化学の部屋

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化学の世界

化学という言葉は江戸時代には舎密(せいみ)と言ったらしい。日本の近代化には不可欠な学問だったんだ。
目次
原子の発見 無機化学の世界 酸化と還元 酸と塩基
有機化学の世界 異性体 タンパク質とアミノ酸 有機分子模型 糖類 油脂
細胞とは何か 水は特別な存在 珪素と硫黄の世界 窒素とリンの役割
光合成 Health Effects of Fish Oil Trans fat

原子の発見

 化学の色々な反応は、もとをただせば原子と原子の相互作用。でも、実際に原子の存在が確認されるのは、アインシュタインが登場するよりも後の時期なのです。
 高校の化学で、習うアボガドロ数。たしか、NA=6×1023 /molだった。アボガドロ(1776年~1856年)とは、イタリア・サルデーニャ王国トリノ出身の物理学者で、1811年に発見した『同圧力、同温度、同体積の全ての種類の気体には同じ数の分子が含まれる』というアボガドロの法則で有名な人。でも、アボガドロ数が数えられるようになったのは、ずっと後世の世界。
それまでは、化学の世界での原子は一つの作業仮説(原子を考えた方が説明が簡単)としてしか認識されてなかったのです。モルという単位も1番軽い水素原子1gを1モルと決めてだけ。でも、こう決めることで、化学反応は定量的に理解されるようになって来ます。でもこんな状態で、元素の周期律表を完成させたメンデレーフの業績はやはりすごいと言わざるを得ません。

【アボガドロの法則】
アボガドロの時代は仮説でした。同一圧力、同一温度、同一体積のすべての種類の気体には同じ数の分子が含まれるという法則です。この同じ数としてエイヤーと決めたのがモルという数字です。1モルの水素分子は2g、酸素分子は16gとなることは、化学反応式を見れば理解できると思います。


 以下は、説明のため簡単な問題を解いてみます。
【問題】22.4リットルの瓶の中に、水素が入っています。中は1気圧に保たれています。1気圧のもとでは、どのような気体も22.4リットルで1モルとなることが実験的に確認されていました(アボガドロの時代)。この中に水素の分子は6×1023個(アボガドロ定数)ある訳ですね。勿論アボガドロ数が実測できるようになるのはズート後のこと。これから、水素原子の重さと大きさは出て来るでしょうか。
【解答】水素は、普通単体では存在出来ないので、H2の水素分子となっています。
この水素分子1個の占める体積Vと重さWは、
V=(22.4×103cm3)÷(6×1023)=3.73×10-20 cm3
水素分子1モルは2gですから
W=2÷(6×1023)=3.33×10-24
従って、水素原子1個の重さは、この半分の1.67×10-24gと分かります。これは、物理の本に出ている陽子及び中性子の質量と同じです(実際は中性子の方がわずかに重い)。

   高校生では、かなりの生徒がアボガドロ数は、アボガドロが発見したと思っているのではないでしょうか。でも、実際の科学の歴史は全く異なっています。アボガドロ数を求めるには、量子論の裏付けが必要で、高校生レベルでは手も足も出ません。上の問題とは逆で、原子の大きさが分かって初めてアボガドロ数が求まるのでした。ということは、アボガドロの法則は、実験的事実で、このことは原子の存在とは無関係。原子はあくまでも作業仮説。高校レベルの化学では、作業仮説の段階ですべて説明されてきたことは、歴史によって証明されています。確かに、原子の存在を認めれば化学の現象の説明には楽そうに見えるかも知れません。ただここのところをはっきりさせておかないと化学への理解に対してかえって混乱を招くことになるでしょう。

ギリシャの哲人  物資を細かく分けると、分子に行きつく。鉄もタンパク質もどんどん細かく分けて行っても鉄、たんぱく質に変わりはない。考えられる最小の単位が分子。原子はその分子を分けるとその根源的な構成要素として出て来るものだ。古代から万物はより簡単な要素の組合せから出来ているとの考えはあって、古代ギリシアのデモクリトスの原子論、中国でも木火土金水(もっかどごんすい)等の陰陽道みたいな考えもあった。陰陽道は、実生活にも応用されたでしょうが、原子の存在は、証明することはもちろん不可能でした。
   近代化学が発展して、化学反応に定量分析の方法が確立して来ます。この結果、反応の前後では系の質量は保存される(質量保存の法則)や反応する物質の質量同志は必ず同じ簡単な整数比になる。このような事実の積み重ねから、物質の基本として元素(化合物とは異なるとの意味で)というものがあることが分かってきます。元素と原子はちがうものですが、元素の構成要素の最小のものとして原子のようなものを作業仮説として設定すると大変便利であることが分かって来ました。また、元素の相対質量(もっとも軽い水素を1として、現在は炭素を12とする)を、その順に並べ表にすると、周期的に似た元素があらわれることをメンデレーフという人が発見します。でも、この当時は、実際に原子の存在を確認できると信じていた人は、物理学者も含めていなかったようです。ということは、原子が結合してできる分子の存在も同じく確認は出来ていなかったはずです。

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無機化学の世界

酸化と還元

酸化と還元は高校の化学においての重要な概念。生物は食べ物を酸化してエネルギーを得る。ということは、光合成はCO2を還元して栄養をつくるのか。ということは、酸化とはエネルギーを放出する反応で、還元はエネルギーを蓄える反応ではないか。意外と奥の深い内容を秘めている可能性がある。化学反応においては酸化と還元は同時に進行していることもポイントです。
1.酸素のやり取り
    酸素をもらう反応が酸化、酸素を放出する反応が還元。
             2Cu+O2→2CuO
銅が酸化銅になった。
             CuO+H2→Cu+H2O
酸化銅が還元されて、銅地金にもどる。
             2Mg+CO2→2MgO+C
熱したマグネシウムを炭酸ガスの入った瓶にいれても燃える。マグネシウムは酸化され、代わりにCO2を還元する。

2.水素のやり取り
    水素を放出する反応が酸化、水素をもらう反応が還元。
             2H2S+O2→2S+2H2O
硫化水素は水素を奪われて酸化され、代わりに酸素が還元された。酸素も還元されるんですね。
      2H2+O2→2H2O この場合は、水素は酸化されて、酸素は還元されたというのでしょうね。

3.電子のやり取り
    電子を失うのが酸化、電子を受け取るのが還元。
             2Cu+O2→2CuO
Cuは電子を失いCu2+になり、酸素は電子を受取りO2-になります。でも、電子の存在は20世紀になるまで分からなかったのです。イオンや電荷は知られてましたが。

4.酸化数で決める
    酸化は酸化数を目安に考えるのが手っ取り早い。酸化数は次のように求められます。酸化数が増えれば酸化された。酸化数が減れば還元されたことになるのです。
①単体の原子の酸化数は0
②イオンの酸化数は、その価数
③化合物中のH、Oの酸化数は原則1、-2とする
④化合物を構成する原子の酸化数の総和は0

実例
1. CH4:Cの酸化数をxとすると、x+(1×4)=0からx=-4 (炭素は還元されている)
2. CO2:Cの酸化数をxとすると、x+(-2×2)=0からx=4 (炭素は酸化されている)
3. SO2:Sの酸化数をxとすると、x+(-2×2)=0からx=4 (硫黄は酸化されている)
4. H2SO4:Sの酸化数をxとすると、(1×2)+x+(-2×4)=0からx=6 (硫黄は酸化されている)
     SO42- :Sの酸化数をxとすると、x+(-2)×4=-2からx=6 (上と同じです)
5. NH3→Nの酸化数をxとすると、x+(1×3)=0→x=-3 (窒素は還元されている)
6. HNO3:Nの酸化数をxとすると、1+x+(-2×3)=0からx=5 (窒素は酸化されている)
     NO3:Nの酸化数をxとすると、x+(-2×3)=-1からx=5 (上と同じ)
7. C2H6:Cの酸化数をxとすると、2x+(1×6)=0からx=-3 (炭素は還元されている)
8. MnO4-:Mnの酸化数をxとすると、x+(-2)×4=-1からx=7
対象となる原子の酸化数が増加した時その原子は酸化されたといい、反対に酸化数が減少した時に還元されたという。
酸化と還元は地球環境にとって重要な要素です。地球上に生命が誕生するためには、大気中の気体が十分還元されていて、生命の構成要素となる前駆物質が作られていなければならないからです。酸化と還元という化学的なプロセスには電子がかかわっているのです。電子を失う反応が「酸化」、電子を得る反応が「還元」です。電子はエネルギーの通貨のようなもので、エネルギーと交換できるものです。還元で電子を得ることは銀行にお金を預けるようなものです。例えば、石油も石炭も「還元」された状態。だから燃やすと大量のエネルギーが得られるのです。人類は化石燃料を大量消費することで過去に地球に貯金(還元)されていた貯金を大量に使い果たしています。温暖化など色々な影響が心配ですね。
例えば、2C2H6+5O2→4CO2+6H2O
これは炭化水素エタンの燃焼で、C2H6→2CO2
炭素の酸化数をxとすると、左辺は2x+6=0→x=-3
右辺は、x-2×2=0からx=4、炭素の酸化数は-3から4に増加。酸化されています。光合成は還元反応。呼吸は酸化反応です。

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酸と塩基

酸と塩基の考えは化学の研究の上で重要な考えのようです。何故なのでしょうか。学んでいくうえで分かるでしょうか。
酸と塩基の定義としてはスウェーデンのアレニウス(1859~1927)のものがあります。定義では、水素イオンHと水酸化物イオンOHを用います。
リン酸 硫酸 ●酸とは、水に溶けてHを出すもの
●塩基とは、水に溶けてOHを出すもの
つまり、
        酸;HA→H+A 
        塩酸;HCl→H+Cl (一価の酸)
        硝酸;HNO3→H+NO3 (一価の酸)
        硫酸;H2SO4→2H+SO42- (二価の酸)
        酢酸;CH3COOH→H+CH3COO (一価の酸)
        リン酸;H3PO4→3H+PO43- (三価の酸)
        塩基;BOH→B+OH
        水酸化ナトリウム;NaOH→Na+OH (一価の塩基)
        水酸化カルシウム;Ca(OH)2→Ca2++2OH (二価の塩基)

とりあえず、どんな物質が酸で、どんな物質が塩基かは何となく分かって来る。でも、何故この考えが大事なのか今一つありがたみが分からない。
酸化と還元で次のようなことを学んだ。電子を失うのが酸化、電子を受け取るのが還元
酸では、Hイオンを放出する。だから化学反応でこの水素を受け取れはその物質は還元されたことになる。
塩基では、OHイオンを放出する。だから化学反応でこの水酸基を受け取れば電子を取られて酸化されることになる。
【追記】ガラスはアルカリに溶ける
学校で化学の実験をしているときには気がつかなかったが、濃厚なアルカリ溶液はガラスの容器には入れないようだ。ガラスもガラスに種類によるがアルカリや熱水に侵されることもあるらしい。そのため原則としてペットボトルのようなプラスチックの容器に入れるのだそうだ。 濃厚なアルカリ溶液(実際には水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの強塩基性水酸化物だけだろうが)空気中の炭酸ガスを吸収する。また、濃厚な強塩基性溶液は粘度も高く、ガラスの「へり」に残留しやすく、固着の原因になる。ガラスの主成分である珪酸ナトリウムが侵されるためだそうだ。
また、ガラスを粉砕し、煮沸するとpHが高くなるそうだ。同じ水でもペットボトルに入っている水とガラス容器に入っている水では、珪酸の濃度が後者の方が高いことが確かめられている。ガラス製のポットを長く使うとシリカなどが溶出するため、穴があくこともあるという。ボーキサイトは、珪酸アルミニウム等の鉱物が熱帯地方の暖かくて大量の雨のため、珪酸を徐々に溶出してできると言われている。(2019.4.7)
【酸と塩基を再定義】
アレニウスの定義では、酸と塩基は水に溶ける物しか定義できない。この欠点を補うため、ブレンステッドとローリーは、アレニウスの定義において中心的な役割を果たしているH、すなわちプロトン(陽子)をベースとして、酸と塩基の概念を以下のように再定義した。
●酸とはプロトンH を他の物質に渡すことができる物質
●塩基とはプロトンHを他の物質から受け取ることができる物質
よってブレンステッド・ローリーの定義における酸と塩基をそれぞれプロトン供与体、プロトン受容体ともいう。なおブレンステッド・ローリーの定義では通常の分子である場合はもちろん、イオン化した分子に対しても酸や塩基が定義できる利点がある。
アレニウスの定義との関係
アレニウスによる酸の定義は、ブレンステッド・ローリーによる酸の定義における「他の物質」が水分子であり、しかもHを水分子に渡す原因が解離である場合に相当するので、ブレンステッド・ローリーによる酸の定義はアレニウスによる酸の定義を含意する。
一方ブレンステッド・ローリーによる塩基の定義はアレニウスによる塩基の定義と見かけ上大幅に異なるが、アレニウスによる塩基の中に存在するOHが「他の物質」である反応相手の酸からHを奪って水分子H2O を生成すると考えれば、ブレンステッド・ローリーによる塩基の定義がアレニウスによる塩基の定義を含意する事が分かる。

アレニウスの定義と違い、定義の範囲を水溶液に限定していないので、アレニウスの定義にあった「水溶液にしか定義できない」という欠点は解消されている。
また、ブレンステッド・ローリーの定義は、アレニウスの定義と違い、アンモニアが水に対して塩基になる事を説明できる。実際、アンモニアが水分子と反応して加水分解する過程 NH3  +  H2O   ←→  NH 4+   +   OH
において、アンモニアは水分子からH を奪っているので、ブレンステッド・ローリーの定義における塩基である。
酸と塩基の定義は、更に拡大されており、ルイスの定義、ウサノビッチの定義などが提案されている。

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有機化学の世界

目次   
分子の構造式---レゴブロックと同じだ 異性体 有機分子模型
タンパク質とアミノ酸
アミノ酸の構造油脂 糖類
細胞とは何か Health Effects of Fish Oil Trans fat

分子の構造式---レゴブロックと同じだ

 有機化学はある意味で無機化学よりも学びやすい。主役は常に炭素であり、水素は補助役、その他の元素は本当に脇役になる。化学的性質は脇役が大活躍するのですが。炭素は、最外殻電子を4つもつため、4本の共有結合の手をもっているため、ちょうどレゴブロックを組み合わせていくように、巨大な分子も作り出すことが可能になる。実際、化学を学ぶため分子模型をつくれるブロックが販売されています。
まず、初めに炭素1個。4個の手に水素が一つずついて出来るのがCH4(メタン)。ちょうどテトラポッドの形。有機化合物の分子では、分子に加えて構造式も大事。下図に例を示します。
有機化合物構造式
ここで、簡略図の書き方を覚えると便利。あなたは化学のレゴブロックの達人に変身できます。コツは、炭素は各線分の端点に位置します。水素は手が1本。CもHも表記しません。残りの元素の手の数を考えながら付け加えて出来上がり。市販の分子模型ブロックの穴の数は手に数に対応しています。穴の配置は立体的で組み立てるのはパズル性があり結構面白いです。図では平面で書かれているので組み立てて見ると最初思っていたのと形が少しことなります。手に数は、炭素が4、水素が1、酸素が2、窒素が3、燐が5となっています。

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異性体

男性・女性の異性ではなく、同じ化学式でも炭素の手の握り方で異なった形や性質の分子があることです。下図を見て下さい。
異性体
   炭素と水素だけの飽和炭化水素(2重結合、3重結合がない)CnH2n+2でも、炭素の数が増えると異性体は急激に増えていきます。不飽和の場合は、2重結合、3重結合のある場所も関係します。
回転異性は、簡単に回せそうですが、シス・トランスの関係は2重結合があるので回転は不可能でしょう。また、光学異性も鏡に映した関係で決して重ねることが出来ません。これらは、D型、L型として区別していますが、dextro-rotatory(右旋性)、levo-rotatory(左旋性)に由来するらしいです。これは、光(偏光)をあてた際に旋回が逆になることからきているのです。   生物現象を扱う生化学の分野では、これは極めて重要な点で、何故かタンパク質の原料としては、L型のアミノ酸しか使われることがありません(多少の例外はあるらしい)。また、エネルギー源としてはD型の糖しか使われません。生命の歴史の初期にアミノ酸はL型、糖はD型と決まったからと考えられています。人工的に合成するとL型、D型は同じくらい出来てしまうのに、生体での化学反応はキチンと区別がなされています。生体では化学反応を促進するには酵素というたんぱく質が使われますが、酵素は普通の触媒とは異なり特定の条件下で特定の物質としか反応しないという特徴があります。ここに秘密があるのではないかと考えられ要るようです。
トランス脂肪酸の健康への影響が問題になったことがあります。生体はL-タンパク質D-糖しか使えないのと同じように、シス型の脂肪酸しか使えないようです。もちろん、自然界にも食品由来のトランス型の脂肪酸は存在しているので、全く摂取しないわけには行きません。また、大量の摂取は癌などもリスクが増えることも指摘されています。厚生労働省の見解では、日本人は欧米人に比べて脂肪の摂取量が少ないから問題は無いと発表しました。確かに、肉や魚、あるいはナッツ類に含まれる脂肪は問題にならないのは明らかです。
   問題なのは、工業的に生産される食用油でしょう。むしろ植物性の油の方が問題かも知れません。安価に大量に生産するためには、加熱とか水素を付加するという工業的なプロセスがどうしても入り込みます。そうすると必ず、半分程度はトランス脂肪酸が含まれてしまいます。現状の技術では分離出来ないのです。昔ながらの農家の庭先で行うような方法では、大手の食品産業は儲かりません。厚生労働省が何故あのような見解を発表したか意図は明らかでしょう。

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有機分子模型

分子模型のブロックを入手しました。各原子に共有結合の価数(手の数)に相当する穴が空いていて、手に当たる棒をつないで組み立てていきます。
まず最初の写真は、空気の成分、水素H2、酸素O2、窒素N2、水蒸気(水)H2O、炭酸ガスCO2です。水素は白、酸素は赤、窒素はライトブルー、炭素は黒の球で表されています。水素、酸素、窒素はそれぞれ単結合、二重結合、三重結合になっている点にご注意下さい。
気体分子
炭化水素
 炭化水素の例です。炭素が一つ増えるごとに、メタン、エタン、プロパンと呼び名が変わっていきます。炭素は腕が4本、水素は1本で、飽和炭化水素の一般式は、CnH2n+2で表されます。
メチル及びエチルアルコール
炭化水素のHをOHで置き換えたものをアルコールと称します。OHの数で一価、二価、三価などがあります。晩酌で毎晩飲むのはエチルアルコール。高級アルコールは絶対飲んではいけません。
アルコールの酸化1
アルコールは、アルコール→アルデヒド→カルボン酸のように酸化される。最初の反応では、水素2原子奪われ、次の反応では酸素が1原子付加される。メチルアルコールは、ホルムアルデヒド→蟻酸となる。ホルマリンとして市販されているのは、35~38%ホルムアルデヒド水溶液。理科の実験室で生物の標本を入れてあるあれです。酒類の主成分のエチルアルコールは、アセトアルデヒド→酢酸と言う順で酸化される。アセトアルデヒドを分解する酵素を生まれつき持たない人は、アルコールを飲むと具合が悪くなり健康にも悪影響があります。
アルコールの酸化2
ベンゼンは、芳香族炭化水素。原油の中にも含まれる。ベンゼン環という炭素が6角形環状に並んだ構造になっており、二重結合が3つというユニークな形をしている。この2重結合と単結合が互いに交換し合って安定な状態になっている。水素を他の官能基で置換することで、色々な分子を構成します。付加反応よりも置換反応の方が起こりやすいという特徴があります。ベンゼン由来の化合物→クロロベンゼン、アニリン、フェノール(石炭酸)、トルエン等。
ベンゼン
トリニトロトルエンは、TNT火薬。ニトログリセリンも爆発する液体です。
トリニトロベンゼン ニトログリセリン

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タンパク質とアミノ酸

タンパク質は生物の細胞を構成する大事な物質。タンパク質を加水分解するとアミノ酸になります。逆にタンパク質は沢山のアミノ酸が脱水縮合(ペプチド結合という)してできたもの。アミノ酸は不斉(ふせい)炭素と言われる1つの炭素にアミノ基(-NH2)、カルボキシル基(-COOH)、水素(-H)、適当な置換基(-Rとする)の4つがついた構造をしており、2種類の光学異性(鏡像異性)があり、それぞれL型、D型と呼ばれていますが、生物が利用できるのは何故かL型だけです。食事で摂取したタンパク質は、消化で分解されてバラバラのアミノ酸となり小腸から吸収されて、DNAやRNAの指令に従って再度合成されてタンパク質になって体の一部に生まれ変わります。
タンパク質とアミノ酸

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アミノ酸の構造

アミノ酸がペプチド結合して、さらに立体的に構造をしているのがタンパク質。総ての生物のタンパク質は20個のアミノ酸の組合せで出来ています。中心にはアミン基、カルボキシル基、水素、側鎖基の4つの全く異なった基が結合しており、この炭素は不斉炭素と呼ばれます。そのためL型、D型の鏡像異性体があるが、生物に利用され自然界に存在するアミノ酸はすべてL型となっています。生物が単一の祖先から進化してきたことを示唆しているのでしょう。アミノ酸の基本構造は、みな同じであり化学的な性質の違いは側鎖の違いに依存している。 アミノ酸の例1
側鎖を薄紫の玉で表しています。
アミノ酸の例2
アミノ酸の構造式
カルボキシル基-OHとアミン基のHが取れて、脱水縮合がおこり、ペプチド結合が作られます。これが長くなり、さらに折りたたまれて複雑な立体構造となります。
ペプチド結合
以下、生物の細胞を構成する20個のアミノ酸の一覧を示します。
20種のアミノ酸

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油脂

生物の体にはいたるところに油脂が含まれています。油脂は、グリセリンという3価のアルコールと脂肪酸というカルボン酸 3 個が脱水縮合したものです。グリセリンはどの油脂にも共通ですので油脂の個性は脂肪酸の性質で決まります。脂肪酸は長い炭素鎖を持っていますが、その中に二重、三重結合を含むものを不飽和脂肪酸、含まないものを飽和脂肪酸と称しています。動物性の油脂は主に飽和脂肪酸ですが、植物や魚の油脂には不飽和脂肪酸が含まれています。青魚に含まれ健康に良いと言われるEPAやDHAは不飽和高級脂肪酸(高級とは炭素の数が12以上の長い炭素鎖からなる)です。
油脂の構造

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Health Effects of Fish Oil

Fish oil is rich in n-3 polyunsaturated fatty acids such as docosahexaenoic acid (DHA) and cicosapentaenoic acid (EPA). These fatty acids are generally recognized as biologically important lipids that play a significant role in protecting against cardiovascular disease, cancer, and inflammation. Moreover, many studies demonstrate that intake of fish oil, especially DHA, influences brain development, learning and memory, and visual function. Recently, the preventative and remedial effects of DHA oil on dementia and mental disorders have been reported. In this review, the health benefits of fish oil are summarized, and new data on the effects of DHA oil on intelligence score and visual acuity in the elderly are presented.

魚、特に青魚に含まれる不飽和脂肪酸が健康に良いとかなり前から言われています。DHA(ドコサヘキサエン酸)とかEPA(エイコサペンタエン酸)とか。テレビでも良く聞きます。n-3多価不飽和脂肪酸とは一体何でしょうか。fatty acids が脂肪酸。オメガ3脂肪酸が健康にいいと言われてますね。
脂肪酸 脂肪酸 脂肪酸
油脂は、グリセリンという3価のアルコールと脂肪酸というカルボン酸 3 個が脱水縮合したものです。つまり、グリセリンという物質に3種類の脂肪酸が結合したもの。
エイコサペンタエン酸(EPA:Eicosapentaenoic Acid)は、魚類、海藻類、プランクトンなどに多く含まれる多価不飽和脂肪酸です。 その構造は、20の炭素に5つの二重結合を有し、末端のメチル基より3番目の炭素に二重結合があることから、n-3系多価不飽和脂肪酸とよばれています。 また、ω系とn 系は同じ意味らしい(n-3 = ω-3)。
上の図は脂肪酸の模式図です。一番左が飽和脂肪酸。次がn-6の不飽和脂肪酸。一番右がn-9の不飽和脂肪酸。二重結合の位置が末端のメチル基(-CH3)から何番目かで名前が決まるですね。すると n-3 はここには無いけど3番目に不飽和結合があるということですね。
この脂肪酸が心血管疾患、癌、および炎症に対する抵抗力を高めるということなんです。更には脳の活性化に寄与するというのですが。lipidは脂質のこと。でも、同じ不飽和脂肪酸でも n-6 や n-9 はダメで、逆効果らしいのです。

何故、同じ食べるのでも魚ならよくて、肉はダメなのでしょう。海の魚はn-3が n-6やn-9 に対してバランスよく含まれているのに、肉は n-3 がほとんど含まれないためだそうです。こういう研究は我々より肉食中心の西欧諸国でも進んでいるようで、フランス政府は n-3 の含有量の多い牧草牛の輸入を推進しているとか。海に住む魚と違って、牛も豚も鶏も穀物中心で育てられるからか。野生の牛なら穀物何て絶対に口にしないからね。でも、穀物を食わせれば効率良く太らせることが出来る。肉のもとになる家畜自身が病んでいるということかも知れない。

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Trans fat

{From Wikipedia, the free encyclopedia}
Trans fat, also called trans-unsaturated fatty acids or trans fatty acids, is a type of unsaturated fat that occurs in small amounts in meat and milk fat. It became widely produced as an unintentional byproduct in the industrial processing of vegetable and fish oils in the early 20th century for use in margarine and later also in snack food, packaged baked goods, and for frying fast food.
トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸にのみ生ずる。不飽和脂肪酸はシス型とトランス型が異性体として存在する。総ての成体はシス型しか利用できなのですが、肉やミルクには少量含まれるようだ。20世紀になってマーガリンやスナック菓子、その他加工食品のため植物油や魚油を工業的に加工するようになって、副産物として意図せざる混入が生じるようになったようだ。

Fats contain long hydrocarbon chains, which can be either unsaturated, i.e., have double bonds, or saturated, i.e., have no double bonds. In nature, unsaturated fatty acids generally have cis as opposed to trans configurations. In food production, liquid cis-unsaturated fats such as vegetable oils are hydrogenated to produce saturated fats, which have more desirable physical properties: e.g., they melt at a desirable temperature (30–40 °C); and extend the shelf-life of food. Partial hydrogenation of the unsaturated fat converts some of the cis double bonds into trans double bonds by an isomerization reaction with the catalyst used for the hydrogenation, which yields a trans fat.
脂肪は、長い炭化水素の鎖を有しており、飽和している場合もあるが、不飽和で二重結合を持っているものが多い。不飽和二重結合では必然的にトランスとシスの形態が出来る。食品加工では物理的特性を変化させ、賞味期限を長引かせるため、部分的に水素添加を行う。部分的に水素添加を行う際にシス型の一部がトランス型に変化してしまうようだ。完全に飽和した脂肪酸なら全く問題がない。
**shelf-life=賞味期限

Although trans fats are edible, consuming trans fats has been shown to increase the risk of coronary artery disease in part by raising levels of low-density lipoprotein (LDL, often termed "bad cholesterol"), lowering levels of high-density lipoprotein (HDL, often termed "good cholesterol"), increasing triglycerides in the bloodstream and promoting systemic inflammation.
トランス脂肪は食べることは可能ですが、低密度リポタンパク質(LDL、悪玉コレステロール)のレベルを上げ、高密度リポタンパク質(HDL 、善玉コレステロール)のレベルを下げ、血流中のトリグリセリドを増加させ、全身性炎症を促進するとされている。やはりあまり安全なものではない。
Trans fats also occur naturally, e.g., the vaccenic acid in breast milk, and some isomers of conjugated linoleic acid (CLA). These trans fats occur naturally in meat and dairy products from ruminants. Butter, for example, contains about 3% trans fat. Two Canadian studies have shown that vaccenic acid could be beneficial compared to hydrogenated vegetable shortening, or a mixture of pork lard and soy fat, by lowering total LDL and triglyceride levels. A study by the US Department of Agriculture showed that vaccenic acid raises both HDL and LDL cholesterol, whereas industrial trans fats only raise LDL with no beneficial effect on HDL.
トランス脂肪はもちろん自然界でも発生します(例:母乳中のバクセン酸、および共役リノール酸(CLA)の一部の異性体)。例えば、反芻動物の肉や乳製品にも自然に含有されています。だから、それを加工したバターやチーズにもには約3%程度ののトランス脂肪が含まれることになります。 カナダの2つの研究では、総LDLとトリグリセリドのレベルを下げることにより、水素添加野菜ショートニング、または豚肉と大豆脂肪の混合物と比較して、バクセン酸が有益であることが示されています。米国農務省の研究では、バクセン酸はHDLとLDLの両方のコレステロールを上昇させるが、工業用トランス脂肪はLDLを上昇させるだけで、HDLに有益な効果はないことが示されました。→要は害はあっても益無し。できれば取らないにこしたことは無いようだ。

**バクセン酸:英語: Vaccenic acidは、反芻動物の脂肪および牛乳やヨーグルトなどの乳製品中に見られるトランス脂肪酸。 IUPAC名は(E)-11-オクタデセン酸で、数値表現では18:1 trans -11と表される。 化合物名の由来はラテン語のvacca(ウシ)である。 アルバータ大学での2008年の研究で、ラットに16週間以上バクセン酸を与えた結果、全コレステロール濃度、LDLコレステロール濃度およびトリアシルグリセロール濃度が低下したと報告された。研究者らはヒトでの臨床実験を含むさらなる研究を行っている。トランス脂肪酸でも善玉もあるかもしれないという研究でしょうか。

In light of recognized evidence and scientific agreement, nutritional authorities consider all trans fats equally harmful for health and recommend that their consumption be reduced to trace amounts. The World Health Organization recommended that trans fats make up no more than 0.9% of a person's diet in 2003[19] and, in 2018, introduced a 6-step guide to eliminate industrially-produced trans-fatty acids from the global food supply.
認められた証拠と科学的合意に照らして、栄養当局はすべてのトランス脂肪が健康に等しく有害であると見なし、それらの消費を微量に減らすことを推奨しています。 世界保健機関は、2003年にトランス脂肪が人の食事の0.9%以下を占めることを推奨し、2018年に、世界の食料供給から工業生産されたトランス脂肪酸を排除する6段階のガイドを導入しました。

In many countries, there are legal limits to trans fat content. Trans fats levels can be reduced or eliminated by switching to saturated fats such as lard, palm oil, or fully hydrogenated fats, or by using interesterified fat. Other alternative formulations can also allow unsaturated fats to be used to replace saturated or partially hydrogenated fats. Hydrogenated oil is not a synonym for trans fat: complete hydrogenation removes all unsaturated fats.
多くの国では、トランス脂肪含有量に法的制限があります。 トランス脂肪レベルは、ラード、パーム油、または完全に水素化された脂肪などの飽和脂肪に切り替えるか、エステル交換脂肪を使用することで、削減または排除できるとしています。 他の代替製剤により、不飽和脂肪を使用して飽和または部分水素化脂肪を置換することもできます。 硬化油はトランス脂肪の同義語ではありません。完全な水素添加はすべての不飽和脂肪を除去します。

トランス脂肪酸の問題は20世紀の食品加工業の発展に伴って、生じたもののようだ。自然界に存在する1% 以下の量なら全く問題が無いようだ。何故が日本の厚労省は日本人は油の摂取量が欧米人より少ないから特別な対策が不要としているが、食品加工業界の意向を忖度しているようだ。多くの国に見習いきちんと対策を取ればほぼ完全に排除できる問題のようですが。少なくとも企業にはトランス脂肪含有量の表示を義務付けることは必要だろう。

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糖類

分子式が Cm(H2O)n と表せる分子を炭水化物と言います。一番簡単な形のグルコース(ぶどう糖)とフルクトース(果糖)は、単糖類と呼ばれます。単糖類は脱水縮合によってより大きな分子を作ります。数百から数万個つながったものがデンプンやセルロースです。
糖の構造

糖の脱水縮合

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細胞とは何か

人の体は60兆個(6×1013個)の細胞からなっていると言われます。総ての生物は、細胞から出来ています。細胞とは、一言で言うと外界と遮断された小さな、小さな袋です。生命活動とは、この袋を維持し、さらに増殖していくことです。そのためには外界とのエネルギーや物質のやり取りが不可欠です。細胞説という生物学の基本的な前提があります。重要な教義は次の3つ。ユークリッド幾何学の公準みたいなものですか。
       1.細胞は生命の基本単位である。
       2.総ての生命体は細胞から構成される。
       3.総ての細胞は既に存在している細胞から生じる。
この前提を認めましょう。すると、まず始めにでは、細胞とは何かに答えなければなりません。例えば、ウィルスは細胞ではないので生物と呼ばないのでしょう。ウィルスは自己増殖するので3は満足していますが。ところで3に関しては、では最初の細胞は。生命の起源の謎は残されたままです。
ところで、細胞はどうして小さいのでしょうか。それは、細胞という袋の容積と表面積の関係にあります。つまり、
       1.細胞の容積は、細胞が単位時間当たりに行う化学反応の量を決定する。
       2.細胞の表面積は、細胞が外部環境から取りこむ物質の量と外部環境へ排出する老廃物の量を決定する。
例えば、細胞を球とすると、容積は(4/3)πr3、表面積は4πr2、その比は1/3rとなる。rは物質の移動距離に比例するでしょう。
つまり、細胞は基本機能が満足される限りできるだけ小さい方が良いことになる。ほとんどの細胞は1~100μm。光学顕微鏡で見える範囲です。
生物学者は、総ての生物を3つに分類する。古細菌、真正細菌、真核生物である。古細菌と真正細菌はまとめて原核生物と呼ばれる。進化の上では、最初の細胞が古細菌と真正細菌の分化し、その後真正細菌から真核生物が進化したものと想定されている。
真核生物の細胞は、細胞の中にさらに膜で囲まれた幾つかの細胞内コンパートメントを持っていること。細胞の中に別の細胞がある入れ子構造とことでしょうか。このコンパートメントの一つが核と呼ばれるもので、遺伝物質(DNA)を持っている。それぞれのコンパートメントの中では、それぞれ特異な化学反応が進行する。真核生物には、原生動物、菌類(真菌類)、植物、動物と我々が普段生物として認識しているほとんどの生物が含まれています。ここまで見て来ると、生命の起源を探る旅は、まず原核生物の実態を知らねばならないようです。
【真核生物の発生】
最初の原核生物は多分環境から養分を体の表面から直接取り込んでいたのだろうと想定されています。海中には栄養塩がたくさん溶けていて特に食物を食べる必要もなかった平和な世界だったのでしょう。最古の原核生物は、化石から35億年前には現れたものと推定されています。地球が生まれたのが46億年前。生命誕生まで10億年以上要したわけです。最初の真核生物が登場するのが15億年まえからですから、20億年間は原核生物だけの世界が続いていたわけです。そのうち海水中の養分が不足してきたためか、原核生物のあるものは光合成を始めるようになります。この時から地球大気にはどんどん酸素が蓄積されるようになります。また、ある原核細胞は別の原核細胞を飲み込むことで栄養を摂取するようになります。飲み込まれた細胞が消化されずに、中に閉じ込められ、細胞内での共生を行うようになったと考えられています。細胞内の細胞が特別な役割を分担して、宿主も下宿人のともに利益を得るというより進化した細胞が出来上がったわけです。
光合成原核生物から今の植物の葉緑体が生まれたのだろうと推測されています。また、ミトコンドリアも大きな原核細胞に飲み込まれた呼吸機能を持った原核細胞から進化したものと推定されています。ちょうどそのころ増加した大気中の酸素の毒性を消去してくれるため、進化上非常に有利に働いたはずです。因みに、葉緑体もミトコンドリアも体内に独自のDNAを持っており、もともと独立した原核細胞であったことが示唆されています。この考えを細胞内共生説と言い、今ではかなり多くの研究者に支持されています。

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水は特別な存在

 水は、我々の生活のいたる所に存在していますが、水分子は極めて特異な化合物でもあることも知っておかねばなりません。
1.分子サイズから見て異常に高い沸点。
2.分子サイズから見て異常に高い融点。
3. 分子サイズから見て異常に大きい蒸発熱。
4. 分子サイズから見て異常に大きい融解熱。
5.きわめて大きな比熱。
6.固体になる時体積が大きくなることがあるのは水だけ。
7.色々な物質を溶かすことができる。
8.水素結合と特別な構造を取ることができる。


水と多分子の比較
ほかの液体と比べ、何から何まで非常に特別なのです。その秘密は、水分子の水素結合という独特の形に起因しているとされていますが、まだ完全に解明されたわけではないそうです。まず、沸点を見ます。水の分子は、ちょうど正4面体の2つの頂点に水素ついています。ちょうどメタンの分子と良く似た形です。メタンは炭素原子にちょうど対称に水素原子が4つついた形です。炭素の原子は結合の手が4本ある、第14族に属する原子です。周期律表では、下に向かって炭素C、珪素Si、ゲルマニウムGe、錫Sn(すず)と続きます。立体的な対称性から、H-C-Hの角度は109.28度ですが、H-O-Hも角度が105度と少し小さいながら近い値となっています。これら14族系の分子の融点をみると、分子が重くなるほど融点が高くなっています。これらは常温では気体で液体にするには相当に冷やす必要がある訳です。いずれにしろ分子量18の水が常温で液体であること自体、大変不思議なことなのです。
 なお、常温で液体の元素は臭素Br(融点-7.2℃)と水銀Hg(-38.83)の二つだけ。もう少し高温まで考えると、フランシウム、セシウム、ガリウム、ルビジウムなどあるが。臭素はハロゲン族(17族)でフッ素、塩素、臭素、ヨウ素となりますが、軽いFとClは気体、重い要素は固体です。一般に14から17族の元素の水素化合物は、族毎に比較すると、分子量が大きくなるほど、沸点、融点が高くなる傾向がある。ただし、第二周期の値が若干異なるのが気になる。まずは、17族フッ化水素の沸点、融点が異常に高い。16、15族の水、アンモニアも沸点、融点が異常に高い。これも水素の水素結合のせいであります。
 次に、物質の比熱を比べて見る。単位はJ/g・K。
水…4.217、氷…2.10、ポリエチレン…2.23、ガラス…0.67、鉄…0.435、銅…0.379、銀…0.235、鉛…0.129。
色々並べたが、どうも水の比熱はダントツに大きいようだ。因みに気体の比熱は、気体の種類が異なれば異なる値になりますが、モル比熱というものを使うと次のように簡単に比較できるようになります。モル比熱に直すには、1gの気体の比熱に分子量をかければで出来ます。
すなわち、
単原子分子
ヘリウムのモル比熱:5.3232×4=20.928 J/mol・K
アルゴンのモル比熱: 0.523×40=20.92 J/mol・K
2原子分子
水素のモル比熱: 14.385×2=28.716 〃
窒素のモル比熱: 1.034×28=28.95 〃
酸素のモル比熱: 0.922×32=29.502 〃
塩化水素のモル比熱:0.812×36=29.232 〃
3原子分子
水蒸気のモル比熱: 2.051×18=36.918 〃
二酸化炭素のモル比熱:0.837×44=36.826  〃
それ以上
メタンガスのモル比熱:2.210×16=35.36  〃
理想気体のモル比熱は、気体定数8.317 J/mol・Kに対して単原子分子、2原子分子、3原子分子でそれぞれ、(5/2)、(7/2)、(9/2)倍、すなわち20.79、29.11、37.46に近い値となっています。 固体の場合もモル比熱で表すと、
水のモル比熱: 4.217×18=75.91 J/mol・K 
氷のモル比熱: 2.10×18=37.8 J/mol・K
鉄のモル比熱: 0.435×55.85=24.3 J/mol・K

化学結合には、共有結合、イオン結合、金属結合、配位結合などがありますが、これらと比べて力はやや弱いのですが水素結合といる水分子や一部の水素を含む小分子にみられる水素結合というものがあります。詳細については少し勉強してから紹介したいと考えています。
 ここでは、この水分子の特異性が、地球の歴史、生物の歴史に大きな役割を果たしてきたことについて述べて見たい。地球誕生の時点では、地球は毎日隕石が降り注ぐマグマオーシャンともいうべきドロドロの火の玉の溶岩の海のようだとも言われています。やがて地球が冷えて地殻から水が絞り出されて、大気中で凝結して雨となって地表を急激に冷やしていきます。この冷却には水が大きな蒸発熱を奪うことも幸いしています。このようにして海が誕生して、海からの水分蒸発→大気中の凝結→降水のサイクルが出来たことがその後の地球システムの安定化に大いに寄与します。
また、海水はまた色々な栄養成分を溶かすことが出来るので生物の発生の準備を行うことが出来ました。生命を造るもとになる分子(アミノ酸や脂肪)には、たいてい親水性の部分と疎水性の部分を両端に持っており、自然と細胞のように一つの丸まった形の膜をつくるようになり、原始細胞が生まれます。これも水素結合を利用していると言われます。
多細胞生物が発生するまでは、地球が全球凍結となったことが3度ほどあったことが知られていますが、氷が水よりも軽いと性質からか、海の中に凍っていない海水が残っている場所が確保されていて、いくらかの生物が生き残ることが出来たのだと想定されています。
その後も地球環境に対して水の果たした役割は計り知れないでしょう。

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珪素と硫黄の世界

元素の周期律表を確認して頂きたい。14族~16族、炭素Cの下に珪素Si、窒素Nの下に燐P、酸素Oの下に硫黄Sが位置している。これらは化学的に良く似た性質を持つことが知られています。ただし、原子の大きさから上のものほど沸点が高く気体になり易く、下に行くと液体、固体と変わっていきます。
まず、炭素と珪素を比べ見ます。炭素は有機化合物を造ります。結合の手を4本持って、糖、タンパク質、脂肪の他、生命を構成するための元素です。珪素も同じような性質があるはず。昔はSFでは、炭素の代わりに珪素を主体とする生命体なども考えられていました。どうもその可能性は無いようですが。その代り、地球の岩石には大量の珪素が含まれています。SiO2は固体ですが、CO2は気体。この差が大きいですね。珪素は英語でsilicon。コンピュータのチップの重要な原料は、珪素が主体。人工頭脳は人間の脳を追い越してしまう可能性もあります。珪素が炭素に勝利するということですかね。
次に酸素と硫黄。H2Oは水ですが、H2Sは硫化水素。地球の歴史で、最初は地表には、酸素がありませんでした。酸素は化学反応をしやすいため、単体では存在できないようです。地球以外の太陽系の惑星で大気に酸素が含まれているものはありません。だから、初期の生命は酸素を利用できないので、代わりの硫黄を使っていたと考えられています。シアノバクテリアが誕生してからも、数億年は硫黄を使う細菌達の天下だったと考えられています。硫黄を利用する細菌は今でも、深海の熱水鉱床の近くとか温泉とかで生き続けいます。シアノバクテリアが光合成を行い酸素を発生するようになって、現在の真核細胞の生物が現れるようになります。でも、最初の生命の誕生には硫黄が不可欠だったのかも知れません。硫黄を利用する細菌達、地球環境が悪化してほとんどの生物が絶滅した後、自分たちの天下がまた来るものとひたすら待ち続けているのかも知れませんね。
似た元素どうしでもずいぶん働きが違いますね。NとP、NaとKなども比べて見ると面白いかも。

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窒素とリンの役割

生物の細胞を構成するには、窒素NとリンPが非常に大切だ。人の体はタンパク質からできている。たいていの細胞もそうだ。蛋白質には窒素が不可欠だ。つまり、タンパク質はアミノ酸が連なったもの。アミノ酸を作るアミノ基とは―NH2でアンモニアから水素原子が取れたもの。
一方、DNAの情報からアミノ酸の配列が決まる。また、DNAはデオキシリボ核酸という化学物質です。長く紐(ひも)状につながって染色体という構造を作り上げています。この核酸を作るのに必要なのがリンです。また、生物がエネルギーを得るために使うのが、ATPとかADT、アデノシン三(二)リン酸で、ここでもリン(リン酸)が大活躍。
栄養学では、三大栄養素として炭水化物、脂肪、タンパク質があげられていますが、この中で、窒素が入っているのはタンパク質だけ。リンはどのように体に取り入れるのでしょうか。また、必須アミノ酸は体内で合成できないらしいので、タンパク質の摂取必要量もここのアミノ酸毎に計算しないと意味がないように思うのですが。
また、植物は光合成で自分の栄養を作ると言われていますが、光合成で作られるのは澱粉(でんぷん)などの炭水化物、ここから窒素やリンを使って、核酸とアミノ酸を合成できないと細胞を作ることはできないはずです。核酸とアミノ酸こそ生命の源。窒素とリンの循環にも目を向けていく必要がありそうです。

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光合成

光合成とは本当は大変難しい反応のようです。未だに大量の海水と太陽光で人工光合成を行うことは実現していません。でも、生物の生きる力は総て化学反応で説明できるはずなんです。 まず、水が分解されて水素(H2)と酸素(O2)が出来ます。水が分解するにはエネルギーが要りますが、太陽光を利用するのが光合成。初期の生命は他の化学エネルギーを使っていたようです。また、初期の生命は水の代りに硫化水素(H2S)も使っていたようです。酸素も硫黄も周期律表では同じ族で最外核電子は伴に6個で同じような化学的性質があります。
 でも、エネルギーを貰って水素を還元して、出来た水素を酸化(硫黄と化合することも酸化)してエネルギーを得る。これが基本の反応なのか。

水素原子の還元力(エネルギー)は、二酸化炭素の固定に使われということらしいです。炭素は生命体を構成する主要な元素。二酸化炭素から有機物が合成されるようですが、光合成では副産物として酸素が発生するということで、これが原始の生命達にとっては大変有毒だったらしい。では、酸素を発生しない水素原子の還元力の利用方法は無かったのかといえば、原始の生命はそのようにしてエネルギーを利用していたらしいことも分かっています。
光合成として、水と二酸化炭素からブドウ糖が造られると仮定すれば、
      6CO2+6H2O→C6H12O6+6O2   (1)
のように書くことが出来、
水素に変わって炭素(C)が還元されたことに。ブドウ糖をエネルギーとして燃やせば、
      C6H12O6+6O2→6CO2+6H2O   (2)
(1)と(2)は反応の向きが反対なだけなので、(1)ではエネルギーを外界からもらい、(2)ではエネルギーを放出することに。(1)と(2)を見れば分かる通り、水素の酸化数は変化しておらず、(1)では炭素が還元(C:6×(+4)→6×0)されており、(2)では炭素が酸化されています。

化学合成とは、硝酸菌・硫黄細菌・メタン細菌などが、無機物を酸化・還元して得られるエネルギーによって炭酸同化を行います。 光エネルギーを用いる光合成に対して使われます。でも、地球上で最初に出来た生命は皆化学合成でエネルギーを得ていたことが分かっています。古細菌(アーケア)と呼ばれる生物群は、全く酸素のない環境で生きていたはずで、還元剤に水を使わず、硫化水素などの他の分子を使っていたものと想定される。

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目次
幾何学再入門 正四面体の重心と頂点のなす角度 ベクトル解析入門 部分積分と置換積分
ベイズ統計にチャレンジ

幾何学再入門

 幾何学と言えば、総ての学問の基礎というのが欧米での常識。我が国では最近あまり人気がない。化学のおける立体構造や鉱物の結晶学等、空間図形は結構ややこしい。本当はユークリッド幾何の初歩からやればよいのでしょうが、それはそのうちにKids Roomの方で展開したいと思ってます。

正四面体の重心と頂点のなす角度

正四面体  メタンCH4の立体構造は、真ん中に炭素、正四面体の4つの頂点に水素分子が結合。H―C―Hのなす角度は109.5度となっています。この角度は正四面体の基本的な性質で、化学の問題でなく、自分で計算できる必要があります(化学の教科書には書いていない)。この計算は高1レベルでしょうが、立体図形でもあり結構考えにくいと思います。
 まず、正四面体の重心をG、4つの頂点をA、B、C、Dとします。図を参考にしてください。下図は上の立体の展開図です。正三角形が4つ集まっています。3つのAが折り返しで一つになります。正三角形の一辺をaとします。

さて、BCの中点をMとします。
AM=DM=(√3/2)a
Hを△BCDの重心とすると、DH=(2/3)DM=(2/3)×(√3/2)a=(√3/3)a
AH=√(AD2-DH2)a=√(1-(√3/3)2)a=√6/3a
ここで、重心Gは、AH上にあって、錐体(四面体)の重心であるから、AG:AH=3:4
よって、AG=(3/4)AH=3/4×√6/3a=√6/4a=0.6123a=(1/1.633)a
ここで、△MADを考えると、AG=DG
求めたい角度∠AGD=θとして、余弦定理を適用する。
2AG・DGcosθ=AG2+DG2-AD2
2×(√6/4)a×(√6/4)a cosθ=(√6/4)2a2+(√6/4)2a2-a2
   ∴cosθ=-1/3
ここからは、関数電卓の出番で、cos-1θ=arccosθ=1.9106 rad=109.47°として求めることが出来る。
ここで、錐体の重心位置および体積の求め方をレビューする。
錐体重心 錐体体積
錐体(底面積S)と三角形(底辺b)の比較をしてみると良く似た関係がある。
図形体積重心位置
錐体(1/3)Sh(3/4)h
三角形(1/2)bh(2/3)h
錐体(底面積S)と三角形(底辺b)の比較をしてみると良く似た関係がある。

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