロニクスの世紀だとも言われている。電気は送電線で遠くまで運べるし、電池を使って持ち運びも可能だ。平賀源内がエレキテルで人々を驚かせていた時代は、主に静電気の世界。フランクリンが雷を電気だと証明したのとほぼ同時代。電池が発明されて初めて電気の本格的な研究が花開いたわけ。 21世紀は電力ならぬ光力の時代だと信じて研究している人たちがいる。医療用のレーザーなどは既に実用化されている。また、従来の電気信号に代わって、レーザー信号が光ファイバー・ケーブルを使って情報を伝達する時代になってきている。このオプティカル・パワーを電池のように持ち運び自由にできないかと考えている人たちがいる。電気は電池に蓄えて持ち運びできる。自動車のバッテリー、携帯電話の電源、電池の役割は大きい。
レーザーを発射できる装置と薬品を車やヘリに積んで行けばいい。実用化のためには適切なダウンサイジングとコスト。一方、レーザーは光ファイバーで遠隔地までも送ることも可能なので、発電所ならぬ発光所でレーザー光を造り出し、各家庭に送電ならぬ送光することも考えられる。光コンセントなども必要だが。ただ、一般の素人には電気と違って使うためのノーハウが全く蓄積されていない。光でお茶や風呂を沸かしたりできるのか。あるいは電気でできなかったことが光でできるようになるのか。たとえば、この蓄光システムを災害現場に持っていき、瓦礫を破壊粉砕するのに使えないか、落石などの障害物を直ちに焼き払って下敷きになった人を救うなど。
可能性のあるレーザーの一つは、沃素レーザーがあるという。比較的安価に光ができるという。今後の研究に注目していきたい。

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発動機

発動機と言えば、戦後農村ではよく見かけたのではないだろか。今では、発動機と言っても何のことか分からない若い人が多いと思う。石油を動力とする内燃機関の一種なので、基本的な仕組みは自動車などに使われているエンジンと同じもの。吸気→圧縮→点火爆発→排気の工程を繰返す。発動機は万能エンジンでこれ一つあれば、揚水ポンプを回したり、脱穀等の作業を出来、当時は無くてはならないものだった。効率はガソリン・エンジンと比べると劣るもののコストが圧倒的に安く魅力的な部分も多く、鉄道のSLファンと同じく、結構マニアもいるとか。
発動機 発動機 発動機
子供の頃の思い出。数人のおじさんたちが畑で発動機を作動させている。このエンジンは簡単には始動しない。最初は、丈夫なロープを引っ張り、はずみ車を回す。はずみ車は小さな発電機を連動しており、発電機が回れば連続的に火花が出て気化した石油が爆発する。ロープの引っ張り方が弱いと連続したサイクルが出来ずに途中で止まってしまう。たいていは数回の試行で動き出すので問題は無いが。子供が見ている分にはなかなか楽しそうだ。水田に水を引くときはポンプと発動機の組合せで行う。
発動機 発動機
これが無い時代には足踏みの水車なんていうのもあった。子供が見ている分にはなかなか楽しそうで見応えがある。残して欲しい技術だね。
発動機 発動機 漁船なんかには、他に焼玉エンジン(Hot bulb engine)なんていうのもあったようだ。こちらは球形の中空の鉄の球を事前にバーナーで加熱しておいて発火原にするらしい。このような技術は生物の歴史で言うと進化の中間の生物みたいだ。これらが消えてしまうと進化の歴史が分からなくなってしまうかもしれない。

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温暖化対策の国際的枠組み

COPはConference of Partiesの略で、広く「締約国会議」という意味。よく使われるのは1992年の地球サミットで採択された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)における締約国会議で、温室効果ガス排出削減等の国際的枠組みを協議する最高意思決定機関を意味する。

地球温暖化のリスクが一般に認知され始めたのは1980年代末。しかし地球温暖化に対する懐疑論や、緩和策の費用対効果を疑問視する意見などにより、実際に削減義務を伴う対策が始まるまでに多くの議論が続く。 温暖化が「疑う余地がない??」とのコンセンサス(相当強引な方法)を得て、対策の必要性が広く認識されるまでに約20年間の時間を要した。

1827年にジョゼフ・フーリエが温室効果を発表。1861年にジョン・ティンダルが水蒸気・二酸化炭素・オゾン・メタンなどが主要な温室効果ガスである主張。地球の気候を変える可能性を指摘。これらの研究をベースに1896年、スヴァンテ・アレニウスは自身の著書『宇宙の成立』の中で、石炭などの大量消費によって今後大気中の二酸化炭素濃度が増加すること、二酸化炭素濃度が2倍になれば気温が5~6℃上昇する可能性があることを示唆。このころは、二酸化炭素による冷害防止に触れた『グスコーブドリの伝記』(宮沢賢治、1932年)などに見られるように、一部には浸透していたものの、こういった科学知識が一般に広く認知されるには至っていなかった。 当時は氷河期の再来の方が真剣に議論されていたためだ。

一方、20世紀の中頃、ますます顕著になってきていた公害(環境汚染)を取り巻く環境が一変。住民の意識の高まりや汚染当事者の責任が明確になるとともに、行政の責任も高まる。学術面でも、公害に関連した環境全般の研究が盛んになる中で、行政が研究を推進する動きが出始め、マスメディアは環境問題を大きく取り上げるようになった。温暖化の問題はその中のほんの小さな一部であった。

沈黙の春 1960年代に『沈黙の春』を契機として大きな問題となった化学物質汚染、経済において環境に配慮する必要性を促した1972年の『成長の限界』と、次第に環境問題が対象とする分野は広がっていった。その流れの中で、地球の気候も対象となりつつあった。

しかし、1940年代から1970年代にかけては、地球の気温は低下傾向に入っていた。地球の気温上昇に関する議論や研究は下火、代わって気温低下に関する研究が盛んであった。1960年代には、地球の気温低下に関する研究結果がいくつも発表される。ミランコビッチ・サイクルの変化によって氷河期になる(1965)というもの、数千年以内に次の氷河期が到来するというもの(1966)等。ただ、氷河期が到来する具体的な原因は、いまだ不明。

1970年代に入って、エアロゾルや二酸化炭素が気候に与える影響について研究がなされた。具体的に将来の気候がどのように寒冷化して行くかという予測までは至らなかったが、マスメディアの「氷河期が近づいている」という報道が先行し、さも学術的な裏づけがあるかのような認識が生まれていた。

1979年、スリーマイル島原子力発電所事故の発生後、アメリカ合衆国大統領行政府科学技術政策局から「気候に対する人為起源 CO2 の影響」について諮問を受けた全米科学アカデミーがこれらの学術報告をまとめ、「21世紀半ばに二酸化炭素 (CO2) 濃度は 2 倍になり、気温は 3 ± 1.5 ℃ (1.5 ~ 4.5 ℃) 上昇する」とするチャーニー報告を発表した。

1980年代には、地球の気温も上昇傾向に転じ、温暖化に関する研究も進展していった。1985年10月には、フィラッハで地球温暖化に関する初めての世界的な学術会議としてフィラッハ会議が開催され、「21世紀半ばには人類が経験したほどのない規模で気温が上昇する」との見解を発表した。1988年8月には、世界気象機関 (WMO) と国連環境計画 (UNEP) の共同で気候変動に関する政府間パネル (IPCC) が設立される。

1990年8月、IPCCは膨大な数の学術的報告を集約して評価を行い、第1次評価報告書にて、21世紀末までに地球の平均気温が約3℃、海面が約65cm上昇するとの具体的予測を発表した。こんな具体的予測、今の技術で本当に出来るんでしょうか。このころには、学術的にも「地球寒冷化説」は過去の説となりつつあり、地球温暖化説が定着しはじめた。1992年6月にリオデジャネイロで開かれた環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)では、気候変動枠組条約が採択され、国際政治は全世界規模での地球温暖化対策が議題に上り始めた。

その後、IPCCは第2次、第3次評価報告書を順次発表し、地球温暖化の研究や予測の精度が向上していった。下記のような結論が示された。
1).この半世紀の温暖化の大部分は、人間活動が原因と考えられる。
2).人間活動が大気中の温室効果ガスの濃度と放射強制力を増加させ、21世紀中もそのトレンドを支配すると考えられる。
3).平均地上気温は今世紀末までに、1990年に比べて1.4~5.8℃上昇すると予測される。これに伴い、海水準の上昇や大規模な気候変化が懸念される。

余りにも独断的な決めつけのようだが、科学的な実証が必要なことを認めつつ、これらの内容が客観的に実証できる段階まで温暖化が進んでしまうと手遅れになると主張している。
このように、地球温暖化が人為的なものであり、早急な対策が必要であることは国際的かつ学術的(科学的)なコンセンサスとされた。もちろん、これに異議を唱える者も多い。2007年7月に米国石油地質協会(AAPG)がその意見を変えて以来、近年の温暖化に対する人為的影響を否定する国際的・公的な学術組織は事実上解散させられている。

その後、1988年10月にはトロント会議において「先進国が2005年の二酸化炭素排出量を1988年より20%減らす」という数値目標(トロント目標)が初めて提示され、行政レベルでの活動のきっかけとなった。1989年11月の大気汚染と気候変動に関する環境大臣会議では温室効果ガス排出量の安定化に初めて言及するノールトヴェイク宣言を採択した。アルシュサミット、ヒューストンサミットでも地球温暖化問題が話し合われた。

1995年のCOP1および1996年のCOP2では、地球温暖化対策の必要性が合意されるとともに、温室効果ガスの削減目標や削減手法について協議を行った。ただ、意見の対立に伴う議論の停滞や先送りといった問題も当然続出。

1997年のCOP3では、初めて具体的に排出量の削減を義務づける内容を盛り込んだ京都議定書が議決された。これは世界的に様々な温暖化の緩和策の進展を促すこととなった。しかし主要な排出国である中国に削減義務が無かったり、また国によって義務の厳しさが異なるなどの規定は、その後も議論の焦点となる。

これ以降のCOPでは、京都議定書の運用事項について細かい部分まで協議が進められ、2001年のCOP7では、最終的な合意(マラケシュ合意)に至った。2002年に開かれた持続可能な開発に関する世界首脳会議やこれ以降のCOPでは、対策に関して途上国と先進国の南北問題による対立も濃くなっていった。ただ、IPCC第3次評価報告書やスターン報告などにおいて科学的にリスクの大きさと対策の必要性がより確かになるにつれ、政治や経済の場においても地球温暖化への対策が検討されることが増えていった。

2005年には京都議定書が発効し、法的にも削減義務が発生した。2007年末の時点では、欧州などは再生可能エネルギーの普及を中心とした強力な政策により、最も厳しい-8%の義務を達成する見込みである。その一方で義務の無い中国の排出量は激増し、米国が離脱し、カナダも目標達成をあきらめ、日本も排出量を増やすなど、各国の達成状況はまちまちである。

また温室効果ガスの削減としては、現在京都議定書による削減目標提示が最も大規模なものであるが、スターン報告やIPCC第4次評価報告書により集約された科学的知見によれば、それよりも一桁多い削減量が必要とされている。このため京都議定書以上の削減目標(ポスト京都議定書)についての議論も現在行われている。

2007年10月には、気候変動に関する活動に対してIPCCが、人為的な気候変動問題の啓発に対してアル・ゴアが、それぞれノーベル平和賞を受賞することが発表され、同年12月に受賞した。彼の著「不都合な真実」では、気候変動に伴うされる世界各地の災害を網羅しているが、気候変動とCO2関連は実証されておらず、警鐘を鳴らすという役割のようだ。

2007年12月のCOP13においては、欧州やインドネシアによる数値目標導入の主張に日本や米国、カナダなどが反対し、また途上国と先進国との間での反発も顕在化した。辛うじて合意には至ったものの、数値目標の設定は見送られ、AR4の指摘への言及がなされるに留まった。こうした日米などの動きに対しては激しい批判も見られた。

このように、現時点では京都議定書以降の国際的な削減の道程は不明瞭である。その一方、京都議定書の目標達成の目処がついた欧州連合(EU)では、2007年2月の環境相理事会において、2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で20%削減する目標で合意するなど、更なる削減を推進している国々もある。

技術開発のお話
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温暖化問題の虚構

長々と国際会議の経緯を引用してきたが、温暖化の話は政治的な話や宗教的な話が混沌と入り組んでいるように思える。宗教的な側面は、温暖化信仰の学者と寒冷化信仰の学者がいて、温暖化信仰の学者が政治家を巻き込んで勝利したらいいこと。つまり本当のことは分からないということ。
気候変動については、1980年以降は温暖化の傾向を示しているが、それ以前は寒冷化が心配されていたことも事実。イギリスでのクライメート・ゲート事件では温暖化を示すとされていたデータが実は捏造であったことが発覚している。

そもそも、温暖化とCO2の増加は直接繋がらない。太古の大気には大量に含まれていたCO2は、現在に大気中には0.03~0.04%しか含まれていない微量成分なのだ。植物はCO2を取り入れて酸素を放出してくれている。400ppmなんて書くと大きそうだが、実態はこんなもの。現状は地球上の植物たちにとっては極めて過酷な環境なのです。温室効果ガスは他にも沢山ある。こんな微量成分がどの程度温室効果があるのか果たして定量的に解析できるとは信じられない。定性的なことは言えるでしょうが。

さらに、現在増えたとされているCO2が人間活動によるものだという証拠は無い。勝手に断定しているだけのようだ。ちょっとした火山の噴火だけで人間活動によるCO2を遥かに越える量が排出される。CO2が増えれば植物が元気になるので、熱帯雨林や海洋の植物プランクトンがCO2を吸収して酸素を放出してくれる。酸素が増えればオゾン層を補強してくれる効果も期待できる。CO2は循環している。

ということは温暖化の最大の原因は、地球上の緑の減少だろう。砂漠化が進展し、海洋が汚染されれば誰がCO2を吸収して酸素を放出してくれるのだろうか。CO2の排出だけを規制して吸収の方を無視し続けることは許されない。いまの温暖化の議論が極めて政治色が濃いいことが伺われる。

政治的な側面は、対策に熱心なのは欧州連合(EU)連合に限られること。また、各国のエネルギー戦略が見え隠れしていることだ。国際会議の話題は、他国にエネルギー消費を削減させることだけが前面に出て、軍縮会議と同じ構造になっていることだ。「俺も減らすからお前も減らせ。」

現在にグローバル経済の根幹にあるのは石油(天然ガスや石炭も含まれるが)である。先進工業国は石油を使って工業製品を造って輸出して儲ける。石油は地下から略奪したものだ。だから一度工業化した先進国はいつまでも豊かで、開発途上国はいつまでも貧しい状態が維持できる。
しかし、中国の発展はその状態を許さない。他の開発途上国もこれに倣って何とか工業化を進めようとしている。ところが、地下資源を略奪し続けるには限界があることが分かって来た。資源には限りがあり、環境にも許容範囲がある。

欧州連合(EU)連合の諸国は、自分たちは削減しているのだから、他国にも削減しろと要求している。しかし、先進諸国の生活は石油浸け。元々浪費していたから削減できただけだ。 本当に石油の消費を減らしたいなら原油の価格を大幅に値上げすれば良い。でもこんな提案、産油国以外は大反対だろう。石油は相変わらず産業の米。経済発展のためには必要。自分たちの取り分は確保したい。でも、開発途上国には制限を加えたい。

原油の枯渇は以前から心配されている。産油国のイランは原子力を開発しようとしている。中国や他のアジアの開発途上国は、石炭の活用を考えている。石炭は石油より賦存量が多く、エネルギー選択からは良い選択だ。中国の考えは以前よりもCO2排出が減らせる石炭利用技術は温暖化対策になると主張し、日本もこの考えを支持している。だから日本はEUのNGOたちに避難されるのだ。

グレタ・トゥーンベリ いま、実際には温暖化論者は、窮地に立たされている。例え温暖化が現実に進行しているとしてもこれが人為的CO2のせいだとの強弁が通りにくくなっているから。プロパガンダを強化して、温暖化の被害が以前よりもかなり過大に評価されるように。グレタ・トゥーンベリさんなんて16歳の少女まで担ぎ出して感情に訴える作戦のようだ。この険しい顔は何なんでしょうね。

CO2犯人説は、多分破綻するのでは。欺瞞が明かになった問題の一つはプラスチックゴミの問題。大量に出るプラチックは現状では焼却処分するのがベストのはずだ。それをリサイクルと称して、先進国は焼却せずに途上国に資源として売りつけていたことが明かになった。その分、CO2排出を削減した勘定になっていた訳。途上国側も最初はまだ使えるものをリサイクルして、後は野積みで放置して来たらしい。これが環境問題として浮上し、先進国のプラスチックゴミの引取り手がなくなってしまった。しかも、これが海へ流れ出し、マイクロプラスチックゴミと化し、既に海洋生物に大打撃を与えている。
プラスチックゴミをリサイクルするとして、一般のゴミと分別回収していることが欺瞞。リサイクル出来ないなら分別回収をする意味がない。

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温暖化問題の虚構-その2

温暖化問題の問題点を分かり易く簡潔にまとめてくれた方がいる。武田邦彦氏もなかなかの工学者だ。環境問題にも幅広い視点を持っておられる。下記の彼の主張をきちんと科学的に反論できないなら、地球温暖化説は全くのインチキ理論ということになる。まして、CO2犯人説などトンデモないインチキだ。
マジメに環境問題を取組むなら、彼の言い分についてハッキリと検証が必要だ。温暖化や脱炭素社会の必要性を他者に納得させるには、下記の反論にキチンと科学的に説明する義務がある。
勿論、下記の事項は、だれしもどこかで見たこと聞いたことあるに違いない。マスメディアの妄信者達は総て、陰謀論として片付けている要だけと、自然科学をきちんと学んだものなら一々最も至極なことばかり。

【地球温暖化問題】​
1.海面上昇に北極は関係しない
北極は、陸地が無く全て氷の塊。アルキメデスの原理があるから、海面水位の上下には関係がない。

2.南極の氷は温暖化で増える
南極は、温暖化によって海水の温度が上がれば、より多くの水蒸気が発生し、それは雪となって南極に降り積もる。南極はマイナス数十度なので多少温暖化しても氷は解けず、結局温暖化によって南極の氷は増える。

3.持続性社会を作るためは二酸化炭素を増やすべき
温暖化も日本にとって良いことばかりで悪いことなどほとんどなく気にしなくてよい。現在は平安時代や縄文時代よりかなり寒い。生物が地上に繁栄するために二酸化炭素を増やすべきだ。

【 資源保護問題】
1.分別とリサイクルは「誠実、礼儀、恩義」に反し「日本文化を破壊する」。
ペットボトルは分別せずに全て焼却がよい。
2.レジ袋は石油の余り物からできているので削減は意味がない。
3.割箸は間伐材の有効利用であるからどんどん使うべきで「マイ箸」は意味がない。
古紙はリサイクルせず新しい紙をどんどん使うのがよい。


つまり、温暖化理論はインチキで、脱炭素社会は100害あって一利無しか。

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陶芸と窯

穴窯 日本で初めて窯が登場したのは古墳時代。須恵器を焼くための穴窯がはじまりです。従来の土器は手びねり(ロクロを使わない)成形した土を野焼きしていたのに対し、須恵器は「ロクロ」を使って成形したものを窯で焼く最先端のやきものでした。
具体的には足で回し両手が自由になる蹴ロクロと、地中に傾斜のある穴を掘った穴窯です。これらは中国大陸および朝鮮半島から伝播したといわれます。
穴窯は地中に穴を掘る「完全地下式」のものと、山などの傾斜に屋根を付けた「半地上式」(半地下式とも)があります。

完全地下式の穴窯は日本に伝播した最も原始的な窯といえます。野焼きの場合、炎の熱は空中に逃げてしまいます。その炎を地中に閉じ込めて焼くという発想から作られました。 窯自体が地中にあるので湿度とメンテナンスの問題があります。適切な湿度は必要ですが、地中の湿気が多すぎれば温度が上がらずうまく焼けなかったはずです。また崩れた場合は莫大な労力をかけて掘りなおすか、諦めて場所を変えるしかありません。
半地上式の穴窯は傾斜を利用して築かれたものです。平らな地上に傾斜を築くわけではないので「半地上式」と呼ばれます。もともとあった傾斜にドーム状の屋根を作って煙突につなげた単室の窯です。
完全地下式よりメンテナンスが容易で燃焼効率も優れています。なお、現代でも半地上式の穴窯を使っている作家もいます。単室の窯では保温・温度管理が難しい反面、個性的な作品が作られています。
穴窯 半地上式穴窯の平面図です。上から見ると窯は「涙型」をしています。長方形に近い穴窯、細長いものもありますが涙型が一般的なものです。焚口から円形に開いて「焼成室」は作品を詰める幅を取っています。そして仕切りを通って捨て間、煙突に向かってすぼんでいきます。 炎は何もなければ煙突の方向へ直進していきます。すると左右の壁際の作品がうまく焼けないおそれが出てきます。そこで分煙柱をたてて炎を左右に振り分けます。
登窯は複数の燃焼室を持つ(連房式)ため、単室の穴窯よりも燃焼効率が良いとされます。 焼成日数は登窯の1~2日間に対し、穴窯は4~6日間がひとつの目安です。登窯は多くの作品を詰め、焼成室ごとに違った雰囲気の作品、それに対して穴窯は単室なので、少ない作品かつ作りたい方向性を絞って焼きます。

もちろん登窯の一部でも個性的な作品は取れるはずです。ただ、穴窯は窯全体が運命共同体です。全滅の可能性もあれば、登窯以上の美しい作品、アクの強い作品が取れることもあります。また施釉作品においても酸化・還元に火の強弱も加え、個性的な焼き上がりが得られます。同容量の電気窯・ガス窯とは個性という点で比較にならないでしょう。
逆に安定してキレイに焼くという点では、穴窯は電気窯・ガス窯に遠く及びません。排煙問題・操作性・安定度・経済性はさておき、個性を重視する作り手にとっては最高の窯といえるでしょう。
【追記】
NHKの朝ドラ「スカーレット」で信楽焼が紹介されたね。主人公・川原喜美子が新しい焼き物を目指して自分用の穴窯を作るんだった。NHK「連続テレビ小説」第101作目として、2019年9月30日から2020年3月28日まで放送された。主演は戸田恵梨香。

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アンモニア発電?

アンモニア発電が脱炭素技術として注目されているらしい。
アンモニアを造るには触媒上で水素ガスと窒素ガスに熱を加えて起きる化学反応(N2 + 3H2 → 2NH3)で合成できる。この反応を逆にすれば熱を放出し発電も出来るというのだけど本当かな?
そもそも大気中の窒素ガスは反応させることが難しく、なかなか利用が困難であったことが歴史的に証明されている。アンモニアを作るハーバーボッシュ法とかが出来るまでにもかなりの月日が。 そもそもこの技術の安全性はいかがなものなのか。アンモニアが燃えれば、水素は水になるからいいけど、窒素はどうなるんだ。窒素酸化物は炭酸ガスと比べても更に有毒なものではないのだろうか。
窒素酸化物は、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、三酸化窒素(NO3)、亜酸化窒素(一酸化二窒素)(N2O)、三酸化二窒素(N2O3)、四酸化二窒素(N2O4)、五酸化二窒素(N2O5)など。化学式の NOx から「ノックス」ともいう。どれも自動車の排ガスなどで問題となったんでは。自然界には存在しない気体だ。
排出基準値以下と言っても、本当は零にしたい物質。絶対に排出してはいけない。一方のCO2は、植物の栄養となるある意味貴重な資源だ。

どうも、胡散臭いと思っているんですがどうなんでしょうか? 今後国費を投じて開発していくとしているようですが。
【追記】
実は、このプロジェクトは大手の会社が参画している。多大な国費が投入されるので某社の技術者もさほど不満では無いだろうが、同じ技術者の立場として、彼等も本当に役に立つ技術に携わりたいと思っているのでは。
正直な話、日本を含め脱炭素社会が本当に来ると考えている国は世界中にほとんどいないのではないだろうか。水素エネルギー、太陽光、自然エネルギー、実はこれらは30~40年前から色々と研究がなされて来て、なかなか経済性が合わず実用化できなかったものばかりだ。欧米諸国の陰謀で、いずれ破綻すると考えて、形だけの付き合いか? 米国が大声出しているので逆らえばやばいということか。

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医療用マリファナ

マリファナが新型コロナウイルスの感染防止に効果的であるとする研究がカナダで発表される。(2020.05.21 FNMNL編集部)
新型コロナウイルスことCOVID-19の治療薬やワクチンの研究が日夜進められている昨今。そんな中、新型コロナウイルスの感染抑制にマリファナが効果的であるとする研究がカナダから発表された。
マリファナが新型コロナウイルスの感染予防に効果的であるとする研究はカナダのアルバータ州の研究者によってPreprintsというプラットフォーム上に発表されたらしい。レスブリッジ大学に所属する研究者は、カナダ保健省によって承認されたTHCとCBDを含む400以上の品種を調査したところ、そのうち13の品種、とくにCBDを多く含むサティバが肺や消化器官などでCOVID-19の標的となるタンパク質受容体ACE2を抑制することを発見したという。つまりサティバなどの品種のマリファナを吸うことで新型コロナウイルスに感染するリスクを減らせるというのだ。この研究は未だ査読が行われていないため信憑性が高いものとは言い難いが、興味深いものであることは確かだ。

カナダは既に国内でマリファナが合法化され、他国にも同様な処置を進めたいようだ。ただ研究内容がいかにも我田引水的な感じを持たれるのは筆者だけでは無いだろう。だって、現在の日本ではマリファナは非合法。多くの芸能人が海外から持ち込まれたらしい薬物を掴まされ逮捕されている。マスメディアも大バッシングなのが現状だから。
果たしてマリファナが本当に新型コロナウイルスの感染予防に効果的なのかどうか確かなところは未だ不明だが、もし本当だったとすればマリファナを愛する人々にとって良いニュースと言えるだろうが。本当に認可される可能性はあるのだろうか。
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マリファナ。またの名を大麻。日本では禁断の植物として厳しく規制される一方、米国では使用を認める州が増えているが、連邦法では依然として規制されているなど、実はさまざまな矛盾をはらんでいる。米国で最初に医療マリファナが合法化されたカリフォルニア州に住むジャーナリストが、その現実に迫る。(文・写真=柳田由紀子)

第1回 実は病人が入手しづらい〈医療大麻〉のカラクリ
 初めて〈医療用マリファナ〉と聞いた時、冗談でしょと思った。承知のように、日本では、「大麻取締法」によりマリファナ(大麻)の取扱いは厳しく制限されている。医の現場で、マリファナを使用することはまったく不可能だ。大麻といえば、暴力、衝動、快楽、犯罪のイメージ。実際――これはアメリカでの話なのだけれど――マリファナを吸った友人たちがケタケタと笑い出したのを見て、異様に感じた思い出が私にはある。
 ところがアメリカでは現在、私が住むカリフォルニア州を含む25州とワシントンD.C.が、なんらかの形でマリファナの医療的使用を合法としている。アメリカ以外でも、オランダやカナダ、イスラエル他の先進諸国で、マリファナの医科学的研究がダイナミックに進行中と聞く。

**でも良く分からないことも。マリファナの原料は、昔から日本でも栽培されかなり雑草化している植物。「カラムシ」なんて呼ばれて、植物繊維「麻」の貴重な原料。戦国大名上杉謙信だって特産物として売りまくっていたものだ。農家の庭なんかに何気に植えられていたものだろ。
でも、私自身はマリファナを吸ったことがないし、〈医療用マリファナ〉も関係ないやというのがこれまでのスタンスだった。
 そんな私がマリファナに関心を持ったのは、昨夏、手の甲を複雑骨折した時。痛かった。あまりの痛さに、術後しばらくレントゲン写真を見る勇気がないほどの激痛だった(その後、レントゲンを見てまた具合が悪くなった‥‥)。
 そのため、医師に処方された鎮痛剤を飲み続けたのだけれど、この薬、劇的に効くものの胃痛と吐き気が激しく1カ月間で5キロも痩せてしまった。不安になって薬名を確認すると、「ヒドロコドンーアセトアミノフェン合剤」とある。さらに調べたら、ヒドロコドンはオピオイド(アヘンに似た化合物)で、日本では未承認の麻薬だとわかった。なんと!
 米疾病対策センター(CDC)によれば、2014年のオピオイドによる中毒死(含・ヘロイン)は全米で28,647名。365日で割れば、1日あたり78人もが死亡している計算になる。また、これらの中毒死の中には、医師の処方箋がきっかけだったケースも珍しくないという。**確かに名前からして阿片から作られたものみたいだね。
 なるほど、そうだったのか、私の鎮痛剤。とにかく依存する前に気づいて良かった、と頷く頭にふとマリファナの文字が浮かぶ。というのも、大統領選で、「オピオイド依存防止のためにマリファナの規制緩和を」と、訴えた候補者がいたことを思い出したからだ。その候補者の話では、マリファナには鎮痛や食欲増進の効果があり、依存もしにくいとのことだった。すぐに試す気はなかったが、なんといってもカリフォルニアは、1996年に全米で最初に〈医療用マリファナ〉を合法化した州だ。少なくとも、医者に問い合わせる価値はあるだろう。

次ページ:主治医に聞いたら予想外の反応が
それで、主治医を訪ねると、「マリファナなんてとんでもない!」と、予想に反して言下に否定。さっさと席を立たれてしまった。続いて訪問したリハビリ医師の反応も同様で、取りつく島もないのだった。カリフォルニアは、〈医療用マリファナ〉がオーケーのはずなのだが……。
 頭が混乱した私が次に訪ねたのは、2年前に肺癌を患った知人だった。彼は、術後の化学療法で吐き気と食欲減退に襲われ、3週間で20キロ強も減量。その時、医師からマリファナを処方されたと聞いていた。
「正確にいうと、マリファナではなく『マリノール』という薬だったんですよ」
 今はほぼ元の体重に戻った彼は、そう言って茶色い錠剤を見せた。看護師から、「マリファナには、化学療法の副作用を和らげる効果がある」と教えられ、主治医に相談したが取り合ってもらえず、代わりにマリノールを処方されたという。「マリノール」は、1985年に米食品医薬品局(FDA)が許可したマリファナの合成成分を含む薬品だ(日本では未承認)。

アメリカには、大別すると「連邦法」と「州法」、2つの法律がある。「連邦法」は連邦政府が定める全米に通じる法律で、「州法」はそれとは別に各州が独自に作る法律だ。実はマリファナ、「連邦法」の規制物質法(麻薬取締局管轄)で、「もっとも乱用性が高く、医療用途がなく、安全性に欠如した物質」を示す「スケジュールI」に分類されているのだ。よって、「連邦法」にしたがえば、医者がマリファナを患者に処方することも、患者が服用することもできない。

 一方、カリフォルニア州には「医療用マリファナ法」があり、医療目的のマリファナを認可している。2つの法は明らかに矛盾する。それ故、州内でマリファナを使用したにもかかわらず、連邦機関により医師や患者が逮捕されるという事態が起きうるのである。
 私や知人の主治医が、マリファナを拒否した理由はここにあったのだ。
 ところが――。
 ある日、親友の家でこれらの体験を話していたら、突然、彼女が1枚の書類を目の前に差し出した。次ページ:「カラクリを教えてあげようか」と親友は言った。 「医療用マリファナ推薦書:△×医師は、カリフォルニア州法にしたがい、□△が、マリファナを医療行為に使用するに適切な患者と考える」
 話には聞いていたが、初めて目にする「医療用マリファナ推薦書」。カリフォルニア州では、この推薦書をマリファナ薬局(そういう所が存在する)に提示して初めてマリファナを購入できる。
 だけど、癌患者や激痛の私の手に届かなかった推薦書が、なぜここに? 彼女、重病を隠していたのか?
「ハハハ、私はいたって健康よ。でも、仕事に支障があると困るから基本的に他言しないようにしているの」
 確かに州法では、たとえ推薦書があってもマリファナ陽性反応が出た場合、雇主には従業員を解雇する権利がある。しかし、ヒッピー世代で大学時代にマリファナに親しんだ彼女は、時折マリファナを吸ってはリラックスするのだと話した。そして、「私みたいな人はいっぱいいるわ」とも。

薄暗く雑然とした小部屋が受付で、受付嬢が、「先生は診察中なのでソファーに座って待つように」と、ぞんざいに指図した。先客は、タトゥーを彫った若いカップル。テーブルの上には、マッチョ系マリファナ専門誌やマリファナ薬局の割引券が山のように積まれている。日本のどこかの雑誌が、「医療が認められたアメリカで、マリファナは今やエコやロハスの象徴」なんて書いていたけれど、この診療所に吹く風は、従来からあるマリファナのイメージ、アウトローそのものだった。居心地が悪くなって診療所を出た私に、友人が説明した。
「健康な人でも、不眠を訴えればほぼ100%推薦書をもらえるわ」
 カリフォルニア州では〈医療用マリファナ〉は合法だが、“楽しみ”のためのマリファナまでは認めていない。そこで人々は、法を逆手に利用してマリファナをゲットしているのだ。現在、この州の「医療用マリファナ推薦書」所持者数は約75万人前後と推定される。
 医の現場では遠ざけられるマリファナが、巷でこうも簡単に入手できるとはなんという皮肉だろう。これが、アメリカの実態なのか? いやいや、本当にマリファナが必要な患者と、本気でマリファナに取り組む医師はきっとどこかにいるはずだ――。つづく

「カラクリを教えてあげようか」
 親友はそう言うと、私を車でほんの5分の診療所に連れて行った。「推薦料30ドル(約3000円)」と書かれた外看板に、緑十字のマーク。緑十字は、マリファナ関連施設の印だという。時間は夜の9時。救急病院でもないのに、こんな夜更けに開業していること自体があやしいが、扉を開くと、そこにはますますあやしい空間が広がっているのだった。
**話はそこで終わっていた。後半に続くらしい!

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温室効果ガス

温室効果ガス(greenhouse gas、GHG)とは、大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより、温室効果をもたらす気体のこと。水蒸気、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンなどが温室効果ガスに該当。近年、大気中の濃度を増しているものもあり、地球温暖化の主な原因とされている。

京都議定書における排出量削減対象となっていて、環境省において年間排出量などが把握されている物質としては、二酸化炭素 (CO2)、メタン (CH4)、亜酸化窒素(N2O、=一酸化二窒素)、ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)、パーフルオロカーボン類 (PFCs)、六フッ化硫黄 (SF6) の6種類がある。

IPCC第4次評価報告書では、人為的に排出されている温室効果ガスの中では、二酸化炭素の影響量が最も大きいと見積もられている。二酸化炭素は、石炭や石油の消費、セメントの生産などにより大量に大気中に放出されているといわれる。勿論これに対する懐疑論も多くは見られる。多くは科学的論拠或いは政治力によって否定されている。また気候変動が世界各地で顕在化していることなどから、温暖化の主要因として相関性の高さが問われ、さらに悪化傾向が警告されている。2015年、環境省などが温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の観測データから、2016年中にも推定経年平均濃度が温暖化の危険水準である400ppmを超えてしまうと報告した。危険水準400ppmの根拠は何だろうか。

水蒸気も温室効果を有し、温室効果への寄与度も最も多い。おそらく最大。蒸発と降雨を通じて、熱を宇宙空間へ向かって輸送する働きも同時に有する。人為的な水蒸気発生量だけでは、有為な気候変動は発生しない? どうもここは嘘くさい。

世界の排出量(CO2)
世界の主要国の排出量は、2010年時点で二酸化炭素に換算して約427億トンに達している。2010年時点での各国の排出量は、中国 (23%) が一番多く、それにアメリカ (16%)、インド (5.7%)、ロシア (5.4%)、日本 (2.9%)、ブラジル (2.6%)、ドイツ (2.1%)、インドネシア (1.9%)、カナダ (1.7%)、イラン (1.6%) と続く。
また、国連の下部機関であるUNFCCC(国連気候変動枠組条約)事務局の集計結果が、温室効果ガスインベントリにて公表されている。
日本における温室効果ガスの排出量は、2007年度に過去最高(二酸化炭素に換算して13億7400万トン)を記録。その後、リーマン・ショックの影響で、2008年度、2009年度と二年連続で排出量は前年度の水準を下回った。2011年の福島第一原子力発電所事故の発生後、電源構成が原子力から火力に変化したため、2011年度、2012年度と二年連続で排出量は前年度の水準を上回った。

水蒸気
各温室効果物質の寄与→水蒸気;48%、二酸化炭素;21%、雲 19%、オゾン;6%、その他;5%
ここでいう、雲は水蒸気が凝結した水だ。確かに液体の水は水蒸気ではないかも。つまり水素の寄与は67%、炭素の寄与は21%。しかも太陽光をさえぎる雲の役割は温暖化の原因にもなるが寒冷化の原因にもなりそうだ。水素エネルギー利用も意味があるかどうかとても怪しい。

以下の主張は、温暖化の原因は水蒸気でCO2の寄与はほとんどないとの主張と、その反論。
(主張)二酸化炭素よりも、水蒸気の方が温室効果が大きい。水蒸気は温室効果物質の寄与率は48%と寄与率は最も大きい、しかし水蒸気はすべての波長の赤外線を吸収するわけではなく、15µm付近の赤外線はCO2によって吸収され、CO2の寄与率は21%程度になります。二酸化炭素の濃度増加が地球温暖化の唯一の原因であると仮定した場合に、地球全体の平均的表面温度が今世紀中に約1℃上昇すると推定さるとした場合に対し、対流圏上部での水蒸気量を考慮し解析を行った場合、気温がさらに3倍程度上昇するという結果がある。大気中に含まれうる水蒸気量は「飽和水蒸気量」と呼ばれ、気温によって決まっており、大気中に飽和水蒸気量以上に存在する事はできません。なので、温室効果のあるCO2が増え気温が上昇することで、飽和水蒸気量が増えます、しかし相対湿度は変わりません。相対湿度が変わらない理由については明らかになっていません。過去20年ほどの人工衛星による観測データによれば、気温上昇とともに水蒸気量の増加が観測され「相対湿度がほぼ一定」であるという結果になっている。今後水蒸気量の増加によって、大気中のCO2濃度が倍増した場合の気温上昇は全体で少なくとも2.4°C、つまり水蒸気量の増加を考えなかった場合の2倍程度になるとされる。

(反論)水蒸気は温室効果物質の一つではあるが、飽和水蒸気量は気温によって決まっている。気温が高いほど飽和水蒸気量は大きくなる。水蒸気量を増やすには気温の上昇が必要である。その気温の上昇をもたらすのが二酸化炭素である。二酸化炭素が増え気温上昇が起きることで水蒸気量も増え温暖化を加速させている。つまり二酸化炭素による温暖化が無ければ、水蒸気は温顔化の原因にはなりえないのであり、温暖化の原因は二酸化炭素など人為起源の温室効果ガスであるといえる。水蒸気の温室効果は気候モデルでも考慮されている。水蒸気だけでは、温暖化傾向を説明できない。

上の(主張)(反論)温暖化の原因がCO2だとする説も、反対する説も全く説明になっていないことが分かる。一体何を言いたいのかもサッパリ不明だ。大気中のある成分のガスが太陽光のある成分の波長を選択的に吸収するとしても、すぐに熱平衡の状態になり、熱線として地上へ再反射するものと宇宙へ捨て去るものに分かれる。でも、CO2濃度は高々0.04%しかない。地球誕生以来の大幅な減少だ。植物達にとっては窒息死寸前の低濃度。森林が減少し、低CO2濃度でも生息可能なイネ科植物(稲、小麦、トウモロコシ)優勢の植物相に変化している。美しい花を咲かせる植物が減少し、イネ科の雑草ばかりの草地の世界を見たいと思う人達はどれだけいるのだろうか。CO2濃度と温暖化の関係をもう少し科学的に検証する必要があるだろう。

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オゾンホール

オゾンホール(Ozone hole)は、南極や北極上空の成層圏のオゾン層における春期のオゾンの濃度の減少を指す。春から初夏にかけてのオゾンの減少は、1970年代前半には発生していたことがわかっている。

発見
人工衛星から地球を撮影した画像で、まるで穴があいたように見えることからオゾンホールと呼ばれるようになった。**勿論こんなものは人工衛星からでも肉眼で判別できるような画像を撮影することは不可能。いかなる画像処理を施したのだろうか。 南極上空のオゾンが毎年春期に減少することの発見は、ジョセフ・ファーマン、ブライアン・ガードナー、ジョナサン・シャンクリンの1985年の論文によって発表されているが、最初の報告は1983年12月の極域気水圏シンポジウムおよび翌1984年ギリシャで開かれたオゾンシンポジウムでの、気象庁気象研究所(当時)の忠鉢繁らによる日本の南極昭和基地の観測データの国際発表である。
その後、ストラスキーらが人工衛星ニンバス7号の解析映像を発表し(Stolarski et al. 1986 "Nimbus 7 satellite mesurements of the spring time Antarctic ozone decrease" Nature, 322, 808-811)、オゾンホールがマスメディアを通じて一般に認知されるようになった。

モントリオール議定書
1987年のモントリオール議定書 (Montreal Protocol)により、オゾン層破壊物質の削減・廃止への道筋が定められた。この議定書では、5種類のフロンについて1998年までに半減すること、3種類のハロン(フッ化炭素類)を1992年以降に増加させないことが定められている。2007年11月現在、この議定書の締約国は、190か国及びEUである。日本では1988年に、「オゾン層保護法」が制定され、1989年7月より、フロン等の生産規制が始まっている。

近状
2002年には、オゾンホールが2つに分裂したが、これは最高気温のためと言われている。2003年には、いままでで最大のオゾンホールの発生が確認された。NASAが発表した2015年の調査結果では、モントリオール議定書以降の取り組みによりオゾンホールは着実に縮んでおり、21世紀末にはこの問題は解決する見通しである。
2019年は、南極オゾンホールの最大面積が1990年以降最小となり、消滅が最も早かった。この原因を気象庁は、南極域上空の冬の気温が高い特異な状態によるとしている。

特徴
南極上空に顕著にあらわれる。
春から初夏の極夜にかけてあらわれる。
年々規模が拡大する。
オゾンがもっとも減少するのは、成層圏の下層部分であるが、オゾンホールは単位面積あたりのオゾン全量(ドブソン単位によって計測される)によって示させるのが普通である。

発生原因
オゾンホールの発生は、フロンやハロンが紫外線によって分解(破壊)され、生成した塩素ラジカルが触媒としてオゾンを破壊するために引き起こされると言われている。この作用は、極成層圏雲と呼ばれる氷の雲の存在によって早められる。極成層圏雲を反応の媒体として、気相―固相の不均一反応が起こり、オゾンが急速に破壊されることが知られている。 極成層圏雲の存在は、冬の間に急激にエアロゾルが増加することによって判明してきた。極成層圏雲は、低温であるほど発生しやすい。南極の場合、極渦と呼ばれる強い偏西風帯が南北方向の熱輸送を阻害することにより、放射冷却で気温が低下しやすく、極成層圏雲が生成しやすい。

北極でもオゾンホールの存在は確認されているが、南極ほど大きくない。南半球は陸地が少なく、起伏の大きな地形も少ないが、北半球の場合、チベット高原、ロッキー山脈のような大規模山塊があり、陸地と海洋のコントラストも大きい。このため、北半球では大規模山塊や海陸のコントラストで励起されたロスビー波が成層圏に伝播して極渦を弱め、南極に比べて気温が低下せず、極成層圏雲が生成されにくい。

オゾンは大気中では微量な存在に過ぎないが、太陽光に含まれる紫外線を吸収し、地上にUVCを到達させない役割を担っている。 オゾンが減少すると対流圏に紫外線が到達し、成層圏で起きていたオゾン生成の光化学反応が対流圏で生じるようになるが、対流圏でのオゾンは存在期間が短いため、地表へはより多くの紫外線が到達することになる。これが、北極や南極の氷が溶け出す理由だと言われている(**チョット飛躍では?)。

地球温暖化への影響
成層圏では対流圏よりも強力な紫外線が酸素に当たる。その際に光化学反応が起きオゾンが発生するが、それに伴い熱も発生させるため成層圏では高度の上昇に伴い気温が上昇する。近年、成層圏ではオゾン層の希薄化に伴う光化学反応の減少と思われる気温の低下が報告されており、その代わりに対流圏付近でその光化学反応が行われ気温が上昇する事が考えられる。またオゾンホールの形成により通常よりも明るい色の雲が形成され、これが太陽光をより多く遮断するため温暖化を防いでいるとする研究結果も報告されている。

人体・生物への影響
南極圏でのオゾンホールは、オーストラリアやニュージーランドの南部にまで広がることがある。そのため、この地域での紫外線の増大は、帽子をかぶらないと肌が荒れてしまうほど強烈であるし、ヒトの健康に無視できない影響を及ぼす。定住人口が多い北極圏においても健康被害が懸念されている。 強度の紫外線は、皮膚がんを誘発する要因になる。紫外線の10%の増大は、男性に対しては19%、女性に対しては16%の皮膚がんの増加になるという研究結果もある。太陽光に含まれる紫外線A波・B波・C波が、細胞やDNAを傷つけてしまう。これらの地上到達を減らすオゾン層が減少すると、あらゆる生物の身体に悪い影響を及ぼす。

ところで、オゾンホールの問題は解決されたのか? 近年規模が縮小されているようでもある。フロンガス等の排出規制が功を奏したのか? それとも地球規模の変動の為か? 人類への影響は温暖化よりも大きそうだが。そもそもフロンガス等の微量なガスがオゾンホールの原因だったのか。ノーベル賞学者のマリス博士もオゾンホールの問題は科学者達が勝手に作り出した創造の産物だと言っている。

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永久凍土の融解

 永久凍土が存在する領域は北半球陸域の25%程度を占め、過去から蓄積された有機物が大量に含まれている。地球温暖化によって永久凍土が融解すると、蓄積された有機物が分解され、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが放出されることにより、気候変動をさらに加速させることが懸念されている。しかも、永久凍土の融解は氷河期が終わり人類の発展の歴史の間中ずっと続いてきている現象だ。現在のCO2増加(0.03%→0.04%、約3割増)も大部分はこの影響かも知れない。石炭火力を止めたぐらいでは焼け石に水と言うのが本当かも。

 ツンドラ地帯では気温が低いために、樹木が大きく育たない。見渡す限り同じ景色が広がる。地表付近はせいぜい様々な種類のコケ植物や地衣類が入り交じって生えていて、厚さ数十センチくらいのふかふかしたクッションのような柔らかさ。夏は地表付近が解けているために、地下に氷がある場所には窪(くぼ)みができて水がたまっている。地表面付近の植生が柔らかすぎて足が沈んでしまう。つまりトナカイや大型の動物達の移動が困難に。

 土の中には、生物(主に植物)の死骸が有機物の形で含まれている。土の中の有機物は微生物などによって分解され、二酸化炭素やメタンの形で地表から大気に放出されます。永久凍土地帯では非常に地温が低いために、有機物がほとんど分解されずに閉じ込められている。このためIPCCでは「過去数百年から1000年の時間スケールにわたり、永久凍土は炭素の吸収源(carbon sink)となってきた可能性が高い」と述べています。
 1000年以上の間、凍結した土壌に分解されずに閉じ込められていた有機物は、永久凍土の融解によって分解されやすくなる。一般に、有機物の分解によって、湿地などの酸素の少ない「嫌気的」環境ではメタンが放出され、酸素が十分にある「好気的」環境では二酸化炭素が放出される。このように、永久凍土融解は、地球温暖化を加速する「正のフィードバック」をもたらす可能性がある。つまり、温暖化すればますます融解が加速される。
となれば現在の気温上昇に人為起源のCO2の排出だけどれだけ影響しているのかとても怪しくなる(どこまで確認されているか?)。逆にいくら人間が脱炭素社会を目指しても、地球環境自体が炭素の循環システムの組み込まれている以上、地球温暖化を食い止めることは不可能な話だ。一つの可能性は、植物のCO2吸収能を積極的に活用することだろう。ツンドラのコケ植物や地衣類も過去に大量の炭素を吸収して貯蓄して来た実績がある。
また更に工学的な対応がもとめられるようだ。例えば大規模火山噴火の数年後は寒冷化が進む。太陽光線を遮断してしまうからだ。こんな研究をビルゲイツ財団が行っているらしい。また、温暖化を前提とした人類の対応も求められるのかもしれない。

温暖化自体は超長期的に見れば不可僻な現象。太陽はますます大きく膨れ上がりエネルギーの放出も盛んになる。いずれ地球を始め木星までのみ込んで大爆発を遂げその寿命を終える。勿論それには10億年以上の歳月はかかるが。
少なくとも脱炭素社会を目指して、EVカーや太陽光発電や自然エネルギー開発にばかり勢力を集中することは労多くして益無し。木を見て森を見ずの類かも知れない。

 永久凍土融解による温室効果ガス放出予測を難しくしているもう一つの要因として、永久凍土融解には、正味の炭素放出を弱める効果もあること。有機物の分解に伴い、栄養塩が供給されることによって、植生の成長が促進されます。植物の成長は、光合成によって大気の二酸化炭素を取り込むことになるので、炭素の正味放出量を減らすことにつながる。 同じ理屈で、脱炭素社会を目指すのではなく、炭素積極活用社会に発想を切り替える必要がありそうだ。

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鉄条網

鉄条網(てつじょうもう、barbed‐wire entanglements)は、鉄線、特に有刺鉄線で作られた柵。 鉄条網とは、鉄線で作られた柵である。特に有刺鉄線で作られたものは越えようとする者を傷つけることが出来るため、土地を環状に囲ったり、線やコイル状に配置して障害物とする。人あるいは動物の外部からの進入あるいは内部からの脱走を阻止する。電気を流して感電させる物もある。

常設の物は土地の管理に用いられ、対人と対動物に大別できる。対人の常設鉄条網は施設・土地の警備、特に刑務所や軍事基地、国境線などに設置される。また、仮設の物では戦場に設置される物が代表で、野戦築城で欠かせない物である。対動物は野生動物や家畜が境界線を越えることを防ぐためのもので、対人に比べると単純で費用対効果を重視した構造になっている。

主に陣地の前面に構築され、敵歩兵の侵入を防ぐ。有刺鉄線や支柱に弾丸を命中させるのが非常に困難であり、榴弾の爆風も通り抜けてしまうので、砲爆撃や機関銃などの集中射撃だけで破壊ないし排除するのは難しい。現実的には防御側の銃砲火に晒されるリスクを忍んで人力で切断する、バンガロール爆薬筒に代表される鉄条網破壊に特化した爆弾で吹き飛ばす、あるいは、戦車や装甲ブルドーザで踏み潰したり破ったりなどする。現代の銃剣にワイヤーカッター機能がついていることが多いのは、このためである。オーストリアのStG58自動小銃は銃口消炎器の先端に切り込みを備え、ここに鉄条網を引っ掛けて発砲すると、銃弾でワイヤーを切るように考慮されていた。

工具や兵器は無いが人員だけは小隊レベルで存在する場合は、兵士個人が背嚢などの装具や小銃を腹に当てた身体を守る体勢で鉄条網に覆い被さり、友軍兵士がその背中を踏んで越える手法を採る場合もある。陣地に対する攻防をモチーフにした映画などでも時折見られる他、現在の陸上自衛隊でも鉄条網の突破法の一つとしてこの方法が訓練されている。また、鉄条網に毛布や衣服、板などをかぶせることも有効である。

歴史
元々は、牧場で簡単に設置できる柵の材料として製造されていたが、家畜泥棒などがかかり易くするために各種の棘が工夫され、対人用に発達した。
ボーア戦争で英軍が築いた陣地には、塹壕の周囲に鉄条網が張り巡らされて機関銃が配備されており、後の日露戦争や第一次世界大戦で構築された塹壕陣地の原型となった。
日露戦争当時の日本陸軍内に鉄条網についての知識は皆無に近く、旅順攻囲戦で有刺鉄線に遭遇して、初めてその実態が理解された。ずいぶんと犠牲者が出たようだ。
第一次大戦の塹壕戦で大々的に使用され戦線が膠着する一因になった。機関銃と塹壕、そして、鉄条網の存在が塹壕戦を生んだと言っても過言ではない。こうした障害を越えるために戦車が発明され、様々な工兵装備が開発された。
第二次世界大戦後は、東側衛星国が西側諸国との鉄のカーテンを維持するために、1949年から国境沿いに鉄条網を敷設し始めた。
現代でも各種の鉄条網が代表的な陣地構築資材として使用され続けているため、多くの国で使われている銃剣や小銃の一部にはワイヤカッターとしての機能が持たされている。 ブラックジョークのなかには"世界の三大発明"を鉄条網・機関銃・戦車とするもの(あるいは飛行機を加えて四大発明とも)がある。

発明と言えば世の為人の為とは言えないものだ。しかし、こういった発明は誰が発明したかは別にどんどんと発展してしまう面も。止めどもなく発展するようであるし、元に戻すことは多分不可能だろう。

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空気電池

「空気電池」というものがあるらしい? 燃料電池の一種として分類され、軽量で小型という特徴から補聴器などに使われることがあるという。まだいろいろと課題のある「空気電池」ですが、近年技術発達が進み、大きな期待が寄せられているらしい。
空気電池とは、プラス極の活物質(電子の受け渡しをする物質)に酸素、マイナス極の活物質に金属を用いる。金属空気電池とも呼ばれる。プラス極活物質が空気中の酸素であることから、活物質を充填する必要がなく、マイナス極活物質である金属を電池内に大量に補充しておくことができるらしい。空気中の酸素をプラス極の活物質として使用するため、充填する必要が無く、他電池と比較し、小型で軽量化が可能とか。
マイナス極の活物質としては亜鉛やアルミニウムなど普通の物質なので、コストや環境負荷の面でもメリットがあると言われる。

正極には表面積を増やすため多孔質にしたガス拡散電極が用いられる。負極に亜鉛を使用した電池が古くから利用されており、近年アルミニウム、マグネシウム、リチウム等を用いる形式が注目されている。充電は充電専用電極または負極と電解液を交換するメカニカルチャージが使用される。現在利用されている方式としてはシールで密封した状態で提供され、使用開始時にシールを剥がし空気穴をあけることで放電が始まる一次電池の乾電池形式のものだが、負極の活物質を補充することで燃料電池としての性格も持たせられるため、電気自動車向けとして近年研究が進められている。
正極側の活物質が酸素(つまり大気そのもの)なので電池容器内に正極活物質を充填する必要が無い。そのために電池容器内の大部分の空間に負極側活物質を充填することができ、放電容量を大きくすることができる。これは原理的に化学電池の中で最も大きなエネルギー密度にできることを意味する。そのため、同規模の体積の場合リチウムイオン電池と比べても大容量化が可能である。一方、正極は空気を取り入れるので構造が複雑になる。電解液が徐々に蒸発するので密閉化(シールドバッテリー)が困難。

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波力発電

「海明」 波力発電は、主に海水などの波のエネルギーを利用して発電する発電方法。風力発電ばかりが注目されている昨今だけど、かなり昔から色々なアイデアが出されており、脱炭素社会の自然エネルギー利用としてはもっと注目しても良いかもね。また、発電だけでなく別の形で利用する方法も無いのでしょうか。
波力発電の最大の問題はコストと言われている。1987年、文部科学省の海洋科学技術センター(JAMSTEC)が、国際エネルギー機関(IEA)の協同研究として、米国、英国、アイルランド、ノルウェー、スウェーデンの参加を得て、浮体式波力発電装置「海明」(設備定格1,000kW)の研究開発を行った。この時の発電コストは63.2円/kWhだったとか。
その後も太陽光発電や風力発電が着々と低コスト化を進める中足踏み状態が続き2017年の英国の研究でも商業化実現は遠いと結論付けられた。では現時点での風力や太陽光発電の発電コストはどうなるか。発電コストは計算の前提条件や時代環境で大きく異なるので再度比較してみる価値はありそうだ。

太陽光発電や風力発電は、数多く設備を設置し企業化量産化に向いているのに比べて、どうしても地形的制約があり、海洋と言うアクセスの悪さ等色々と解決すべき課題も多いのかも知れない。ただエネルギーの変換方式としては、波の力学的エネルギーを単に発電機を回すための別の力学的エネルギーに変換するだけなので、アイデアとしてはかなりの数の特許が申請されてきたようだ。つまり、その気になれば開発は容易ということ。主要なタイプとして、
① 振動水柱型空気タービン方式、② 振り子方式、③ 可動物体型、④ その他多数
Wave Energy Technology社は5~7円/kWhとしており、ほかの再エネや火力発電などにも優位性を持つとされ、2017年に1/10のスケールモデルで実証試験を行ったが、まだ実用には至っていないとか。

Wave Energy Technology社のPR→今なぜ波力発電?
◾ 24時間、365日、安定した電力供給が可能となり、投資リスクが低減。 ◾単位出力当たりの占有面積が小さい。 ◾土地取得が不要となり、設置コスト低減に寄与。 ◾浮遊型(半潜水型)なのでソーラーや風力に比べて景観上の問題が少ない。 ◾周辺自然環境への影響が少ない。 ◾メンテナンスの軽減、長寿命化により長期に渡り低運転コスト、低発電コストを実現。 自然エネルギー利用の一形態としてご注目願いたいということか。

浮体式波力発電装置「海明」(設備定格1,000kW)は、JAMSTECさんのご厚意もあり、乗船させてもらったことがある。世界の波力発電装置の生みの親ともいわれる益田善雄氏も乗船しておられた。益田善雄氏は海上保安庁におられた頃、海洋のブイへの自動充電装置として空気室式の波力発電装置を考案されたそうだ。「海明」は波の上下を空気流に換えてタービンを回すものであるが、上下どちら方向の空気流でも同じ方向に回る「ウェルズタービン」を使っているのが特徴であるとか。
技術的には、ほぼ完成の域で後は出番の声がかかるのを待つだけとなっている。

Wells turbine ---From Wikipedia, the free encyclopedia
The Wells turbine is a low-pressure air turbine that rotates continuously in one direction independent of the direction of the air flow. Its blades feature a symmetrical airfoil with its plane of symmetry in the plane of rotation and perpendicular to the air stream.
It was developed for use in Oscillating Water Column wave power plants, in which a rising and falling water surface moving in an air compression chamber produces an oscillating air current. The use of this bidirectional turbine avoids the need to rectify the air stream by delicate and expensive check valve systems.
Its efficiency is lower than that of a turbine with constant air stream direction and asymmetric airfoil. One reason for the lower efficiency is that symmetric airfoils have a higher drag coefficient than asymmetric ones, even under optimal conditions. Also, in the Wells turbine, the symmetric airfoil runs partly under high angle of attack (i.e., low blade speed / air speed ratio), which occurs during the air velocity maxima of the oscillating flow. A high angle of attack causes a condition known as "stall" in which the airfoil loses lift. The efficiency of the Wells turbine in oscillating flow reaches values between 0.4 and 0.7.
The Wells turbine was developed by Prof. Alan Arthur Wells of Queen's University Belfast in the late 1970s.

技術開発のお話
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ししおどし

ししおどし ししおどし

ししおどし(鹿威し)
田畑を荒らす鳥獣を威嚇し追い払うために設けられた装置を総称したもの。かかし・鳴子・添水(そうず)。「鹿脅し」「獅子脅し」「獅子威し」とも書かれるが本来は「鹿威し」ということらしい。まあ、野生の鹿を追うためのもの。
添水(僧都、そうず)とは、水力により自動的に音響を発生する装置。中央付近に支点を設けて支え、上向きに一端を開放した竹筒に水を引き入れる。竹筒に水が満杯になるとその重みで竹筒が頭を下げ水がこぼれて空になり軽くなる。その軽くなった竹筒が元に戻る際に支持台(石など)を勢いよく叩き音響を生ずる。水流が一定なら、ちょうど時計のように周期運動をする。まさに水時計であり、凄い発明だ。水力機械の元祖みたいなものだ。

水琴窟 もともとは鳥獣を追い払う農具であったが、のちに風流としてその音を楽しむようになり、日本庭園の装飾として設置されることが多くなった。代表的なものとして京都の詩仙堂のものがある。エクステリアの装飾品としても用いられる。
これと同様の仕組みを動力として応用したものが唐石臼である。
電子工学においては弛張型発振回路の原理を示す例として採り上げられる。

似たような装置で水琴窟と言うものもある。こちらは更に音を楽しむように特化しており、これも日本庭園で見られる日本独特のものか。川越の喜多院の庭園にもあったような。水がポトポトと滴る時の音がかめの中で共鳴する。いかに美しい音を出すかが勝負だね。
しかし、この装置近代音響学のメスが入りヘルムホルツ共鳴器と言うらしい。

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チェルノーゼム

黒土(こくど、くろつち、英語: Black soil、ドイツ語: Schwarzerde)は東ヨーロッパ、北アメリカ、中国東北部など世界の各地にあり、非常に肥沃な黒色の土壌(成帯土壌)で、農業に適している。
特にウクライナからシベリア南部にかけてのポントス・カスピ海草原に分布する黒土がチェルノゼム(ロシア語: чернозём)と呼ばれ、小麦の栽培地として有名で、他の地域の黒土も地質学者によりそう呼ばれるようになった。"черно"(チェルノ)と"зём"(ゼム)は、それぞれロシア語で「黒い」を意味する語と「地、土地」などを意味する語に由来する。また、その肥沃さから、「土の皇帝」とも呼ばれる。
チェルノゼムは、草本などの遺骸からつくられる腐植層が降水量の低い地域(ステップ気候)のために流出を免れ、ぶ厚く蓄積している。仮に降水がより少なく乾燥すると植物の生育ができず腐植層・窒素分の少ない栗色土となり、逆に降水が多ければ樹木が生育するが、流出のため表層の薄い腐植層と下層の酸化鉄を含む層の褐色森林土となり、冷涼ならば植物体の分解が進まず酸性化し灰白色のポドソル層や排水が悪ければ泥炭層になる。いずれも生産性が低い土壌となる。そしてロシア南部では下層に石灰分を含む層がある。これら降水・気温・土地条件が重なり、穀物栽培の下限に近い降水量ではあるが、土地は肥沃で施肥なく農業が行われている。
世界の穀物の大産地は、このような黒色の土壌に限定されているらしい。いま、ウクライナ紛争のおかげで、ウクライナの穀物の重要性が脚光を浴びて来た。ヨーロッパ地域の構想地帯だった訳だ。肥沃な土壌は、長い地球の歴史の中で作られて来たもので、人の力では簡単には出来ないものらしい。農業生産の向上のためには肥料や農薬の研究だけでなく、土壌のメンテナンスや創生の研究が重要な課題だ。
チェルノーゼムの様な黒土の存在するところは、基本的にはステップ気候の草地のようだ。歴史的には主に遊牧民たちが生活していた場所。つまり、遊牧にとっても魅力的な土地。農耕民達が次第に耕地を広げて、土地を奪い取って来たという歴史もあるかも。 ウクライナの場合は、黒海沿岸に面しており、古代からギリシャやローマへの穀物供給地として古くらから栄えていた。

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地球温暖化の大嘘が暴露1

地球温暖化は、既に始まっている。気温の上昇は止められないし海水面も上昇する。現在も着実上昇中。しかし、CO2濃度の上昇は温暖化の原因ではなく結果であることが分かって来た。温暖化したのでCO2が増えたのであって、CO2が増えたから温暖化したなんて馬鹿な理屈は成り立たない。つまり脱炭素は全く無駄な対策。人類が放出するCO2何てたかが知れている。今さら脱炭素何てやっても何の意味も無い。

これは、実測されたデータが如実に示している。特に著しいのは北極に近い地域。シベリアや北米、グリーンランドには永久凍土覆われた広大な土地がある。オーストラリア大陸の数倍に及ぶ。ただ、ここは多くの人類には生活不能で十分な調査も行われていない。 東京やロンドンで年平均気温が1度上がれば大騒ぎだろうが、氷点下40度なんていう土地で年平均気温が数度上がってもイヌイット達は別として誰も気がつかない。しかし、ここにこそ温暖化の被害が着実に進んでいる。地球科学の人達は前から警告していたようだけど、気象や環境問題の専門家と言われる人達には無視されていたようだ。

トナカイの放牧 ロシアの永久凍土地区にはイヌイットのような人たちが今でもトナカイの放牧で生活を立てている。外部の一般人とはほとんど接触がない。ごくわずかな研究者かボランティア的な商人との交流があるだけだ。でも、この伝統的な生活が今(かなり前かららしいが)危機に瀕している。NHKとBBCが共同で制作したルポなのでかなり信憑性は高い。
広大なロシアを流れる大河、オビ川、レナ川、エニセイ川等は多数の河川は南から北極海に流入する。これ等の川は冬季には完全に凍結して東西に巨大な回廊を形成する。
氷河時代にはマンモスなどの野生動物が移動し人類の先祖たちはこれを追ってベーリング海峡を渡り北米大陸へと渡った歴史がある。

食料の異常に乏しい氷原地帯では、大型の野生動物達は食料を求めて季節変動に合わせて長距離の移動をする。トナカイを放牧するイヌイット達もこれに合わせて移動を試みる。
しかし、彼らが川を渡る季節になっても結氷せず移動が遅れる事態が年々増えているという。餌を求めての移動で失敗すれば大量のトナカイが飢え死にするという。この気候変動に対応することは可能だろうか。多分大規模な橋梁建設でも行う以外に手はなさそうだ。
また、アザラシを餌にするホッキョクグマにも絶滅の危険が。アザラシを捕まえるには氷上にいるアザラシを捕えないといけない。海中ではアザラシに敵わない。ホッキョクグマも今絶滅寸前の危機的状態らしい。これ等の危機はロシアの研究者達も報告を上げているようだ。気温も毎年確実に上昇している。

永久凍土 更に、気になる報告は永久凍土が溶けた下には過去の生物の遺体が腐敗せずに大量に蓄えられている。数万年にも及ぶ厚い氷の層だ。これが空気に触れることで大量のメタンやCO2ガスが発生するという。もちろんこの発生量は人類が産業革命以降に発生させたCO2などより遥かに大量のものだろう。しかし、温暖化した地表では植物が再び生育を開始しCO2を吸収するので、結局はせいぜい現在高々0.04%の現状の濃度で済んでいるのかもしれない。CO2は大騒ぎしているが実際にはわずか0.04%だけだ。長い地球の歴史ではもっと少ない数値。これは希ガスのアルゴンよりも少量であり、地上の植物にとっては限界量に近いようだ。現在の地上では森林が減少してイネ科の植物(米、小麦、トウモロコシ、その他の雑草)が異常に繁殖しているのは、イネ科植物が超低濃度のCO2に耐性のある為でもあろう。もちろん人類が森林を破壊して農耕を開始して積極的にイネ科植物を栽培してきたことも事実であるが。

実は、凍土の消失は過去の生物の遺骸に含まれていた未知の微生物、特にウィルスを一斉に開放してしまう危険もあるという。大量のトナカイが未知のウィルスに感染して大量死したとの報告もある。数万年前の絶滅動物が所有していたウィルスなんて現生の動物には全く耐性が無いだろうからこんなものが拡散したら新型コロナなんて柔なウィルスとは比較にならない大惨事をもたらす可能性もある。

現在言われている地球の平均気温の変化のグラフはどうやって作ったんでしょうね。この広大な地球の気温の平均値なんて出せるはずない。結局、適当に地点を選んでエイヤーで決めたいい加減な数値では。そもそも極地や海洋ではデータすらないはずだ。少なくとも永久凍土の地域の気温上昇は、マイナス50度→マイナス40→マイナス30度と言った、今言われている温度上昇よりも遥かに大きいようだ。将来平均気温?が1.5度上昇するなんて予測はどうやって推定したんだろうね。

何故今頃、こんな話題がNHKに登場する。温暖化が既成事実で止めようも無いものなら今やっている脱炭素政策は何だろうと言うことに。つまり、温暖化対策として脱炭素というのは、全く科学的根拠はないということらしい。いくら脱炭素やっても温暖化は全く止められない。何の意味のない愚策と言うことらしい。でも、温暖化の方は進行するので海水面の上昇は止む得ないとしてや洪水の発生等は何とか防止策を講じないといけない。今さら脱炭素はまさにドロナワ。

では、日本は今後温暖化に対してどう対応していくのか。菅内閣は零エミッションと言う勇ましい政策を打ち出したが、具体的には太陽エネルギーや風力、水素エネルギー等特に目新しいものは何もない。実はこれらは40年以上前から研究が続けられており特に新技術が生まれたの話も無い。でもどういう理由か石炭火力はダメ。石油や天然ガスは産油国を経済制裁する目的で使用不可。そうこうするうちに今年の冬は電力不足で節電協力と電気代値上げ。そうだから、やっぱり原子力発電をやるしかないね。菅さんは初めから零エミッションな何て不可能と分かっていたようだ。どうせ脱炭素何て言うフェイクはいずれ破綻するはずだ。CO2の増加は温暖化の原因ではなく明かに温暖化の結果だ。温暖化の結果、地表や海洋から大量のCO2が大気中に放出される。それを栄養に成長するのが植物。でも、今のCO2濃度は高々0.04%しかない。大部分はCO2を渇望している植物が吸収してしまう。

原発再稼働のリスクを考えればどう見たって石炭をどんどん燃やす方がいいに決まっているね。それより忘れてはいけないのは、戦後日本の復旧を支えた水力発電がある。しかも世界的にも水量、落差ともにトップクラス。にもかかわらず電力に占める比率はせいぜい6%程度。ブラジルなら優に7割以上は水力なのに。縦割り行政の日本では電源開発予算の大部分を原子力様々でやって来たから、当然水力発電は維持管理すら困難な状態になる。つまり、日本は電力の資源量はとても豊富。電力不足は作られた神話のようだ。

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GIF

公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(Global Infrastructure Fund Research Foundation Japan)は、国際社会と連携し、関連する科学技術を広く活用した調査研究及び国際交流事業などを推進する公益法人。略称は、日本GIF研究財団。元内閣府を主務官庁とし、元外務省・財務省・農林水産省・経済産業省・国土交通省の共管(7官庁共管ではなかったか?)。
地球的規模の広域インフラストラクチャー整備に関する調査研究、人材育成、国際協力の実現などを主な事業目的としている。収入の大部分は基本財産の運用収入であり、これに賛助会員からの会費収入、国からの補助金あるいは業務委託収入を合わせて事業費を賄っている。(所在地:東京都港区虎ノ門5-3-20、設立:1990年9月28日)(Wikipedia)

地球的超大規模インフラ (GIF) の整備に関する研究を行なう財団。 1990年に設立。 77年に三菱総研中島社長の提起した GIF構想をスタートとし,民間資金を募って設立した。 GIFの意義,経済社会的影響,技術的可能性等の検討,プロジェクトのプライオリティ (優先権) の検討,国際的な研究チームの形成,国際会議開催,人材の育成協力,提言などを行なう。
軍備や戦争かけるお金を、国際協力のもと地球的超大規模インフラ (GIF) の整備に振り向ければ世界の平和と繁栄を促進できる。中島氏の高邁な理想のもと日本政府財界も大いに応援しましょうと鳴り物入りで立ち上げた財団法人である。

実は私も1995~1996年頃ここに2年間出向した経験がある。前任者の強い推薦があったらしい。小さな組織でいわゆる実働部隊に職員は5人程度、ゼネコン(賛助会員)からの出向者だ。大規模インフラには大規模土木工事がつきものだからか。
高邁な理想のもと出発した財団であるが、何故か知名度はあまり高くなく、なんせ目先の利益に繋がらないと賛助会員会社の協力も得られなくなり、2020年時点では解散消滅したらしい。残念なことである。

私がいた頃のメインのプロジェクトは
  ① 東ヒマラヤ地域の水資源開発
  ② アルル海の消滅対策
  ③ ユーラシア大陸大規模交通網

等々であった。私は前任者を引き継いで東ヒマラヤ地域の水資源開発を専任した。国際会議開催の開催(事務局)、現地関係者へのヒアリング調査、日本政府のダム関係者へヒアリング調査、報告書のとりまとめ。大いに勉強になった。また、GIFの立場を代弁すれば、今までの努力は決して無駄ではなかったと思う。
東ヒマラヤの水資源開発は近年インドの急速な経済発展を受けて、欧米の資金に頼らなくても独自に進展出来る状態になって来た。アフガニスタンで亡くなられた中村哲さんの献身的な活動もいかに水資源開発が大切かを世界に知らしめることになった。今後インドやパキスタン政府が原子力開発に走るのではなく、世界で最も豊富な水資源を有効に活用できるようになることを望む。

アラル海もソ連邦が解体し、遊牧民の定住化促進のための強引な灌漑事業が招いた惨事だったようだ。カザフスタンもウズベキスタンも協力して合理的な解決策を探っているようだ。ただし、アラル海が元の大きさに戻すことはどうなんでしょうね。
ユーラシア大陸大規模交通網は、言わずと知れた中国の一路一帯政策と全く合致している。シルクロードの現代版。これを中国の領土拡張主義の現れと解釈するのは明かに陰謀論で有害で全くトンチンカンな屁理屈。日本も大いに協力すべきだね。

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インド亜大陸の水資源開発

グローバルインフラストラクチャーという財団に2年ほど出向させてもらったことがある(1995~1996?)。東ヒマラヤ水資源開発プロジェクトの担当に。
インド亜大陸 インド亜大陸の水資源開発を促進するため、会議を主催し、国連や日本の政府方々とのヒアリングも行ってきた。ネパール元水資源大臣もいた。ダムの専門家とも。etc. 基本的に誰も素晴らしいプロジェクトだと大いに賛同する。もちろん現地政府の関係者も大喜びだ。ところがプロジェクトは一向に進まない。
ところが現地政府の調査団が現地に入ろうとすると、欧米の環境保護団体が先回りして反対運動を繰り広げる。「ダムは環境破壊」と言うことだ。希少な動植物が失われる。現地の少数民族の生活が脅かされるということ。しかし、住民が武装して抵抗して来たらもうお終いだ。新聞などのメディアには環境への危惧と現地住民の反対運動の記事が。もちろん現地政府も住民にはそれなりの保証は約束するだろう。しかし、欧米の環境保護団体はお金持ちだ。武器すらふんだんに提供できる。当然彼らの言うことを聞く。全く困ったもんだ。環境保護団体の活動には誰が資金提供をしているんでしょう。

ヒマラヤ山脈 中国の三峡ダム建設でも随分環境論者からの反対があったことは覚えているだろう。インドは今でも電力不足。東電ならぬ盗電(勝手に電線から電力を奪う)が日常茶飯事。貧しい人達が電力と得る唯一の方法?
インドやネパールでは、強大なヒマラヤ山脈のおかげで、水資源開発の為の膨大なポテンシャルがある。明らかにもったいない話だ。更に電力以外にもかんがい排水施設も不足している。生活用水も。また、バングラデシュは毎年洪水に悩まされている。

日本の水力発電やダム建設の関係者に聞くと、日本でも水力発電の計画は予算がつかないと言われた。海外プロジェクトの支援を頼みたくても人材すら不足している。何故?だって日本は水力が豊富だから原子力発電のニーズはもともと全く無い。でも、日本は何が何でも原発をやりたい。だから意図的に電力不足を造り出す。こうして日本各地に膨大な数の原発が立地した。その結果が福島の原発事故。明らかにこれは人災と言えよう。初めから無くてもいいものだから。何故、原発をやらないといけない。それは米国の命令だからだ。将来は何とか核保有国になって欲しい。ウランの調達、精製、廃棄物処理。すべて米国頼り。米国との固い絆を維持できる。だから、これ以上は忖度して黙認して余計なことを聞かないで欲しい。

今、火力発電が脱炭素政策の理由で悪玉として槍玉に。出来るだけ使わないように。原油もLNG価格もウクライナ支援の名目で輸入するな。でも、この冬場日本の電力不足が計画されているようだ。やっぱり、今休止している原子力発電所再稼働するしかないね。何故、水力発電やらない。更に、どうも温暖化の原因はCO2が増えたためではなく、温暖化の結果CO2が増えたのが実態らしいこともだんだん判明して来た。つまり、
環境保護運動=ダムは環境破壊=水力発電建設反対=零エミッション(CO2排出を無くせ)=石炭火力発電反対=原発再稼働・再開発大賛成
これが、欧米の環境団体の本音らしい。裏で原子力産業から巨大な活動資金が流れているらしい。確かに北欧もフランスも原子力発電を大いに増やそうとしている国らしい。

技術開発のお話
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不都合な真実

アル・ゴア 『不都合な真実』(ふつごうなしんじつ、原題: An Inconvenient Truth)は、2006年のアメリカ合衆国のドキュメンタリー映画。確か著作もあった。アル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領が主演。また続編も存在。本作で環境問題啓発に貢献したとしてゴアがノーベル平和賞を授与されている。
アメリカではブッシュ政権が「地球温暖化など単なる学問上の仮説で、温暖化現象は現実に確認できていない」とする公式見解で温暖化を否定。ほとんどのメディア報道も追従しており、地球環境の温暖化問題について本作で初めて知ったアメリカ人もおり国内で強い影響を与えたとする評も。

他方で、内容が事実誤認やデータ誇大化などにより「センセーショナリズムが勝る」等の批判もある。イギリスでは学校での公開は政治的活動であると保護者らから提訴され、英高等法院は「9ヶ所事実誤認している場所がある」として「是正措置を取るように」と判決した。しかし、地球温暖化の問題提起は妥当として、保護者らの「上映差し止め」請求は退けている。

本作は多数の論者らが話題にしている。一例をあげると、上記英高等法院は「西南極とグリーンランド氷床の融解により、近い将来海水準が最大20フィート上昇する可能性がある」とするゴアの主張を「これは明らかに人騒がせで、グリーンランド氷床の融解では相当量の水が放出されるが、それは1000年以上先のことである。」と判断している。しかしながら、「前回に当たる約12万年前の間氷期に、氷床崩壊により数十年間で海面が3メートル程度上昇した。」とする研究結果が、2009年4月16日発売の英科学誌ネイチャーに掲載されている。 日本では、本作公開時に、国会質疑において、「環境大臣はこの映画を観ているのか?」との質疑などがなされた。また、チェイニー副大統領の来日に際して、安倍晋三首相が本作に掛けて、「日米で協力して地球温暖化対策を進めよう」と持ちかけたところ、「あの映画はアル・ゴアのプロパガンダだ」と不快感が示された旨が、『報道ステーション』などで報道された。

アル・ゴア アルゴアと言えば、ブッシュ(2世)と大統領の座を争ったことが思い出される。ブッシュのおひざ元のフロリダ州の投票数が不正に操作されているとのことで、何度も手作業で票の数え直し。多数決原理の米国で、投票数が不正に操作されるのは特に珍しいことではないようだ。最終的には共和党と民主党の談合で、ブッシュが勝利したが、その見返りとしてゴアさんはノーベル賞を受賞。しかし、どう見てもゴア氏がノーベル平和賞に値するとは思えないね。
「不都合な真実」では、極地の氷山の崩壊とか。ヒマラヤの氷河湖が決壊して洪水が発生とか。そのような自然災害のオンパレード。地球温暖化は進んでいないとは言い切れない。 ただ、これ等のデータを収集して各地の映像を撮りまくっているNGO達の中には、わざわざ氷山に爆薬仕掛けての演出等、かなり自作自演的な要素もありそうだ。現地の人達は「環境テロリスト」と見る者もいるが、これ等のNGO達は称賛されて多大な寄付を受けることはあっても、批判の対象とはされない。

しかし、科学者達の研究で確かに極地の氷は減少しており、ホッキョクグマやトナカイ及びトナカイ遊牧民達の生活が既に脅威にさらされていることは判明。何とか手を打たないと極地の生態系は失われてしまう。しかし、これは地球規模の気候変動で人類誕生以来何度も温暖化寒冷化を繰返して現象と何も矛盾しない。20フィートの海面上昇は、日本の縄文時代の縄文海侵に相当するもので、1万年~5000年くらい前の地球(日本だけ?)は相当温暖だったことも証明されている。

「あの映画はアル・ゴアのプロパガンダだ」と言う主張は一理ある。広い地球には温暖化している場所もあれば、寒冷化している場所もある。乾燥化している場所もあれば洪水の多発で困っている場所もある。自分に都合の良いデータばかり並べて、不都合と言うのは無理がある。ただ、地球の温暖化が地球の活動のダイナミックな変化なら人為的に変えることは全く不都合で、単に人類はそれに合わせて生活スタイルを変える以外に手は無い。「日米で協力して地球温暖化対策を進めよう」とはどういう意味か? 自然改造計画でも。

トリックは、地球温暖化の原因。「人類が排出した二酸化炭素が温室効果を引き起こしている」。この説は数十年前から提案はあったが誰も受け入れないトンデモ論であった。あまりにも根拠が薄弱だから。ところが権力のある政治家が言えば、権威のある科学者達も理屈抜きに賛同する。所詮科学的に証明するなんて絶対に不可能な技。逆に反論すれば嫌がらせを受け職を失う可能性も。大きな政府では研究予算すら政府に握られている。今では日本以外の政府も脱炭素社会実現しましょう。まるで二酸化炭素が温暖化の原因のようだ。だから狡猾な政治家は言う。「科学を信頼せよ」。

産業革命以来、100年程地球の平均気温は上昇を続けているという。平均気温と言ってもどうやって定義するのか。英国ではクライメート疑惑なんてあって本当に上昇がどうかは疑惑がある。ただ東京やロンドンなどの市民にとっては、庶民の体感として納得は出来そうだ。 では、二酸化炭素はどうか。確かに0.03%から0.04%近くに増加している。33%の増加。大抵の人はこの数値を見て??となる。環境が専門の若手の研究者も同じ反応。大気中の重要な成分と思われていた二酸化炭素がたったの0.04%しかない。希ガスのアルゴンよりも少ない。普通の学問なら無視できるほど微量。4%ではない。その1/100。このガスが温暖化を引き起こす主要因? 環境が専門の若手の研究者も当然ノーコメント。

過去地球は2~3回、全球凍結と言う事態に陥ったことがあるという。地球が永遠の氷の惑星になること防いだのがCO2だったらしい。でも、その頃の地球は濃密な大気(10気圧)に覆われていて、CO2濃度も20%以上はあったらしい。
アル・ゴア 当時の地球は分厚い防寒衣を着ている状態。今は薄手のシャツだけで寒冷化を防いでいるのが実態らしい。大気はどんどん地球から宇宙空間に拡散していく。それを防ぐのは地球内部から放出されるガス。CO2が増えたから温暖化したのではないことは自明だ。寧ろ温暖化したことでCO2が増えている。シベリアの凍土崩壊で大量のメタンガスとCO2が放出されている。凍土に埋もれていた生物の遺骸が分解するため。二酸化炭素が温暖化の原因はどう見てもインチキとしか言えないだろう。

どうも、ゴア氏がノーベル賞を受賞した理由は、「二酸化炭素が温室効果の原因と言うこと」を科学的既成事実としたいという意図があったことは丸見えだ。誰が彼にノーベル賞を取らせたのか。何の目的で。温暖化以外に脱炭素運動を推進したいという目標があるからだ。

「脱炭素は化石燃料を使うな!!が本来の狙いだろう。」だったら焼き畑農業で森林を燃やすことは除外されるべき。化石燃料はいずれ使えば無くなる。枯渇資源。ところが石炭→石油→LNGと利用可能な資源は枯渇しそうにない。だから、最も枯渇しそうもない豊富な資源量がある石炭は率先して優先的に利用するのがベストだ。

答は原子力の利用促進。地上の太陽と絶賛された原子力発電。実は核兵器産業と双子の兄弟。ウランは、自然界では希薄にしか存在していないので高度に濃縮しないと使い物にならない。原子力発電の濃縮ウランや周辺技術は、既存の核保有国の独壇場となる。つまり米国やEUは、原子力発電を利用して世界の経済を牛耳ることが出来るということだ。ところが原子力発電の故障の危機、核兵器との関連から思うように原子力発電は普及しない。

だから、欧米の環境団体は、原子力発電の対抗馬になりそうなエネルギー資源を環境に悪い者として総て排除したい。世界の水力発電所建設をダムは環境破壊と言って大騒ぎして建設計画を禁止させたり。多くの途上国が主力に使っている火力発電を脱炭素を名目で止めさせようとしたり。石炭や火力をLNGに変えさせようとしたり。牛は、食事の際にゲップをしてメタンガスを排出するので、ビーフを食べるのやめて、昆虫食に変えるべきとか。確かにブラジルなどでは熱帯雨林が燃やされ放牧地になればCO2の放出も増える。メタンガスはCO2の20倍の温室効果があるとされる。

それでは、原子力発電はクリーンなエネルギーかと言えばとてつもなくダーティなエネルギー。放射能汚染もあれば、メルトダウンによる最悪の災害も起こりうる。核廃棄物は廃棄することもできず、数千年隔離保存が必要。そんな場所確保できるか。

また、CO2を減らして薄着して熱くなるの防ぐ?のはいいとしても、カイロを抱いていれば結局はより熱くなるだけ。原発起源の温排水問題やヒートアイランド現象には対処しようも無い。原発によるエネルギーの半分は利用される廃熱として捨てられるだけ。発電の原理は石炭火力と何ら変わらない。

温暖化対策で上げられる水素は確かに軽くて宇宙空間に逃げ去るかも知れないが、発生する水蒸気はCO2と同程度の温室効果ガスだ。
以上が、ゴア氏の主張している「不都合な真実」の実体。一体全体どこが不都合なのかしら。エジプトが議長国のCOP27は、大成功だった。多くの非先進国が協力することに。先進国は積極的に脱炭素を進め、途上国にもそのための資金を協力しなさい。原発推進は勿論議題にもならない。資源価格は大幅に値上がり、ロシアへの経済制裁?のためドイツ等はLNGも調達できない。石炭燃すのもダメ。脱原発のドイツが原発容認に舵を切る。日本も原発再稼働の話が出て来た。でも、日本は水資源の豊富な国。原発稼働を止めればその膨大なコストを水力発電開発に回せる。

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破綻技術の風力発電

風力発電 風力発電では二酸化炭素が発生しないためクリーンで、強い風が吹く場所であれば発電が可能なので陸上だけでなく洋上でも発電が可能です。 変換効率もよく、夜間も稼動でき、大規模な発電設備であれば火力発電並みの発電コストとなるため、経済性も確保できる可能性があるエネルギー源として期待されています。

多分これが日本政府の見解かも。書かれていることも一見は科学的に筋が通っている。洋上に設置された風力発電の大規模施設は壮観で頼もしく見え、今後もどんどん拡大し、将来は化石燃料も不要で、原子力発電に頼らなくても日本はエネルギーの自給が可能。 例えば、千葉県東京湾の広大な浅瀬の100基の風力発電が林立している。例えばこれで小規模な火力発電並みの10万kWの発電が出来るかもしれない。これが水力発電なら小さなダムを造って1基のタービンと発電機があれば十分のサイズでしょう。この点が経済性がある?への疑問点の一つである。

風力発電 水力発電は、ダムにたまった位置エネルギーをほぼ100%近い効率で電気エネルギーに変換するいう意味で大変優れた技術である。つまりダムから放流された放流水は多少は運動エネルギーを有しているかもしれないが90%以上のエネルギーは電力として人類に提供している。後はほんの少しばかり水温が上昇。こんな温度上昇は感知することも難しい。
一方、風力発電では風の運動エネルギーを利用するだけ。風上で風速20m/sで吹いていた風が風下で風速が1m/s以下になるなんて言うことは絶対にあり得ない。風速の低下なんておそらく計測しても感知することは難しいだろう。変換効率何てどうやって計算? 風力発電と水力発電を比較することは有意義である。何故なら両者は同じ原理で動いているからだ。風や水の落差や運動エネルギーでタービン(風車や水車)を回してその力でダイレクトに発電機を回す。波力発電や人力発電も同じ。基本的に風車と水車の比較。力学的自然エネルギーを電気エネルギー変えるという意味ではエネルギー変換効率は100%に近いものと言えそうだ。要は経済的に成立するかどうかだけだ。

一方の、石炭火力などの場合、燃料を燃やして水蒸気を造りタービンを回して、発電機を回し発電する。つまり熱機関。どんなに頑張ってもエネルギーは半分以上は熱として自然界に捨てざるを得ない。半分利用できれば上出来。蒸気機関なんか1割以下だった。地球温暖化の最大の原因は人類の放出するこの廃熱であろう。この点は原子力発電も地熱発電も同じか。つまり原子力発電は脱炭素の実現には意味があっても温暖化対策には全く無意味。100害あって一利無し。
再生エネルギーの経済性は。結局は電力料金の話だ。電力料金安く十分に提供できる技術だけが生き残ることが出来る。つまり発電事業者自身が自前で建設できるものだけが本物。再生エネルギーの燃料費は基本的にタダに近いだろう。しかし建設コストやメンテナンスコストは膨大かも。つまり電力料金を決めるものは建設コスト。

風力発電は今、政府が補助金を出して自治体などが建設し、発電した電気は電力会社に強制的に決められた価格で買い取らせるシステム。電力会社は建設費を負担せず、費用は国民や県民の税金で支払われている。自治体だって国が補助金出してくれればコスト意識は全く零で済む。単に脱炭素量だけが議論の対象。風力発電が普及すればするほど電力料金が高騰する仕組みだ。将来技術開発が進めば? 風力発電は既に完成した既存技術、大幅な効率アップは出来ない。そもそも日本の多くの風力発電装置は原子力発電普及に非常に熱心は北欧諸国から無検討で購入しているの現状らしい。つまり、風力発電はいくら政府が旗を振っても絶対に普及しない。では、何故政府はこれを勧めるか?
「自然エネルギーで国の電力賄うのは無理だね。やはり原子力発電を再稼働して原発を大いに増やすしかないね。」これが本音らしい。
では、何故水力発電を利用しないか。日本の水力発電の比率は1割を切っている悲惨な状況だ。ブラジルでも6割以上を水力だと言うのに。この理由は日本の電力比率の推移グラフを見れば一目瞭然。日本は国策として原子力発電を推進したかった。そのためには対抗馬となる水力発電を造らせない必要があった訳。水力発電を利用していれば本来原子力発電は全く無用の長物となってしまう。もし、風力発電が未来のある有用な技術なら水力発電はバラ色の持続可能なもの。エネルギー資源に乏しい日本がエネルギー大国に転換できる話だ。
原子力発電は燃料ウランに関しても、ウランの精製技術に関しても日本単独では調達不能。原油やLNG以上に特定の国にエネルギーを依存せざるを得ない悲惨な結果しか生まない。

技術開発のお話
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馬鹿にできない人力発電

風力発電 NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の初めの方でヒロインが人力飛行機に挑戦するシーンがあったね。人が鳥のように空を飛ぶ。ガソリンなんかの化石燃料を使うのは明かに鳥のようではない。 発電に関しても、水車や風車や牛馬を使うのは余りSDGsとはいえそうもない。人力飛行機に関しては未だ実用機として普及したものは無いが、人力発電は既に実用化し汎用的に利用されている。そう、自転車の照明用にだ。人力飛行機の運転にもこの自転車の原理が応用されている。アスレチックジムの機器としてもこの自転車型は定番だ。
風力発電は商用電源としては経済的に成立しないだろうと述べて来たが、人力発電なら十分商用化に耐えられる可能性がある。現代人は肉体労働を避け、車を使い歩くこと極力避け、食事で獲得したエネルギー資源をお金をかけてまで消費する必要に迫られている。
単にペダルをこぐだけでこの目標を達成できる人力発電はとても魅力的な商品になりそうだ。人力発電の原理は風力発電と全く変わらない。頼りない風任せよりも責任感の強い人たちが造り出す電力は遥かに将来性もありそうだ。後はこのようなシステムを誰が如何に作り上げて実現化するだけ。

で、これは今の産業経済省が支援してくれるかな。産業経済省は原発開発一点張りのようだ。もし、こんなものが実用化したら人々は電気を今まで以上に安く便利に利用できるようになる。日本は少子高齢化社会が進行中。今後エネルギー資源が不足する事態は想定しにくい。つまり原子力発電のような危険な電源は全く不要だ。多少の不足にも日本は水力発電の開発余地も十分すぎるほどある。電力不足が解消したら原発再稼働の目は無くなる。
ロシアがLNGを売ってくれない。サウジやイランやロシアが原油を売ってくれない。そんな心配は一切不要だ。そもそも世界の化石燃料資源は実際には買い手市場なのだから。

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太陽光発電

太陽光発電 ソーラー電池は技術としては優れもの。太陽光の直接利用は植物というより光合成生物だけが出来るものだった。人工光合成へ一歩近づいた訳だ。宇宙空間や無人の砂漠地帯で商用電源を利用できない場所においては電力を得るためのほとんど唯一の手段かも知れない。もちろん電力として利用するためには蓄電技術の進歩も欠かせないが。

でも、これを一般の商用電源として利用することは可能だろうか。環境問題や経済性が厳しく問われなければならない。政府の補助金付きで辛うじて成立する代物ならやはり経済性に疑問符が付き同時に環境にも良い影響はない。

埼玉県のあるゴルフ場で突如ソーラー発電パネルの設備が景観に加わった。元は山林の斜面を切取って遠くからでもはっきり分かる異様な風景だ。しかも森林を剥ぎ取ったため保水機能が劣化したためか一部が崩壊している。森林を破壊してまで設置するような代物とは思えないが。CO2を吸収してくれる森林を保存した方が遥かにエコだろうに。
畑地一面に設置されたソーラーパネル。政府はパネルの下に作物植えれば土地の有効活用との謳い文句だが、日光が遮断された地面には雑草スラは生える道理はない。
一般家庭が屋根などにソーラーパネルを設置するよう補助金を出しているが、発電した電気を電力会社に無理くり購入させているが、電力会社だって電力料金の大幅な値上げをしないことには送電できないし、一般家庭だって補助金減らされたら設置費用がペイしない。 どう見ても太陽光発電は石炭火力発電の代替としては役不足で、今後増える可能性もなさそうだ。

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バイオマス発電

タイ国でバイオマス(生物資源)エネルギーの導入が加速している。循環型経済の構築を目指す国家戦略のけん引役と目されており、化石燃料を代替する主要電源の一つに育成する考えだ。製造現場では新たな取り組みが広がっており、草分けとされる味の素はもみ殻を燃料とするコージェネレーション(熱電併給)システムを増設する。ウクライナ危機に伴う資源価格の高騰もあり、バイオマスの存在感が一層高まりそうだ。
これはNHKのニュースでも紹介されていた例。
沢山の水槽が並んでいる。栽培されるのは光合成を行う藻の仲間らしい。肥料としては、隣の石炭火力から排出されるCO2を利用する。水と太陽光とCO2があれば藻は成長する。G7諸国では悪者扱いされているCO2は、貴重な資源に早変わり。収穫した藻はメタン発酵で燃料に変えるとか。
中国を含め非G7諸国はこれからも経済発展するから電力需要は増えるばかり、石炭火力が現在の主力であるから、石炭火力を減らさずに自然エネルギーを活用していかなければならない。これらの技術開発にはタイ独自の技術と中国からの支援で行われているとか。多くの非G7諸国では少なくとも原子力発電開発の話はなさそうだ。日本・韓国・台湾は例外か? インドではヒマラヤの水資源(水力発電+灌漑+飲料水)が再び注目されてきそうだ。

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脱炭素の嘘

「なぜ最近「脱炭素」関連の情報をよく見るの? 近年、脱炭素が叫ばれている理由は、刻一刻と進む地球温暖化を食い止めるため。 18世紀後半の産業革命以降、地球の温度は徐々に上がり、当時と比べて平均1.2度上昇しています。 また、気温の上昇と大気中の二酸化炭素濃度は比例していて、相関関係があるのは明らかです。」
多分これ日本政府の公式見解かも?

脱炭素が必要との理由はこれに尽きるようです。これ見て皆納得できる。気温の上昇と大気中の二酸化炭素濃度は比例していて、相関関係があるのは明らか? 確かにグラフを描いて見れば小学生でも分かる。でも相関関係とは大抵どちらかが原因でどちらかが結果だとも言えない。二酸化炭素濃度の上昇が気温の上昇を促しているとは証明できない。寧ろ気温の上昇が二酸化炭素の上昇を引き起こしていると考える方が科学的。こんなこと中学生でも理解できる。
海水温が上がれば、海水の二酸化炭素吸収能が減る。極地の氷が溶ければ氷の下に埋もれていた有機物が酸素と反応し大量の二酸化炭素を放出する。人間が出す量を遥かに越える。今懸念されてる海水の酸性化も二酸化炭素吸収能を減らす大きな要因だ。世界各地で進む森林破壊も二酸化炭素吸収能を減らす大きな要因だ。緑地の砂漠化も同じ。二酸化炭素濃度はある意味増えていて当然の結果だろう。

地球大気に含まれる二酸化炭素の量は、わずか0.03%しかない。これが0.04%まで上昇すると大変な気候変動を引き起こすと言うのが欧米の一部の気象学者達の意見だ。植物は二酸化炭素を食べて動物達の食料(栄養)を造り出す。今の二酸化炭素の量は明かに植物のとっては危険な領域だ。太古の地球には二酸化炭素20%なんていう栄養豊富な時代もあってそのころ植物達が蓄えた炭素が石炭や石油等の化石燃料となって地下に眠っている。今地球上で繁茂しているのはイネ科植物。米と小麦とかトウモロコシとかの人の食料。つまり低二酸化炭素で生きていける植物だ。美しい花を咲かせる被子植物や森林を造る木々達にとってはとても苛酷な環境なのです。二酸化炭素を減らすことは地球という惑星を死の世界に導く危険な仕業と言うことを知らないといけません。

何故大気の微量分子である二酸化炭素が温暖化の原因になる? それは二酸化炭素の持つ温室効果があるという。では、どんな気体が温室効果を持つ。そう、メタン、水蒸気、窒素酸化物。そうです。ほとんどすべのガスが温室効果を持っているです。でも温室効果のあるガスのおかげで地球は宇宙空間で身を守る服を着ていることになっているんです。もし大気が無ければ地球は火星のようになってしまい。太陽の照らす地面は灼熱地獄で、日陰はマイナス何百度なんて、とても人の住める環境ではなくなります。

地球温暖化。百年で平均気温1.2度上昇。海水面は数m上昇。これそんなに大変なことでしょうか。そもそも平均気温とは何ですか? 冬季マイナス60度の極地で氷が解ける?つまり60度の気温上昇。で、その時アマゾンの密林の中の気温は? つまり地球の平均の気温何て定義しようも無いものです。

欧米の一部の気象学者達が言うように、そう地球温暖化は証明不能だ。しかし、もし万が一進行してしまってからでは取り返しがつかない。確かに、恐竜達を滅ぼした隕石は何時再度落下するかは分からない。でも、分かってからでは取り返しがつかない。だから今からきちんと準備しておこう。ある意味正論だけど、もう一方にはホントは寒冷化の危険もあることを知らないといけない。

欧米の一部(全部ではない)の気象学者達の本音はこうだ。今後の世界のエネルギー需要に対応するにはある意味化石燃料の利用は不可欠だろう。代替としての自然エネルギーは水力発電を除けば、コスト的に化石燃料と比べて相当に割高になり普及しないだろう。つまり、化石燃料を制限すれば今後は地上の太陽と言われる原子力発電を使う以外にない。事実フランスや北欧では原子力発電開発への動向が支持されるように。原子力発電を撤廃したドイツの今後の動向が等なるか。原発派が頭をもたげているとか。

米国では、共和党政権の時代は、歴代大統領達は石油業界のパイプもあり、脱炭素は愚劣な理論と馬鹿にしていたけど、今の民主党政権になって原子力産業からの強い後押しがあったようだ。脱炭素(欧州諸国の主張する)が神話としてよみがえって来た。脱炭素をやらないと温暖化が進む? こんな神話どこまで信じる。中国は電気自動車の開発は推進するが、多分火力発電は止めないだろう。電気自動車の普及には安価な電力は必要不可欠。脱炭素なんて信じているのはG7先進国だけみたいだ。地球という大きな宇宙システムの中で人類が形ばかりの脱炭素をやっても、地球の気温も二酸化炭素濃度も何も変えようがないではないか。

因みに、水力発電が環境破壊であると言う屁理屈も原子力発電推進派の差し金のようだ。安価な水力発電が普及すれば原子力発は売れなくなる。何故、欧米の核保有国が原発水推進にかくも拘るか。これはウラン濃縮技術を独占しているから。つまり大儲けできる。ウラン濃縮技術を自主開発しようとすると核兵器開発疑惑の濡れ衣を着せられる羽目に陥る。

脱炭素の嘘が何時バレるか? おそらくG7先進国以外の国ではもう石炭火力を止めることはなさそうだ。脱炭素より森林を増やした炭素の有効利用の方が遥かに健全だ。
脱炭素に特に熱心な国は概ね、原発推進国。原発技術を売りたい、ウラン濃縮を商業化したい。廃棄物受け入れ施設を建設したい(北欧の地下岩盤備蓄)、核兵器開発を続けたい。etc.etc.。対して役にも立たない風力発電をハイテク技術と称して世界中に売りまくっているのが北欧の国。

ドイツがもうすぐ、最後の原発を廃炉にして原発零の先進国になれるか。メルケル元首相の国民への約束である。今ウクライナ戦争に加担するとの口実で、ドイツのエネルギーが超不足の事態に。夏場はクーラーを止め電灯を消せ! 国民の不満を背景に政府が再度原発に踏み切る決断をするかどうかが注目されている。石炭火力(元々木の化石)で出たCO2ならまだ植物に吸収してもらう手段はある。しかし、核廃棄物は誰もリサイクルしてはくれない。

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海水の温暖化

海水温が温暖化している?もし、これが本当なら温暖化は脱炭素なんかやっても焼け石に水だ。簡単に分かること。地球の海の平均水深はおよそ2000mぐらいではないかとされる。一方その上の大気圧はせいぜい水柱換算で10m(1気圧)しかない。つまり地球の大気の総質量は海水の1/200しかないという明白な事実を認識すべきである。もちろんこの海も半径6400kmの地殻本体と比べたら薄皮饅頭の皮程度でもあるが、地表面の温度に多大な影響を与えることは明確なことだ。しかも、その超希薄な大気の中に占める二酸化炭素の分量は、せいぜい百分の数%以下(0.03~0.04%)。一体全体どんなメカニズムで温室効果が出来るというのでしょう。もちろん多くの科学者はそんなことが説明できないので、「二酸化炭素が温暖の原因である」を信仰として信じているだけ。そんなこと科学的に証明できる話ではない。
海水は大気と比べ熱容量も大きく、温まりにくく冷めにくい。つまり、大気の200倍以上の温室効果物質と言うことです。海水の温度が上昇すれば当然大気も温暖化する。しかし多少大気の温度が上がっても簡単に海水にその熱は吸収されてしまう。海水の移動が地球の気候に大きな影響を与えていることは地理の学習でも学ぶ。

ところで、最初述べた地球の構造から、大気中の二酸化炭素の総量を割り出すことが出来る(HO2=18、CO2=44)、ここから排出削減の目標値を決めて、G7各国で削減目標を数値化して計算することが出来る。こうして各国で排出削減量を計算させ報告させようというのが気候変動対策の枠組みのようだ。で各国が本当の対策をきちんと行ったら二酸化炭素の濃度は下がるのでしょうか?CO2は海水からも地殻からも供給される。つまり効果の確認は全く不可能な話だ。

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トリチウム

福島原発の廃炉過程でのトリチウム汚染水の大規模海洋投棄が世界の話題になっている。タンクにたまり続ける大量の汚染水。安全かどうかは別にして、いづれ満杯となって大量の漏れだすことは誰の身にも明らかだ。オシッコが溜まってもう我慢の限界の状態か。
ところでトリチウムとは何? こんなこと知らずに海洋投棄は安全だとか、反対とか騒いでいる無責任な世論はさておいて、一体全体トリチウムとは何なのでしょうか。
トリチウム(tritium、記号: T)は、三重水素と呼ばれるもので、質量数が3である水素の同位体、すなわち陽子1つと中性子2つから構成される核種であり、半減期12.32年で3Heへとβ崩壊する放射性同位体である。
重水素(デューテリウム2H)と三重水素(トリチウム3H)とを併せて重水素(heavy hydrogen)と呼ばれることがある。なんただの水素か、酸素と結びついて水を造り出す水素なんだ。もちろん自然界にもごく少量だが存在する。

三重水素は、その質量が軽水素の約3倍、二重水素の約1.5倍と差が大きいことから、物理的性質は大きく異なる。一方、化学的性質は最外殻電子の数(水素の場合は1)によって決まる要素が大きいため、三重水素の化学的性質は軽水素や重水素とほぼ同じであることが多い。問題は放射性同位体であることだ。半減期12.32年で3Heへとβ崩壊する過程で放射線を放出する。E=mc2の典型例(微小な質量減が生じ大量のエネルギー=放射線が放出される)だね。

三重水素は、宇宙線と大気との反応により、地球全体で年間約72 PBq(7.2京ベクレル)ほど天然に生成されるとされる。加えて、過去の核実験により環境中に大量に放出され、未だに残っている三重水素(フォールアウト・トリチウム)、原子力発電所または核燃料再処理施設などの原子炉関連施設から大気圏や海洋へ計画放出された三重水素(施設起源トリチウム)が地球上で観測される三重水素の主たる起源である。

高純度の液体トリチウムは、核融合反応のD-T反応を起こす上で必須の燃料であり、水素爆弾の原料の一つとしても利用される。だから、汚染水は希釈して海洋投棄するよりも、濃縮して資源として再利用する方法の方が科学技術としては正攻法なはずだ。

体内では均等分布で、生物的半減期が短く、エネルギーも低い。こうしたことから三重水素は最も毒性の少ない放射性核種の1つと考えられ、生物影響の面からは従来比較的軽視されてきた。しかし一方で、三重水素を大量に取扱う製造の技術者の、内部被曝による致死例が2例報告されている。三重水素の生物圏に与える影響については、環境放射能安全研究年次計画において研究課題として取り上げられたことなどもあり、長期の研究実績に基づいた報告書が公表されている。

しかし、原子力発電所は核分裂反応で発電を行う。今まで核廃棄物として危険視されて来た放射性物質はセシウムだのストロンチウムなどで、トリチウムが問題視されることはなかった。多分核分裂反応の過程で大量のトリチウムが発生したのでしょう。トリチウム汚染水が安全かどうか、これからの長期の研究が必要な課題ではないだろうか。

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CO2を減らす馬鹿

地球上の生物の総重量は約1兆1000億トンで、近年はあまり変化していないとされる。それに対して、コンクリート舗装やガラスと金属でできた高層ビルから、ペットボトルや衣服やコンピューターまで、人間が建造・製造したものは指数関数的に増えている。2020年12月9日付で学術誌「ネイチャー」に発表された論文によると、両者の総重量は現在、ほぼ同じであり、2020年内に人工物のほうが上回る可能性があるという。(要検討)
一方、生物のほうは植物が総重量の約90%(97%とする記事もある)を占めており、そのほとんどが高木や低木だとネイチャー誌の著者らは主張している。でも、実際にはコケや藻、光合成細菌のような微細な生物の寄与は馬鹿にできない程大きいのが現実だろう。そもそも地球表面の70%を占める海面に木や草が生えている道理が無い。光合成に主役は海のプランクトン達である。一方の人間は、残りの10%の中の如何ほどを占めるのか? この中には魚、鳥、昆虫、その他光合成をしない微生物が含まれている。

人間が年々多くのものを製造しているにもかかわらず、地球上の植物の総重量は比較的安定している。ネイチャー誌の著者らはこの理由を、森林の伐採と再生、そして大気中の二酸化炭素濃度の上昇による植物の成長の促進などが「複雑な相互作用」をなしているからだと説明している。確かに植物は大気中の二酸化炭素を栄養分として成長するので大気中の二酸化炭素の量が植物の総量を規制していることは理解できる。現実の大気の二酸化炭素の総量は僅か、0.03%しかなく、これが0.04%に増大すると二酸化炭素の強大な温室効果作用で地球が著しく温暖化するというのが彼らの主張だ。

しかし、現状の大気中の二酸化炭素量は植物の生育に必要な限界量であり、寧ろ恐竜達が生育していた時代の濃度まで回復させることの方が重要なのかもしれない。
今まさに進んでいる温暖化の未来像を知るには、恐竜が繁栄(大型動物の楽園)していた約1億年前の白亜紀の二酸化炭素濃度を調べないとならない。 白亜紀は二酸化炭素濃度が1000ppmほどで、北極や南極にも氷床がない、“超温暖化時代”だった。で、現在のCO2濃度は、300ppmしかない。白亜紀の大森林は消滅して、低CO2でも生育が容易な小麦やトウモロコシのような草地に変わっている。森林は保護の掛け声とは裏腹に年々伐採などで減少している。CO2濃度は、地球の長い歴史の中で減り続けている。原始大気は成分のほとんどがCO2だった。それをここまで減らし続けた主役は植物であった。植物はCO2を栄養として取り込み、代わりに酸素を廃棄物として垂れ流し続けていた訳です。だからCO2を減らすには植物を増やせば良い。でも植物を増やすにはCO2を増やしてやらないといけない。CO2を減らして何かいいことがあるのでしょうか。そもそもCO2が増えれば温暖化するという確たる証拠は零です。でも、白亜紀のように温暖化すればCO2は確実に増えます。

一方、人間が建造・製造したものは、必ず分解して自然に帰る。問題は難分解のプラスチック製品だろう。これも焼却処分すればCO2と水になり自然に帰る。これをリサイクルと称して回収だけして野積みしておけば、これが海洋に流れ出し著しい環境汚染となる。寧ろ、焼却処分できないようなものは製造してはならない。何時までも長期保存が必要な核燃料廃棄物も出してはならない。これがSGD‘sの基本でしょう。

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ドアノブ

ドアノブ (doorknob) は、ドアを開閉させるための取っ手である。ドアハンドル(door handle)とも呼ばれる。日本の家屋では従来は引き戸という形式が主流であったの、この技術は概ね欧米で発達したものと思われる。
ドアノブ ノブを回転させることによって、ドアとドア枠を結びつけている空錠が外れ、ドアが開くようになる。握って回転させる動作が必要となるが、高齢者などこの動作が困難となる者が利用する施設や住居などではレバータイプのドアノブが設けられる。ドアの施錠機構を内蔵するものもある。接触による感染を防ぐため、病院などでは銅など抗菌性のある素材が使われることがある。
**空錠(そらじょう):ラッチボルト(扉が風などで簡単に開かないように仮止めするための三角形のボルト)を備えた錠。 ノブやレバーハンドルを回転させることでラッチボルトが出入りして開閉できる。 施錠機能は無いので、鍵をかける必要がない場所に使用される。 「くうじょう」とも読む。要はドアの開閉に関わるストッパー。
ドアノブ 2013年11月21日、カナダのバンクーバー市は、バリアフリーの観点から、新築の建物への回転式のドアノブ設置を禁止したことを発表した(なお禁止措置は既存の建物に適用されることはないという)。これについてトロントのOCAD大学でデザインを教えているハワード・ゲーリーは新聞の取材に対し「(これは)個人住宅においても非常に合理的。高齢者や買い物袋を抱えた人、小さい子供にとっては、レバー式の取っ手の方がより楽にドアの開閉ができる」と語ったという。一方、アンティークのドアノブ販売業者などはこの禁止措置に怒っている、といい、またアメリカ・アンティーク・ドアノブ収集家協会のアレン・ジョスリン代表は地方紙の取材に対し「誰もが不自由なく出入りしたいと思っている公共機関の建物なら(回転式ドアノブが)問題となる可能性があるのは理解できるかもしれない。しかし、自分の家を建てる時に、レバー式の取っ手を必要とする障害者がいないとすれば、これはやりすぎだと思う」と語ったという。
ドアノブ 確かに、レバー式の取っ手回転式のドアノブがレバー式の取っ手の方が障碍者に若干優しい可能性はある。また、逆に不便だという可能性もある。更に、それが健常者にとってはかえって不便と言う可能性も大きい。また、すでに設置されて実績も歴史もあるアンティークな回転式のドアノブをレバー式に変更しろと言うのはどうも暴論のような気もする。いずれにしろ持って科学的な根拠を揃えてからきちんと議論しないことにはドアノブ業界の陰謀ではないかと勘繰られる。

集合住宅の場合、管理組合の役員たちがどういう判断をするか。多数決原理を盾に変えましょうという決定がなされる可能性が高い。

ドアノブ ドアノブ ドアノブの利用法のひとつにドアノブサインを掛けるのに使うというものもある。ドアノブサイン(doorknob sign)は部屋の使用者が他の人に意思を表示するためのものである。たとえばホテルの個室などでは「掃除してください(Please make up the room)」と「起こさないでください(Please don't disturb)」を印刷したものなどが用いられ、企業の会議室などでは「空室」と「使用中」を印刷したものが用いられる。英語圏ではドアノブタグ(doorknob tag)やドアノブハンガー(doorknob hanger)ともいい、日本語では「ドアノブ札」ということもある。また、泥棒が屋内に侵入する手口のひとつに、ドアノブの周囲をくりぬき施錠機能を無効にする「腰板破り」という方法もあるという。

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太陽熱温水器

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波動ポンプの開発

これは、私自身が開発にかかわった社内プロジェクトです。昭和も終わりに近い時期で、もう総てをバラしても関係者にも全く迷惑が掛からないし、当時も自然エネルギー利用の研究は盛んにおこなわれていたことも今の人達にも知って欲しいということもある。それに特許とか知的所有権も関係がないので、この知見は自由に活用して頂ければ幸いと考えている。

当時、わが社には海洋開発室という特別なチームが編成されていた。そこに赴任して暫くたったある日のこと。会社が定時の放送があった直後、室長Hさんの周りで飲み会が始まった。室長さんの客人が米国発のパンフレットを開いて、「こんなプロジェクトがあるのだけどどうだろうね。」と持ち掛けて来たようだ。そこで室長は近くにいた私に声をかけてきて「君、どう思うかね。」と問いかけて来た。

波動ポンプの開発 【ウェーブ・パワー・プロジェクト】
陸地に近い海に円形のケーソンが置かれている。コンクリート構造物、PCコンクリート造りでしょう。ケーソンは海側に開口部を有しており、海の波を取り込むようになっている。ケーソン内部は見えないが中にはフロート(浮き)が入っていて、フロートの上下運動でポンプが働き、海水を陸上の貯水池に汲み上げるらしい。
汲み上げた海水を落下させて水力発電を行う訳だ。海水揚水発電所だ。ウェーブ・パワー社はこれを世界中に売り込んでいくつもりだとか。

波動ポンプの開発 室長Hさん、「君、こんなこと可能と思うかね?」パンプレットまで作っているのだから、何らかの実証実験でもやっていそうだし、べつに技術的には不可能とも思えない。「可能でしょう。」「本当にそう思う?」
翌日、簡単な絵を作り、こんな風にすればいいんじゃないですかと説明した。「よし、費用出してやるから水理実験やって確かめて見ろ。」ずいぶん無茶な業務命令だ。「分かりました。やりましょう。」費用とすればせいぜい10~20万円程度だろう。
実は、私は海洋開発室とは別の技術研究所内の海洋水理実験場で水理実験やっていたので実験自体はお手の物。問題は模型製作だ。研究所時代の出入りの業者さんにいい人がいた。花輪さんとか言ったかな? 簡単な設計図見せたら面白いやってみましょうとなった。ベニヤ板と塩ビパイプを組合わせて、2週間もしないうちに模型が出来て早速試運転。
波動ポンプの開発 場所は、社内の海洋水理実験場内の幅70cmの造波水槽。模型実験なので実機はとりあえずこれの10倍のスケールと想定。フルードの相似則を使うので、波の周期は√10倍となる。→**実際は、1/15としていたようだ。

一通り、波を変えて作動することを確かめてから、室長Hさんに報告して公開実験だ。室長Hさん、予想外の結果に大はしゃぎ。素晴らしい大発明だ。これ、我が海洋開発室のヒット商品にしよう。海洋開発室なんて偉そうな看板掲げても所詮土木系の社員の寄せ集め、ヒット商品なんて奥がましいとも言えるが。

波動ポンプの開発 ちょっと待って!これ発明と言える? 室長Hさん、さっそく社内開発プロジェクトを立ち上げて社内関係者の協力を仰ぐことに。で、何を開発する? 水理実験やって何とか作動することはもう分かっているんだから。私もメンバーになってしまったが役割は? 

社内開発プロジェクトを急ぐ一つの理由としては、例のウェーブ・パワー社の関連と思わせる円筒ケーソンの見積もり依頼が、当社の米国留学生経由で室長当てに来たのだ。彼の指導教官からの依頼だが、こんな穴あきケーソン何て他にあるだろうか。PC構造物として見積もりを送ったが、高めに設定したのかそれ以降連絡は来ない。この事はプロジェクトの他のメンバーには知らされてない。多分WP社のパンプレット件も聞いていなものと想像できる。室長Hさん、こっそり開発を進めてしまう魂胆か。技術をパクった訳でもないのに。でも、私自身そんな引け目もあった。でももし、相手方が特許でも持っていたら? 今だから言える。室長Hさん、本当はプロジェクトに大きな可能性を夢見ていたのかも。

波動ポンプの開発 揚水性能の向上のためには、解析のプログラムがあった方が良いし、水理実験も必要だ。ところが実験担当の技術研究所が上手く模型が造れない。ベニヤ板模型では沽券にかかわると豪華なアクリル製に変えたのは良いけど、波が来てもフロートは動かない。そもそもシールがきつ過ぎる。フロートと揚水パイプの径のバランスも悪そうだ。最後までうまくいかなかったようだ。最初に私が造った模型は既にゴミ箱行となっていた。

解析技術としては、当時はやり始めたのは有限要素法などの大型のコンピュータを使った数値解析を使って見たい。多分ウェーブ・パワー社は、これを使っていると思われた(これは後で事実と分かる)。当社ではまだ、無理であったのでポテンシャル接続法(級数展開をおこなう)のプログラムの開発も行った。でも、私に言わせれば10万円程度で可能なら、簡単な水理模型実験を行うの当時の技術レベルでは最も安上がりで効率的な方法だと思う。当時は人件費やコンピュータ使用料も馬鹿にはならない。

機械的な検討としては、揚水パイプとフロート間の適切なシール構造だろう。花輪さんと私がやった現地合わせ的な適当な方法は、どうも専門家達には受け入れて貰えそうもない。設計図面に書き込まなければいけないから。シール構造については悩みぬいた末、某有名タイヤメータとの共同研究でゴム膜シールを開発。ゴム膜シールは画期的な発明かも。でも、素材のタイヤ用のゴム膜はどうもゴツ過ぎる感は否めない。ポイントは円筒形では不可で、円錐代のチューブを使うことだ。薄くて使用感のないコンドームの様なものが理想なのだが。

営業的な努力が最も大変だ。はっきり言って、一建設会社が自己資金で実海域の実証実験何てやれるはずが無い。建設会社の開発部門何て所詮現場の稼ぎで養ってもらっているのだから。出来れば工事に結びつかないとね。
という訳で、まず最も可能性があるのは電力会社。海水揚水発電何て魅力的ではないかな。水力発電のタービンの調査も実施した。どうも、日本では水力発電は明かに斜陽産業となっている。海水用のタービンなんて既存の物はなさそうだ。でも、中小水力の見直しもあり、そんなに難問でもなさそうだ。
発電の単価なんかも検討した。水力発電としてならそんなに高いものにはならなそうだが、石炭や原子力と比べるとどうしても割高になるようだ。基本的には原子力が最安になるように工夫はされているのだが。
とどのつまり、大手の電力会社自然エネルギーには当時は消極的。他、色々当たって見たがスポンサーを得ることは簡単ではなさそうだ。結局、当面実海域実験までには至りそうもないという理由で、社内開発プロジェクトは解散となった。

波動ポンプの開発 【特許について】
H室長は、何とか特許を取らせようと、特許センターに協力を求める。無い知恵を絞って何件かの出願をした。結局は不可であった。そもそも手押しポンプをフロートで動かすだけ、既存技術の組合せでは特許になる道理もないだろう。応用例としての実用新案なら良いようだったが。特許センターとしては、出願件数も大事な数値目標だから色々と協力はしてくれたのだが。はっきり言って大した技術ではないが、発想としての新規性は全く無いわけでもないと思う。

これと別に、PR用に各種の展示会に模型を作って出展した。テーブルに乗る1/100程度の小さいものだが、前に技研の水槽で用いた模型の縮小版である。これも例の花輪さんに頼んで作ってもらったもので、造波装置付きで揚水まで行える。子供連れのお客さんには大人気。

この縁があってか、ある日会社の私に面会したいという人が現れた。見た感じ中小企業の社長さんという感じのおじさんだ。勿論初対面。あなたは発明家らしいから私の発明の価値が分かってくれるはずと。あの模型見たのか。でも、私は発明家でも何でもない。とりあえず話を聞こう。どうも、彼の発明とやらは永久運動で無尽蔵のエネルギーを無から算出する。波のエネルギーは確かに一見タダかも知れないが、使えば無くなる資源でもある。永久運動機関では特許の取得もままならぬ。止めることが本人の為でもある。分かってくれたかどうかは知らないがそれ以降連絡はない。でも、もし永久機関でなければ特許は取れる可能性はある。でも、それが役に立つかどうかは分からないが、とりあえず新規性があればいい。特許制度も万能ではない。そんなもんである。

【ハワイの海洋エネルギーシンポジウム】
社内開発プロジェクトは解散となったけど、ご褒美をもらった。ハワイのホノルルでハワイの海洋エネルギーシンポジウムが開催され、そこで波動ポンプの開発について披露する。発表者として主張を命じられたのだ。メインのテーマはゴム膜シールの開発だ。共同研究社の顔も立てないと。でも、発表は英語でやるんだ。誰も手を上げないよ。オプショナルツアーにはOTEC(海洋温度差発電プロジェクト)の実証実験の現場見学までついている。OTECの研究会は日本にも出来ており、私もそのメンバーになっている。

【ワイキキ浜辺の夕べ】
単身ハワイに乗り込んで、夕方海岸で晩飯はどうしようか、今晩はどうするかなんて考えていたら、たまたま小柄なアジア系の人懐っこいおじさんがやってきて、「あんた、一人か。明日のシンポジウムに出るんだろう。」「今晩はどういう予定。」なんて話しかけてくれて意気投合して、飯食ってタヒチアンダンスショー見て一緒に踊って楽しく一夜を過ごした。タヒチアンダンスいいよねー。 名刺を見るとDr. F. Wuとなっていた。ウー博士? どこかで見たぞ。そうだ、ウェーブ・パワー社のパンフレットに名前が出ていた。この話はH室長には報告していない。個人的な話だから。

翌日、彼の報告を聞いた。彼は数値解析のスペシャリストだった。数式が並ぶ何十枚ものOHPシートを物凄いスピードめくりながら機関銃の如く話し続けた。明らかに会場の参加者達とは異なった世界の人物だ。コンピュータによる数値解析は米国では既にビジネスとなっているようである。確かに、色々と波浪条件を変えれば共振作用を利用でき画期的な出力の達成も可能かもしれない。でも、海の波は不規則であり波の無い日もある。或いは波が大きすぎて装置が破壊されてしまう恐れもある。発表を終えたウー博士はそそくさと会場を後にして帰ってしまったようだ。我々の開発したシールについてはどう思う。どうでもいいことらしい。現在まで、ウェーブ・パワー社が、彼等のプロジェクトを前進させている話は聞いていない。

ゴム膜シール 【シンポジウム】
海洋エネルギーと言っても、やはり一番発表が多いのは波力発電だろう。日本ではJAMSTEC(海洋科学技術センター)が当時実施していた、波力発電船「海明」についての発表があった。益田善雄氏(故人)の発表である。益田善雄氏は世界で最も早く波力発電の実用化に成功した方だ。波力発電船「海明」はおそらく開発は既に終了し、後は実用化を待つばかりのようだ。
室蘭工大の近藤先生も振子式の発電装置について、実証実験結果を発表。他国のものは余り記憶にないが、浮体式のより深海に適応したものもあったかも。
発電ではないが、波のポンプ作用を利用した海水淡水化の計画も面白いかも。浸透膜の開発がポイントらしいが。
例のゴム膜シールは、面白いアイデアとのお褒めの言葉を頂いたが、実際にこの問題で悩んでいる人達はいないようだ。私自身もO-リングをチョット改良すれば済んでしまう話だと考えている。花輪さんと同じ立場だ。
OTEC(海洋温度差発電)は、当時注目の技術の一つであろう。翌日はハワイ島で実証実験の見学会が行われた。

【OTEC(海洋温度差発電)】
実証機があるのは、ハワイ島。現地までは溶岩がゴロゴロしている道を車で走る。ハワイ諸島は未だの活発に火山が活動している場所なのだ。海洋温度差発電は深海からくみ上げた冷たい水と海面表層の暖かい水との温度差を利用して発電を行う。媒体として沸点の低いアンモニアなどを使うらしい。ヒートポンプとかでまさに熱力学の世界。発電の効率や発電単価はどうなるのか。土木工事としては、大口径大深度の深層水汲み上げのパイプラインの工事だろう。それと、汲み上げた深層水の有効活用が欠かせない。ただエネルギーの賦存量は膨大だ。波力や風力のように波や風が無くても1年中利用可能かもしれない。

今思えば、最初の水理模型実験はチョットやり過ぎだったかも。H室長さんもこれでは後には引けない。最初聞かれたときに「よく分かりません。」と逃げておくのが賢かったのかも。でも人の性格はそんなに変えれるものでもない。後悔はしていない。おかげで海洋エネルギーや自然エネルギー、電力開発等様々な知見を習得できたことも大きい。
いま、脱炭素だのSDGs等と言って、また自然エネルギーの見直しが出てきている。発電単価などでも石炭火力や原子力には逆風となっている。風力や太陽電池の一点張りではなく、多種多様なエネルギー源を見直す必要があると思う。化石燃料コストの値上がりは今後の世界では必然的で元に戻ることは決してないだろう。

【水理実験模型用の模型】
たまたま、最初にやった実験に使った模型の写真が残っていた。アイデア段階の試作なら出来るだけ小さな模型でコストのかからないものが良いはずだ。本当はもっと小さなものを作れば良かったのだけど、この実験では造波装置を使う必要があった。小型の造波装置を造っておけば対応は可能だ。
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